※この作品はR-18です。

ダンまち in妄想部屋   作:美柚

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この剣騎と銘打った投稿作品は アイズが男性だったらというハーレム作品になります。
メインヒロイン:リヴェリア
サブヒロイン:アリシア、春姫、アミッド(NEW)

になります。
この話はアミッド編の終わりになります。

想定より五千字ほど多くなりましたが読みやすければ幸いです。

※性別反転有、R18


剣騎アイズ・ヴァレンシュタインの逢引

 機会を作ってくれた同志に感謝してアミッドはホームへの帰路についた。

 相手のホームから外に出てみれば、日はまだ高い。夕焼けにすらまだ時間があるだろう。

 

 (随分と話し込んだと思ったのですが……)

 

 空を見上げて感じた驚きを表したように少し静止した。

 他の方の目がない時を選んでここに招かれた際には、随分と重たく感じていた気分が晴れたからなのか。頭上の空模様が透き通って見えた。

 精神的な問題で時間経過を正確に感じられなくなっていたのだろう。それはつまり、この空のように気持ちに整理がついたということに他ならない。

 アミッドは今出てきたばかりの入り口を振り返り改めて一礼をした。

 見送りは結構と身重の同志を制していたが、であれば窓から見送っているに決まっている。

 顔を上げてみれば身重の同志──ヤマト・命がその膨らんだお腹を押さえて小さく手を振って見送ってくれている。

 アミッドはこの相談の礼は明日にでも行わなければとそのお腹をみて決める。

 じきに出産祝いが必要になるのは明白だった。重なってしまうのは避けたい。

 手を振り返して小さく会釈をし、歩みはじめる。

 迷宮都市の中では今日も忙しく人が行きかっている。その中には時折、友人と同じファミリアの冒険者も歩いていてこちらに気が付くと挨拶をしてくれる。

 それに常のように応対しながら、ヤマト・命に言われたことと友人であるアイズのことが頭をよぎった。

 

 

 神婚のためにアイズと関係をもってから二か月近くがたとうとしていた。

 

 

 妊娠懐妊という結果が出ないことにはいまだに焦りはない。

 そんなものだろうと納得できるくらいには二か月というのは計算外のことではない。子宝というものは巡りあわせなのだ。

 アミッドにとってこの二か月で計算外だったことは、行為を重ねるたびに揺れる自身の心だった。

 

 ──「アイズさんが悪いということではないのです」

 

 神婚の先駆けであるヤマト・命に相談していた時のアミッドの表情は曇っていた。

 光を遮り見えるものも見えていないような曇天がその瞳に映っていた。

 

 ──「ただ、自分の心が、心地よく感じていて……情けないのです」

 

 愛しい神への裏切りのように思えた。

 例えそれが愛しい神の望む通りの反応であろうと、自分の心は自分の物だ。納得できるかは別の話である。

 二か月の間に溜まった悩みは同じ立場でなければわからないだろうと、命に相談することは自然な流れであった。

 だが、苦心の末に持ち込んだ相談であったのに命の反応は少々虚を突かれたようなものであった。

 

 ──「お伺いするのですが、【剣騎】殿の子供を身籠ることは御嫌ではないのですよね?」

 ──「はい。嫌な相手であれば例え望まれようと身体を許したりいたしません」

 ──「……であれば、答えはでているのではありませんか?」

 

 何を迷っているのか。

 どこを問題視しているのか。

 そもそも話の捉え方が違うのではないか。

 

 神婚において自分がいかに“理性的”過ぎたのかアミッドは命から教えられた。

 

 ──「わたしはベル殿と二人で過ごす際に愛し合うことを躊躇ったりいたしませんよ」

 

 それができないならそもそも相手に選べない。

 その覚悟なくして産まれてくる子供にどう説明するのか。

 

 ──「ですからアミッド殿も。二人で過ごされる際は子供の親同士、仲睦まじく過ごされればよろしいかと」

 

 そう助言しながら膨らんだお腹を撫でる命の顔はもう母親のソレだった。

 彼女は神タケミカヅチと仲睦まじい間柄でありながら、産まれてくる子供の両親としてベルと愛し合う強さを持っていた。

 

 (強さ。いえ、違います。アレは強さではなく──信頼)

 

 神タケミカヅチと子供の父であるベル。

 両者に対して信頼があるから、愛し合うことを恐れるということがない。

 だから相談を告げた際の、あの驚きの顔があったのだ。

 

 帰り道の途中、足が止まる。

 

 アミッドの視線の先でアイズが子供を抱きかかえて歩いていた。

 何を見ても珍しそうに、楽しそうに視線をさまよわせる幼子は父と一緒にいることが何よりうれしいのだと傍目にだってわかるようにその小さな手でアイズを掴んでいた。狐人の娘らしく喜びが緩やかに狐尾を動かしている。

 そんな娘の様子が伝わっているのだろう。表面上は普段あまり表情を崩さないアイズが、珍しくずっとにこやかに笑っている。長い付き合いのアミッドでもあまり見ない顔つきだった。長い付き合いで見れるものではなかった。

 

 それは父親の顔だった。

 

 父と娘の時間に水を差すような真似はできないと回り道を選択するために踵を返し、去る前にもう一度振り返った。

 神ヘスティアの屋台でジャガ丸くんを買っている父と娘の姿があった。

 

 (あのように──)

 

 腹に手を当てて、撫でた。

 まだそこには誰もいないというのに、羨む思いがそうさせた。

 

