※この作品はR-18です。

メイド長は見てしまった アズールレーン、母校のある日   作:ざぎねぅ

6 / 10
 んん…このデータは…
 あの子、色々と妄想が膨らんでいるようだけど、あんな調子で大丈夫なのかしら…
 まあ、あまり気を張らずに見られるんじゃない?



file5 みんなでヒーローになろー!

 朝から退屈な業務に励む今日、指揮官はほぼ無我の境地に達していた。そんな中でも、リノの溌剌とした声音が耳を突き破り、直接脳内に響くように音として伝わる。

 

―ねぇねぇ指揮官!

 

―ん~?

 

―じゃあさ、ヒーローになろうよ!

 

―うん……ん?

 

 彼は今から、彼女の思い付きに振り回されることになる。

 

—ヒーロー…?

 

 リノの一言に首を傾けた指揮官はそう聞き返した。そんな彼にリノは目を輝かせて説明し出す。

 

—あのね、指揮官がヒーローになるんだよっ

 

—うん

 

—…どうやって?

 

—それはねっ…

 

 説明すべきことが色々とすっ飛ばされているのでまたもや聞き返す彼だったが、それでも熱く語るリノの熱に飲まれ、彼の頭の中にも彼女の想像する光景が浮かんでくるのだった。

 

————

—————————

———————————————

—————————————————————

 

 ある晴れた日、執務室でいつものように仕事をこなす彼の姿があった。

 

―…

 

 やはりいつもと何も変わり映えしない事務仕事。ただ無心に、モニターを睨みながらキーボードを打つのみである。

 

―…

 

 誠に不謹慎ながら、こんな時にセイレーンでも現れれば気分を入れ替えられるというのになどと考えてしまう。気分を入れ替えるだけならそこらに散歩でも行けばいい話だが。

 

―…ふぅ

 

 そんなところで、仕事の処理に一段階の区切りがつくと短く息を吐く。

 

—…

 

 そういえば今日は誰も執務室に来ない。呼んでいないにも関わらずいつも来るはずの赤城や大鳳なども音沙汰ない。彼女達もしっかり仕事をしているのなら問題ないが、居ないなら居ないで少し寂しくもなってしまった。

 

—どしたの?指揮官

 

 秘書艦のリノが彼の隣から顔を見せる。

 

—いや、今日は誰も来ないんだなと思ってね

 

—ああ、そのことかぁ

 

—そのこと?

 

 怪しげな微笑みの表情に意味ありげな言葉を乗せたリノ。

 

—なんでもないよ〜

 

—なんだよ、教えてくれよ

 

—おしえな〜い

 

 可愛くそっぽを向いた彼女に指揮官は続ける。

 

—ほう、教えない、ということはやはり何かあるということだな?

 

—むぅ…

 

 分かりやすい反応に指揮官はにやついてしまった。

 

—もう、指揮官はいっつもリノをいじめるんだから…

 

—そんな可愛い顔をされるといじめたくなるんだよ

 

 顔を真っ赤に染めたリノはますます彼から顔を逸らした。

 

—顔見せてくれよ

 

—やだっ

 

—ふふっ

 

—む〜

 

 そんな、何にもならないやり取りを終え、そろそろ仕事の続きをするかとモニターに目をやるとその直後、

 

—…!

 

 そこにはセイレーン発生を知らせる表示がされた。同時にけたたましく母港にサイレンが鳴り響く。

 

—リノ、行くぞ!

 

 出撃を急ぎリノにそう言いながら立ち上がろうと足に力を入れたが、彼女は鋭い目で彼を見た。

 

—指揮官!まだ座ってて!!

 

—え?

 

 見たことのない彼女の真剣な顔にその通りにした彼は、疑問を抱えながらも彼女の次の言葉を待った。しかし、その言葉は指揮官の驚愕の声が代わりとなった。

 

—…ん?

 

 足元で音がしたと思い見てみれば床は無くなっており、虚空を浮かぶ椅子に座った彼がいるのみだった。その椅子は当然か否か、真下の暗闇に落ちていった。

 

—おわぁああ!

