この剣騎と銘打った投稿作品は アイズが男性だったらというハーレム作品になります。
メインヒロイン:リヴェリア
サブヒロイン:アリシア、春姫
になります。
この話は春姫編の最終話になります。
※性別反転有、R18
【剣騎】アイズ・ヴァレンシュタインの最初の女性になった春姫の現在の立場はヴァレンシュタイン家のメイド長であり、当主の愛妾であり──実質内縁の妻である。
迷宮都市のもう一人の英雄もハーレムをつくり複数の妻がいるのだが、【剣騎】は形式上は二人目の妻をもとうとしなかった。
関係をもった女性達もそれを理解している相手達であったので初子が嫁にいくほど時が流れても妻はリヴェリア一人であった。
もともと潔癖癖のあるエルフであり、気高い気性の持ち主である
いくら【剣騎】の決断に理解を示していても他の女の姿が近くにあることを本来は許しはしない。
ましてその周囲ともなればなお更である。
【剣騎】の女関係が世に知れ渡る前の段階で
加えると──それだけですまなかったがゆえに大事にも発展することになるのだが、迷宮都市のエルフは不埒な【剣騎】を許さなかったのである。
それに対して【剣騎】は逃げも隠れもせずに堂々としていた。
「私はリヴェリアを愛してる。──我慢できないなら、今、ここで私を殴りにきたらいい」
迷宮都市の街中で堂々と行われた【剣騎】とエルフたちの死闘は当時の二大派閥【ロキ・ファミリア】と【フレイヤ・ファミリア】所属のエルフたちが敗れたことで決着がついた。
眼前で膝を着くエルフたちに【剣騎】は至る所に見るに耐えない怪我を負いながらそれでも力強く言い放った。
「──私が! あの人を幸せにする! 他の誰よりも私がする!」
事態を振り返った
そして現在、そんな愛妻家である【剣騎】アイズ・ヴァレンシュタインは妻リヴェリア・リヨス・アールヴ・ヴァレンシュタインに見放されていた。
「ううぅ、うぅぅ──!」
「アイズ、いい加減飲みすぎだよ」
「う───っ!!」
「フィン諦めろ。こいつぁ、もう理性が欠片も残ってねぇよ」
「ごぼぉっ、ごぶ、アイズ、さ、アイズさっ!?」
「そうじゃな。そうでなければあんなふうに瓶を突っ込ませたりしてなかろうよ」
「やれやれ、リヴェリアも厄介なものを預けてくれたものだ」
「うううううっ──!!」
ごぶごぼぉ!?
【ロキ・ファミリア】の先達たち──フィン、ガレス、ベートの視線の先では【ヘスティア・ファミリア】の団長、もう一人の英雄と呼ばれて都市で称えられているベル・クラネルがヘッドロックをかけられて無理やり酒を流し込まれている。流し込んでいるのは泣きじゃくりながら酒を飲んでは飲ませている【剣騎】アイズ・ヴァレンシュタインである。
この日はヴァレンシュタイン家とクラネル家との間で行われた結婚式の当日であった。
嫁いだのはヴァレンシュタイン家の長女で春姫の娘であり、アイズの初子だった。
対するは年下のクラネル家の三男坊である。昔のベル・クラネルを彷彿とさせるその男をアイズは昔からよく気に入っていた。
母親がアイズの
だが、今となっては全て無かったことにしてしまいたい記憶である。
「ああぁぁぁぁ、あぁぁぁっ──!」
式に相応しい衣装をと用意した着衣は酒にまみれ、よれによれまくり、もはや見る影は無い。
アイズは花嫁衣装で目に涙をこらえて「嫁いで参ります」と告げた娘の美しい姿が頭から離れない。もう自分が守ってあげる立場ではないのだ。嫁いだ以上、愛しいあの子を守る立場の筆頭はその夫である。それがたまらなく悔しくてはがゆくて悲しいのだ。
愛妻家であり、その妻たちとの間に生まれた全ての子供達を溺愛していたアイズは、できれば長女には迷宮都市には行かずにもっと平穏な場所で立派な相手を見つけてほしかった。
長女だけに全てを傾けてくれる。そんな相手こそ望ましかった。
「あんなぁ、おんなたらしにぃぃぃっ!」
「ぼくじゃないですぅぅうっ」
「ベルににたんでしょうぅぅぅっ!」
傍目からは実に理不尽にとっちめられているベルであったが、それを否定しきれないほどにベルと三男坊はまさに親子だった。
天然で女を口説き落とすことは傍目からでも明らかで、いずれは父親と同じようにハーレムをつくるのではないかとアイズが勝手に危惧するほどである。
