輪廻の蛇 〜退魔兎姫ハヤテの世界で、TS転生者は日常を守りたい〜 作:黒庵
※今回は原作の方では明確になっていなかったハヤテの誕生日について触れていますが、この辺りについて何年か前に先生に聞いてきたところ、特に決めてないとのことだったので、本作ではその辺りを一応こちらで設定しています。
……この世界、原作とは別世界線だしね!(一応原作のイベントと出来るだけ矛盾が発生しないように設定はしてますし……!)
道端で出合い頭に支離滅裂な発言を投球(シュート)してきたそっくり幼女の話を聞くために、とりあえずユキカちゃんの先導で家の中に入った俺たちは、ゆっくりできるリビングに移動した。
「で、どういう理屈でそんな話になったんだよ。明らかに血が繋がってないし、第一、はやてちゃんも私も同い年じゃないか」
「………? ましろはいっしょだよ」
「………」
まずい、話が嚙み合わない。
一緒にツッコミを入れてくれそうな制服少女は先に食品が入った買い物袋を冷蔵庫の有るキッチンへと持って行ってしまったので、戻ってくるまでこれをひたすら俺一人で耐え抜かなければならない。
「あのな………私たちは、苗字も生まれた家も違うんだ」
「………」
「もし何かの間違いで血が繋がっていたとしても、同じ年に生まれたのはどうするんだ。私はカエデさんの子どもじゃない」
「………でも、ましろはかぞく」
「だ・か・ら! 同じ年に生まれたって言ってるのに─────」
そこで、成り行きを見守っていたネネちゃんが口を開いた。
それはもう─────まるで、何か素晴らしいことにでも気づいたかのように。
「はやて、あのね。─────家族が同じ年に生まれたら『ふたご』っていうらしいよ?」
「じゃあ、ましろはふたご? のいもうと?」
おい、ちょっと待て一番上の姉の方がなんか厄介なこと言いだしたぞ………!
「いや、違うし………! 双子っていうのは、確かに同い年になるけど誕生日は………いや、同じじゃないケースもあるんだっけ!? いやいやいや、えっと、違うから! 双子じゃないから!!」
「「???」」
「こ、こいつらぁ………!!!」
俺の方がなんか意味不明なこと言ってるみたいな風な表情するの、やめてもらえませんかねぇ!?
極めて真っ当なはずの意見を述べる俺に対し、揃って首をかしげる幼女シスターズ。
どうしよう、順当に挫けそうです。へるぷみー。
「双子っていうのはそんなにかけ離れた日にはまず生まれないの! えっと、はやてちゃんの誕生日は何月!?」
「しがつ」
「私は6月らしいから、生まれたの2ヶ月も後じゃん! つまり、双子じゃないの! わかった!?」
「ましろ………ふたごってね、はやく生まれた方がおねえちゃんで、あとから生まれた方がいもうとになるんだよ?」
………おいこら。そこ、わんこそば形式で余計なこと言うな。
「じゃあ、ましろはやっぱりいもうと?」
「じゃない!!!」
「「???」」
いやちょっと待て。なんでその流れで俺が赤の他人だって理解してるネネちゃんの方まで首傾げてるんだよおかしいだろ!?
状況は混迷を極めた。
なぜか俺をこの家の一員であることを共通認識にしようとしてくる幼女二人と、必死に抗う俺。
正しく多勢に無勢。
いや、無視してもいいんだけどこのまま放置して街で見知らぬ人に言い触らし出したら手が付けられなくなることは目に見えている。こいつらに抗うのなら、ここしかない………!
そこに。
「えっと、これってどういう状況なんですか………?」
この状況から俺を救ってくれるであろう、ヒーローが遅れてやってきた。
「ユキカちゃんたすけていもうとにされる」
「え、ええ………?」
困惑した制服少女ことユキカちゃんと、若干涙目気味になっている俺。
そして意味不明の理屈を以って俺をファミリー認定しようとしてくる自称お姉ちゃんたち。
よし─────何はともあれこれで二対二だ………!
くっくっく、形勢逆転だぜ─────幼女ども!
「あ、ましろ。きょうはどっちのお部屋でねる?」
「まって、このこ、ことばのぜんていがおかしい」