 あのように。あの子のように、あんな風に。自分の子供にも──。

 

 (父親として愛してほしい──)

 

 腹の内が疼いたのは、きっと勘違いではないのだろう。

 

 

 

 ◇◆◇

 

 

 

 自分の種に問題がないのは娘が証明してくれている。

 

 迷宮都市の空をもうじき夕焼けがオレンジ色に染め上げる頃。

 娘と並んでアイズはゆっくりと歩いていた。親子の家である【ロキ・ファミリア】のホームまでの緩やかな帰り道だった。

 母親お手製の草鞋を小さく前に進めながら父の手を掴んだ娘は、時折父を見上げ、視線が合えば控えめな喜びを微笑みで伝えていた。

 

 「さっき食べたのは、お父さんとの内緒、だからね?」

 「はぁい」

 

 アイズは先ほど食べた夕飯前の買い食いを内緒だと言い聞かせたが、すぐにばれてしまうだろうな、と娘の様子を見て理解した。まだ幼い娘は母親たちに隠し事ができるような知恵はない。なにより自分の娘だった。隠し事が苦手のがよくわかる。

 それに春姫の娘である。ゆらゆらと喜びを表すように揺れる狐尾は娘の想いを周囲につまびらかにする。

 

 「お母さんによく似てるね」

 「?」

 

 漏れ出した言葉を耳にして不思議そうに見上げる娘は自分のように隠し事が下手で、母親のように狐尾が感情を素直に表す。娘の姿に自分たちの面影を見ては頬が緩む。

 リヴェリアやアリシアに何をしてきたのだと問われればすぐに買い食いしてきたことが伝わるだろう。

 だがそれで妻たちの機嫌を損ねることはないとも娘の様子を見ていればわかる。

 愛らしい娘の姿を見れば買い食いの一つ許したくなるほどに自分や妻たち、さらに言えばロキや仲間たちも甘々であった。

 本来なら厳しく躾けるだろうリヴェリアですら甘くなるのは娘が甘やかされても利口であるからだ。

 甘やかされても甘え切らない歳不相応な落ち着きと──遠慮。

 

 その遠慮の原因が自分にあることをアイズは理解していた。

 

 迷宮都市中の冒険者が忙しく立ち回ったあの時期に産まれたこの子の面倒を見たのは春姫とロキだった。

 いや、母親と主神ですらつきっきりで相手を務められるほどに余裕を持てなかった。

 母であっても、神であっても、あまらしておけないほど切羽詰まった事態だった。

 その中で父であるアイズが──第一線で活動していた冒険者が、子供を構う時間を持てなくても誰も責めはしなかった。

 この子が寂しさを感じてもそれを表に出さない習慣を身に着けてしまったことを、周囲はどうしようもなかった。

 

 周囲は誰も責めてくれなかった。

 

 だからアイズは自分を責めていた。未来永劫、ずっと責め続けるのではないかとさえ思う。

 こんなに愛らしい我が子が無自覚に我慢している。

 もっと我がままを言ってほしい。もっと泣いてほしい。もっと親に迷惑をかけてほしい。

 そう願ってしまうほどに娘は親に迷惑をかけまいと利口さを身に着けてしまった。

 

 ──「おとうさま、と、おでかけしたい、です」

 

 何が欲しいかと聞かれて父親にお出かけをねだることすら、口にするのをためらった。

 抱っこしてもらうことすら遠慮がちだった。

 いいの? と喜びを隠した瞳で確認する様を見てどうして自分を責めずにいられるだろうか。

 

 (だからこそ──)

 

 家を目前にしてもう一度娘を抱きかかえる。

 少しの驚きと楽しさと喜びをその瞳に映した娘が控えめに、その小さな手でつかんでくる。

 こうして掴むことすら遠慮させてしまうような親でありたくなかった。

 

 「もっとそばにいるよ。おとうさんは、もっと」

 

 娘の頬にちゅーをして腕に抱き上げ胸に抱える。愛しい温かみが自分の腕の中で嬉しそうな声をあげていた。

 この暖かさに相応しい父になりたい。

 そんな父の願いを胸に抱えたアイズに、まだ見ぬ、まだ抱けない、まだ産まれていない我が子への想いが湧き上がってくる。

 

 (アミッド──)

 

 娘との買い食いのさなかに見かけた友人の後ろ姿が思い浮かぶ。

 かけがえのない友人との間にまだ見ぬ子を求めて夜を共にしてから、もう二か月ほどになる。

 また約束の日がくる。うまくいけば子宝に恵まれるかもしれない。

 腕の中で身を預けてくる娘の──腹違いの妹弟。

 ソレは決して遠くない将来に出会えるだろう。リヴェリアともアリシアとも、いずれは子宝に恵まれたい。いずれ娘を長女とよべるような家を持ちたい。

 だがアミッドとの間に産まれる子は自分の子供ではない。そう呼べない。アミッドと神ミアハの周囲で育まれる家の子だ。

 成せぬ神に変わって、種をまいているだけに過ぎない身でどうして子供の父と名乗れようか。

 

 振り返る。

 

 その先には想い人はいない。

 想い人と自分はあくまで友人でしかない。

 だが、その間に生まれた子に自分は何もしてあげられないのだろうか。

 その子は、親に甘えられない子に、なりはしないだろうか。

 

 (私が、そうしたいって思うのは……ダメかな。アミッド)