そしてそれを周囲の誰も否定できない。クラネル家の妻達全員も「申し訳ないことに認めるしかない」と言うしかないほどで、そうなるのは自明に見えるほど女誑しなのだ。天然なのがさらに悪い。
「うぅ、ひく、ひくっ」
「か、っは」
「どっちも動かなくなったな」
「やめろ。まだ触るな。みろ。また飲み始めたぞ」
「ベル・クラネルにはご愁傷様だが、あのまま騒ぎ疲れて眠るまでここで様子を見よう」
フィンたちはカウンターの影に隠れながらアイズの周囲で倒れふすベルやラウルの姿をみて、必要な犠牲だったと救助を諦めた。せめて夢の中では安らかであってくれと願うばかりである。
「リヴェリアが迎えにくるまでは、僕らも未来の英雄とその妻に乾杯しよう」
「おう」
「その頃まで現役でいたいもんじゃなぁ」
乾杯の音頭を耳の端で捕らえたアイズが結婚式を思い返してまた大泣きをしたのはすぐだった。
◇◆◇
そんな未来につながる道中、アイズは騙されたことを知って怒り心頭な思いで海辺にいた。
(ロキ。ゆるさない。……すくなくてもここにいる間は)
怒りの矛先はロキである。
この時アイズがしゃがみこんでいるこの場所、メレンには【ロキ・ファミリア】のほかの男性団員は誰一人きていなかった。
都市外での調査のためにやってきたのはいい。
問題はそんなことではなく、自分が連れ出された理由と嘘をつかれたことだ。
──フィンたちはあとで合流する予定や。アイズたんは先にうちの護衛役でな。ついてきてな?
それに何も疑問を持たずに頷いた自分のなんと滑稽なことか。
アイズはじっと海面に映りこんだ自分の顔をみて憎らしい気持ちになった。
自らの女みたいな外見ゆえに女性団員たちに混じってつれてこられたのだということに怒り、メレンに来るまでそれを理解していなかった自分の頭の抜け具合に落ち込む思いだった。
「今頃ベートさんたちは皆でお酒でも飲んでるのかな……リヴェリアたちの目が無いから騒いだり──」
男組みの居残りを想像してアイズは自分がそこにいないことを嘆いた。
そもそもなぜか自分は酒の席に呼ばれたためしがない。
もう自分も一端の男である。ガレスほど浴びるように飲めるとはいかないが、フィンのように嗜む形でグラスやジョッキを傾ける様だってできるはずだ。
「リヴェリアとも……」
したし。
と、愛する人と将来の約束を交わしたことをひとつの根拠にしつつ、その当日の拳骨を思い出して自然と首が俯いた。
春姫とのことがばれてしまい、想像以上にアリシアに激怒されたアイズは首が折れるのではないかと思うほどに頭を殴られていた。
──歓楽街に通うのは
──二度としないと誓いなさい。
そう告げる二人の愛しい人を前に頷くことは難しいことではない。
だが、それでも頷くわけにはいかなかった。
狐の尻尾が目の前でゆれた気がしたのだ。
──ここでやめるわけにはいかない。
怒っているリヴェリアとアリシアを前にしても、このままさよならと何事も無かったとはできない。
春姫はこのまま自分が通うのをやめたが最後、心を病むように日々を過ごさねばならない。
だから責任を取りたいとアイズは訴えた。妻にも恋人にもできないにしても、せめてその身を自分が買い取りたいのだと。
それに対するリヴェリアの反応は意外にも穏やかなものであった。
責任をとると言ったアイズにリヴェリアは微笑んだのだ。
──やってみろ。
リヴェリアはアイズの愛を疑ってはいない、自分へのまっすぐな想いがぶれたと思ってはいない。だからこそ、結果的になってしまったことを認めないことは無いのだ。
だからアリシアとの行為も理由をつけて許したのだし、であるならアイズが責任を取るという以上は許してやるつもりだった。
それ以来むしろ怒りの色が強いのは恋人といえる立場に収まったアリシアであり、極寒の視線と激怒の拳骨を思い出してはアイズは自分の頭をなでるのであった。
「お金、もっと貯めなきゃ」
初競りの際ですら当時のアイズが精一杯の貯蓄を作ってやっとの思いで叶ったほどに、春姫につけられた値段は高額だ。
だがアイズはこれでも第一級冒険者であり二大派閥の一つ【ロキ・ファミリア】を代表する冒険者である。
愛剣に無茶をさせなければ、もっと丁寧に扱えば本来懐は潤って当然なのだ。
