「金剛さんこちらです」
操縦席の陸自隊員が私を案内してくれた。
「戦車……大きいデース」
目の前には10式戦車がトレーラーに載せられて駐車していた。
「明石見てもらえる?」
「いいよ」
私の依頼に明石は軽く手を振ると戦車に取り付いていた。
「明石、どんな感じネー」
私は明石に戦車の状態を聞こうとしたその時だった、戦車のエンジンが始動した。
「チェックした限りでは単なる定期点検整備送りの可能性大ね」
明石が車長や運転席、砲手ハッチを出たり入ったりしながら答えた。
「金剛さん、これ持っていっても構いませんか?」
一人の隊員が私に持ち出しの許可を求めてきた。
「どれ?」
陸自隊員の指差す先には小型のコンテナの様なものがあった。
「あれは?」
「野外炊具2号(改)と言って移動式のキッチンです」
私は提督の判断を聞くまでもなく許可した。
「ノー・プロブレムデース、あれだけですか?」
「あと2台あるので全てトラックで牽引して持ち帰ります」
トラックの荷台に陸自隊員達が手際よく大量の物資を積んでいた。
「戦車はこのまま積載状態で鎮守府へ移送しましょう、弾薬は新たに確保した73式大型トラックに詰めるだけ積んで置きました」
そんな最中、私は背後から接近する気配に気が付いた。
「誰か背後から近づいてきますネー」
陸自隊員達が一斉に小銃を構えた。
「撃たないで!」
建物の影から10名ほどの女性隊員が姿を現した。
「みんな!無事だったの」
隊員の一人が駆け寄った。
「みんなトラックに乗って、艦娘さん達の鎮守府へ避難します」
作業に当たっていた隊員が新たな仲間を纏めてくれた。
ーーーー鎮守府、同時刻ーーーー
「生存者いませんね……」
新たに車輌保管所にて見付けたAAV7で生存者を捜索している隼鷹と警備兵。
「ん?」
隼鷹の視界に何か光るものがあった。
「あの建物の2階でなにか光ったような…!!あれっ!」
隼鷹が指さした場所には、生存者がいたのだった。
「今から車輌を下につけるから、何かロープになる物ある?」
隼鷹がテラスから顔を出していた艦娘に声を掛けた。
「シーツ位しか…」
「ならシーツを結び合わせて処々団子を作っていって」
同行していた陸自隊員が簡易縄梯子のつくり方を教えていた。
「ありがとう…」
8人の艦娘がAAV7の車内に保護された。
「提督、巡洋艦寮にて最上、鈴谷、青葉、妙高、那智、羽黒、神通、由良の8名を保護しました、これより駆逐艦寮へ向かいます、尚戦艦、空母寮は…」
陸自隊員が提督に無線を入れていた。
「了解です、今の内容から戦艦と空母は駄目でしたか、駆逐艦はすばしっこいから少しは期待出来そうだが…念の為に追加の車輌を送った、合流次第駆逐艦寮の捜索を頼む」
隼鷹は追加で来た千歳の隊と合同で捜索にあたった。
だが結果は想像以上に酷く、生存者は吹雪、深雪、浦波、磯波、綾波、敷波、雷、電、時雨、夕立、陽炎、不知火、黒潮の13名だけだった。
提督もその結果には表情を曇らせた。
「予想していたより酷いな…駆逐艦娘でも襲い合ってたのか……」
提督が無線の向こうで呟いていた。
ーーーー提督ーーーー
「本当か!吹雪、深雪、浦波、磯波、綾波、敷波、雷、電、時雨、夕立、陽炎、不知火、黒潮の13名も生存者が!」
私は隼鷹からの無線に驚いた。
隣では大淀が生存者発見の報にその表情を明るくした。