シスターアンジェは教会が運営する孤児院で育ち、その流れで教会に見習いシスターとして身を置いた。
聖職者は無償の愛を他者へ与えるのが仕事であり、世話焼きな性格も相まって彼女の天職とも言えた。
教会周りで魔物が多く出没するとの噂になり、冒険者が集まるようになった。教会のある村ではまだ被害は少ないが、多くの冒険者たちが犠牲になり始めた。
見ていられなくなり、遂にはアンジェもまた、冒険者たちに同行して魔物狩りへと赴いた。とは言っても、彼女に戦闘能力はないので、専ら傷付いた者の手当てをしている。
遂にその日が起こった。
アンノウンと村で呼ばれるようになった魔物は強く、アンジェが同行していたパーティーも襲われることになった。
魔物もまた群れで行動しているのか、冒険者たちと数が拮抗していた。しかも相手は知能もあるのか、一対一で挑むことはなく、必ず複数で一人の冒険者と戦闘を行ってくる。
支援もあり、彼らは魔法を使ってくる。魔法を使ってくる魔物はいるが、まさかゴブリンもどきが使ってくるとは思ってもいなかった冒険者たちはゆっくりとだが、数を減らしていった。
どうしようもなくなり、撤退の際にアンジェは足手まといだからと置いて行かれてしまった。当然、戦闘能力のないアンジェは瞬く間に捕まり、腹部へ痛みが走ると気を失った。
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アンジェが次に目を覚ますと、まず目に入ったのはまさかの人間だった。
魔物に捕らえられた筈なのに……と思うも、彼女の腹が膨らんでいることからあぁ……。と自分のこれからを想像してしまった。
彼女を捕えた群れは言わずもがな、ゴブリンらしくないゴブリンの彼の群れだった。群れとは言うが、彼の家族だけで構成されており、群れのボスである彼へとアンジェは差し出された。
今やボスとして君臨している彼は更に体格が良くなり、背丈で言えば魔物の中でも巨体と言われるトロールと同じだ。その癖、トロールのように厚い脂肪で身体を覆われている訳ではなく、鍛えられた筋肉の鎧を纏っており、人間で言うなればマッチョなのが今の彼だ。
彼の一番の妻であるフレイアによって人間の言葉を更に学んだ彼は流暢に言語を操るようになった。
「名は?」
「……」
驚きのあまり固まってしまう。フレイアと違って、魔物への知識が特別にある訳ではないが、魔物が喋るだなんてと絶句してしまった。
しかも、よく見ればアンジェが目を覚まして一番に目にした女性の身なりは綺麗で、全裸で妊娠してる事を除けば魔物の苗床になっている者とは思えない。それに、彼のフレイアを気遣う態度からも、彼が他の魔物とは違う事が分かる。
本能の警鐘か、後退りをするもフレイアによって止められてしまう。
「逃げては駄目よ。もうあなたは旦那様のモノなの。ほら、これがその証拠よ」
後ろに回ったフレイアは綺麗で細い指でアンジェの素肌をなぞり、その指は腹部で止まる。そこでやっとアンジェは自身が裸な事に気が付いた。
「きゃあああああっ!?」
魔物に裸を見られた事に声を上げてしまう。が、それを笑う者はおらず、目の前の彼もいつぞやかのように仁王立ちをしているだけだ。
裕福とは言えない孤児院育ちであり、自分よりも他者を優先しがちな彼女の身体は小さい。必要な栄養を成長期に取れなかったからか、フレイアが魔法学院に入学した時と同等だ。孤児院で言えば子供たちとさして差はなく、シスターと呼ばれるよりもお姉ちゃんと呼ばれていた。
そんな身体は剥き出しであり、フレイアの手が止まった腹部には殴られた時の痕はなく、代わりに初めて目にする不思議な紋様が浮かんでいた。
「……これは……?」
「ふふっ、それを刻んだのは私よ。旦那様って見ての通り大きいから、小さな身体のあなたでは全部を受け入れられないでしょ? それに痛いのも可哀想だからちょっと色々と足してみた特製の淫紋よ」
「い、淫紋?」
聞いたことはないが、言葉の響きだけで何やら不埒な香りがする。