武器に負担をかけない。無茶な運用をしないというのも技術である。
フィンや【猛者】の技量を思えば自分にはまだまだ腕が足りないのだと認めざるを得ない。
(……待っててね)
本拠地においてきた愛剣としばらくあっていないはじめての相手に再度誓いながらアイズはロキたちの到着を待っていた。
「あーーいーーずーー!」
そんな一人寂しげにたたずむ格好になっていたアイズの背に元気快活な声が届いた。
アイズがふりかえればいつもとは違う、空色の下着じみた格好で友人がはしりこんで──。
「てぃおな──むっ」
「じゃーん、どう、ねぇアイズ。どう? これ水着っていうんだって。水辺で活動するのにてきしてるんだってー。似合うかなぁ」
「おっっ……! う、ん。似合ってると思う。ティオナ」
「えへへ。わーい。うれしー」
自分に飛び込んできた褐色の肌と魅力的過ぎる笑顔にドギマギする以前に、背後に水があるという恐怖が勝りつつも、アイズはティオナの装備が普段と違う理由に合点がいった。
「なるほど……水中で動きやすいんだ」
「そうらしいねぇ。あ、本当にそうだ。みてみて、すこし動きやすい気がする」
実際に浅瀬を軽やかに走ってはしゃいでみせるティオナの天真爛漫な可愛らしさにアイズも笑顔になる。
ティオナ・ヒリュテ。姉のティオネとは双子であり、自分やベートと並ぶLv6の冒険者である。
そして自分に初めて好きだと伝えてくれた女の子でもある。
──ゎぁ。好き。アイズ、私、アイズのこと、好きだと思う!
出会って、仲良くなって。二人でよく訓練もし、ダンジョンに潜って競い合うなかで、人生で初めてうけた真っ正直な告白だった。
アイズがティオナを尊敬し、友人として大好きな理由は、告白を断っても何も変わらずにむしろより好意的に接してくれるような、暖かさを絶やさないところだった。
──えっへへ、私、アイズのこと大好きだからさ。いつでも気が変わってOKしてくれていいんだよ。
ティオネみたいにフィンの迷惑になるような追い方、アイズにしたくないもん。
姉に内緒でそう口にしたティオナは自分よりも大人びたように見えた。
そんな大好きな友人の到着を皮切りに続々と仲間達がやってくる。
レフィーヤやアキが手を上げて、少々恥ずかしそうに近寄ってくる。
全員がティオナと同じような水着姿でアイズは目のやり場に少々困った。
(ティオナと違って、皆は普段との違いが大きすぎる……)
自分のような男組みは上半身裸で組み手や相撲をとることなど日常茶飯事なのでこのくらいの露出は慣れっこだが、女性陣はそうではない。アキの背中に隠れているレフィーヤに至っては自分の裸の上半身を見ただけで卒倒してしまったこともあるくらいの潔癖性をもつ子である。普段の格好もそれに見合った布面積を伴っていて、ほとんど露出してるのは手先や首から上だけだ。
それがいまや足先から股まで、指先から首まで肌が露出しているのだ。どこを見ていいのか分からなくなっても仕方の無いことだとアイズは思った。まして、レフィーヤだけでなく続々と白浜に足をすすめてくる女性陣は皆似たような露出で・・・・・・。
(……り、リヴェリア)
一人だけ普段と何も変わらない装備でリヴェリアがその手に小さな・・・・・・紐のような下着なのかよくわからないものを持ちながら呆然と歩いている。誰かに背中でも押してもらっているのではないかと思うくらいに呆然としている。
「リヴェリア……?」
「ぁ、アイズ」
ばったりと出会ったような形でお互いに視線が紐のような下着でぶつかり。
「……それ、着るの?」
「──」
再度、固まったようにフリーズした最愛の人の判断をアイズはごくりと唾を飲んで待つ。
正直リヴェリアが手にもつ水着は紐にしか見えない。レフィーヤやティオナのものですら目のやり場に困ってる自分が直視できるような代物には見えない。
だが、見たい。
裸だって見たことはあるにせよ、普段ほとんど肌を露出させないリヴェリアがきわどい格好をするというだけで見てみたくなる。
もちろんこの場に自分以外に不埒な目線があれば話は別だが、幸いにしてここには自分以外には女性しかいない、よこしまな目線は自分以外にはロキくらいなものだが、今飛び掛ってきたロキを砂浜に沈めたのでもう気にしなくていい。
ぐへぇ!
