こえだ商店様(https://www.pixiv.net/users/37499466)の『四葉の戦姫クローバーローゼ』のR-18二次小説です。原作者様の設定やストーリー等とは異なることがあると思います。
 また、続きは不定期更新ですので、あらかじめご了承ください。pixivと同時投稿。

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 R-18作品であることを踏まえた上で、ご覧ください。
 


奪われたクローバーローゼ

 

 

 あたしは、空木千咲(うつらぎちさき)、どこにでもいるフツーの女の子だったんだけど。

 

 実は、正義のヒロインをやってます。

 といっても、普段はまじめな高校生だけどね。

 

「わ~、もうこんな時間~」

 

 家に向かって、急いで走っていた。

 

 『チア部が終わった後、友達と話し込んでいたら、帰るのが遅くなった。』というのはママや親友に言う建前で、ほんとは今日も放課後にヒロインとして活動してきたのだ。

 

 まあ、今回は戦闘員のドロンだけだったけど。

 

「それにしても、最近多いなぁ」

 

 小さな妖精のよつばちゃんに会った時から、『四葉の戦姫クローバーローゼ』として、異世界から来た侵略者の『グラント』と戦っている。この1ヶ月、ずっと1人で戦ってきて、きついと感じる時もあるけれど、みんなを守るためならどうってことはない。

 

 でも、正義のヒロインにも、休息は必要なわけで、早く帰って美味しいごはんを食べたいんだけど。

 

「えっ、またぁ!?」

 

 赤いカチューシャについた、新芽のアクセサリーが点滅し、『グラント』が現れたことを示した。今この街で戦えるのは、たぶんあたしだけで、戦闘員のドロンにだって、『四葉の戦姫クローバーローゼ』じゃないと敵わない。

 

「よし! さっさと怪人やっつけてやる!」

 

 スマホでママに遅くなることを伝え、『クローバーローゼ』の力が指し示す方向へ走る。教科書の詰まった鞄を家に置く暇すらないが、チア部で鍛えているから、こう見えて体力はあるほうだ。

 

―――このとき、あたしは、まだ1人で戦っていた。

 

「どう見ても、ここね!」

 

 人が寄り付かなそうな雰囲気で、寂れた工場には、禍々しい色の結界が張られている。いつものように、誰かが襲われているわけではなさそうだけど、ここに幹部クラスがいるってことが伝わってくる。

 

「もしかすると、ここがアジトなのかも」

 

 異世界から来た侵略者にだって、活動拠点は必要なのだろう。それに、最近の活動は、この付近で行われていた気がする。つまり、ここで幹部を打倒できたのなら、グラントの攻勢を一気に削ぐことができそうだ。

 

 「正面突破! いちもーだじん!」

 

 ……あれ?

 

 あたしが飛び込んだ、広い空間。

 

 そこにいたのは、金色のポニーテールの少女だけで、半袖のセーラーや、赤いプリーツスカートは、それは今あたしが着ている制服と同じデザインのものだった。その女の子は、こちらに綺麗な赤い瞳を向けて、にこりと微笑んだ。

 

「ふふっ、来てくれたんだ」

「えっと、あなたは……?」

 

 ローファーが、コンクリートの床を軽快に叩きながら、こちらへ近づいてきた。そして、あたしの長い髪を一房、手に持って自分の顔に当てようとする。いくら同姓とはいえ、思わず、あたしは片手でちょんと肩を押して距離を取った。

 

「な、なにっ……?」

「ボクね、君に会いたかったんだ、千咲」

 

 どういうことだろう。

 

 こんなに綺麗で、海外系の容姿の女の子、学校では見たことがない。この赤い瞳は一度見たら忘れられないはずだし、それに、あたしの名前を知っているなんて、なんだか不思議な感じがしてきて……

 

「はっ!もしかして! 魅了系の能力!!」

「そう。ボクはルベラっていうの。これでも一応幹部なんだ」

 

 あたしは鞄をどこかへ放り出すとともに、我に返った。

 

 よく見れば、禍々しいオーラがこの女の子から出ている。いや、すでにあたしはオーラに包まれていて、思わず、吞まれそうになっていた。変身ヒロインといっても、変身する前はただの女子高生なのだ。

 

 

 急いで、変身しないと!

