※この作品はR-18です。

輪廻の蛇 〜退魔兎姫ハヤテの世界で、TS転生者は日常を守りたい〜   作:黒庵

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冬の休暇と、道場見学と。(前編)

 ネネちゃんのコスプレもとい、猫耳ストーンマシンガン襲来事件から暫く経った。その後の楓さんとの修行は順調な様で、際どい牙咬式の退魔装束を着出したのは記憶に新しい。

 

 身内同然の同居している女の子が股間部の角度が極まっている衣装を着ることになったことに対して何も思わない訳ではないが……まぁ、バトルスタイル的に尻尾のこともあるし、職人さんに作ってもらったらしい退魔装束が届く前に見ていた修行風景で、かなり運動着が破れてたからね……

 

 一般人向けの小学生が着る素材(ぬの)程度では、あの溢れんばかりのパワーとスピードには耐えられない。出力を落とせばどうにかなるかもしれないが、ネネちゃんの降ろした獣の特性を聞いた限りの範疇だと、単純極まりない凄まじきパワーこそ長所。それを活かすことこそ、危険らしい退魔師としての活動に安定性を見出せる。

 

 なので、あの子があんな衣装を着るのは……まぁ、なんとか、本当になんとか納得はさせた、自分を。

 

 しょうがないので、楓さんにはネネちゃんの装束も楓さんたちのものと同じような洗い方をしていいのかだとかを訊いて、退魔装束の仕様書を見せてもらった上で、予備を含めてネネちゃんの部屋の箪笥に仕舞うようにしている。見た目の複雑さとは裏腹に材質の特性上、楓さんと雪果ちゃんの装束と同じように、意外と洗うのには苦労はしなかったという点では喜ぶべきなのだろうか。

 

 さて、そんなこんなで変わりゆく生活の中で、冬休みということで全員でお正月を過ごしたり、スケートリンクとか、気合いの入ったイルミネーションスポットに行ってみたりもしている。頑張るときは頑張る、遊べるときは遊ぶ、大事なことだ。

 

 それに加えて、小学校と同時期に高校も冬休みなので、雪果ちゃんともいっしょに出掛けられたりしてて、結構楽しい。

 普段、買い物にはよくいっしょに行ったりするのだが、雪果ちゃん自身、かなり自分に厳し目な生活をしているので、こうして完全に息抜き目的で出掛けられるのは稀なのだ。だから、こういった雪果ちゃんが気を抜けれるタイミングがあることを確認できるのは、正直言って安心する。

 

 あとは3人とも居ない間は、はやてちゃんといっしょに生活している。まぁ、元々長期休みがないときにも似たような過ごし方は度々していたので、その頻度と時間が増えたような感覚だ。これもいつも通りと言えばいつも通りなので、何事もなく過ごしている。

 

 しかし自分で言うのもあれだが、子ども二人きりで過ごす日がそれなりにあるのはどうなんだろうか。まあ、雪果ちゃんも学業が無い冬休みの期間中に修行に出来るだけ時間を割きたいだろうし、本来熟練の実力者であるらしい楓さんが二人を鍛えるためだけに使える時間が完全に連日確保できる期間というのはかなり貴重だ。無論、緊急的な出動を依頼された場合には休暇中であっても現場に行ったりすることもあるらしいが、それも最近は起きていないので修行に専念できるそうだ。

 

 自分としては家事は一通り何とかなるし、ならない部分は雪果ちゃんが牙咬宅にいる間に手伝ってもらっているから問題ないと言えば問題ないのだが。……強いて言えば、修行から帰ってきたネネちゃんに捕まって、いっしょに寝ることが増えてきているので、その反動で自宅の鍵の使用頻度がかなり少なくなっている事実を遠い目で見ていることぐらいなものか。

 

 そんな冬休みを過ごしていくことにも慣れてきた頃、もうすぐ長期休暇が終わるからか、それともネネちゃんがある程度の退魔師としての基礎部分が出来上がってきたからか、そのどちらも理由になるのか、ネネちゃんと楓さんが何やら男の退魔師の人と訓練試合をすることになったらしい。─────よし、見に行こうか。

 

 

☆

 

 

 ネネちゃんたちが向かった先は、何やら件の退魔師が経営している都内の古い道場だ。

 経営している、と言ってもどうやら退魔師の門下生しかいないようで、どうやって忍び込むかは行ってみてからその場でなんとかすることにする。

 

 補足すると、家に残るはやてちゃんの心配については、今日は雪果ちゃんが牙咬宅に日中居られるし、外出することは予め伝えてあるので問題ない。自由行動の時間である。

 

 加えて、その道場に向かう前に楓さんが本局で用事を済ませてから行くということになっていたので、俺が移動する時間を込みで計算しても、まだ訓練試合自体は始まっていないはずだ。

 

 但し、晩ごはんの支度までには戻らねばならない。明日以降のご飯に使う冷凍庫のストックの補充分も作らねばならないし、それを雪果ちゃん一人だけに押し付けるわけにはいかない。故に、それまでに間に合うように帰宅しなければならない。

 

 という訳で、前日にネネちゃんを通してさらっと聞き出していた場所の情報を頼りに電車とタクシーを駆使して大まかな場所に到着。あとは適当にお店に入って、近くの道場のことを店員さんに聞きつつ、受け取ったブルーベリーミルクを飲みながら頭の中で試算をして行動を決める。

 

「ここが例の退魔師のハウスか……」

 

 ブルーベリーミルクをストローで吸い上げつつ、かなり真面目な顔で道場を見上げる。俺の身長が5歳児とはいえ、普通に門前の時点でかなりな大きさだ。…………というか、建物自体がかなり大きい。

 

 正面の "道場 我道一門(がどういちもん)" とシンプルかつ達筆に書かれた、木製の板を見つめながら思案する。

 

 

 ……どうやって入ろう。





 ※補足:原作でも匂わせがありましたが、例の人は副業として道場を経営してたりします。その他にも大雑把に設定を原作者さんから受け取ってたりしていますが、それらを出すかどうかは書きながら決めてる感じです。
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