メインヒロイン:リヴェリア
サブヒロイン:アリシア、春姫、アミッド(NEW)
になります。
この話からアミッド編スタートです。
【剣姫雌雄】を書きながら書いたせいか、少し【雌雄】に引っ張られているので【雌雄】好きな人が気に入りそうだと勝手に思ってます。
※性別反転有、R18
時間の経過は、それに気がつく頃には一瞬の出来事のようにも思えるものだ。
光陰矢の如し。
今、結ばれる時を目前にして【剣騎】アイズ・ヴァレンシュタインはそのことを実感していた。
(ロキのところに拾われて、リヴェリア達に出会って──)
幼い頃の運命を想う。
驚いてしまう。
あの頃から本当にいろんなことがあったのに、今、この瞬間、この場所に立った自分はそれが瞬きする間のような出来事だったように振り返っている。
あの人を好きになって。あの人に恋をして。あの人を愛して。
最初はどす黒い思いだけだった。それがなければ生きいけなかった。
そんな自分が、いつの間にかただただ愛しい気持ちを大事にしたいと思って、生きてこれた。
(リヴェリアは──私に救われたと言ってくれたけど、そんなことはない)
愛しい人を助けたいのは当たり前のことだ。
愛しく思わせてくれたリヴェリアにこそ自分は救われたのだと、一瞬で振り返れてしまったこれまでのすべてを見て、思う。
(貴女に、恋をして──だから、生きてこれた)
これから誓う言葉に自分の感謝をすべてのせたい。すべて伝わってほしい。
言葉にしたら安っぽくなってしまう気がするのに、伝えるにはやはり言葉がいる。
扉がゆっくりと開いた。
流麗で穏やかで温かみのある音が流れた。
自分へと続く、一本の道を愛しい人がゆっくりと歩んできてくれる。
後ろには恋しい人たちが白い花を咲き支えるかのように付き従っている。
心臓がイタイ。
イタイほど、高鳴った。
(あ──あの時と、同じだ)
思いが通じ合ったあの夜と同じ高鳴り、自分のすべてを差し出してしまいたい瞬間がやってくるのだ。
自分のもとまで歩み寄ってくれた愛しい人、その顔を覆うヴェールをゆっくりと上げた。
心臓が、止まった。
本当に一度止まったと感じた。
衝撃的な美しさだった。
見惚れたどころではない。固まってしまう。
──「綺麗」
止まった心臓がすぐさま活動を再開し、溜めた空気を吐き出したものがその言葉を勝手に作り出した。
愛しい人が驚いた顔をした。顔が朱に染まっている。
その反応が意外で、だからわかった。
ああ、確かに、事前にはこんなことを言うなんて決めていなかった。
周囲が少し浮ついた空気を発したのを肌で感じた。
だが仕方がない、もう今の自分に余分なものはない。
その手を取って指輪を嵌めて、その一言に想いをすべて、すべて込めるのだ。
──「誓います」
直後交わしあった唇が生涯忘れることのない熱を感じさせた。
この日、アイズは愛しい人を妻と呼ぶことを許されたのである。
◇◆◇
「なに?」「なんて?」
思わず同時に聞き返した妻とお互いの顔を見つめあって数秒、また顔を正面にもどして訳の分からないことを言った友人を見る。
「……に、二度は言えません。言葉通りの意味です」
長い付き合いの中で彼女がこれほど顔を赤らめ全身を震わせている姿をアイズは見たことがない。
それもそうだ、あんなことを素面で言えるような女性ではない。
アイズは一言ありそうな妻を制した。何か事情があるのは明白だった。
「アミッド、どうしてそんなことを?」
友人──アミッド・テアサナーレはその小柄な体に力を込めて羞恥に耐えていたが覚悟を決めたようにしっかりと顔をこちらに向けて事情を話し始めた。
その事情を聴いて夫婦は合点がいった。
アミッドらしくちゃんとした理由であった。
──「恥を忍んでお願いいたします。……アイズさん、私と子供をつくってほしいのです」
内密の話があると他の目が及ばない個室に呼び出されてみれば、何かを覚悟した様子の彼女からそんな言葉が飛び出してきた。
その瞬間はアイズもリヴェリアも「錯乱したのかアミッド」と逆に心配してしまうような感覚だったが、説明を受ければ無茶苦茶なお願いなのに理性的で、アミッドが熟考の末に話を持ってきたのがよくわかった。