 

 指揮官は何事かとセイレーンが現れた事も忘れて、遠ざかるリノを見上げた。

 

—んふふっ

 

 暗闇に落ちる前に最後に見たのは、リノの得意気ににやついた顔だった。

 

—————————————————————

 

 彼は突然の出来事に呆然としていた。

 

—…

 

 突然、自由落下のような感覚に襲われたと思ったら、目の前に飛び込んできたのは近未来的な空間だったのだ。

 

—…

 

 驚きのあまりに目も動かせずに黙っていると、気絶したと思われたのか、焦りの声が聞こえた。

 

—指揮官様、指揮官様!

 

—指揮官さま!

 

 その声の主は赤城、と大鳳。なるほど、執務室に来ないと思っていたらこんなところにいたのか。

 彼は目を彼女達に向ける。

 

—あぁ、よかった。私、指揮官様が気絶したのだと

 

 赤城はそう言いながら、椅子に座ったままの指揮官の両膝に手を置く。同時に大鳳もやってくる。

 

—でも、指揮官さまが気を失ってもこの大鳳がお世話いたしますぅ

 

 そう言って腕に絡みついた。

 と言うところで彼は"彼女"がいないことに気付いた。

 

—リノは…!?

 

 そう言う彼に迫るもう1人がいた。

 

—指揮官、そんな子より"オサナナジミ"である私と過ごそう?

 

 目の前に見えるのは赤城、右腕に絡まれるのは大鳳、そして左腕にいるのは隼鷹である。そして、

 

—あらぁ、指揮官、このお姉さんに会いにきたのね。お姉さん嬉しいわぁ

 

 そう言って赤城を押し退けて愛宕がやってきた。更に後ろから、

 

—指揮官…だぁれだ…

 

 目を塞がれた。ガントレットの冷たさは彼の心まで冷やし、命の危機すら感じた。もちろん声の主は、

 

—ろ、ろーん…

 

—ふふっ、正解です…

 

 ローンは彼への目隠しを解いた。

 間違えていたらどうなっていただろうか。考えただけで恐ろしいが、指揮官は遂に思った。

 

 やべぇ

 

 と。語彙力皆無になるほどに冷静さを欠いた彼は、数瞬後に思い出す。

 

—あ、そ、それより、リノは?

 

—これはリノの仕業なんじゃないのか?

 

 縋るように彼女の名を言うと、やっとのことでそれが通じたかリノはやってきた。

 

—あ、よかった〜。みんなと会えたんだね指揮官!

 

 彼女は朗らかな表情で指揮官に顔を出す。そして言い放つ。

 

—みんな、出撃だよ!

 

 そういえばセイレーンが現れたのだと思い出した。

 

—————————————————————

 

 リノの言葉で出撃した皆は、指揮艦に乗り海上を進んでいた。

 

—それで、今から指揮官はみんなとヒーローになってもらいます!

 

—ひーろー…?

 

—そう!ヒーロー!!

 

 目を輝かせたリノは続ける。

 

—その名も…!

 

—その名も…?

 

—アズレンジャー!!

 

—あず…れんじゃー?

 

 真逆の声音によるおうむ返しは僅か2回に終わる。指揮官は結局、困惑しっぱなしであった。

 その時、

 

—来たかあ!人類ぃいい!

 

 それは指揮艦の外から発せられ、ブリッジ内のスピーカーから流れてきた声だった。窓の外を見ればそこには、なんとオブザーバーがいた。なんかいつもと印象が違う。

 

—あんな奴だったっけ…

 

 そう呟く指揮官に赤城が言う。

 

—指揮官様の敵がどうであろうと関係ありませんわっ…さ、指揮官様、共に行きましょう!

 

 そう言って彼の手を引いてブリッジを出ようとする。当然、指揮艦でKAN-SEN達の指揮をしなければならない彼は赤城のしていることに疑問しかなかった。

 

—ちょっと、どこ行くんだよ!?

 

 そんな彼に他のKAN-SEN達が身を寄せながら背中を押す。

 

—指揮官、あのセイレーンを壊しに行くんですよ〜

 

 ニコニコしてそう言ったローンに身を震わせ、彼は皆と外に出るしかなかった。

 

—いってらっしゃ〜い!