 

 

「ブルームチェンジ!」

 

 

 赤いカチューシャについた、新芽のアクセサリーから光が溢れ出し、あたしの身体を包んでいく。制服は消え、胸元のクローバーのブローチから、身体のラインに沿って、ピンクのスーツとミニスカートを形作り、あたしは身に纏う。さらに、白いグローブとロングブーツがフィットし、腰には大きめのリボンが現れる。

 

 髪もピンク色に変わり、両手には黄色いポンポンを持ち、新芽のアクセサリーは花開く。

 

「蒼き地球に祝福のエールを

 四葉に選ばれし 希望の戦姫

 クローバーローゼ只今参上!!」

 

 これが、あたしの変身した姿だ。

 身体の奥底から力と希望が湧いてくる。

 

「おお~、ポーズ決まったね」

「ちょ、調子くるうなぁ……」

 

 これから戦うはずなのに、ルベラから控えめに拍手をされつつ、感心されている。魅了されるような感じはなくなったし、彼女自身はあまり強くなさそうだ。もしかすると、制服を着ている彼女も、変身する前なのかもしれない。

 

 悪いけど。

 

 

「先手必勝! ブレイジング」

 

 両手のポンポンに、炎のエネルギーを溜め、それを投げ込む必殺技!

 

「ノヴァ!」

 

 

 着弾と同時に爆発し、これを受ければ、幹部であっても、ひとたまりはないはずだ。

 だけど、予想外のことが起きた。

 

「なん、で……」

「ん、ごちそうさまでした」

 

 彼女の影が急に大きくなって、爆発する前にポンポンを吞み込んでしまった。そして、その影は細く、複数の槍のようなものを形作った。いくらスーツがあるとはいえ、肌が露出している部分に当たれば、無事では済まないだろう。

 

 でも、クローバーローゼに変身したときの身体能力なら大丈夫。

 

「まずっ……ッ!!」

 

 後ろにジャンプして避けようと思ったのに、足が地面から離れない。暗くて見逃してしまったけれど、あたし自身の影から、手のようなものががっしりと掴んでいる。

 

 こうなったら、いっぱいエナジーを使っちゃうけど、もう一度ポンポンを構成して……

 

「きゃっ!!」

 

 あたしの手首に、影が結びついた。

 しかも、どんどん手に力が入らなくてなっていく。

 

「なんていうか、千咲って、単純だよね」

「このぉ……」

 

 たぶん、エナジーを吸収されているのだろう。

 必殺技を一度撃った以上の脱力感だ。

 

 影はさらに動き、あたしは手首で宙吊りになってしまう。さらに、足首も固定されていて、身を捩ることでしか抵抗することができない。そして、何もできないあたしの前まで、ルベラが近づいてくる。

無防備なところに、攻撃がきちゃう。

 

 怖くて、ギュっと目を閉じる。

 

「それにしても、千咲らしい、かわいい衣装だよね」

「な、なにをっ!!」

 

 スーツの脇腹を撫でてくると、思わず、身体がビクッとなった。さらに、スカートの裾をたくし上げるなんて、同性とはいえ、恥ずかしいことをされたけれど、ルベラは不思議そうな表情をした。

 

「今日は、縞パンだったはずだけど。ふーん、ショーツもクローバーローゼの衣装なんだ」

「そ、そんなこと、あんたに関係、ぁん!!」

 

 あたしの白いショーツの上を、2本の指で撫でているらしい。まるで材質を確かめるような動きだけど、あたしはそんな場合じゃない。この感覚、他の人によって味合わされるのは、初めてだ。

 

 それよりも、反撃のチャンスを探らないと。

 

「まっ、女子高生だもんね」

「もう、やめ、なさい……ぁぅ」

 

 どうにか、絞り出した声で、たぶん、年下の少女を りつけるように言う。ルベラは、いたずらっ子のような顔を浮かべて、今度はあたしの胸をそれぞれの手で触り始めた。さっきよりも大胆に、手のひらであたしの胸を上下左右に動かしてくる。

 

「ボクよりも、小さいんだね。それに、もしかして、この下はノーブラ?」

 

 ちょっとだけ気にしてることを言われながら、スーツの隙間に白い手のひらを入れてくる。だけど、これだけ至近距離ならば、無理やりのエナジーの放出で倒せるかもしれない。ブローチにエナジーを貯めて、一気に放出を狙う。

 

「この、いい加減に、……っ!!」

「おっと、あぶないあぶない」

 

 あたしの、その、ち、乳首を、指でつままれた。

 肩がビクッと動き、集中力が途切れる。

 

 その隙に、あたしのブローチは影に包まれてしまい、さらにエナジーを吸収され始めてしまう。ルベラが手に取ったあたしの髪が、視界に入ると、思わず、震えてしまう。

 