容赦ない……!
いい薬です。
リヴェリア様にあんなものを渡すからです。
流石アイズ。
周囲の歓声をどこか遠く感じながら、アイズはじーっとリヴェリアを待つ。
絶対に着ないなら悩むことすらしないリヴェリアをよく分かっているので、どうしても期待が高まるのだ。
リヴェリアはすこし顔を赤くして何度か視線を下着とアイズの間で行き来させた。
「……み、みたい、か?」
「──」
アイズにしか聞こえないほどの小さな声は極上の可愛らしさを伴って惚れた男の脳みそを融解させた。
他の女性陣の目などもはや気にもせずアイズは高速で頷いた。
理性の抑えは消え去り、そこには飢えた雄が獣になって餌を与えられるの待っているだけである。
だが、そんな雄の気配に人一倍敏感な従者がいた。
「アイズ?」
獣がアイズに戻る。
冷や汗がその背筋を伝う。
リヴェリアの背後からゆらりと陽炎をまとったように現れた美しい妖精の極寒の表情にアイズは頭に拳骨が降ったような痛みを錯覚した。
「アイズ、すこしそこで……お話をしましょうか」
「あ、ぁ、アリシア」
「リヴェリア様。すこし──躾けてまいります」
アリシアの静かな怒りに誰も言葉をなくし、アイズはアリシアに引きずられるように岩陰に連れ去られていった。
二人の姿が岩陰に消えた瞬間、殴打の音が波の音に混じって響いた。
レフィーヤがその身を震わせて驚き、続いて聞こえてきた怒声の名残に思わず耳を手で覆った。
「ここまで離れてて聞こえてくるって……よっぽどお灸をすえられてるのね」
アキがやれやれと呟く。アイズとアリシアが消えた岩陰はそれなりに距離がある。にもかかわらず怒りの波動とも呼ぶべき振動が耳に届いていた。
周囲の女性陣はその振動に驚きつつ、足元を見下ろした。
砂にめり込んだ自分達の主神がそこにはいた。
アイズさんがあんなに怒られているのでしたら、ロキにも相応な罰が必要だと思います。
同意です。アイズはいわば被害者です。リヴェリア様に邪な目線を向けたのはいただけませんが、元凶はあんな紐を渡したロキにあるかと。
賛成賛成ですっ。
異議な――し。
自分達のアイドル的存在であるアイズがあそこまで怒られているのにロキがこの程度で許されていい訳がない。
砂から顔をあげたロキは自分を見下ろす視線に気がつくと、せっかくの整った顔立ちが台無しになるような笑みを浮かべた。
「うへへへ、見上げたら自分らほんと、眼福なスタイルしてぇ~。誘ってるん? 誘ってるんやな?!」
手を虫のように気持ち悪く動かし始めたロキにもはや同情の余地など無い。
周囲を取り囲んだ女性陣は次々と蹴りを食らわせはじめた。
「…………みたい、か」
リヴェリアだけがその手に紐を持ちながらぶつぶつと迷いごとを漏らしつつ固まっていた。
◇◆◇
岩陰の先でアイズはひどく忙しない動きを見せていた。
移動した瞬間に頭に拳骨をうけ、そのまま砂浜に崩れ落ちて怒声を浴び、正座させられ鋭い叱責を受ける。
だが、戻ってくるまでにかかった時間を考えればこの躾の時間は短すぎた。
ロキが足蹴にされているのと同じ時にはアリシアの怒声はやんでいたのである。
代わりにひっそりと岩陰に響いていたのは、逢引が奏でる艶やかな密言だった。
「う……んっ」
漏れ聞こえるのは男の声だ。
下半身から背筋を伝って脳髄をしびれさせるような快感が響くたびに口端から感じいった声が漏れていた。
女の艶声は聞こえない。
それも当然だった。
女は男の肉棒をその口一杯に頬張って啜っていたのだから、声が漏れることはない。
だが、男の眼前の女が艶やかでないという話ではない。
「~~~♡ っ~~~ッ」
その瞳を魅了されたかのように淫らに染めて、鼻から繰り返される短く早い呼吸は色気を漂わせる。
そんなアリシアの様子を見下ろしてしまえば抑えようとなど思いもしない。
アイズはアリシアの頭を自分の腰に押し付けるように抱きかかえて、その口内に子種を撒き散らした。
喉奥まで押し込まれた肉棒の先から勢いよく、鈍い音を口内に響かせる射精は雄が雌に強制させるものだ。