 

 リノもノリノリだった。

 

 

 

 リノもノリノリ……ダジャレかな。

 

 

 

 母港のやべぇ奴らに囲まれながらも不意に思ったことを分析できる程、指揮官は一応の思考能力を回復させていたがしかし、その回復も無駄になることになる。

 

—————————————————————

 

 ブリッジを出て甲板に足を付けた指揮官達は、遠くにオブザーバーを見据えていた。

 何をすれば良いのかと呆然と立つ指揮官に隼鷹が囁いた。

 

—ねえ指揮官、これが終わったら、2人っきりで過ごそう

 

 その言葉を聞き取った愛宕が続く。

 

—あら、お姉さんを置いてそんなことはしないわよねぇ、指揮官?

 

 それを皮切りに他も叫び始めた。

 

—指揮官さまぁ、そんなことより大鳳とイイことしましょう…ふふふ!

 

—指揮官様、こんな虫共を相手にする事はありませんわ…

 

 そう言い合う彼女達だったが、思わぬ所から助けの船が出された。

 

—それより、今はセイレーンをどうにかする事を優先したほうが良いんじゃないでしょうか。ね、指揮官?

 

 ローンの言葉に指揮官が答えるよりも早く、赤城が言った。

 

—それもそうね…指揮官様のために、早く終わらせるわ!

 

 そしてもう一言。

 

—指揮官様、行きましょう!

 

 彼女の言葉で、他の皆が構えた。

 勝手に何かが始まっているようだが、とにかく何が起きるのか分からないので聞いてみる。

 

—え!?俺ここでどうするの!?

 

 すると、何故か体が勝手に動き出した。キレ良くポーズを決める。

 

―”エンゲージ!…はっ!”

 

 すると、みるみるうちにKAN-SEN達に艤装が施されていく。更に指揮官は、白い軍服のような意匠のアーマーでその身が包まれた。

 

―ん!?なんだこれ!?

 

 驚く彼にリノが言う。

 

―リノが作ったヒーローガジェットだよ!

 

 ガジェットというには大掛かりすぎな感じもあったがとりあえずここは、そんなものだと思っておく。

 そんなことをしていると、指揮官の真隣に赤城が顔を出した!なんだかカッコいいBGMでも鳴りだしそうな勢いで彼女は構える。

 まずは妖しく口端を上げ、両手を頬につけた!

 

―あぁ…指揮官様の愛は赤城の胸で滾っていますわ…

 

―え…?

 

 突然話し出す彼女に指揮官は呆けた反応で驚く。そして気付く。そうだ、名乗りだ!今から名乗りの口上を叫ぶのだと!

 赤城は両手で狐のジェスチャーをとり、体をひねると叫ぶ!

 

―指揮官様は全部ぜ~んぶ私のモノっ…アズレッド!!

 

 直後、背後で爆発が起き水しぶきが吹きあがった!

 

 ”ドーンッ”

 

―うおっ…!

 

 爆発までやるのかと、指揮官は体を一瞬跳ねさせた。しかし爆発地点の後方では…

 

―いいよいいよぉ、ヒーローだよ赤城ぃ!

 

―いやあんな名乗り口上おかしいだろ…!

 

 始まる前から大興奮だったリノは更にその熱を増し、一方指揮官は困惑の渦潮に飲まれるのだった。

 さて次は、これまた重桜のやべぇ奴、隼鷹だ!

 自分を抱きしめるように腕をその豊満な胸の前で交差させる!

 

―私はあなたの”オサナナジミ”…

 

―指揮官、なんで記憶喪失になってるのっ…アズバイオレット!

 

 ”ドーン!”

 

―隼鷹もかっこいいよぉおおお!

 

―ああ、そうだな…

 

 やはり、きゃいきゃいとはしゃぐリノ。そしてそれを横目に、もうどうにでもなれと思ってしまう指揮官。

 お次は大鳳!恥ずかしそうに頬を染めながら言う!

 

―この火照り、そしてこのときめき…

 

―私の全ては指揮官様にっ…アズオレンジ!

 

 ”ドーン!”

 

―もっと燃えちゃってぇえええ!

 

 お前は燃えすぎてるからちょっと消火してくれと、指揮官は心の中で突っ込みを入れる。

 次は愛宕だ。彼女はかなりの早口で、そして体を震わせて言う!