「ミアハ様から──条件を、だされまして。いわゆる神婚でございます」
神婚、そう聞けばすぐに理解が及んだ。
アイズとベルが広めたハーレム文化の神様への影響として生まれた結婚様式、それが神婚であった。
形式としては簡単だ。
神と結婚するが了解があれば複数人と関係を持つ。いわゆるハーレムの図式であり、それに加えて神様らしい愛の形が加わって完成する。
それが──子供をつくることを条件にすることである。
神と人は愛し合える。だが、その間に子供は残せない。
このことは理性ある男神たちが特に問題視している、相手の好意に応えられない障害であった。
愛しい相手だからこそ、その血脈をつないでいってほしい。
まして神たる身は基本的に永遠である。
一度受け入れれば時間がたつごとに相手が増え、そして相手の血は絶えていく。
愛していればこそ、そんなことは受け入れられないのだ。
アミッドや同じ神を愛しているナァーザ。神違いならば、ヴェルフに命。
好意を向けられていたそれぞれの神は皆、このことを本来無視できないはずだった。
だが、アイズが切っ掛けになったハーレム文化によってうまれた新しい寛容さがこの問題を別口から解決したのである。
神と人で子供ができないのであれば、人と人で成してしまえばいい。
お互いへの理解が泣ければ成り立たない新しい結婚様式ではあったが、前例さえ生まれてしまえば普及もはやかった。
「タケミカヅチ様のご結婚に際して、うまくいったことは記憶に新しいと思います」
最初の神婚の達成者として知られる神タケミカヅチとその妻になった命のことは当然アイズも知っている。
なにしろその命との間に子供を儲けたベルから相談を受けていたのだから。
「ミアハ様は私とナァーザ・エリスイスに、そうでないなら受け入れられないと。私たちの子供やその孫まで愛し続けたいのだと、言われて……」
「それで夫に頼んだわけか。だが、アミッド。夫に頼む、というのはいささか以上に問題を感じないのか」
「奥様のおっしゃることはわかります。ですが、これも私なりの熟考の末なのです」
「きかせろ」
「はい。男性の方に明確な愛をささげる存在がおられた方が、後々、後腐れせず、お互いに過ごせるのではないかとまずは考えました。……身体を重ねて、子供をつくって、産まれた子にとってはその相手と私が親です。お互いに相手に情が移る可能性は間違いなくあります。それを抑制できるかと」
アミッドのいう懸念はもっともだった。
そしてそれは神側の望むことでもある。
その上でも愛している相手と同じ道を進みたい人でなければ、神婚はうまくいかないだろう。
「それに、加えて……申し上げにくいのですが」
「なんだ」
「私の人生において……異性としてこの方ならばと思える相手が、アイズさんしか思いつかず……重ねますとアイズさんと奥様が、いずれはオラリオを旅立たれると知っている身としては、その間に産めればご迷惑も最小限にすむのではと……勝手なことを誠に申し訳ありません」
長机を挟んで話し合うなか、深々と頭を下げたアミッドは自分の行いが恥ずかしくてたまらなかった。
目の前の仲睦まじい夫婦を前にして何を頼んでいるのだと思わずにはいられない。
アミッドは二人の結婚式に席数少ない友人枠で呼ばれていた。
だからあの声を聴いていたのだ。
──「綺麗」
──「誓います」
それは、美しい声だった。何一つ不純物を感じない言葉だった。
本心という言葉で表すことができない。それでは足りない。心をそのまま差し出したような清廉さだった。
直接言われたわけではない自分ですら、その短い言葉から伝わる想いの深さに紅潮せずにはいられなかった。
他の女性と関係をもとうが、そんなものあの言葉を聞けば愛情を疑う気にもならない。
あの言葉を受け取ったリヴェリアのことをその場にいた女性全員が羨んだだろうと確信を持てる。
そんな美しい愛情で通じ合っている夫婦に何を頼んでいるのか──。
「身勝手な女の言葉を、どうか、お許しください」
頭を下げ続けるアミッドを見下ろしていたリヴェリアは話を理解して、口を閉じた。
もう自分が言うことはない。
隣にいる夫と視線を合わせて、一つ頷く。これだけでいい。
「了承した」
驚いた様子で頭をあげてきたアミッドに夫が頷いている。