 

 その子に父親の顔を見せるのはダメだろうか。

 茜色の空が暖かさとともに夜の冷たさをはらみはじめる。

 その冷たさが娘に伝わる前に、アイズは出迎えに来てくれた妻たちの気配に振り返って、ただいまを告げた。

 

 

 

 ◇◆◇

 

 

 

 二か月もすれば当然慣れはじまる。

 準備から緊張していた段階は最初の一月が過ぎるころには見る影もなく、そこからもう一月経った現在では対策と呼ぶべき段階に至っている。

 アイズとアミッドはこの二か月の間にすっかり馴染の場所になった部屋で夜を過ごそうとしていた。

 子作りを目的とした二人の夜はこの二か月でやり方が洗練されている。

 当初は不慣れなアミッドと気を使いすぎているアイズとの間で食い違いのような暴発も起こっていたが、それはもう過去の話であった。

 今では手順が決められていてそれをこなす時間である。

 二人でシャワーを浴び、アミッドが手や口で奉仕する術を学ぶ。

 二度、三度とアイズに種を吐かせては口で味わい、精液の味や匂いに慣れ親しんでいた。

 当初なら趣旨に反するような行為だと思えただろうが、アイズのできる回数を目の当たりにすればむしろ二度三度吐き出させてからが本番だとアミッドは理解するに至っていた。

 現にアイズの逸物は溜まった種を吐き出すと、まるで蓋が外れたような様をみせる。

 厚みを増したソレは種を放った直後とはまるで思えない代物で、まともに直視したアミッドはアイズが何か薬でも使っているのではないかと疑ったほどである。

 幼少期から現在に至るまで、この点に関しては恋人(アリシア)が育てたと断言できるその有様は、高レベルの冒険者としての機能が雄としての能力にどう反映されるのかをありありと示していた。

 

 この夜も、始まりは手慣れたほどに──仕込み終わったものであった。

 

 アミッドの顔で跳ねた精液が濁った白い斑模様を広げている。

 広げたその小さな口では受け止めきれなかった白模様はどぼどぼした粘着性でその顔に長くとどまりながら、ゆっくりと浴室の床に伝い落ちていった。

 

 びちゃ……びちゃ……。

 

 すでに四度目の吐精でありながら、口内を埋め尽くして漏れこぼれ広がった精液は床に白溜りをつくっていた。

 アミッドは、舌に絡み口内から自分を染め上げる子種をゆっくりゆっくり、時間をかけて飲み干している。味わい慣れるためにあえてそうしていた。

 

 「──アミッド」

 「──はぁい。のめ、ふぁみんた」

 

 雄の眼で見下ろすアイズに頭を撫でられると、雌の眼で見返しながらアミッドは舌をみせて全部飲めたと報告する。

 その様は彼女の恋敵のように犬のような尻尾や耳がみえるような、雄に媚びるものだ。

 この後への期待に胎が疼きアミッドの内から自分自身を麻痺させるように静かな痺れを伝えさせていた。

 

 二人の『はじめて』から二か月。二人の身体は二人の意思とは関係なく仕上がっていた。

 

 アイズの本能が告げる──目の前の女は自分のものだと。

 アミッドの本能が受け入れる──目の前の男のものだと。

 そうして二人の身体が動く──本能の通りに。

 

 いい子いい子と撫でられれば、嬉しそうに雌犬になったアミッドはいつものようにご主人様に奉仕する。

 蓋が外れて一層猛々しさを増し天を衝く逸物の先に口づけた唇がちゅっと音をたてる。音をたてるのも主人を喜ばせるために自然と学んだ女の術だ。

 

 「ちゅ♡ ~~~っぅ。ん、ちゅ♡ ~~~んっ」

 

 艶かかな吸う音を響かせて竿の先から、中に残った子種を吸い味わう。

 へばりついたように残った精液は蓋の名残だ。種付けのために子種が通りやすくするように、ご主人様が自分を孕ませやすくするために、アミッドは残り物を吸い出しきった。

 

 んべ──ん、くちゅくちゃ。

 

 液体とは到底思えない濁り汁を舌の上にのせて、見せつけてから咀嚼する。

 普段の食事ではとても出さない下品な音こそ、この場に相応しい雌犬らしいマナーだった。

 

 「はぁぃ。たべました」

 

 そう告げる出来上がりきったアミッドを見下ろせば、アイズも完璧に仕上がりきる。

 高性能な雄としての機能が目の前の女を孕ませるためだけに種を用意し始める。

 お互いの荒くなりきる直前の興奮に満ちた吐息が浴室を艶ややかな音色で満たした。

 

 「アミ、ッド──」

 

 そんな音色を自分が発している自覚をもちながら、アイズはアミッドの身体に手を回し──。

 

 「そろそろ、ベッドにいこうか」

 

 “友達”として、偉い偉いと褒めるようにその肩を撫でた。

 

 ここがこの時までの二人の線引きであった。

 この二か月で定まったことはなにも互いの本能だけではない。

 相手をモノにしたという手応えや、モノにされたという実感、相手のことを男と女として好きになっている思い。

 それらをお互いに理解しつつも、それを上回るのはお互いへの愛情だった。

 

 愛しい人の傍にいたいと願っているお互いの気持ちこそ最も大事にしたかった。

 

