アイズが男だったらーっていうハーレムソードオラトリアになります。
メインヒロインはリヴェリアでと考えていてこの「~の婚約」もR18にしようかと思ったのですが雰囲気をぶち壊すオチがある予定なので別枠であげることにしました。
なのでこの話自体は全年齢です。
性別反転ものが問題ない方であれば何も問題なく読めるかと思います。
※性別反転有
剣騎アイズ・ヴァレンシュタインの婚約
エイナさん……いま、なんて言いました?
もう一度言うね? ヴァレンシュタイン氏は女神様もうらやむほど綺麗な人だけど……。
「男性だよ?」
「えぇぇぇぇっ!? あんなに綺麗な人が、お、男の人―――!?」
ベルの叫びが木霊する。その驚きはこれまで幾度も、何人もの男女が連ねた叫びだ。
そう、これは剣姫が剣騎である物語。
姫ではなく騎士としてある一人の麗しい男の物語である。
こんなに美しい人が男なのは間違っているだろうか?
第1話、剣騎アイズ・ヴァレンシュタインの婚約。
◇◆◇
リヴェリア・リヨス・アールヴは答えをだそうとしていた。
既に日が進み、ファミリアの団員達はほとんどの者が夢の中にいることは間違いない。
起きているのはこんな時間でも仕事があるフィンか、鍛錬に精をだしているベートあたりか。
他の団員たちもファミリアの幹部たちの怒涛のレベルアップに触発されて負けじと鍛錬に勤しんでいるが今日ばかりは素直に寝ている者が多いはずだ。
リヴェリアは本日開催されていたロキ主催の<祝! レベルアップ祭りの宴>を振り返っていた。あれだけ飲めや歌えやの騒ぎで賑わっていていれば皆、気持ちよく寝ているだろう。
だが一部どんちゃん騒ぎに呑まれていない、むしろより緊張感を得た者もいた。それがリヴェリアである。
「今夜、部屋に行く。答えをもらいに」
周囲が酒精に呑まれていく中、アイズと交わした約束がそうさせていた。
交わした約束とはアイズからリヴェリアへの愛の告白の返事である。
リヴェリアは既に二度、アイズから想いを打ち明けられていた。
「わたし、リヴェリアのこと、好き。──ぁ、大好き? えっと、男女として……? あの勘違いしてほしくなくて、好きなの。わたし、リヴェリアのこと好き」
どう勘違いしたらいいんだ? と聞き返した最初の告白はアイズが十三歳を過ぎた頃、子供だ子供だと思いつつも、伸び盛りの成長に気がつくと新しい衣服を用意しなければならなかった頃だ。
「お前の言い方ではどう勘違いしたらいいのかもわからん。具体的に話せ」
そう問い詰め「具体的にはえっと……お嫁さんになってほしいくらい、の好き……?」と答えさせてアイズの言いたいことを理解したリヴェリアは即断った。
「愛の告白の最中に考える様を見せてどうする。それでは誰も頷かない」
もっと精進してから出直してこい。
そう言って相手にしなかった最初の告白であった。
二度めの告白はそんなアイズがLv.5になり二人でそれを祝ったディナーの席でだ。
「リヴェリア、私と結婚してほしい! お嫁さんにしたい──ッイ!?」
バチコン。
「喰い気味にいう言葉か」
Lv.5到達という大きな成長を見せた今こそ──! と意気込むアイズを一刀両断とばかりに手刀で黙らせたリヴェリアであった。
「そんな調子では返事もしてやれん。もっと冒険者としても男としても精進しろ」
「ぅ──」
この頃のアイズはまだリヴェリアの前ではよく子供ぽさを現していた。
子供の告白程度ではなにも動じないとばかりに二度めの告白も返事を返さずに終わっていた。
「お前が私に追いつく頃には答えを用意しておく。それがいい答えになるか、今回のようになるかはお前次第だ。はげめ」
「わかった……」
そんなこんなで。
返事をするのではなく叱るに終わっていた二度の告白を経て、今夜リヴェリアは三度目の告白を受けることになっていた。
アイズはLv.6になり背丈もリヴェリアとほとんど変わらない。来年の今頃にはリヴェリアを見下ろしているだろう。
(立派になった。ならば返事を返してやらねばな……)
もう夜も遅い時刻に本来アイズが女性陣の部屋に来ることは禁じられている。だがリヴェリアの部屋となれば話は別だ。
誰もが二人の間には親密な絆があると分かっているからである。主神にいわせれば「リヴェリアママ」というやつなのだが───。