神婚のためだけならば問答無用で断った。
だが、相手がアミッドならば別だ。
理由がそれで、相手がこの娘なら、断ることはできない。
夫が同じ気持ちであることなど確かめることもない。
今まで何度助けられてきたか。
どれだけ世話になったか。
オラリオを去る前に感謝を伝える機会が欲しいと思っていた相手が、罪悪感に押しつぶされそうになりながらも、それでも頼み込んできているのだ。
(それに、もとはといえば……)
隣の夫を見る。
話が進むということは夜を共にするわけで、それを理解したアミッドが湯だったように顔を紅潮させるのを見た夫も少々顔を赤くしている。
昔なら、大慌てしていただろうに今では落ち着きがある。
自分を含めた複数人の女性と関係を持ったからこそ、獲得した落ち着きである。
(自分の夫の女性関係が発端でハーレムなどという言葉が広まったのだ。妻としては自業自得ではある)
リヴェリアは今晩は寝かせてやるものかと、甘えることに決めた。
そうとも知らずにアミッドと日取りを話し合っている夫にすこしだけムッとしながらも、それを胸に秘める。
妻の胸のうちにたまった不満が今夜爆発するとも知らず、夫は友人の望みのため話し合いを進めていた。
翌朝、枯れ果てたアイズの姿にその
◇◆◇
アミッドは
すでに
すでに湯浴みも済ませ、自身ができるすべて準備を用意周到整えている。
残った最後の準備を探すならば下着を脱ぐか脱がないか、である。
(彼女の意見を鵜吞みにしてもよいのでしょうか……わからないわけではないのですが)
男性が脱がせることに興奮することはさすがに知っている。
それに自分でも女性の最後の砦ともいえる下着を最初から身に着けていないというのは……淫らに過ぎるのではないか、とも思ってしまう。
(──なにを言ってるのでしょう。子宝を恵んでほしいと頼んでいる身で)
自らの滑稽さに少し緊張がほぐれたアミッドは上の下着を脱いだ。
その場にアイズがいればその光景一つでその気になるような光景だった。アミッドの持つ、細身の体躯の内にある、柔らかな膨らみがあらわになった。
そんな魅惑の一瞬を軽率に消費したとは気が付かず、アミッドはそのまま下着を上下とも脱ぎ、裸の上にローブを一枚纏った。
(ミアハ様……)
もう来る。
扉の奥から小さな物音を聞き取り、この日最後の祈りと許しを愛している神に込めた。
──
本当ならば、こんなことをさせたいとは思わないだろう。
だが、こうでも要求しなければ自分たちが相手を見つけようとしないとわかっておられるからこそ。神様たちはご提案されたに過ぎない。
それに反発する者がいるのもわかる。恋ならば意地を通してみせれば美しいことだろう。
だが愛しているのなら。愛ならば、相手の愛情を理解しなくてなんとするのか。
──私の子供や孫を末永く愛したいと言ってくれた
扉をたたく音が静かに三度続いた。
アイズが念入りに定めていた最後の確認だった。ほんの少しでも嫌なら、ここで返事をしないでほしいと。
その扉をたたく音の響き一つでわかってしまう友人の優しさに感謝してアミッドは覚悟を決めてその名を呼んだ。
自らを孕ませる唯一の男を。
「お入りください。アイズさん」
◇◆◇
二人の『はじめて』の始まりはキスではなかった。
唇を交わすことだけはしないでほしいとアミッドから言われていたアイズは緊張の面持ちのアミッドをまずは抱きしめていた。
「……あの」
「どうか、した?」
「……いつされるのだろうか、と」
その抱擁にしばらく甘えるように身を預けていたアミッドが、アイズの胸の内で言葉を漏らすように問いかけた。暖かい抱擁に包まれている中では少しの時間ですら長く感じられた。
(……これは、少々、ダメなきがします)
お互いにすでに裸である。
一糸まとわぬ姿での抱擁はたがいの体温がまじりあい、一つになっていくようだった。
その混ざり合う一体感がアミッドには子作りよりもよくない行為のような、そんな気がしたのだ。
「……アミッド、もう寒くない?」
「え?」
「部屋に入ったとき、寒そうだったから……寒いより暖かいほうがいいよ」
そう言われてアミッドは気が付いた。
自分はいつから準備をして寝室でまっていた?
