「急な招集済まない」
私はそう言うと会議を始めた。
「提督さん、やはり各棟の警備体制についてですか…」
大尉が再確認してきた。
「そうだ、死者で行動が緩慢とはいえ油断は出来ないからな」
「確かにアレは医学的には死者ではありますがその行動原理が食欲があり他者を襲うという時点で死者とは言えないですからね」
明石が私の話を補足した。
「各棟の部屋や配管スペースは確認済みとはいえ、確実とは云えない処もありますか…」
陸自中尉と海兵隊中尉が同じ事を言った。
「そこでだ、避難民の中から寮各階の階段フリースペースに簡易の見張り所を設営して24時間3交代で監視業務を行おうと思うがどうだろう」
私は各員に意見を求めた。
「この工廠と食堂はいいとして、各寮には必要かと…人員としては民間人より我々軍人の方が統率を取りやすいので良いのではないでしょうか」
大尉が提案をだした。
「各棟の屋上に於ける監視業務については民間人でも問題はないかと」
陸自中尉が民間人による代行を可能な場所を意見した。
「必要な資材と人員の手配を」
私は大淀に概算書の提出を指示した。
「さて次は海兵隊中尉に確認したい、強襲揚陸艦サイパンの現状についてだが……どんな状況だ」
私はサイパンを鎮守府の司令部施設として使う為に現状を知る必要があった。
「先ず人的不足から航行は不能ですが、奴等が乗員にも発生している為に制圧は長期化する可能性があります、艦橋及び飛行甲板、格納庫、更に下の弾薬庫迄は奴らを排除してはありますが……そこからしたの区画はまだ手付かずとなっています、閉所での戦闘となる為に相当の犠牲が懸念されます」
海兵隊中尉が現状を報告した。
「ドッグに入渠させて弾薬庫から下は扉を総て封鎖してしまい、上の部分を外部電源で賄えば使えないか…?」
私は何としてもサイパンを本部施設として使いたかったが、海兵隊中尉が更に報告を続けた。
「仮に艦内掃討をしたとして出会い頭で奴らと遭遇となり、餌食となる危険が増大します、提督の仰る通り下層ブロックに三笠のようにコンクリートを流し込んでしまえばいけるかと…あとは曳航手段を確保するだけですが」
「曳航手段なら問題ない、港湾施設にあるタグボート数隻で引っ張って来れるだろう…皆忙しい中済まなかった、緊急会議をこれで終わりとする」
私の会議終了の言葉を受けた各員が会議室に割り当てた工廠の一角から出ていった。
「提督、サイパンの艦内の偵察任務の使えないでしょうか」
夕張が子供が遊ぶ戦車のラジコンを持ってきた。
「砲塔を取り外して赤外線センサーカメラと動態監視用カメラを取り付けて艦内WiFiによる無線遠隔操作をすれば遭遇戦による人的被害は抑えられるかと」
夕張が実際の動作を想定したソフトウェアも開発していた。
「これはどれ位作成可能なのかな」
私は兎も角台数が必要ではないかと思った。
「子供がいるので玩具でもと思い回収した物ですからあっても10台位かと」
「わかった、ありったけ改造してくれ、それと防爆スーツはあるか?」
「あります」
「スーツも用意してくれ」
「わかりました」
夕張が防爆スーツの準備とラジコン戦車改造の偵察装置の調達を開始した。
私は夕張との会話の内容を海兵隊中尉にも話すと改めて強襲揚陸艦サイパン確保の計画を進めた。