昨日に引き続きの、私と夕張は押収した資料を調査していた。
「こんなウィルスどうやって……っていうか元になった菌は何処で見つけたのよ」
夕張がパソコンに残された研究結果を見ながら呟いた。
「どうやら此れが元のようだな……」
私は幹部職員用のパソコンに保存されていたデータを夕張に見せた。
『とある国で発見されたRNAウイルスの一種「始祖ウィルス」をベースとし、様々なウィルスの遺伝子を組み込むなどして作り出された変異体である……………非常に強力な感染力を持ち、空気・汚染水などによる経口感染や血液感染など、あらゆる経路で拡散する、だだし拡散していくうちに感染力が低下する傾向にある、空気感染を起こすのはウィルスが拡散した初期の段階であり後期の段階では感染者の体液が血液中に入ることでさらなる感染を広げ、それが爪で引っ掻かれる程度の軽傷でも容易に感染する………』
夕張が驚きながら表示されている資料を黙って読んでいた。
「潜水艦娘を感染させた上で鎮守府に戻した……という所までは確認されたから、空気感染の危険は無くなったとみるべきか……残るは感染範囲が何処まで拡がっているのかだな……」
今日の作業を終えると、我々は鎮守府へと戻る事にした。
執務室に戻ると、私は机の上の何処にも繋がらない電話を見ていた。
「大本営は疎か、各地の鎮守府、警備基地にも繋がらないなんて……」
夕張もその被害の大きさを計り知れないでいた。
「実際にオスプレイやハリアーの行動半径内の市町村は壊滅的被害を受けているそうだ……」
私は米海兵隊からの航空偵察写真を夕張に見せた。
「酷い…」
その惨劇の写真を見せられた夕張が言葉を失い半ば泣いていた。
暫く無言の時間が過ぎていった、そんな中扉がノックされ大淀が入ってきた。
「提督、深海棲艦の北方棲姫とヲ級、レ級が降伏してきました」
私は大淀の報告に驚きの声を上げた。
「何だと…降伏だと」
私は夕張を連れて北方棲姫がいる港湾施設へと急いだ。
「北方棲姫が降伏してきただと!」
私は港湾施設の事務室へと駆け込んだ。
「はい、現在事情聴取中であります」
大尉が現時点までのあらましを報告してきた。
「深海棲艦もウィルス攻撃を受けていたのか…」
私は兎に角北方棲姫の話を聞くことにした。
「私がこの鎮守府の提督です」
私は緊急事態である為に彼女達を捕虜では無く保護した避難民として対応する事にした。
「何が起きたのかの話してもらえますか」
私の問いかけに北方棲姫は泣いていて話が出来る状況では無かったが、代わりにヲ級が説明を始めた。
ヲ級の話の内容から、我々が襲われだしたのと同時刻に襲撃を受けて壊滅状態にまで追い込まれ、幼い北方棲姫を連れて逃げてきたという事だった、悲しい事に此処に辿り着くまでに大半の仲間を失ったとヲ級もまた最後は泣きながらに話してくれた。
私は今現在までに判明している事実をヲ級達に話した。