(……私は、入浴を済ませて、人払いを頼んで──)
そのあとは下着姿か、ローブ姿か──裸だ。
湯冷めして当然である。
気が付かないうちにきっと冷え込んでいたんだろう。
それは最初に手を取ったアイズが驚くほど冷たく、緊張や怖れを伝えるものであった。
「だから、このように──」
ずっと抱きしめてくれているのか。
一つになったような抱擁はお互いの身体の“相性の良さ”が原因でもあったが、もっと頭で理解しやすい原因がソレであった。アミッドが冷え込んでいて、アイズの体温で温まっていったからである。同じ暖かさで満たされれば一体感もうまれるはずである。
頷いて、頭を撫でてくれるアイズの胸にすっぽりと埋まりながらアミッドは自分が自覚以上に緊張していたのだと理解した。
「はじめてのときはこれほど緊張していなかったと思うのですが……」
「これも、はじめてだからじゃないかな?」
「これも……?」
「うん。私とアミッドの、はじめて……ほら、聞いて? 私も胸が暴れてる。緊張してるよ」
アイズの内に抱えられていたアミッドが、その胸に抱え込まれるように密着した。
数年前の少年少女だった頃であれば違ったが、今ではアイズのほうがずっと大きい。
──呑まれるような密着だった。
耳を凝らさずとも伝わってくる。その脈打つ熱の大きさに、鼓動の強さに驚いた。
同じだった。今も自分の内で早鐘のように打ち鳴らされている鼓動と。
「ね、同じでしょう?」
「はい……」
──これはまずい。
アミッドは少し強引に顔を離してアイズを見上げた。
黄金色の瞳が嫋やかに見下ろしていた。
その瞳に移る色が、その思いが、自分への優しさと慈しみ、愛情に満ちているのをすぐさま察してしまい、アミッドはこれもまずいと、顔を胸に預けようとして先ほどの鼓動を思い出して躊躇い、アイズの首に抱き着いた。
神もそうだが神に匹敵するような美形も同じだ。
どこをどうみても、どう感じても、見惚れるような女誑しであった。
「アイズさんは、卑怯です」
「え……?」
「天然です。ベル・クラネルと同じです。女誑しです」
「えっ、それは、違うと思う……同じに、見える?」
「同じです。私のほうが年上ですのに、少しも適う気がしませんもの」
「それは、私の経験値の問題で」
「はい。だからベル・クラネルと同じなのです」
「うっ……う」
友人として知っていた。
実はベルと同じ扱いを受けることに抵抗があるというアイズの秘密を指摘して、空気をかえる。
このままもし抱かれて、続けられたら、心が揺らぎかねない気がしたのだ。
(それも、ミアハ様は御望みなのでしょうけども)
神婚における神の望みとしては、ソレが一番であることは皆わかっている。
子供を儲けてもいい相手と慈しみ逢う中で愛情を育ててくれることを願っているのだ。
命であればベル。
ナァーザであればベル。
ヴェルフであれば椿。
同じ神婚に挑んでいる同志たちも皆、この時に動揺しただろう。
(……ベル・クラネルと同じというのは、言いすぎたかもしれません)
多人数の妻に加えて神婚相手すら大勢いるベルと同じと言われれば、アイズが苦心するのもわかる。
アイズは妻は一人で、神婚相手も自分だけなのだから。
自分を抱えながらすこし困った顔をしているアイズがほんの少し、自分より年下に見えて可愛げを感じさせた。
そんな顔も女誑しだと思いつつ、アミッドは謝罪と感謝を込めてその頬に唇をあてた。
「アミッド?」
「すいません。言いすぎました。……今のは私からの気持ちです」
