「…くっ…、…」
[異形]の内部に引き込まれてしまったアズライトは、なんとか意識を保っていた。触手は既に全身に絡みつき、身動きが取れなくはないものの、逃れようと身じろぎしてもすぐ新たな手が伸び、更に身体を這い進んでいく。触手の言いようもない質感と圧迫感が、アズライトの全身に伝わっていく。
「んっ…」
触手が首筋や胸、太腿の付け根を辿ると、引き結んでいた唇からわずかに声が漏れる。ピクピクと震える獲物の反応を感じ取っているのか、感度の高い部分を探るように、脇や下腹に巻きつき、尻の割れ目へと入っていく。胸は細い触手にまとわりつかれ、小さな二つの突起が反応に任せて戦闘スーツから次第にくっきり浮きあがっていく。
振り払おうにも両腕は頭の後ろで結ばれ、触手たちの動きを止めることができない。
「…っ…!!」
やがて触手の動きは、"ある一点"に集中し始めた。
この[異形]をはじめ、[異界の者]たちが『現実世界』を襲う目的は"獲物として人間を捕えること"だが、理由は[彼ら]が人間を糧にしているからである。糧となるのは、人間の主に体液――つまり血液や分泌液など、液体であればなんでもいいのだが、[彼ら]が最も好むのは精液だった。
無数の触手が股間に集まり、擦るような刺激を与えられ始める。太股の間から伸びた一本が陰茎を囲うように辿り、その形を捕えると、揉み込みながら押し上げていく。
「…や、めろ…!!」
危機を感じたアズライトがふり払うように大きく動くと、胴に巻きつく触手がその華奢な体躯をギリッと締めつけた。
「! くうっ…、あ…」
人外の凄まじい圧迫に、アズライトの表情が歪む。そして縛り上げられた身体が一気に解放されると、気を失いかける彼を再び触手が巻き取り、無防備な陰茎を包み込んだ。
「あ、うぅ…っ…」
股間に絶えず刺激を与えながら、触手は全身の性感帯を襲う。既に戦闘スーツの中で勃起している陰茎に巻きつき、根元から引っぱりあげ、その先端を擦る。
「あっん…あぁ、あっ…」
朦朧とする意識の中、[異形]の思惑に応えるようにアズライトの息は次第にあがり、頬が上気していく。
「あうっ…、あはっ! っあぁぁ…!!」
やむことのない刺激を受け続ける身体は少しずつ感度を増し、弓なりに反っていく。その中心の自身がスーツからくっきりと浮き上がり、熱く、硬くなっていく。
「あぁっ!! っ…!」
少しの先走りの後、アズライトはあえなく射精した。身体を硬直させ小刻みに痙攣する度に、スーツから精液がにじみ出る。
陰茎を刺激していた触手の一つがその先端をホースのように形を変え、アズライトの陰茎に喰らいつき、漏れ出す白濁の液をすすり取っていく。
「っ、はぁ、あっ! ……んうっ…」
触手は陰嚢と陰茎をすっぽりと飲み込み、波打つように圧迫しながら吸い続ける。果てた後も動きは止まらず、アズライトに更なる射精を強要していく。
[異形]の攻めを受け入れるしかないアズライトは、息を荒げ艶声を漏らしながらも懸命に意識を保ち続けていた。
すると、彼のすぐ目の前の触手の隙間が膨れ、ずるっと何かが生え出てくる。触手と同じ色をした半透明な
「不躾に私の寝床に潜りこむ鼠を捕えたつもりだったが…お前ではなかったな」
「…[侵略者]…!」
アズライトはわずかに声をあげ、虚ろな目で睨む。
現れた[侵略者]――[
「触るな…っ、 っ!!」
逃れようとそむける細い首を掴み、軽く締めあげる。
「んっ…く……」
「どう
[海華]はにやりと口角をあげると、力無く傾げるアズライトの顎を押さえ、その唇に吸いつき舌を挿入する。
「んぅ…っ」
アズライトは悶えるが、既に全身を犯され力が続かず、すぐに歯列を割られて舌を絡め取られてしまう。
[海華]は[異形]に吊られる痩躯に密着し、華奢でいてしなやかなその肉感を戦闘スーツ越しに確かめるように、触手の隙間をぬって手を滑らせていく。