 

―お姉さんのものになりなさい。もうお姉さんの言葉だけを聞いて、何も考えなくてもいいの…

 

 水着を着て指揮官を誘惑した時を思わせる”あのポーズ”で決める!

 

―お姉さんもう我慢できないのっ…アズホワイト!!

 

 ”ドーン!”

 

 5人目はローン。驚異の重桜率にピリオドを打つかのように、その存在感は際立っていた!

 

―私を見て逃げられると思ってるんですか…?

 

 そう言って両腕を前に伸ばすと”ズガンッ!”と艤装が唸りを上げながら動いた!

 そして、見る者を恐怖させるほどに可愛くウインクして決める!

 

―指揮官に手を出すなんて許せないよねっ…アズブラック!!

 

 ”ドーン!”

 

 ”アズブラック”のところだけ音割れしていた気がする。”ドーン”のところも水しぶきだけではなかった気がする。

 

 そして来たる最後のメンバーはもちろん彼!体と口はやはり勝手に動き出していた!

 両拳を力強く握りしめて構える!

 

―連日両手に地獄の花束!

 

―毎日修羅場っ…ビッグコマンダー!

 

 ”ドーン!”

 

 とうとう名乗りは最終盤。皆で同時に叫ぶ!

 大きな舵を回すように腕を振り、そして右手で遠くを指さした!

 

―”碧き航路を突き進む!”

 

 するとどこからか警笛の爆音が響いた!

 

 ”ブォオオオオオン”

 

 そしてお決まり、チームの名をセイレーン達に轟かせる!

 

―”艦船戦隊!アズレンジャー!!”

 

 ”ザッパァアアアアアアン!!!”

 

 今までとは比較にならない水しぶきが上がると、最後の最後に指揮官が敬礼を決める!

 

―エンゲージ完了!!

 

 そして興奮冷めやらぬリノが歓声を上げた。

 

―うはああああ!かっこいいよぉおおおお!!

 

 するとそれを皮切りに、待ってましたと言わんばかりにセイレーンの親玉、オブザーバーが迫った。

 

―この星は私が支配するのだぁあああ!ゆけ!量産型ぁ!!

 

 彼女の言ったとおりにどこからともなく量産型セイレーンが現れた!

 

―セイレーン…!今日こそお前たちの野望を止める!!

 

 なんかノリノリになってきた指揮官はそう言うと早速、赤城達に指示を出した。

 

―赤城、大鳳、隼鷹はいち早く手前の敵から爆撃を仕掛けろ!相手の手が薄くなったところを俺と愛宕とローンで一気に片付ける!!

 

―赤城は指揮官様のために全力を尽くしますわぁ!

 

―この大鳳を見ていてください指揮官さま!

 

―早く終わらせて指揮官と”デート”するんだからぁ!

 

―指揮官の敵には、オシオキしないとねぇ…

 

―指揮官の邪魔をするものはまとめてスクラップにしてしまいましょう…ふふふ…

 

 彼女たちが作戦を理解したのか分からないが、とりあえずそのような動きをしているので信じる指揮官だった。

 しばらく時が経ち、斗う(たたかう)アズレンジャーは遂にオブザーバーを追い詰めた。

 

—ぐわぁあああ!

 

 オブザーバーが飛行機雲のように煙を引き連れながら、海面に落ちるのを見送る。そしてアズレンジャーは彼女に止めを差すため、最後の大技を準備しだした。

 

―みんな!決めるぞ!!

 

―”了解!”

 

 オブザーバーは苦汁に満ちた表情を見せて彼らを睨む。

 

―くっ…ここまでなのかぁぁあ…!

 

 彼女に降伏を求める事もなく、アズレンジャーは横並びになると指揮官が叫んだ。

 

—フォーメーションアズールレーン!!

 

 すると彼は空高く跳んだ。そしてその真下に、彼を受け止めるようにKAN-SEN達が並んだ。彼女達は指揮官を求めるように両手を上げ、もちろん顔は彼に向ける。その表情は飢えた獣のように、そしてなんかハアハア言ってる。

 

—指揮官様〜はやくぅ

 

 赤城のそんな声に、指揮官は内心少しの恐怖も覚えながら次の行動に移った。そんな中リノが叫ぶ。

 

—キメワザだあああ!