(母親ならばこんなに悩みはしない)
ふぅ……と自分の中に溜まっている迷いや葛藤を吐き出すようにリヴェリアは熱っぽい吐息をもらした。
アイズに対して感じている愛情が母親のものではないとリヴェリアは分かってはいた。
二度目の告白の際にリヴェリアはフィンに相談した。その時までは悩み多い年頃の息子をもつ母親の気持ちが強かったのかもしれない。
だがフィンに「君はアイズが他の娘を口説いているのを想像できるかい? そしてそれを許せるかい? 僕にはどちらもできないことだと思ってしまうんだけどね」とい問われて以来、アイズへ向ける愛情が母親のものとは違うということを理解していたのだ。
(私は──確かに許せない)
アイズが他の娘に愛をささやくのは許せないと思ってしまう。この思いは普通の母親では抱かぬ類のものだろう。
だが自分とアイズの想いがまったく同じかというとそうではないだろうとも感じていたのだ。
(私の中にはあの子を誰にもやりたくないという強い独占欲のようなものが確かにある。レフィーヤたちが色目を使ってるのを見るとモヤモヤすることもある。だが──)
その想いの中に母親のような気持ちがないわけではないのだ。むしろ始まりはそんな親としての愛情からだったはずだ。
それがアイズが成長していくにつれて、徐々に見せる男らしい振る舞いと純粋な──天然な愛情を感じるたびに変化していったのだ。
──リヴェリアは私が守る。
リヴェリアは穢れた精霊との死闘の際にその場に倒れた自分を背中に庇ってアイズがそう言ったことを覚えている。
うっすらと見えたその背中を覚えている。
──ああ……とうとう守られてしまった。
フィンの挑発めいた発破に意識が覚醒するまでの束の間にリヴェリアは自分のもとから巣立ち自分を守ってみせると誓う騎士の姿を見たのだ。
そうしてリヴェリアは確かにアイズのことを異性として認めていた。
だがアイズの求めてる愛情というのはどうにも真っ直ぐ過ぎる。
アイズなりの天然かつ積極的なアピールはどうしてもほしいという焦りさえ感じさせる。まだ早いタイミングなのに釣竿をあげようとするかのような焦燥を感じさせるのだ。
(まぁ……間違ってはないのだがな)
一度断ると決めてしまえば自分はしっかり一線を引く。
そう分かるためリヴェリアはアイズの焦燥めいた求愛を理解できはした。
なにが切っ掛けで自分がそう判断するか分からない以上、切り出すタイミングを見つければアピールすることを悪いとは言わない。
想いに気がついた最初の告白、Lv.5にランクアップした時の二度目の告白。
そして今回のLv.6になり修羅場をこえてみせた男の姿はアイズにとってはアピールする絶好機なのかもしれない。
だが───。
「もう少し…………雰囲気をつくる術も学べ。アイズ」
言ってしまっても聞く相手もいなければ聞かせてもアイズがどうこうできるほど器用ではないと分かっているけれども。
リヴェリアは誘い方をもっと学べとその辺の男の器量もレベルアップしろといいたかった。
そんな自分に気がつくたびに自分の想いを確認し、その耳をほんのりと赤くしていた。
◇◆◇
皆が寝静まった頃。
アイズは一人冷や汗をかく思いで女性陣の部屋の前を通り抜けていた。
忍び込んだ部屋からこっそりと抜け出し、一歩一歩と音を消し、気配を殺して進んでいく。
日が高い頃ならいざ知らず、男性陣がこんな夜更けにこの場所にいるのは問題でしかない。
ましてアイズは特別フィンやリヴェリアから注意されている身だ。
ファミリアの中では団長という立場のあるフィンよりも男装の麗人といわれてしまうほどに美しい男であるアイズはより黄色い悲鳴の的だった。
ベートと一緒になって組み手をした際など素手ではどうしてもベートに分があるため傷を負ったり、着衣が乱れたりするたびに「きゃーきゃー!」という声が響き続けるほどだ。
挙句の果てには上半身裸で水を浴びたら通りかかったレフィーヤが鼻血をだして倒れたほどである。
一部の特定の相手がいる団員を除けば女性陣はみなアイズのファンであり、アイズに魅了されているといってもいい。
そんなファミリアのアイドルが夜中に異性の部屋を訪れては風紀が乱れるというのはアイズにはよく分かった。なにせ今から風紀を乱しに行くのだから。
(そろり……そろり……──ッ!)