「ありがとう。……私からも、いい?」
「どうぞ。……キスをしたことがない両親というのも、如何なものです」
唇で受けるわけではないが目を閉じて構えたアミッドの頬にアイズの唇が近づいて、キスになる。
自分より圧倒的に上手だとアミッドは思った。
キス一つでも自分のものは唇をあてただけだが、アイズのものはキスだった。唇で交わしたわけでもないのに、空気がまた出来上がっていくのを感じ──。
(あ──)
気が付いた時には見上げていた。
黄金色の髪がたれ落ちて影をつくっている。
その中に先ほど目をそらしてしまった瞳があった。
優しくて愛情にみちた──男の瞳だった。
先ほどまでアミッドの細い腰を支えるように抱き留めていたその指先が、頬を撫でた。
細いようで指先は硬く、まさしく男のものであった。
──指が肌を滑る。
頬を伝い、首筋をなぞり、柔肌を押し上げている鎖骨をなぞって肩を撫でた。
寒気ではない寒気をアミッドは感じた。
寒くはない。アイズによって暖められた体は熱に満たされてる。
だが、その一瞬体を奔ったソレはアミッドには寒気としか表現できなかった。
(暖かい、寒気……?)
初めて感じた奇妙でどこか落ちつかない感覚に戸惑うアミッドをアイズはそうと感じ取った上で無視する。
ここからはもう確認など不要な世界だった。
アミッドはアイズの瞳を見上げながら触られるままにアイズの手を肌で追いかけた。
肩を撫でた指先が腕をすこし撫で這い、肋骨を伝うようにしてぬけていく。
見えない服を脱がされた、そんな気分だった。
ずっと裸だったというのに脱がされたという気分を感じた瞬間に、恥ずかしさが頭の先から突き抜けた。
あらわになったと感じた胸元を急に意識してしまう。
ちょうどその時、指先が胸をしたから持ち上げるようにしてその手中に収めた。
アミッドは口元に指をあてた。
声が漏れそうだと思ったのだ。理性など何も感じない雌の声が。
柔らかな二つのふくらみがゆっくりと押し揉まれて、形を変える。
気持ちがいいというより、揉まれるたびに昂るような熱がその先にこもっていくようだった。
ぴんっと硬くなった乳首を感じてアミッドは顔をそらして、しかし、目で追った。
胸が揉まれその先端に意識がもっていかれるなか、アイズの口がそれをとらえた。
ビクンとした振動は隠しようがなかった。
アイズの口の中で硬くなった乳首が可愛がられている。
舌で撫でられ、あやされてえらいえらいと褒められてる。
──はぁ♡
それは声ではなかった。声ならば抑えれていただろう。
それは呼吸だった。吐息だった。だから抑えられなかった。
右の乳首が吸われてぴくんと弾かれると、アミッドの口から漏れ出したのは甘い痺れに感電した雌の吐息だった。
ぴくぴくと小さく震えた桜色の先端はもっと欲しがっていた。もっと可愛がってほしいと。
だが、期待に疼くのはもう一つのほうだと、快感に酔い始めた雌の様子を
アイズは期待に応えるように待たされていた左の乳首を同じように可愛がる。
雌の望む通りの快感が与えらえると先ほどよりも吐息に艶やかさがました。
──は、ん♡
指を口に当てて声を控えているアミッドは気が付いていない。
自分の声がどんなものか、今、どれほど
だが、それを嫌でも自覚させるのは
吸われて淫らに部屋の明かりに照らされている乳首を、アイズは両方とも同時にしごいた。
人差しと親指で硬くとがった乳首を芯からしごき潰すような愛撫だった。
アイズの指先の中でごりゅごりゅとした手応えが繰り返される。