 だから出来上がりつつも、呑まれることも暴発することもなく二人は友人に留まりながら交わることができていた。

 アイズは手を貸すつもりで肩を撫でていた。足元はぬれ滑る白溜りができているので気を抜いていたら倒れかねないからだ。

 興奮が線引きによって断ち切られ、のぼせ上りそうになった思考が落ち着きを取り戻すと、痛みがアイズをいつものように襲った。

 

 (……──ッ)

 

 冒険者として幾多の痛みに慣れているアイズでもこの類の痛みは男として耐えがたい。

 興奮を断ち割って手元に残した理性が正確に痛みを認識する。

 

 自分のちんぽの勃起が痛みを伴うほどに強まっていた。

 

 興奮と雌犬(アミッド)によって引き上げられた怒張が与えるその痛みは本来、興奮が麻薬のように感じさせないまま種を吐き出させて鎮まることで、覚えずに済むものだ。

 だが身体が仕上がり切った中、心だけが落ち着きを取り戻したこの状況ではただひどい痛みを与えるものでしかない。

 痛みを自覚するとより赤グロくその存在を主張してくるちんぽに余計な刺激を与えないようにアイズが気を付けていると、アミッドの様子が少しおかしいことにここで気が付いた。

 じっとちんぽを見上げながら、かといって雌犬めいた興奮さを秘めているわけでなくその顔色は瞬く間に熟考を重ねて決断をするいつものアミッドの様子に見えた。

 

 「アミッド……?」

 

 どうかした? と続けようとしたアイズの声は途切れた。

 硬く反りあがった逸物にアミッドがそっと手を添えたからだ。

 痛みにしか感じ取れないような快感が電が落ちるような衝撃を与えて、アイズを硬直させた。

 

 「か──ぁ、あみっど?」

 

 情けないほどに震えた声が出た。

 友人としての面を構えてみせたはずの顔にびっしりと罅が走った。

 男の獣欲が裂け目からぎょっろとした眼を覗かせる。

 湯が沸いたような欲求を痛みとして認識して抑え込みながら、アイズは普段とは違った様子のアミッドを再確認する。

 アイズの視線の先でアミッドは逸物の痙攣するような怒張に驚きつつも、覚悟を決めたように浴室の片隅に置いてあった小瓶を手に取り、自分の掌の上に中の液体をたらした。

 

 「それ……石鹸の類じゃ、ないの?」

 

 アイズは怪訝な顔を見せる。今日アミッドが持ち込んだその小瓶のことをアイズは身体や髪を洗うための物だと思っていた。事後に汚れた体を清めるのだろうと。

 だが、小瓶の中身はアイズが知っている石鹸の類とは異なっていた。まずそれはもはや液体ではなかった。片手で持てる小瓶の中から、零れ落ちるまでにゆっくり時間を数えられるほど粘体だった。

 スライムかと思わせるようなその粘液は、アミッドの掌の上でゆっくりと広がってはいるもののほぼとどまっている。これをみて液体と呼ぶ輩のほうが少ないのは間違いない。

 そんな粘液を掌の上に出し終わったアミッドはアイズのほうをむくと、何も言わずにそれを半分、アイズの逸物に塗り付けた。

 傷病者に塗り薬を塗布するようなその手つきは普段の仕事ぶりが伺えるもので、ゆえにこの行為がその場の空気や色香に犯されたわけではないものだとありありと示すものだった。

 

 「──イッ、たーーーく、ない?」

 「どうですか? アイズさん」

 「痛く、ないけど……これは?」

  

 塗り付けられた瞬間に伝わるはずの痛みがなく戸惑うアイズを塗布している逸物越しに見上げながら、アミッドは粘液をきっちり半分、根元から先に至るまで塗り終えると、説明を後回しにして残った半分を自分で飲み干した。

 

 「ん。……どちらかといえば先ほどの精液のほうが飲みやすいと思うのは、我ながら、ですね」

 「アミッド……の、飲んでも平気なの? それはなに?」

 「説明しますが、先に寝台のほうに。それほど時間もないと思いますから」

 「……? わかった、けど」

 

 アミッドの手を取ってアイズは寝台に向かう。

 天蓋付きの豪奢な寝台はすでに準備を整え終えていて、窓は締め切られ外の世界とは隔絶された様でその場所が子作りのためだけに存在する別世界のような雰囲気を漂わせている。

 その寝台に自分が下になるためにアミッドは先に寝そべると、説明をする前に足を開いてその雌口を見せつけ、指でその口を広げて見せた。

 アイズは驚いた。そしてさらに驚き、驚きの上に重ねて驚いた。

 それは驚愕では言い表せない驚きの連続だった。

 まずアミッドがそんな様を自分から見せることがおかしかった。二か月夜を共にしていたとはいえここまでアミッドが自分から広げて見せたことなどない。

 次に、そのアミッドの様子が明らかにおかしい。広げた雌口から透明な液体が吹き出てきた。それは子種に飢えた胎が垂らした涎だったが、行為に移る前にそれが吹き出るとは異常だった。出方がおかしい。たれ落ちるのならわかるが吹き出てくるような出方は何かが今まさに起きていることの証明のようであった。

 そしてそれについて問おうとした矢先にアイズは自分の身体の異変すぐさま察知した。痛みがまったくなくなり、視界が一瞬ゆがんだような強烈な欲求が頭を揺らしたのだ。立ちくらみにもにたそれにぎりぎりのところで堪えて、アイズはアミッドの上に覆いかぶさった。