目的であるリヴェリアの部屋まであと少しまで迫ったところでアイズはビタッと立ち止まり、即座に天井付近に跳躍し手足で踏ん張り身を隠した。ぺたぺたとした足音とともに声が聞こえてきたからだ。
「ふわぁぁ……もうこんな時間になっちゃいました。眠いですぅ」
(レフィーヤ……)
じーっと天井から眺める先では可愛い後輩であるエルフのレフィーヤが目をこすりながらよろよろと歩いている最中だった。
どうやら一人魔法の勉強に熱を入れていたらしい。
昼間もリヴェリアのスパルタ指導があったはずなのに眠気をこらえて努力しているその様子はとても暖かくなるし、負けてられないと奮起を促されるはずだった、いつもなら。
(レフィーヤ……はやくもどってほしいんだけど……)
今夜アイズは勝負をかけるつもりで──夜這いをかけにリヴェリアの部屋に行くのだ。
もちろんリヴェリアには今晩また告白しにいくことは、リヴェリアにジレンマを感じさせつつも教えてある。
しかし、アイズがここまで本気だとは伝えてはいない。
アイズがそこまでの決意を固めているのは将来的にリヴェリアがここを離れる意思を持っていることが危機感をもたらしているからだ。
遠くない将来、置手紙だけ残して旅立っているリヴェリアの姿がアイズには容易に想像できてしまうのである。そもそも世界をみるために故郷をでたリヴェリアがオラリオに長居しているのはロキの策略でしかない。いずれは本来の目的のために旅立つのが道理だ。そう、後進であるアイズやレフィーヤがひとり立ちしたら。
アイズとしてはリヴェリアの旅立ちについていきたいし、ついていくことを許される関係でありたいが今のままではむしろ旅立ちを契機に「幸せになれ」とでも言われて置いて行かれる可能性が高い。そうならないためにもちゃんとした関係になりたいと──結婚したいとさえアイズは思っているのだ。
なのでリヴェリアの部屋に近い場所でうつらうつらと船をこぎ始めているレフィーヤはとても邪魔である。もし万が一寝ぼけて部屋を間違われたら夜這いや告白どころではない。大騒ぎになる。
「ごめん。レフィーヤ」
「ふぇ……?」
万が一の可能性は排除する。
アイズは音もなくレフィーヤの背後に降り立つと同時にその細い首に手刀をいれた。
「ぷぎゃ!?」
「本当に……ごめんね」
ガクっとレフィーヤが力なくその場に倒れるのを受け止めつつ、その身体に大きな怪我がないことを確認しアイズはもう一度謝った。
そのまま忍んだ部屋にレフィーヤを連れ込んであいたベッドに寝かせる。
レフィーヤにはこのままここで寝てもらうことにする。
こうして障害を排除したアイズは誰にもバレずにリヴェリアの部屋の前に立った。
「……いった」
ここが正念場だ。
そう決意を固めた瞬間心臓が早鐘を打ち始める。
胸が痛い。いたい。イタイ。
ぎゅぅっと痛みをこらえるように胸元で拳を握る。
落ちつけ落ちつけと言い聞かせる。
ここで自分の気持ちに……負けたくない。自分を動かしてきた力に振り回されたくない。
うまくいかなかった言い訳にしたくない。
想いを力に変えて進むことを学んできたのだから。
そうしてたどり着いた今の自分を
「よし……ッ」
ドンっと緊張で落ち着かない鼓動を胸を叩いて黙らせてアイズは扉をひらいた。
「きたか。ノックは……まぁ今夜はいいだろう」
いつも通りの部屋の中でリヴェリアが鏡の前に立っていた。
心なしか普段よりも着衣が艶やかな気がするのは自分がそう見てしまっているからだろうか。