「んんっ…、んぅっ! …んくっ…!」
温いその感触に、感度を増すアズライトの身体は跳ね、無意識にピクピクと反応し始める。それに呼応するように再び勃起し始めた陰茎は根元までしっかりと触手に咥えられ、収縮を繰り返す筒の中で射精が促されていく。
「っん……!! …っあ…」
二度目の絶頂を迎えたアズライトは[海華]から口を解放され、がくりと頭を垂れた。
ひとしきりアズライトの口腔を嬲った[海華]は満足気に唾液を飲み干すと、ぐったりと触手に絡むその全身を眺める。[異界の者]たちの過激な凌辱にアズライトの身体は小刻みに震え、舐め回された艶やかな唇から荒く呼吸を弾ませていた。
[海華]は精液を吸い終えた触手を引き抜き、濡れる股間に手を触れる。戦闘スーツは吸いつかれていた形に盛りあがっていて、陰茎を強く撫であげると残りの精液が吐き出され、指に付いたそれを長い舌で舐めとった。
「こうも簡単にセイバーの精液を頂けるとはね…運が良かったか、こいつが特別容易いのか…」
嫌らしく口角を上げながら、[海華]は髪に隠れた獲物の顔を覗き見る。と、何かに気付いて動きを止める。
「…!」
落ちたと思っていたアズライトの両眼は、はっきりと[侵略者]を睨んでいた。
そして、周囲の温度が急激に下がっていく。彼に巻きつく無数の触手の表皮に霜が降り、その形質がみるみる硬くなり、先端から見る間に広がっていく。
凍りついていく[異形]は、自身の異変に虚を突かれたように一時動きを止めた後、轟音とともに激しくのたうち回りだす。
「…ほぅ」
[海華]は、ふいに繰り出してきたアズライトの『
触手から解放されたアズライトは目を剥くと、大剣の装具『
「いいね、それ」
激しい怒気のこもったアズライトの攻撃と形相を、[海華]は涼しい顔つきで受け止めていた。
そしてぬるりと切っ先から抜け、背面から伸びでた触手に取り込まれると、内壁へと溶け込んでいく。
「待て!!」
追うアズライトは怒りに任せて『氷柱』を大きく振りかぶり、[海華]が消え入った壁に切り込む。切り口は瞬時に凍りついて組織が瓦解し、[異形]の防御形態が崩れていく。
「!? うぉ」
依然外側から硬い外壁を攻撃し続けていたロードナイトとオニキスの目にも異変が届く。[異形]のものであろう悲鳴が轟き、振動と共に硬く固まった触手が再びうごめきだす。驚いて見張る視界に、内側から大きく分断された壁の隙間から、冷気をまとい『氷柱』を携えたアズライトが飛び出てくる。着地してきびすを返し、再び[異形]の中へと向かいかけたが体力の限界を迎え、装具はかき消えて身体が崩れ落ちた。
「アズライト!!」
二人はすぐさま駆け寄るが、アズライトは視線を[異形]へと向けていた。
「っ…中に…[侵略者]が…!」
「――!!」
「ロード、護ってろ」
オニキスは『暗虚』に闇の力を溜め、躊躇なく切り口から内部へ突入していく。ロードナイトは動けなくなったアズライトを抱きあげてサルファーの地点まで後退し、彼の動向を見守る。しばらく沈黙が降りた後…完全に凍った[異形]の塊から、オニキスが軽快に抜け出てきた。
固唾を飲むロードナイトに、近付いてくるオニキスは首を横に振った。
「――いねぇ、逃げられた。…残ったこいつはただの抜け殻だ」
「…やられたな…」
ロードナイトは息を吐き出して緊張の糸を解き、アズライトへ目を落とす。
腕に支えられ身体を預けるアズライトは、頬を紅く染め、弱々しく呼吸していた。その傍らで、背中に手酷い打撃を受けたサルファーが、いまだ気を失ったままうつ伏せに横たわっていた。
双方それぞれを見、ロードナイトは深く息をつくと、頭を垂れた。
「…戻るか」
重い空気を断つように、オニキスが髪をかき上げながら声をかけた。