 本当にすんでのところだった。獣欲にまかせるままに目の前の雌を蹂躙する手前だった。

 アミッドの雌口にアイズの逸物が食い込む手前で止まっている。その雌の唇がはやく先へ、奥へと来てほしいと吸い付くような接吻を重ねている。

 

 「アミッド──こ、れ、さっき何を……っ」

 

 間違いなく自分たちの異変を引き起こしているのはあの小瓶だと、アイズは組み伏せる形になったアミッドに問いかけた。

 雄の獣欲を瞳に映してアミッドを見つめると、アイズは自分の目が欲望に曇っているのかと映った景色に戸惑った。視線のアミッドは、その吐息を乱れさせ、顔を赤らめ、瞳に移った光は色香にのぼせたがった雌犬の顔をしていた。

 

 「先ほどのものは──媚薬の類で、ございます。といっても、ふぅーっ、ん。その気にさせるというよりは、ポーションの類で、疲労を継続的に、軽減、ふっ、んっ♡」

 

 話している間にもアミッドの身体が震えた。入り口に食い込んでとどまっている逸物は雌犬にとって意地悪すぎるお預けでしかなく、その口からとどめなく涎を垂らし流させお腹がすいたと鳴き声を響かせていた。

 

 「媚や……な、なんで? そんなこと」

 「はぁ、はぁ……アイズさんに、遠慮して、ほしくないからです。ぁ、ん、いえ──」

 

 ぐっとアミッドはアイズを震える手で抱き寄せる。大きな声では言えないと伝えるようでもあり、はやくご褒美が欲しいとねだるようでもあった。

 

 「アイズさんに、愛してほしいから、です」

 

 それは間違いなく愛の告白だった。

 これまでと意味が違う言葉だった。

 子宝のためではない男女のための告白だった。

 耳から入り込んだその告白が脳まで犯すような甘い誘いでアイズを動かした。

 痛みで押さえつけていた獣欲が張りつけられていた“友人”の面を完全に引きはがした。

 

 ──プチ。

 

 その誘いが脳に届いた瞬間、意識が切り替わり、途切れる音がした。

 

 

 

 何かが切れたような音がしたと思った次の瞬間、アイズが感じ取れたのは射精が引き起こした高まりとそれが一旦収まる快楽の波打つ様子だった。

 

 「は……ぁ──?」

 

 呼吸が乱れて荒くなっていたのか。

 それも定かにわからないまま、アイズは息を吐いた。

 疑問と満足感とともに困惑が混じった吐息の先では、啼き声をあげている雌犬(アミッド)の姿があった。

 

 ───♥♡!

 

 開いたままの口から流れるのは声無き啼き声だ。雌の歓喜の叫びだった。

 嬉しい嬉しい──もっと、と媚び諂う雌犬の声。

 その声を聞き届けた耳が、感じ取った脳が、理性になど遠慮せずに身体を動かす。

 本能のまま、アイズの身体は自らの雌犬を躾けるようにその両足を膝から抱えると突き立ったままのちんぽを再度打ち鳴らす。

 交わったその狭間から打ち付けられるたびに種と涎が混ざった白い汁が飛び散った。

 

 ──♥! ──♡!

 

 雌犬の啼き声はうるさいほどだった。部屋にはちんぽが子宮にうちつけられるノック音と汁が飛び散る水音しか響いてないのに、その声なき声はアイズの脳にはうるさいと感じさせるほどに騒がしかった。

 だから雌犬の主人として本能が、勝手にするべきことをする。

 

 うるさい、静かにしろ、黙れ──悪い雌犬に躾を施す。

 

 すでにたらふく子種を仕込まれた子宮に食い込んだ先から、溢れるだけの精液が流し込まれ、突き動かされるたびに漏れ出した。

 だが躾のための罰を与えている行為であるのに、目の前の雌犬はよほど躾がなっていないのか、謝るどころかもっともっとと強請り諂う。

 ゆえに身体が勝手に反応し、思考がそれを止める暇もなく再度の躾を行う。

 そんな繰り返しを、呆然とした理性が眺めていた。

 

 (なん、だろ……この感じ)

 

 確か媚薬を塗りたくられたのだ。

 それでこんな気分に? いや違う。溜まっていたのだ。

 自分の冒険者としての耐性を考えれば薬一つでここまで乱れるはずがないとわかる。

 この二か月、最初の数度の子作りの際に乱れすぎたことを恥じて、抑えに抑えていたものが決壊したのだ。

 また射精が起きた。すでに許容量をこえた子宮には入り込まずに逆流してきた精液がその熱をちんぽ越しによく伝えてくる。完全に子作りとは無縁な男女の肉欲だけの交わりだった。

 交わった先から何度目かもわからない射精と共に、尽きぬ独占欲が目の前のアミッドにまた向けられる。

 レベル差を考えればまたその身体に無茶をさせてしまうのだろう。

 自分の身体を外から眺めているような感覚のまま、心配して組み伏せたアミッドの顔を見下ろすと、アイズは驚いた。

 目があったのだ。

 アミッドは視線が合ったと認識すると小さく微笑み、そしてそのまま手を動かしてアイズを抱き寄せてきた。

 その瞬間、身体の動きと理性が一致する。身体の中にもどったようなおかしな感触をアイズに与えながら、ようやくアイズは獣から戻ってきた。

 

 「アミッド、ごめん──でも、どうして?」

 