「意外だった?」

「そんな、もう……」

 

 変身した時は髪がピンク色なのに、先端から少しずつ元々の色に戻ってしまっている。いくらエナジーを吸収する能力を持っているといっても、早すぎる。

 

「ボクはね、地球の支配とかには興味がないの。目的は、千咲だけ」

「なんで、あたしを……」

 

 頬に手を添えられ、その綺麗な瞳が、じっと見つめてくる。

 

「健気なヒロインだからかな。こっちがどんな規模かも分かっていないのに、たった1人で、立ち向かってくる。しかも、こんなに、無茶しちゃう女の子だもん」

「や、やめ……」

 

 ルベラの顔が近づいてきて、唇に柔らかい感触が当たる。すると、エナジーがちょっと戻ってきたことには、心地良さすら感じてしまう。といっても、反撃しようにも、エナジーは今も奪われている状態だ。

 

「連戦続きで、元々エナジーは減っていたの。それに、今は何匹もドロンを倒して順調なようだけど、そのうち悪逆非道な幹部と戦うことになって、千咲はたくさん痛い目に遭ってしまう」

「だけど、あたしがやらなきゃ、みんなが」

 

 ママも親友も、この街の人も、傷つけさせない。

 それに、戦う前から諦めるなんて、あたしじゃない。

 

「ボクに身を委ねれば、千咲だけは助かる。戦わなくて済むんだ」

「それ、あたし以外は、保証しないってやつよね」

 

 肩を諫める姿を見て、あたしには闘志が宿る。

 どうにか、ルベラに向かって、両腕を突き出した。

 

 

「あたしのフルパワー!!」

 

 もう一度、ポンポンを生成するが、この威力はさっきの比ではない。後先考えず放つという、まさに全力全開の必殺技だ。どうやら、周囲にはドロンも、他の幹部もいないみたいだから、目の前のルベラさえ倒せばいい。

 

「おっと、まだそんなエナジーがあったんだ」

「ブレイジング……」

 

 防ごうとたって、そうはいかない。

 さっき以上に、両手のポンポンは燃え盛る。

 

「スーパーノヴァ!!」

 

 影もろとも、ルベラを巻き込み、光輝く爆発を引き起こした。

 

 

「はぁはぁ……」

 

 煙が晴れた。

 制服はボロボロで、ルベラは倒れている。

 

「やった……」

 

 あたしは安心して、地面にへたり込んだ。

 

 

 視界に入った髪は、完全に元の色であり、もうほとんどがピンク色ではなくなっているはずだ。スーツはところどころ白色になっており、これではドロンの攻撃でさえ満足に防いでくれないだろう。つまり、ほとんどエナジーを使い果たした状態で、気を抜けば、変身が解けてしまう。

 

 でも。

 

「そんな……」

 

 ルベラがゆっくりと、立ち上がっているのを見て、変身は解いてはいけないのだと、脳が警鐘を鳴らす。

 

「……あ」

「幹部1人相手に、毎度そんなになってたんじゃ、無理だよ?」

 

 制服以外、傷1つついていなくて、あたしの全力はほとんど効果がなかったことを示している。どうにか、打開策を考えるも、あまりにもエナジーが足りないし、立ち上がることすら満足にできない。

 

 ルベラはボロボロの制服のスカートを、パンパンとはたいている。

 

「もう諦めて、ボクのものになってくれない?」

「ま、まだ、おわってない……」

 

 両手を地面について、どうにか立ち上がろうとすると、急にあたしの身体が引き上げられる。それは影で無理やりというわけではなく、ルベラ自身の腕によって支えられている状況だ。

 

「じゃあ、少しずつ、希望を奪っていこうかな」

「な、なにを……」

 

 あたしのグローブに手がかかると、それはいとも簡単に外されてしまう。これは、エナジーが残り少ない影響なのだろう。

 

「最近この周囲でドロンが多かったのは、ボクのせいなんだけど」

 

―――葵ちゃんのことは知ってるよ?