 

 指揮官は両腕を広げて両足を閉じ、十字になると姿が変わった!ちょうど下にいる5人が持てるようにグリップがついた、白くてカッコイイ形のおっきい砲となったのだ!

 間もなくしてKAN-SEN達にその砲が落ち、ついにそのグリップ部分が彼女達に握られた!

 

—あはっ、指揮官様のが赤城の手にぃ!

 

 赤城は遠慮なくグリップをにぎにぎしている。

 

—ちょっ、赤城、くすぐった…ああ!

 

 変な反応を見せる指揮官に、他のKAN-SENも騒ぎ出す。

 

—んふふっ、指揮官さま…ここ(・・)が良いんですかぁ?

 

 と、大鳳。

 

—指揮官の好きなところは私が全部知ってるわ…だって、"オサナナジミ"なんだものっ

 

 と、隼鷹。

 

—指揮官…我慢しなくて良いのよ…お姉さんも我慢できないからぁ!

 

 と、愛宕。

 

—そんな声を出されては、イジメたくなっちゃいますよぉ

 

 と、ローン。そして、

 

—あわわ…指揮官がぁ

 

 と、頬を染めながらリノ。

 なんでこうなっちゃうんだろうと指揮官は色々とイジられながら思ったが、必殺技を待ってくれてるオブザーバーのためにも次を急ぐ。

 

—だああ!お前たち!変なことしてないで、早くいくぞ!

 

 なんて事を言ってしまったので、彼を掴むKAN-SEN達は…

 

—え、もうイクんですかぁ?指揮官様ぁ?

 

 と、赤城。

 

—大鳳の手でイッてくれるのですね!?んふふふふ!!

 

 と、大鳳。

 

—い、一緒にイこ?指揮官!

 

 と、隼鷹。

 

—イッちゃってぇ指揮官!私もイクからぁあああ!

 

 と、愛宕。

 

—指揮官…イッてください…イけ…イ"け"っ!

 

 と、音割れローン。そして、

 

—イッけぇええええ!

 

 と、リノ。

 

 指揮官は、もうやだこの子たちと思いつつも技を叫ぶ!

 

—終焉への航路(ファイナルレェエエエン)!!

 

 すると、指揮官砲からメンタルキューブのように輝く青いビームが打ち出された!凄まじい轟音と共にブレる事なく一直線にオブザーバーに向くそれは確実に彼女を襲うがしかし!

 

—くそっ…

 

 その呟きと共に彼女は右手を横に突き出すと、異次元の暗闇を発生させ、その中からピュリファイアーを引きずり出した!

 

—え…!?

 

 ピュリファイアーの当然の反応も虚しく、終焉への航路(ファイナルレーン)の盾にされてしまった。

 

—なんでぇえええええ!?

 

 ビームを防ぐ間に闇に包まれて消えていくオブザーバー。そして不幸にも盾にされたピュリファイアーは…

 

—わああああああああ!!

 

 遥か後方に吹き飛んだ。なんとか立ち上がったと思えばビリビリのエフェクトを身にまといながら今度は何か言う。

 

—ぐぅうう!…セイレーン!……バンザ…

 

 "ドォオオオオオオオオン!"

 

 多分、最後に万歳と言いたかったのであろう。しかし叶わず、見事な大爆発と共に散っていった。そして、そんな爆発と同時に振り返り、その熱で背中を温めたアズレンジャーだった。

 

—はぁ、終わった…

 

 呟いた指揮官は赤城達に言う。

 

—さあ、そろそろ離してくれないか。もとの姿に戻れないからな

 

—離しません

 

—ん?

 

 赤城の笑顔にそう返す指揮官は突如、砲の姿から人型に戻っていった。

 

—あ、ちょっと下ろして…下ろして!