 交わったまま、抱き寄せられたままの姿勢でアイズはアミッドにどうしてこうしたのか尋ねた。

 媚薬まで使うような交わりはアミッドの意思に反しているはずだった。

 アミッドは問い詰めるというよりは心配しているその声をきいて、やはり間違いはなかったと決断を後押ししてくれた同志に改めて感謝した。

 抱きよせた手でそのまま抱き着いて離れない。

 

 ──離さない。

 

 「アイズさんに、思いっきり愛してほしかったのです。アイズさんと、何の遠慮もなく愛し合って……産まれてくる子供にあなたは愛し合って産まれてきたのだと、胸を張って伝えたかったんです」

 

 お互いの顔は見えない。ぴったり抱き着けばアミッドの顔はアイズの胸の内に収まる。

 アイズの内側で、胸の中でアミッドは逞しくも優しいその胸に身を寄せていた。

 自分と同じように脈打つ鼓動が最初の夜と変わらない安堵を与えれくれることに、気持ちを再確認する。

 

 「私は、アイズさんのことを愛しています。だから、貴方の子供が欲しいと、思えたのです」

 

 愛しい神への気持ちに偽りはない。

 だが、人の愛が神の愛と違うように、愛の形はそれぞれに応じてある。

 アイズがリヴェリアを最も愛しながら、アリシアや春姫を大切にするように。

 アミッドにもいたのだ。人の愛を捧げたいと思える男が。

 

 「奥様方のように愛でてほしいとは、思いません。願いません。ですが、どうか──」

 

 そうしてアミッドは口にする。自分の望みを。

 どうか応じてほしいと、抱き着く腕に遠慮がちな力を込めて。

 

 「私との間に産まれた子供を、どうか、父として愛していただけないでしょうか。子の前では、父と母として過ごしていただけないでしょうか」

 

 決意と覚悟の大きさに比べればその願う声は小さな声音だった。

 か細いと言ってもいい。行為に行為を重ねたアミッドの喉は枯れていて、大きな声など出せる状態ではなかった。

 だが胸の内から響くその声はアイズの全身に響くように伝わっていた。

 心まで届く声だった。

 

 「私で、いいの? 私がお父さんの顔、していいの?」

 

 アイズの手がアミッドの頭を抱えて撫でる。

 内にの中で暖かくも遠慮がちなその様がアイズの不安を、後悔を擽って、確認させた。 

 

 「勿論です……もちろん、なんです」

 

 その確認が受け入れてくれるためのものだと、その優しい言葉が伝えてきていてアミッドの両腕がせがむように力を込めた。

 密着した身体がより一つになるように隙間を埋めるように合わさる。

 交わり、雄が雌を躾ける胎の口ではより深々と奥へ入り込んだ分の白濁とした種汁がゆっくりと染み漏れ出てる。

 何度も雄のノックにきしむ音を立てていた扉が、ついに開いてその先へと雄の侵入を許した。

 

 「お”ほぉ──」

 

 アイズの胸に押し付けたアミッドの口から押しつぶれたような声が響く。

 射止められたその先、射止められるように差し出した女の中心。雌のすべてが雄のモノになった。

 雄が動く必要もない。雌の身体のすべてが、雄の全身をしごくように振動している。

 押し付けた顔が、離さぬように背に回した腕が、もう離さないでと雄を挟んで引き寄せる足が、全身が雄の射精を促すように痙攣する様は生きた張形(バイブ)だった。

 

 「なるよ、私、この子の父になる──、わたし、の!」

 

 目の前の雌を征服した。

 その完全に自分のモノにしたという雄としての充足感と快感がアイズの声を震えさせ、濁らせて、溢れんばかりの種付けで応じさせる。

 

 「ひゅ、ぐっイ──っぅ♡」

 

 もはや溢れる隙間もなく腹を膨らませて強引に収めさせる種付けは長かった。

 射精して──数秒、数十秒、数分と、何度目かもわからない射精を繰り返したと思えないほどの質と量を送り込んで刻み付ける。所有者が誰なのかを明確にするために、孕ませるために。

 注がれる種に応じて腹が膨れる感覚に何とも言えない充足感を感じて、雌犬は喜んで屈服する。

 

 「わたし、は──アイズさんの、モノです」

 

 孕まされた──。

 

 そう確信するようなボテ腹(ふくらみ)を見下ろすご主人様を見上げながら、雌犬は嬉しそうに啼いた。

 子宮の中で種が植えつけられ、卵に命が宿る確信が笑みを浮かべさせていた。

 

 

 

 ◇◆◇

 

 

 

 二人が起きだしたのは翌日の昼前であった。

 昨夜の交尾が残した緩やかで甘美な目覚めのひと時は時間を忘れさせて柔らかな寝台の上で二人を離さなかった。

 

 「動いたら、漏れてきそうな気がします」

 「……もったいないきがするね」

 「はい。そう、思うと……立ち上がれません」

 

 昨夜の長い長い射精の末に膨らんだアミッドの胎は朝日が昇ったころになってもボってりと膨らんだままだった。

 アイズの出し切った精液はいつも自分に対して蓋をしているものと同じ粘着質なもので、アミッドの子袋に鍵をかけているようであった。

 まるで、そこにすでに子が大きく育ったかのように二人は優しくボテ腹(ふくらみ)を撫でた。

 アミッドはその自分たちの様子が若い夫婦のようで、子供の親として嬉しく感じた。

 