薄くもなく布面積が狭いわけでもないフォレストグリーンの着衣から除く白く美しい四肢が、ほんのり赤い首筋が、なんとも艶やかに感じられる。
「どうした? そこで立ち止まっていても何も始まらないぞ」
普段のリヴェリアからは感じたことのない色香に見惚れているとすこし咎めるような声がとんできてアイズは頷きつつ、扉の内鍵をかけリヴェリアの側に近寄った。
「大きくなったな。アイズ。まだ背は伸びているだろう?」
いざ、告白! っと色ぽい感情を切り離し想いを伝えようとしたアイズの機先を制すようにリヴェリアが先に口をひらいた。
少しは空気を盛れっというリヴェリアの気持ちに
「うん。もうちょっとは伸びると思う」
「これをくれた頃は見下ろしてはよくその頭にゲンコツを落としたものだが……すっかりそういう機会は減ったな。立派な成長だ」
リヴェリアが手の中で髪留めを回している。
出会って間もない頃にアイズが贈った初めての品だ。
あの頃は親愛や恋心とは無縁の、生まれたばかりの慈しみと感謝の心があった。
「……あの頃感じた想いはいまもずっとここにあるよ。リヴェリア。いつも、ありがとう」
リヴェリアの手をとりそれを自分の胸元に寄せて両手で抱きしめる。
形を変え質を高めて、膨れ上がった愛情の始まりの想いこそ、髪飾りに込めた感謝の心だ。
自分の想いが鼓動とともに伝わってほしい。
そんなふうに思ったのが伝わったのかリヴェリアが微笑んだ。
「ああ。そうだな……。よく、分かっている」
──ああ、なんて綺麗な人。
その微笑み一つでくらっとくる。思考が熱を帯び、想いが溢れそうになる。
この人は間違いなく私の最愛の人だ。
この人を守りたい。この人の一番近いところにいたい。
この想いを受け止めてほしい。
我がままだろうか。私の一生はこの人の一瞬でしかないかもしれないのに。
ヒューマンとエルフの寿命の差は歴然としている。
エルフの一世代でヒューマンの末代まで見ることだってできるかもしれない。
例え恩寵のおかげでできる限り長く側に入れたとしても、それでもエルフのリヴェリアにとってヒューマンの自分の一生は短い。
迷惑だろうかと何度考えただろうか。
嫌われはしないだろうかと何度悩んだことだろうか。
いっそのこと断られた方が楽だと何度思っただろうか。
そしてその度に何度「やっぱり嫌だ」と感じただろうか。
「私の最愛の人。私が一番守りたい人。私が一番幸せを願う人。それがあなたです」
溢れる想いを言葉に込める。
泣きそうになった。
リヴェリアの雰囲気で気がついてしまった。
答えをもらえるのだ。
イエスかノーか、受け入れてもらえるか拒絶されるかではない。
愛おしさをお互いに感じていることなど分かりきっている。
そして愛おしさゆえに離れることもあるのだと今のアイズには分かってしまうのだ。
「私は昔から自分勝手で、我がままで……今も、そう。私があなたを幸せにしたい。私はあなたと幸せになりたいってそう思ってる。見上げてたあの頃とちっとも変ってないよ」
「アイズ……」
「あの頃から変わらず、ずっとあなたに恋焦がれてる」
「ああ……知っている」
リヴェリアの浮かべる笑みが優しければ優しいほど不安になる。
その優しさがなにを決断させるのか怖くなる。
涙があふれた。
まずいと思っても止められない。
(ああ、もう──)
折角立派になったと言ってもらえたのに、これだ。
あなたを守れるほど強くなれたのはあなたがいたからだと伝えたいのに、これで、伝わるのか?