自分のものだとわからせるためだけの子作りとは無縁な交わり。
旦那様に奉仕する雌の口内で弾けた一度目の射精はだし終えるまで秒では足りなかった。
「んっっ………! ッはぁ~~♡ は──♡ はぁ~~~っ♡」
「アリシア、アリシア……っ」
「わかって、ます。……まだ、足りないでしょう?」
呼吸すら行わせない長い射精を受けてもアリシアという雌は雄を満たすためにすぐさま口を開き、舌をのばしてその肉棒を受け入れる。
ふぁい、ふぉうぞ♡
一滴も精液をこぼさずに受け止めた淫らな口が開かれて、雄を誘い出してくる。
そんな自分の雌の奉仕にアイズはいきり勃ったままの肉棒を押し込んだ。一度の射精を経て箍がはずれ、思いやりを超えた乱暴さでアリシアの口内を犯し始めた。
雌喉の奥でごりゅごりゅと肉棒が突き刺さりねじ込まれる衝突音が振動としてアリシアの意識をただの雌に切り替えさせていく。
こんな雄と雌に切り替わるような交わりのためにこうなったわけではない。
叱りつけたあと、一息入れて互いが落ち着いた際に、アイズがアリシアがの水着姿をみて硬くしなければこんなことには至らずに皆のもとに戻っていただろう。
──これでは戻れませんね。……ここにはリヴェリア様もいませんから。
リヴェリアがいない、できない時。その際は自分の裁量でしていいとアリシアはリヴェリアに任されている。そういう時にしかしないし──出来ない。
だからアリシアはこういう機会を見逃せなかった。
しゃがみこんで最も得意とする、アイズを満足させられる方法をとった。この時はまだ早く終わらせて早く戻らねばならないという意識だけだったのかもしれない。
だが、はじまってしまえばアリシアの抑えはアイズという雄にすぐに外されてしまった。
アイズが幼いころと違う。すでに上下関係が出来上がっていた。
あの夜、アイズがリヴェリアの下にいくのを止められなかったあの時から、アリシアはアイズの雌だった。
「でる、いくっ!」
「~~~っっ♡」
一晩で二桁の射精を平然と行えるアイズは二度目の射精のほうがむしろ激しい。
優秀すぎる雄としての性能で自分の雌に教え込む様は圧巻だった。
「ぷは……ぁ♡」
多量の子種を嚥下し、蕩けた表情でアイズを見上げるアリシアは完全に出来上がっている。
そんなアリシアを見下ろせばアイズもより一層その気にさせられる。
だが、そんな二人は岩陰のむこうから届いた呼び声にはっと我に返った。
「ちょっとーーー! もういい加減にもどってきたらーーー!」
アキの声だった。近寄っては来てない。
だが誰がこの声に続いて様子を見に来るかわからない。
わたわたと二人は身支度を整えなおし、口元の精液を隠し切れないとアリシアは海辺に向かい。
「私は怒って一泳ぎしながら戻るので、アイズはそのまま戻りなさい。いいですね」
「うん。アリシア。……ほんとうに綺麗でかわいいよ。その水着」
「……もう。また硬くしないようにしてくださいね。ありがとう。アイズ」
続きはまた。
唇を重ねて、二人の逢引は終わった。
アイズが戻るとロキが正座させられていて、そういえば先ほどまで自分は怒られていたのだとアイズに思い出させることになる。
◇◆◇
【ロキ・ファミリア】がメレンにやってきたのは調査のためだ。
海辺で水着になったのも水の中を調査する必要があったからだ。
そんな都市の一大事に関わる調査の中でアイズにはここでかかわることになるとは思えなかった出来事が起きた。
【イシュタル・ファミリア】との戦闘がおきたのである。
もともとはメレンで遭遇した【カーリー・ファミリア】との争いが切っ掛けだった。
同じアマゾネスを中心としたファミリアだから協力しているのか、アイズにはなぜここに【イシュタル・ファミリア】の面々がいるのかさっぱりわからない。
変装をしていた自分だけが一方的に見知った顔が襲い掛かってくる。
魔法が封じられた中でアイズは自分自身に怒っていた。
(なんで、武器を持ってこなかった!)