 「きっと、今夜で孕んでくれていると、出来てくれているのだと、そう願います」

 

 思いの丈をぶつけ切った夜にこそ子宝に恵まれてほしい。

 アミッドの言葉にアイズは頷いて、その頭を撫でた。

 同じ思いだと伝えるような優しいその手にアミッドは目を細めて、身を寄せた。

 

 「じゃあ……最後の夜だったかな」

 

 後悔はない。

 文字通り出し切った夜が明けた。

 なら自分たちが過ごす夜はもうやってこないだろうとアイズは寂しさを隠さずに伝えた。

 男女の友情の上に芽生えていた愛は形にはなったが、互いにそれは摘まねばならいものだった。

 

 「……アイズさん」

 「……なに? アミッド」

 

 お互いの視線がアイズ胸の内でぶつかって、結ばれる。

 見上げたアミッドと見下ろすアイズ。

 もう離れられないほど強い結びつきはもう胎の内にできていた。

 

 「子供が産まれれば、私たちは子の前では夫婦……ですよね」

 

 疑問でもない、確認でもない。

 事実を述べただけの“自分の女”の声にアイズは頷いた。

 

 「うん。──そうだよ」

 「でしたら……将来、旅立たれたアイズさんが、迷宮都市にお越しの際は、私たちは夫婦なのですから──」

 

 アミッドの顔がアイズの口元に、にじり寄る。

 唇が上を向いて、誓いを求める。

 それは自分だけでは成せぬもの。

 誓いとは双方が近づくことで結ばれる約束事だ。

 アイズの唇が相手の言葉を待つように距離を詰めた。

 もう小指一つの距離しか隙間はなかった。

 

 「私を好きなようにお抱きください。──あなた様」

 

 女が目を閉じた。

 男も目を閉じる。

 距離が消える。

 

 「うん。──好きなように、するよ」

 

 唇が重なった二人の距離は二度と離れないという誓いを結んだ、その証であった。

 

 

 

 ◇◆◇

 

 

 

 「それにしても──」

 

 誓いの口づけのあとお互いにたちあがりたくない幸福感に包まれながらアイズはアミッドに問いかける。

 

 「あの薬、媚薬って……どうやって用意したの?」

 

 迷宮都市の──全世界中の冒険者の中でも自分は間違いなくトップに位置する冒険者である。

 同じレベルの冒険者は数人しかいない上に、もうこのレベルに至ってしまえばレベル差などほぼ意味をなさないほどに昇華した存在だ。

 状態異常を引き起こすような薬品が効くと思えない。

 

 「ああ、アレですか。アレは媚薬というよりも、回復薬なのです」

 「回復薬、ポーションってこと? でもそれじゃどうしてあんな効果が……」

 「はい。アイズさ……あなた様は……ふふ」

 「あはは……はやくない?」

 「できてると思ったほうが、今後差し支えないかと」

 

 照れながらも言い直したアミッドの呼び方にお互いに笑いながら、身を寄せ合う。

 互いに愛を誓う相手がいる身でもあるので、この関係は二人で過ごすその時間だけのものであるとは理解しつつも、確かに結ばれた愛の華を互いに愛しく思っていた。

 

 「こほん。あなた様は快感を痛みに感じることで、我慢されていましたので、あのポーションはその痛みを取り除き、疲労を軽減して、行動時間を伸ばす効能があったわけです」

 「あ、だから痛みが消えてから──」

 「はい。痛みで抑えていたものが、痛みがなくなればどうなるか、自明のことです。なので、あなた様には──」

 

 効果的であるだろう、とつなげたところでアミッドは視線を逃がした。

 アイズの胸に額をあてて、どうやっても見られないようにする。

 脳裏に浮かんだ疑問をアイズがそのまま問いかけてくるのが分かったからだ。

 

 「──? ん? あれ? でも、アミッド、ならどうしてアミッドにはあんなふうに?」

 

 記憶に残る薬を飲んだアミッドの様子はまさに発情した犬のような有様であったが、あれはどういうことなのか。

 まさにその問いが来ることを予想していたアミッドは絶対に見られぬようにその恥ずかしさで真っ赤な顔を強くアイズの胸に押し付けた。

 

 「あの薬は私にはあくまで、疲労軽減の効果しか、ありません。それがあったので、昨夜のように交わっていても体がもったのです」

 「あぁ、なるほど。だから、あの時──」

 

 目がったのか、とアイズはまた合点がいった。

 自分に理性を取り戻すきっかけを作ってくれたアミッドの抱擁は、目が合ったことから生まれた。本来あのように獣欲を振りかざした自分が戻ってこれることはない。

 

 春姫を相手にした初夜のように、リヴェリアと結ばれたあの夜のように。

 

 その獣欲から自分を取り戻させたのはアミッドの理性の輝きだった。そしてそれを夜の間持たせたのがあの薬だったというわけだ。

 

 「すごい。きっといろんな子が欲しいっていうよ」

 

 自分の獣のような交わりですらアミッドが受けきったのだから、高レベルの冒険者とその恋仲の相手にとってはいろんな問題を解決する薬だろう。

 例えばベルのところのリリルカやエイナがそうだ。

 特にエイナは冒険者でもない。絶対に一人ではベルを満足させられないだろう。

 

 (確かレフィーヤが……「毎晩同時なんですよ!?」って怒ってたっけ)

 

