「今日で五日目か……」
私は個室のベッドで目を覚ました、そして隣を見ると簡易ベッドで寝ている筈の大淀が越境して私にしがみついて寝ていた。
「彼女なりに恐い思いをしたのだろ……」
私は誰にとなく呟くと、大淀を起こした。
「大淀起きなさい、時間だ」
大淀が眠そうな目を擦りながら起き出した。
「何か着て寝なさい、いくら私との仲とは…」
大淀が総てを言い終える前に私の口を塞いだ、自身の唇で。
「まぁ何だ……」
私はシドロモドロになりながら、例の小箱を大淀に手渡した。
「これを受け取って欲しい」
大淀が小箱を開けると大粒の涙を浮かべながらしきりに頷いていた。
「遅いです、待ちくたびれました……私で良ければ…」
大淀がベッドの上で器用に三つ指をついていた……この事は何処で覗いていたのかは知らないが青葉によって瞬時に拡散され、朝食時に皆から祝福された。
「提督、至急無線室迄お越しください」
朝食の最中緊急放送に呼び出された、私と大淀は食べ掛けをそのままに工廠へと向った。
「霧島、何があった」
私は無線当番の霧島に聞いた。
「陸自の輸送部隊からの救難信号を受信、保護を求めています」
私は直に明石を呼び出すと、受け入れ体制を指示した。
「霧島、無線を代わってくれ」
「はいどうぞ」
私は霧島からマイクを受け取ると相手を呼び出した、
「こちら鎮守府提督、陸自の輸送部隊応答してくれ」
暫く無音が続いたが、
「こちら輸送ヘリ部隊、貴基地への着陸と避難民の受け入れを要請します」
「避難民の人数及びヘリの大きさを教えてくれ」
「MV-22で避難民の数は小児を含む38名と搭乗員5名です、怪我人はいません」
私は明石を呼んた。
「オスプレイらしいが着陸可能か?」
明石は直にオスプレイのデータを検索した。
「40トン迄位なら工廠屋上のヘリポートに着陸可能です」
私は直ぐにパイロットへ伝えた。
「燃料も残り少ないので助かります、それではそちらへ向かいます…」
それから程無くして陸自のオスプレイが工廠屋上のヘリポートに着陸した。
そしてある事件が起きた。
「何時まで待たせれば気が済む、この税金ドロボー共めが!」
恐らくは孫であろう子供を連れた老夫婦が私に詰め寄ってきた。
「ご覧の通りヘリポートはこの建物の屋上にしありません、それにこのヘリポート通常のヘリコプター2機迄を考量しているためにオスプレイの重量が解らないと天井が抜けて建物が崩壊する可能性もあります、ですから安全に着陸できるか確認するためにお待ちいただいた次第です」
「そんなもん降りてから考えればよかろう!」
老人数名は悪態をつくだけつくと勝手な行動を取り出した。
「申し訳ありませんが、ウイルス検査を受けて頂きますのでこちらへ」
明石が検査をするために連れて行こうとした、
「儂らは何も病気など持っておらん、見てわからんか!」
何処までも勝手な行動を取り続けた。
「これ以上勝手な行動を取り続けた場合、退去していただくか、身柄を拘束します」
警備兵が警告をした。
「儂らが何をした!儂らの自由じゃろうが!」
そんなやり取りの最中、子供がとんでもない事を口にした。
「僕この人知らない人、無理やり連れてこられた…パパママまだ空港に残ってる」
この一言で警備兵達の表情が一変し動き出した。
「どういう事かご説明願えますか?ちょっとそこの別室で詳しいお話をしましょうか」
老夫婦に小銃をチラつかせ連行していった。
「明石、オスプレイ用の燃料はあるか?」
「一往復分くらいなら確保出来ます」
「では直ぐに取り掛かってくれ」
私は老夫婦を警備兵に任せると、明石に指示を出すと同時に陸自のパイロットにも再飛行の依頼した。
「済まないが、もう一度空港に取り残された人達の救助に向かってもらいたい」
「勿論です」
それから1時間、明石がオスプレイの燃料を満タンになるまでかき集めてくれた。
「提督、燃料は満タンです…それと勝手にですがカーゴランプにミニガンを取り付けておきました、これで地上の仮称ゾンビを制圧可能です」
私は明石の無断改造を咎めなかった。
「明石よく気がついた、それでは済まないがもう一度空港に向かってくれ」
私の指示を受けた陸自のパイロットがオスプレイを離陸させて空港へと戻っていった。
「さて、オスプレイも無事に送り出したし…残すはあの老夫婦の件か」
私は臨時の取調室へ向った。
「どけ、若造」
私が扉を開けるより早く老夫婦が部屋から出てきた。
「儂らは此処から出て行く、こんな所いられるか」
老夫婦は退去を選んだようだった。
「貴方達には未成年者略取誘拐罪の嫌疑もかけられていまる事をお忘れなく」
警備兵が老夫婦の後ろから声を掛けていたが、彼等はそれを無視して立ち去っていった。
それから一時間後老夫婦は駐車場にある個人の車を勝手に持ち出していった。
「未成年者略取誘拐罪に加えて車輌窃盗罪も追加ですね」
大尉が呆れながら私に話しかけてきた。
「まぁあのまま街に出ても仮称ゾンビの餌食になるだけだな」
私は大尉にそう答えた。
「提督、救助隊より入電『要救助対象14名を保護、これより鎮守府ヘ戻る』との事です」
千歳が無線の内容を伝えてきた。
結果から言うと子供達の両親は無事に保護されてた。