 

 そんな事を言う彼に大鳳は頬を緩ませた。

 

—むふっ

 

 人型に戻ったことにより多少柔らかくなった装甲以外の部分を撫で回し始める。

 彼を持ち上げたままで。

 

—指揮官さまっ…先程の続きを…

 

—や、やめてっ…

 

 手だけ激しく動かすというなんとも気持ちの悪い大鳳の動作が彼を襲う。

 

—あらあら指揮官、そんなに可愛い声を出されてしまうと…お姉さん、もうっ…

 

 言葉だけで組み伏せられるような気分になる愛宕の吐息も届いた。そして、指揮官のオサナナジミも当然ながら彼に甘く息を吐く。

 

—指揮官…私はいつでも…

 

 一方ローンは妖しく唇で三日月を描く。

 

—邪魔者は壊しましたし…これからは指揮官と…ふふっ

 

 5つのやべぇ奴らに体を蹂躙されようとする指揮官は暴れ出した。

 

—や、やだあ!もう帰る!母港帰るぅううう!!

 

 すると赤城が彼の耳元で囁く。

 

—確かに、こんなところではいけませんね…赤城は貴方とならどこでも良いのですが、指揮官様が母港でと言うのなら…まずは帰投しましょうか…

 

—ひぇ…

 

 帰っても解放されることはないと悟った指揮官はついに、凍りついてしまった。

 そんな彼にローンが言う。

 

—ふふっ、こんなに固くなっては大変です。私がほぐしてあげますよぉ…

 

 そうして彼の全身を弄っていった。しかし、

 

—だめ!私の"オサナナジミ"に触らないで!

 

 そう言って皆を突き飛ばさんとする勢いで指揮官を奪い取ろうとする隼鷹がいた。しかしそれも妨害されてしまう。

 

—指揮官はこのお姉さんのところに来るの!…ね、指揮官?

 

 そう言う愛宕に続く大鳳。

 

—いいえ、指揮官さまは大鳳のところに来るのです!

 

 そうして始まったのはやはり彼の取り合い(物理)であった。四方から引っ張られながら彼は叫ぶ。

 

—あああああ!八つ裂き!八つ裂きにされりゅぅううううう!!

 

 体が文字通りの悲鳴を上げ始める頃に、彼に助けが訪れた。

 

 "ドォオオオン!"

 

—うわっ…!

 

 周りで爆発が起こるのを感じた瞬間、彼は半身に柔らかな感触を覚えた。

 その主は赤城。彼女はKAN-SEN達に爆撃を仕掛け、

 

—あっはあ!これで指揮官様はこの赤城のものですわぁ!…指揮官様、後でゆっくりと楽しみましょう…?

 

 そう言って赤城は魂の底からの愉悦を覚えた表情を見せた。そして、

 

―爆薬代はやく払うにゃあああああ!

 

 耳をびょこびょこ揺らしながら緑の猫が迫ってきた。

 

—————————————————————

——————————————

————————

———

 

—それでねそれでねっ

 

 いつのまにか指揮官はリノの妄想から帰ってきていた。なかなかハードな経験だった。もうやりたくない。

 食い入るように彼女の言葉を遮る。

 

—あ、もう、いいよ。それやんないから

 

—えー、ここから面白くなるのにー

 

 リノは可愛く頬を膨らませると彼を上目遣いに見る。そんな彼女に、指揮官は自分の頬が熱くなるのを感じると、誤魔化すように話し出す。

 

—あー…それで、なんでこんな話になったんだっけ

 

—もうっ…覚えてないの?

 

 もっと頬を膨らませてリノは言う。

 

—リノ達の結婚式でヒーローショーやろうって言ったじゃん!

 

 彼らの右手の指輪が輝いた。

 




 新番組、艦船戦隊アズレンジャー!
 指揮官に”熱い思い”を寄せるKAN-SEN達と共に、悪の組織”セイレーン”を倒せ!
 叫べ指揮官!エンゲージ!!今こそお前の真の力を覚醒させるのだ!!

 こんなところかしら…?
 この話はこれで終わりよ。
 それにしても、あの子に私たちはどう見えているのかしら…

 感想、評価など、良かったらお願いね。

 また、私が主に活動している世界の資料もあるわ。特に彼の変身した姿の設定(ピクシブ)などが見たければ、そちらも見てもらえると面白いと思うわ。

 あと、アンケートもあるからそれもお願いね。

どんなところがよかったですか?

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