「ふっぅ!? ふ──っん、ぐ、ぅんん♡ んんっ♡」
堪えた口端から漏れ出した嬌声が、アイズのしごきに反応して溢れてくる。
アミッドはこんな愛撫は知らなかった。
胸を吸われたのも初めてだった。
彼女の処女を散らした神様は、それしか与えてくれなかった。
だが、目の前の
雌の期待を敏感に察しながらアイズが教えるのは孕ませられる
「────んっぁ、あっ」
両乳首がご褒美を与えられて大喜びするほど漏れ出し続けた雌の喘ぎ声は自身の胎の内側から響いた衝撃によって遮られた。
びゅぅっ、びゅっ。
雌穴から白く濁った濃密な愛液が吹き出た。
最初の一吹きが雄の射精のような勢いをもってアイズの身体に飛び散った。
(──い、っ、イ、た?)
アミッドはそんな自身の身体の反応を知らなかった。
初めての時に
だが、こんなものは経験したことがなかった。
潮を吹くようなイキかたに胸だけでたどり着いたことなどあるはずがない。
未体験の快楽は耐え固まっていたその身体をくたりと脱力させた。呆然とした顔色の中に明らかな艶やかさを宿して吐息に熱を持たせた。
それは
その証のように胎への入り口である花唇が蜜で染めあがっていた。
アイズの手がいつのまにか、腰をつかんでいる。
力を入れているように全く感じさせないのにアミッドにはその拘束が絶対なものだとわかった。
(ぁ──)
密で溢れた花唇、その入り口にアイズの熱棒があてがわれていた。
アミッドはアイズのものが硬くなったのを見てはいない。
裸になった際にさっと確認したそれは唯一経験したことのあるモノと同じほどだろうかと思えた。
だが、今その時を迎えようとしている瞬間にあってアミッドはそれが間違いだったとわかった。
伝わってくる熱さも重さも、太さも違う。
塗り替えられるようなモノの違いだった。
ずりゅぅっ。
溢れていた蜜がはみだして結合部から飛び散った。
「ぁ、あっ!」
一瞬理性が脳から警告をくだすように愛してる人の姿を思い浮かばせる。
だが、それは声になることも態度に出ることもなかった。
自身の雌の奥へと入り込んだモノが理性も想いも全てを塗りつぶしてきた。
アミッドの口がだらしなく開き、小さく開閉して舌をのぞかせる。
言葉と空気を求めたような、何か、最後の名残を感じさせるようなしぐさだった。
事実そうであったのかもしれない。
もしここでアミッドが一言でも
今から行うように──自分のモノにするように抱きはしなかったはずだ。
理性の箍が外れ始めていたのはどちらも同じであった。どちらも等しく相手に酔っていた。
だから、踏みとどまるタイミングを逸すればあとは堕ちるだけであった。
アミッドの胎の内、その奥で、まだかまだかと蠢いていた子袋が待望の雄を迎え入れて接吻を行った。
ちゅうちゅうと吸いつくそれをあしらうようにアイズはゆっくり、ゆっくりと時間をかけて入り口まで引き戻った。
それは弓の弦を引いた瞬間だった。相手を射止めるための最後の動作だ。
(ぁ、あ、あい……)
それに射られたらどうなるのかを本能が理解した。
身体が、胎の奥底から射られるのを、堕とされるのを待っているようだった。
「ぁぃ、ず、さ──んぁ♡!!」
じっと見つめ続けるアイズの瞳に何かを見て、アミッドは声をあげて──啼いた。
子袋に雄の矢が深々と突き刺さった。
アミッドの細い指がシーツをつかんで、そのまま引き破った。
そのシーツの引き裂かれる音が決定的な象徴のように響いた。
それは、お前の雄は誰かなのか、お前は誰の