目の前の相手は強いとはいえ今の自分にとっては格下だった。
現に直近の手合わせでは完勝している。
それが攻め手を欠いて押されてしまっている。
不自然に発光している相手の様子から何かしら強力な魔法がかかっているのではないかと想像はできる。
だがそれを抜きにしても現状の劣勢は武装の違いだ。
本来の武装からは程遠い自分と万全の相手には決定力に差がありすぎた。
相手の攻撃に合わせた代剣の刃が半ば砕ける。
あと一撃、もつかどうか。
(くそぉっ!)
武器の差を言い訳にしてしまう自分の情けなさと苛立ちが表情をゆがませる。
フィンや【猛者】なら同じ状況でも眼前の敵を叩きのめしているはずだと思ってしまう。
武器がもたないのは明らかな技量不足だ。
神ゴブニュに普段言われている言葉が脳裏にはしった。
(まだぁっ!)
相手の攻撃をよけ続けながらひたすら好機を待つ。
もう受けられないなら、受けなければいい。
一撃しかもたないならその一撃を決定打にすればいい。
だが比較的もろいはずの関節部分に叩き込んだ刃すら決定打に程遠かった。
あるとすればヘルムの隙間を通す刺突攻撃しかない。
アイズはゲラゲラと笑うヒキガエルの声に舌打ちしながら、好機をひたすら待った。
そして、ソレをみた。
その日、その時、メレンにはもう一人アイズに縁深い人物がいた。
アイズと同じ黄金色の髪を持ち、同い年で、同じ夜を共にしたその人はその景色を見ていた。
どうしてこんな状況になっているのか、どうしてこうなったのか。
事態を理解できるほどその人には情報を教えてくれる人がいなかった。
教える必要があるとわかっている人がいなかった。
当然だった。アイズはその人に会うために常に変装をしていて、その人の周囲にアイズだとばれないようにしていたのだから、
だから、その人にとって目の前の景色がすべてだった。
自分の魔法によって、自分の祈りによって、自分の愛している人が苦境に立たされている景色が事態のすべてだった。
ゆえに周囲の止める声など耳に入らなかった。
決断する必要もなくその人は──春姫は飛び出していた。
「アイズさまぁぁーーー!」
その叫び声と一心不乱に駆け寄ってくるその姿が周囲に与えたものはすべてが驚愕だった。
【イシュタル・ファミリア】の面々からしてみれば何をしているのか理解ができない。
どうして【剣騎】の名前を呼んで、叫んで駆け出したのか。さっぱりわからない。
ただ一人だけ、春姫の姉貴分のアイシャだけが懇意にしている髭面の男を思い出しただけだった。
そんな驚愕にヒキガエルが一瞬固まった。
それをアイズは見逃さず渾身の一撃を右ひざに叩き込んだ。
代剣の刃が粉々に砕け散る。
相手の鎧を前に完全に阻まれた一撃はされど衝撃を貫通させてカエルの足を一時的に止めた。
アイズは駆け出した。
カエルの横をすり抜け、周囲にいる【ロキ・ファミリア】の仲間たちからも離れて孤立して敵中へ突っ込んでいく。
「春姫ーーー!」
自分を呼ぶ声に応えて相手の名前を呼ぶ。
何でここにいるのか、どうして今ここに出てきたのか。
アイズにはさっぱりわからない。春姫は【イシュタル・ファミリア】の一員ではあっても戦う力のない人のはずだった。
だがそんな疑問は必死に駆け寄ってくるその姿を前にして消え失せる。
あるのはただひたすら一つの想いだけだ。
あなたを、守る──!