 信じられない! ひどい扱いを受けた! と泣いてすがってきたレフィーヤのためにベルの下半身を切り落としてやろうと愛剣とハサミを手に取った時のことを思い出す。

 もっと丁寧に扱ってほしい、愛してほしいという訴えに終わった“【剣騎】切り取り事件”はベルに大きな後遺症を残したのだが、そんな事件が起こるほどにレベル差による夜の営みの難しさは各地で見られた。

 【ロキ・ファミリア】内で言えばベートとリーネがその対象であったし、逆にラウルとアキはお互いに体力が同じであるから何不自由ない夫婦生活を送っている。フィンに関しては言うまでもない。

 流石はアミッドだとその手腕をほめたたえようと言葉を続けようとしたアイズはアミッドがより身を小さくして「うーっ」と恥ずかしそうに唸ったのをきいた。

 

 「この薬は……わ、私だけのものです……絶対に、存在すらつたえないでください! 広めないでくださいっ」

 「どうしたの? なにか、あるの? アレ」

 「……はい。とても他人には公にできないものが」

 「大丈夫。それなら誰にも言わないよ。……でも、それはなんでか、きいていい?」

 

 当然の疑問に、アミッドはしたたかに計算をして……どっちがばれるほうが恥ずかしいかを天秤にかけて、選択した。

 

 「はい。服用者に効能や……何でできているかを問われて説明を拒むことはできません」

 

 ……何でできているか?

 

 アイズの思考はアミッドの選択通り、素材のほうに流れた。

 

 「あの薬の原材料は……わ、わたしのその……愛液、ともうしますか……あの、たれ出るあのあの、アレなのです」

 「……あれ?」

 「そうです。アレなのです」

 

 お互いの頭の中をアレが埋め尽くす。

 確かにドロッとしている時もあるし、淫靡な雰囲気で男女を惑わすような、まさに媚薬のような効能を見せるものではあるのだが。

 

 「………え、アレってそんな素材になるの?」

 「おそらくですが……私の物だけだと思います。私の体液には少なからず、ヒーリング効果があり、そのことを思い出して、実験してみたのです」

 

 その結果、唾液や血液、汗などよりも、圧倒的に効能がよかったのだとアミッドは説明する。

 説明を受けたアイズはそれはこういう反応になると納得して、尋ねたことを詫びた。

 恥ずかしい思いをさせてごめんね、とアミッドを撫でて慰める。

 そしてそうするあまり、最初の疑問がすっかり頭から抜けてしまった。

 

 

 ──「──? ん? あれ? でも、アミッド、ならどうしてアミッドにはあんなふうに?」

 

 

 この疑問にアミッドが答えていないことをアイズは気が付かなかった。

 そうなるように願ってアミッドはわざとそらした。

 恥ずかしがりながらもアイズが忘れたとわかりアミッドはほっと胸をなでおろした。

 回復効果と軽減効果しか基本的には存在しないはずの薬を飲んだのに、どうしてあれだけ興奮が抑えられなかったのか。

 

 (そんなもの、説明すれば答えは一つしかありません──)

 

 ぎゅうっとそんな質問は本当に恥ずかしいのでやめてほしいと訴えるようにアミッドはアイズに抱き着いた。

 

 (ただ私がしたかっただけです! アイズさんの、ばか! 鈍感! 天然!)

 

 体力がもてばようやく相手を満足させられるかもしれない。そう思った瞬間に火がついたのだ。

 女としての矜持が満たされる瞬間がきたと喜んだのだ。

 そんな自分の咄嗟に取った行動があのような淫らさしかないものだっただけである。

 

 アミッドは本当の恥ずかしさを隠しながら、アイズに甘えるように、抗議するようにずっと抱き着いていた。

 

 

 アミッド編 終わり。 

 




お読みくださりありがとうございました。

相手がアミッド(好きな相手が別にいる)でアイズに浮気をさせたいわけでもない。
ならどうやってハーレムにしようというところで、神様が本命の相手ならうまいこと理由付けできるのではないか? というところを出発点にしています。

ヴェルフと椿とかはもう完全に合理的価値観だけで、相手に選んでそうという判断。
他は相手を選ぶならそうなっても……という判断で選んだのですがどうだったでしょうか。

ある種ベルくんのハーレムへのヘスティア様の理解にも及ぶ話ではあるのかなぁと。
ベル×命 ベル×ナァーザになる理由もこれなら、アリ……かなぁと。


次回はエピローグ的なアミッドの未来の話を書いて〆として、その後アンケートの投票にありましたものを書こうと思ってます。


つまりは、リヴェリア(慣れていない)です。


断トツでしたね。リヴェリアは慣れている時と慣れていない時で上下関係が全く違う感じで書きます。
アミッド編で言及しましたがレベル差があると行為は大変という流れですが、アイズとリヴェリアにはそれがないので。
慣れたリヴェリアは回数に打ち止めがある男側より完全に上手なので、アリシアや春姫が引くほどアイズがげっそりします。


またアンケートとると思いますのでよろしければ気軽にお答え願えたら幸いです。

またご感想くださいです~~。
本当に一言貰えると心が喜ぶ自分がいます。


ありがとうございました。

【剣騎】にて子供たちの名前は表記していないのですが、どう思われますか?

  • ちょうどいい。
  • 明記して欲しい。
  • 子供の話は好きではない。
  • もっと子供の話を読みたい。表記無し。
  • もっと子供の話を読みたい。明記あり。
  • その他、あれば感想で。
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