 

 あたしの一番の親友の名前を聞かされ、あたしはルベラに対して、抵抗する気は起きなくなった。

 

 あたしはルベラの策に、すでに嵌まっていたんだ。

 気丈に振舞っていたけど、疲れは着実に溜まっていた。

 

 

 

 

****

 

 チア部でいっぱい頑張った日だったり、苦手な勉強をした後だったり、そういうときはフカフカのベッドで眠りたいものだ。甘い香りが漂い、この脱力感は、あたしを夢見心地な気分にさせてくる。

 

 ダメだ、気を保たないと……

 

「んっ……」

 

 細くて白い指が、あたしの胸の……ち、乳首をつついた。

 

「や、やめ……」

 

 全身でちょっとだけ身じろぐが、決して逃げることはできない。あたしは目をつぶって、この蠱惑的な刺激に耐えるだけだ。相手を喜ばせるだけだと分かっているのに、どうしても声が漏れてしまう。

 

「もうやめよう、こんなこと……」

 

 どうにか抵抗しようにも、後ろ手に回された手枷と、立つことを拒む足枷がカチャカチャと小さな音を立てるだけだ。火照った身体は、金属の冷たさをより一層感じさせる。今のあたしは、変身前と同等の力しか発揮できないため、この現状を打破することはできないでいた。

 

「気持ちいいでしょ?」

「そんなこと……んっ!」

 

 太ももを、その綺麗な手のひらで撫でられた。

 ちょっとくすぐったいけれど、わるい気はしない……

 

 怪人の攻撃をも防いでくれるスーツも、手を保護するグローブも、強力なキックを繰り出せるブーツも、ほとんど何も身につけていない。純白のショーツは残されているが、時折りそれすらも奪おうとする仕草で、あたしの不安を煽ってくる。

 

「ボクとしては、クローバーローゼの力を持ったままでもいいんだよ?」

 

 目からこぼれ始めた雫を、ぺろりと舐めてくる。

 首筋の汗を、グローブで拭ってくる。

 

 そんなルベラに、少しサイズが合わないが、クローバーローゼとしてのコスチュームを奪われてしまった。しかも、着た本人があたしのエナジーを奪っているから、白色ではなく、綺麗なピンク色をしている。本来なら、相反する力であるはずなのに、完全に掌握されてしまっていた。

 

 対して、あたしに残されたのは、変身アイテムであるカチューシャと、力の源であるクローバーのブローチだけ。かろうじて、変身ヒロインであることを許されているだけで、攻撃を防ぐどころか、外も出歩くことができない格好だ。

 

「このままじゃ、クローバーローゼじゃなくなっちゃうよ?」

 

 何度も首を振る。

 一度取り外されて、紐でかけられたブローチが揺れた。

 

 クローバーローゼじゃなくなってしまうことも、クローバーローゼのまま投降することも、どっちもイヤだ。

 

「洗脳、するんでしょ……」

「それは最終手段かな。それはもう、千咲であって、千咲じゃなくなるから」

 

 正義のヒロインとしてのプライドだとか、四葉の戦姫の力を悪用されるとかじゃなくて、もし変身を解いてしまえば、すぐにでもあたしは魅了されてしまうだろう。そうなったら、知らない間にルベラの世界に連れていかれ、もうママにも葵ちゃんにも会えなくなるから。

 

「生体エキスって言うんだけど、身体に何かを突き刺して、無理やり生命力を奪う奴らより。ボクってこれでも温情なんだよ?」

「しら、ない……」

 

 ルベラが危惧しているような、痛い目にはまだ遭ったことはない。そうじゃなくて、今はもう心が折れそうなくらい痛い。葵ちゃんが人質になっていることに、あたしは何もできない。

 

 今は、耐えて、ルベラが諦めてくれるのを待つしかない。ぐっと唇に力を入れて、こらえるあたしの姿に、ルベラは蠱惑的な笑みを浮かべた。そして、あたしの髪を、指で弄びはじめた。

 

「これは、長期戦になりそう。万が一、戦わないように、これは預かっておくから」

「っ!! か、かえしてッ!!」

 

 とうとう、カチューシャと、首のブローチを奪われ、クローバーローゼとしての変身が解けてしまった。今はもう、火照った身体に制服を着た、普通の女子高生であり、手枷や足枷を自力で外せるわけがない。

 

 金色の髪に、赤いカチューシャが身に着けられた。

 ああ、これが悔しいって感情なんだ。

 

「ますます欲しくなったよ、千咲」

「あたし、あきらめ、ない、から……」

 

 おぼろげな視界に映る、この女の子は。

 あれって、一体だれだったっけ。

 

 

 

 目覚めると、自分の部屋で朝を迎えていた。

 

「さっきのは……夢?」

 

 大切なカチューシャが、どこにも見当たらないことは確かだった。

四葉の戦姫クローバーローゼについて

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