復讐の黒い嵐を斬り裂いて、透き通った蒼い空を見れたのはあなたへの愛なのだと、伝えられるだろうか───。
切ない無念さが込みあげてきて言葉が詰まったアイズのその涙にぬれる目尻を、抱きとめられていない手でリヴェリアはぬぐい、その頭を昔のように撫でた。
「どうした? アイズ。もう終わりか?」
「リヴェ、リア……」
「この涙こそお前が立派になった証明だ。胸を張れ」
あぁ……ありがとう。
誰よりも私のことを理解して、誰よりも愛してくれている人。
どうかその愛情が私の気持ちと重なってくれますように。
感謝と愛情がアイズをその場に跪つかせた。
抱きとめた最愛の人の手を取り、掲げ、昔のようにその顔を見上げる。
大好き!
かつての自分が叫んだ気がした。
例え断られたとしてもこの人に焦がれた日々を後悔しないだろう。
確かな愛をもう感じられたのだから。
──我儘な男の想いをどうか許して。
用意していた言葉を全部捨てて想いを口にする。溢れる愛と感謝をこめて。
「あなたを愛しています。あなたを妻とする幸福と栄誉を私にください。──結婚してほしい」
恋が終る。
愛が実るのかはわからない。
だが、ある。
それだけ分かっているだけでも幸せなのに、求めすぎでしょ? とアイズは泣き微笑んだ。
◇◆◇
「───私はお前が想っているほど綺麗じゃない。アイズ」
アイズのプロポーズを受けてリヴェリアは告白した。まっすぐすぎるその想いがあまりにも綺麗で、自分の想いの不純さに目をつむったままでは返事ができなかったからだ。
「私はお前の愛をそのまま受け取れない。受け取るような資格はない」
アイズの瞳にいっぱいの涙が溜る。
それを見ても告白はとまらない。泣かせても言わねばならない。
言わない方が許されない。
「お前が成長して、立派になるたびに───お前に焦がれる子が増えた。そしてその度に、私の中には苛立ちが募った。お前のことを誰より愛してると思っているからこそ、他の女がお前に近づくのは許せなかった。……だが、ただの女としてお前を見れるほど私は若くはなかった。お前を慈しむ親心をもっていた。ふ、なのにだ。なのに……お前への独占欲は年月とともにはっきり分かるほど大きくなった。私はお前に屈託無く笑いかけられるティオナやお前に羨望と恋の眼差しを向けられるレフィーヤに嫉妬していたんだ」
自問自答していた自らの度し難い感情。
見せずに済ませてはいけないそれをアイズの前にさらけ出していく。
アイズの表情が理解できないような驚いているような、困惑で彩られている。
無理もないとリヴェリアは思う。
ずっと恋心を抱いていた相手が薄汚れた独占欲で満ちていたのだから。
「アイズ。私はお前の告白を受け入れるつもりはなかった。私ではお前を幸せにできるか、自信がなかった。私より……もっと相応しい相手がいるだろうと、勝手にそう思っていたんだ。こんな私よりも、とな」
「そんなこと、ないよ」
「……そう言ってくれるだろうと、お前はそう言ってくれると分かってるのにこんなことを言ってるんだ。私は」
「リヴェリアは、汚くなんてないよ。汚れてなんていない」
「それはお前が私に恋してくれているからで───」
「リヴェリアはただ、女の子してる、だけ、だよ」
アイズが立ちあがって手を伸ばしてくる。
頬にあてられたその手から伝わる愛とそれに応えようと響く自らの愛にリヴェリアは驚いた。
断ろうとしていたのに──。
こんな自分にはお前の愛に応える資格はないのに──。
どうしてこれほどに愛おしい──?