「あ、あ、あ、ぃ、んぁ、あ、んっ、ひ、イっ、ぐ、ん♡ ! は、ンっ、いつッたあ♡ と、あ、ン♡」
だらしなく開いた口からとめどなく漏れ出したのは雌の啼く声だった。
アイズが子袋をなぶり続けるたびにアミッドは許しを請うように甘い声を上げ続ける。
一度の突き刺しで二度、身震いするような快感がアミッドを襲った。
蜜で溢れた膣壁が雄に媚びるようにへばりつくのを引きはがされるその瞬間に、一度。
もっと欲しい、行かないでほしいと蠢く子袋が射抜かれるその瞬間に、一度。
大きな痙攣に小さな痙攣が続き続け、また大きく打ち震える。
嬌声の中に声が残っていたのは最初だけだった。
快感の波は続き、絶頂のしびれが幾度となくアミッドの脳を溶かした。
「あ、へ、あ、、あ、あ、ん♡ あ♡ ん♡ ンッ! ぁ♡ は、ぁ♡」
雌を射止めてからひと時が過ぎた。
アイズは子袋へと突き入れたままアミッドの様子を、“初めて”確認した。もう相手の焦点があってなかった。
「ぁ、んっ♡ ん、ほ、んぉ♡」
「……」
逃さぬように腰を固定し続けていた手をのばして、アミッドのガチガチに勃ちあがった乳首を抓り上げる。
馬の手綱を引くように左右とも引き上げて様子を確認した。
「んおぉ!? お──ほ♡」
強い痛みすら伴うほどの快感にもかかわらず、アミッドはその瞳に理性を灯すことはなかった。
四肢から力が抜け落ち、されるがままを受け入れている。
それは胎の奥も同様だった。ぐっとアイズの肉棒が突き刺さるのを柔らかく受け入れている。
「……」
アイズは言葉を発しようとしてその口を噤んだ。
不要だったからだ。
後々、何が不要だったかを説明しなかったのがこの夜の一幕を全く別の色で塗り固めることになるとも知らず、アイズはアミッドの胎と腰に手を回し、押さえつけた。
子袋が後ろへ逃げるのを許さないそれは最後の仕上げのための、最後のトドメを与える決定打である。
「ぁ、ん、ぁ♡」
この夜、雄の突き入れを何度も受けて緩んだ子袋の口へとその穂先が入り込んだ。
逃げようとする子袋を上下から押さえつけて逃さない。
ずぷ。
ようやく先へとすすめたと言わんばかりに入り口をこじ開けた先で本能が訴える。
いい加減にアイズの中で我慢の限界を超えてくる。
「……孕ませるよ。アミッド」
聞こえていないとわかっているのだから、これも必要はない。
必要もないことを言ってしまうのは我慢をやめると同時に感じた申し訳なさの表れだった。
「あ──っ♡ あ──……ぁ……♡」
突如として子袋を満たしてし染め上げる濃厚な子種の熱が注がれる。
我慢に我慢を重ねて貯めこんだ子種を流し込む。
子袋の許容量を超えた白濁としたソレが結合部から滲み溢れでた。
「……は、ぁ。ふぅ、はぁ」
射精と共にこらえてきたものがアイズの口から洩れた。
今すぐ襲い掛かりたい雄の衝動だった。
目の前の雌をひたすら犯したいそんな耐えがたい欲求。
──先ほどまでの行為が理性で押さえつけた交わりだとアミッドは思いもしないだろう。
このまま続けて満足し終わるまで抱き潰したい。
そんな雄の欲求をアイズは切り払って、射精が終わるのをまった。ため込んだ種はまだ注ぎ終わっていなかった。
種をまきながら完全に意識を手放してしまったアミッドを見下ろした。
相手が自分の
「……それは、また」
貴女が望んだ時に。
そう呟いて頬に唇をあてる。
それはキスではなかった。
それは印を刻んだに等しかった。
大事な友人に幸せがあるようにとアイズは願っていた。