もう手に剣はない。
春姫を止めようと近寄ってきたアマゾネスたちをアイズはその拳で殴りつけた。
ベートと組み手をやり続けたその拳は第一級冒険者には届かない代物だ。ティオナにも負ける。
だが、周囲のアマゾネス相手には充分すぎるほどの武器だった。
一切の容赦なく殴りつけ、蹴散らし、駆け寄ってくる春姫を抱きとめる。
「春姫!」
「アイズ様っ」
そこでアイズは初めて聴いた。
春姫の唄を。
目の前で手を合わせ必死に祈り始めた春姫の姿が、足りない情報を経験と状況が補ってアイズに理解させる。
黄金の光が自分を包み始める。
──ウチデノコズチ
纏えない風の代わりに黄金の光がアイズを満たした。
◇◆◇
アリシアは事態が収束していくのを感じながら、この膝の上の狐人をどうしようかと、答えの決まっている問いを自分に投げかけてため息を一つ、わざとらしくついた。。
その一息は自分を納得させるためのものでしかない。
(貴女が、アイズの初めての相手なのですね……)
アイズが光り輝く風を纏ってこの子を預けに来たのがずいぶん前に感じる。
「アリシア、この子、春姫! お願い!」
「は、はぁーー!?」
「任せた!」
マインドダウンを起こして気を失ったというこの狐人を連れてきたアイズが前線に戻り、自分は置いてけぼりである。周囲にはチラチラこちらを確認する【ロキ・ファミリア】の仲間たちがいる。
ベートを先頭に男性団員が援軍に駆けつけた時点で大きな危機は去った。
アイズもデスペレートを受け取って万全の形でティオナとティオネを助けに向かった。
もう問題はない。この狐人の扱いを除いて。
アイズが自分に預けたということは【イシュタル・ファミリア】から助け出した、ということなのだろう。
であるのならもうこの狐人の扱いは一つだ。
それに、返せと言われてもあの目をしたアイズはもう離しはしないだろう。
アリシアにはアイズの目が立派な男の目に見えたのだ。
「……恰好よかったなぁ」
あの目をアイズにさせるこの狐人に嫉妬してしまいそうになる。
すぅすぅ寝息をたてるこの綺麗な顔を思いっきりつねってやりたい。
「目が覚めたらちゃんとわからせてあげますから。貴女は三番目です。私が、二番目」
この序列だけは絶対に譲らない。
そう伝えるようにアリシアは眠る春姫の頭を優しくなでた。
◇◆◇
メレンでの一件からも重ねて事態は動いた。短い間に合った出来事にしては濃密すぎる時間が過ぎた頃。
春姫は晴れて【ロキ・ファミリア】の一員になった。
イシュタルの自爆のような形で【イシュタル・ファミリア】との抗争は終結していた。
もともと【ロキ・ファミリア】とまっとうな方法で戦って勝てるはずもない【イシュタル・ファミリア】は都市の裏に手を回した主神イシュタルの動きのために多方面を敵に回すことになったのだ。
結果、アイズの望みは叶い。春姫はロキの眷属になった。
「不束者でございますが、皆様、よろしくお願いいたします」
ファミリアの団員が勢ぞろいした朝食の席で、改めて頭をさげてあいさつする春姫にまばらの拍手が起こる。
ティオナのように歓声をあげて歓迎してくれる者は少なかった。
なぜなら挨拶をした春姫をアイズが真っ先に抱きしめに行ったからだ。
レフィーヤが拍手しようとして固まったように動きを止めている。
同様な団員は多い。
アイズは【ロキ・ファミリア】の女性たちにとってアイドルなのだ。
「よろしくーー! で、そろそろ聞いていい? アイズ、春姫。二人ってどういう関係?」
ティオナがアイズと春姫をどちも抱きしめつつ問いかける。
事態が収まるまでの間、聞こうと思っても聞くタイミングがなかなかない中、アイズと春姫の関係を知っている者は少数だった。
皆が興味津々の中、すでに了承済みのリヴェリアとアリシアだけが少し微笑みながら、ちょっとだけ怒っていた。
「春姫は──私の。私の女、なの」
言い方を考えろ。
この夜、リヴェリアから拳骨を落とされることになる爆弾のような発言──しかし、何も間違ってない──を投下されて女性陣の悲鳴が響く中、アイズと春姫はお互いを見合って笑いあった。
春姫編 END
春姫編のくせにアリシアとのえっちなシーンになっております。
いや、R18ものとして書こうと決めてるタイトルなのに、思いついたものがまったくR18ではない。
投稿を再開していけそうな気がしてるのでまた書きます。
よければご感想などいただけましたら幸いです。