「リヴェリアはロキの言う……ツンデレなだけだと思う。ちょっと素直になれない女の子なんだよ。それだけだよ」
「……こんな時にロキの言葉を出すな」
「ごめん」
あと女の子呼ばわりは恥ずかしいから、よせ。
そう言いたかったが、そう言わなかった。
女の子だと言われたのがなぜだか嬉しかった。
心地よかった。
「私だって、フィンとリヴェリアが二人だけで通じあってるのを見たら、ちょっと嫉妬する。……好きな子の側に他の人がいるのって、それぐらい感じて当然だと思う」
「お前……」
「リヴェリアが汚いって言ってることは汚くなんてないよ。私たち皆が皆、感じて葛藤して生きている大事な想いだよ」
「アイズ……」
「私は今、そんなリヴェリアが愛おしくて、愛おしくて……たまらなく好き」
愛の抱擁とはこのことを指すのだとリヴェリアは理解した。
愛に満ちていた。
愛情に包まれていた。
許しがたかった自分の中の枷が愛情の中に溶けていく。
「いいのか? 私で」
「リヴェリアがいい」
即答される。
感じる愛情に温かさがこみあげてくる。
引きとめるものを全て飲み干して、より大きく愛の花が咲いた。
「お前の側にいるのが、私でいいのか」
「そうじゃなきゃ、やだ」
この子に泣かされることはあってもこんな温かさはありえないだろうと思ってた。
無茶をやらかしてその命を無残に散らしてしまうんじゃないかと、そんな心配ばかりしていた。
なのに、今そんな心配とは縁遠い、温かい涙を流してしまっている。
リヴェリアは涙を浮かべてアイズの愛を喜んだ。
「……私のほうこそ、あなたのことが好きです。愛しています。
「リヴェリア……!」
「……お嫁さんにしてくれるか?」
「うん……っ」
涙をぬぐうこともせず、自然と唇がふれ合った。
黄金と翡翠が重なって、一つになった。
この夜、愛に満たされた男女が生れた。
この時間が永久に続けばいいのに───。
一つの影に溶け込んで混ざりあい、お互いの区別が分からなくなるくらい愛を交わして。
限りある時間を共に生きる喜びに二人は満たされていた。
◇◆◇
「それで?」
「それで?」
「それで―――?」
遠い時、遠い場所。
そこで一冊の本を広げていたリヴェリアは末子たちに本を読み終えた。
孫が書いたこの馴れ初め話はなかなかによくできていて、挿し絵もうまい。まだ小さい末子たちには丁度よかった。
「この本はおしまいだ。続きはまた今度だ」
「「「えーーー!!!」」」
急いで読み伝えるものでもないので一日一冊を譲る気はない。
途端にぶー垂れた声が聞こえてくるが一喝してわからせる。
この家の大姉様として末子たちの躾けは手を抜かない。
「大姉様、大姉様――、一つだけ――」
「なんだ?」
「二人は幸せになったの?」
なんだその質問は。
リヴェリアは夫の血をよく引いている金髪金瞳の末子を撫でた。
「当たり前だ。じゃなきゃお前たちは産まれていない」
時を刻んだ分だけ、そこに愛が残っていた。
fin
アイズ(男)×リヴェリア
という絡みでしたがいかがだったでしょうか。
R18もので! というご感想があったのでどういうふうにリヴェリアとそういうことに? という流れを考えていて、相手にはアイズしか相応しくないと思った次第です。※なので男に。
剣姫雌雄では調教凌辱ものをやってるのでここでは剣騎が純愛イチャラブものをやっていければいいな、と思っております。
この話だけみれば剣騎が他の女性に手を出す理由もないのですが、実はハーレムものになる予定です。その事情説明も兼ねてリヴェリア相手のR18ものをまた近日上げると思います。
よければそちらの方もお読みくださいです。
この剣騎は剣姫とが違ってヒロイン属性より英雄属性(主人公属性)が強いアイズとして背景考えてます。
例えばこの時点で復讐者のスキルが守護騎士みたいな愛する者を守る際にステイタス激増みたいなスキルに置き換わってるイメージです。
イメージとしては原作では緑の風→黒い風→白い風 でしたが、ここでは緑→黒→蒼って感じです。
穢れた精霊戦でリヴェリアが倒れた際に蒼い風をまとって原作よりアイズの力で引きつぶしたーーーっていう想像物になります。
まさに想像妄想の類ですね。
オーバーロードのSSのほうはオリジナル要素をぶち込む以外は原作の設定にできる限り忠実でありたいとおもっていて、そのせいで少し壁にぶつかってしまっているのですが、ダンまちのほうは適度に「これは私の想像妄想の類なんだー!」と割り切ってます。
なので細かい設定間違いなどは容赦なく突っ込んでもらってもいいんですが、そこまで気にしないのでお許しください。
よければご感想などいただけましたら幸いです。
ここまでお読みくださりありがとうございました。