◇◆◇
あれから、三日経った。
やはりというか、当たり前といえばいいのか。
予想していたことではあったのだが。
アミッドはアイズとの間に子宝を──授かっていなかった。
「やはり、一晩でそう、うまくはいきませんね」
「そうだね……ごめんねアミッド。あの夜で終わりにするつもりでいたんだけど」
今夜は二度目の種付け日だった。
どれだけ準備をしようとも、どれだけの覚悟を持って挑もうとも。
子宝を授かるかは神様でもわからない時の運というものがいる。
それこそ一晩で授かる者もいるだろう。
そんなつもりでない遊び感覚で産まれる命だってある。
自分たちはまだその運気に巡り合っていないだけだ。
だから、アイズとの子作りはまだ終わらない。
──まだ、終えなくていい。
「アイズさんが謝られることではありません。それは私の言葉です。それに前回は、その……」
「前回、は?」
覗き込んできたアイズと視線が絡み合う。
その瞳を漠然と眺めていたという記憶しか前回の記憶がアミッドにはなかった。
何か大事なことが定まったような、何か大事なことをしたような気がする。交わったのは感覚としてわかっていたが、覚えがまるでない。
──ただ気持ちよかった。
「前回は……私が不甲斐なく気をやってしまったせいで満足にできなかったのではないですか?」
最初の種付けの時、朝になって目が覚めてみれば先に起きていたアイズはもう衣服を整えていて、部屋を片付けていた。
アミッドからしてみればアイズが自分をベッドに寝かせて、お互いの視線がぶつかり合った時から目が覚めるまで、瞬きの間の出来事だった。
「ううん、アミッドはちゃんと相手をしてくれていたよ?」
「そう、でしょうか?」
「うん……ちゃんと、気持ちよかった、でしょう?」
「──ぁ」
覗き込まれた瞳とその確認するような声音に、自分の中で何かが切り替わるような感覚が沸き上がってきてアミッドは戸惑った。
だが、その戸惑いの間も一瞬だった。首を傾げた様子のアイズをみてアミッドは慌てて頷いた。
気持ちよかったのは間違いないと、その感覚だけは残っていたのに頷かなければ相手に失礼であった。
「不束者でありますが、今夜もよろしくお願いいたします。アイズさん」
「うん。こちらこそ。……とりあえず、今夜は一緒にシャワーを浴びよう?」
お互いを待っている間に湯冷めしないように。
という友人の言葉に前回の緊張しすぎた自分を思い出してアミッドは恥ずかしがりながらも頷いた。
こうして──子作りと以外のことも、回を重ねるごとに許しあっていくのであった。
アミッド編続く。
お読みくださりありがとうございます。
【雌雄】ぽかったのではなかろうか。つまりは若干のNTR気味な雰囲気なわけですが、【剣騎】でそうなるの? みたいなところは違うわけでその辺楽しんでもらえるように続きを書けたらいいなと思います。
アリシアと春姫では初めてするシーンを下味程度に扱っているので、アミッド編はそこにフォーカスしてます。
エロいのって雑に書けばいくらでも雑になりますけど、手を加えよう、いかにエロくできるか、とか考え始めると勉強になるなと感じる瞬間が多いです。
エロくて連想できればいいんだ! と表現の言葉を考えたり。
もっと大きく空間を切り取って徐々にフォーカスしていくような構図で書いてみたい、と思ったあとがきです。
よければご感想をぜひください。
特に【雌雄】好きな人がどう評価するのかは知りたいです。
【雌雄】も頑張って続きかきます。