「旦那様も魔力を持ってるから旦那様の魔力を込めた特製の淫紋。刻まれた者は淫紋の魔力の主には絶対服従になるしかないのよ。だって発情だって排卵だって思うがままだもの♡」
「ま、魔物との間に子供なんて……!」
「だから言ってるじゃない、これは特製、特別なのよ♡ 旦那様がもと居たゴブリンって知ってるでしょ? どんな種族の雌でも孕ませれるっての。実はそれって媚薬の効果らしく、それを淫紋にも混ぜてるの♡ あなたは媚薬を飲まなくても旦那様の赤ちゃんを産める身体になってるって訳よ♡ ふふっ、良かったわね♡」
うっとりとした笑みでアンジェを見るフレイアに恐怖しか浮かばない。
後ろにいるフレイアを振り切って逃げようとしたアンジェだったが、ズキンと痛みにも似た疼きが腹部から全身に走った。
「あ……っ、っく……♡」
漏れたのは苦痛の声ではなく、アンジェ自身も初めて聞いた甘い女の声。何が起こったのか分からず、腹部へ目をやると刻まれた淫紋が爛々と輝いていた。
紫色の光を放つその色は彼の魔力の波長の色であり、逃げだそうとしたアンジェを縛る為に強制的に発情させた証拠だ。
口を縦に閉じ、ふっくらと盛り上がっている恥丘からトロっと愛液が滲み出す。太腿を伝う液体の感覚に不快感を覚える。
「や……! 嫌です! 魔物の赤ちゃんだなんてそんなの……っ!」
嫌嫌と自身の運命を受け入れられないアンジェは頭を左右に振るしかもう出来ない。
止めてしまえば腹部から走る未知の感覚――快楽に全てを支配されてしまいそうだから。
そんな彼女を見て、ニヤリと口角を上げた彼は手を伸ばした。
アンジェの小さな顎を掴むと上を向かせる。フレイアが助けをするようにアンジェの脇の下に手を入れ持ち上げる。
幾らアンジェが小さいと言えども、女性であり魔法使いであるフレイアには苦しい筈だ。が、そこは彼女が得意な魔法。身体能力を引き上げる魔法を使ってアンジェを楽々と持ち上げると、彼女の顔を彼へと近付ける。
顎を掴まれ、左右に頭を触れなくなったアンジェの顔は絶望に染まるしかない。
「んむ……っ! んん……や……ぁ♡ んちゅ……んぶっ♡」
無理矢理唇を奪われる。大きな彼の唇はアンジェの小さな唇を捕食するようであり、息を吸うと彼の匂いを吸い込んでしまう。
魔物とは思えない優しい口付けに暴れようとしていた身体からは力が抜けてしまう。
ポーッと頭が快感で染まり、初めて覚えた快感がもっと欲しくなり遂には自分からも口付けをしてしまう。
アンジェに刻まれた淫紋が激しく光り、その度にアンジェの身体は快楽に焼かれる。そんな彼女を見て、フレイアは笑みを浮かべていた。
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小さな金髪シスターなアンジェも彼の子を孕んだ。
なだらかだった乳房は妊娠により僅かに膨らみ、鮮やかに色付いていた乳首も数え切れない授乳によって黒ずんでしまったが、それが却って背丈とのアンバランス差によって色気になった。
彼女が産んだ子たちは彼女の魔力特性を継いで彼の群れでの回復役となった。より強力になった群れだが、アンジェは幸せだった。
愛を知らずに、しかし愛を与えるのが当たり前だった彼女。淫紋の効果で頭を快楽によって支配されていたが、彼はアンジェに愛を与えてくれた。
両親を知らないアンジェは愛を与えてくれる大柄な彼に父親を重ね、彼の妻になったというのにパパと呼んでいる。
彼からは愛を与えられ、アンジェは自分の子やフレイアの子、他の女たちの子たちに今は愛を与えている。シスターではなくなったが、彼女の心根は変わっていなかった。
ゴブスレの女神官ちゃんみたいなのを書きたいと思ったけど、ゴブリンではあるしと、まさかの続き見たいな感じに。
フレイアの最後からの続きか、それともそれよりも前の時間軸かどうかは考えてないですが、また彼の群れが強くなってしまった……。ゴブリンなのに蛮族じゃないとか怖すぎ。