「けだもの、ばか、へんたい、すけべ、むっつり」
それは、鶴乃が魔女の烙印を下腹部に刻まれ、所有物にされてしまう一年ほど前のこと。
珍しいことに、初見殺しを受け快楽に身悶えしながらも敗北を喫するのではなく魔女を撃滅した彼女が、その足でみかづき荘にやってきた次の日。
清々しい目覚めを迎えた陽人の視界にまず映ったのは、ぎゅっと枕を抱いて体を隠し、かあっと顔を赤くしながらも涙目で自分を見つめる鶴乃の姿だった。
「……言われるほどひどいことしたっけ?」
「したよ!」
「あ、おい。魔法少女の力で叩くな痛い痛い」
うがー、と叫ぶ鶴乃は、魔女の陵辱、そして調整役たる彼との情事を経ての目覚め故に、今もまだ魔法少女衣装のまま。解除しては服が体液でべたべたになるため、ボロボロの劣情を煽る服であろうと着用し続けるしかない。
ぺたんと女の子座りをして、どうにか股から溢れ落ちそうになる精液を溢れぬように我慢する少女は普段の元気な様子とのギャップも相まって卑猥で、生理現象とはまた別の理由で昨晩酷使したばかりの逸物に硬度が宿る。
「こ、のっ。痛いって言ってるだろ!」
「え、きゃうっ!?」
ぼすぼすと手にした枕で叩き続ける鶴乃を、調整の関係で枕元にあった彼女のソウルジェムを弄りその体に快楽を流し込む。
軽いとはいえ予期していなかった逆襲に少女の口から嬌声が漏れ、動きが止まった瞬間、腕を掴んで押し倒す。
魔法少女の衣装は大事なところを隠してくれず、羽根飾りのような髪留めも消失し髪も結んでいない状態。
欲望が沸騰しそうになるその格好を見てようやく、昨日の自分の気持ちを実感しながらそれに連鎖するようにして自分が彼女に対して何をしたのかをぼんやりと思い出し始める。
「あー……うん、ひどかったかも」
「そうだよ! やめてって言わせてもくれなかったよ!」
「でも、気持ちよかったのは気持ちよかったでしょ?」
「……よかった。良すぎて死ぬかとも思ったけど!」
「鶴乃は体は120点なんだけどなぁ……どうして万々歳の料理の方は50点なのか……」
「しーらーなーいーよー! というか女の子の体に点数つけるのはダメでしょ!」
別に何があったというわけではない。
一つ一つは小さな、けれど積もりに積もったむしゃくしゃとした気持ち。それを一番手頃に、抱く理由のあった鶴乃に対してぶつけただけ。
それで壊れてしまうならその時はその時。家で飼えばいいや、なんて気持ちもなかったといえば嘘になる。
「うぅ……裏切り者ぉ……優しくしてくれるって言ったのに……もうお風呂一緒に入ったげない……ご奉仕もしてあげない」
「はいはい、俺が悪かった」
「むぅ……言葉ではなんとだって言えるんだよ! しんよーならない!」
「……なら、体に教え込んであげよーかなぁ。俺が悪いって思ってること」
「何する気!?」
「もちろん、鶴乃が俺のものになりたいって言うまで甘々に甘やかしてえっちなことをする」
「いらないから! ……そういうのはまた別の機会に」
けれど想像をしたのか、期待している様子を隠しきれていない様子の鶴乃。
これは
さすがに今すぐひん剥けば鶴乃に怒られても仕方ないが、それを前提にしても実行できるなら魅力的な未来だった。
「……指輪」
「ん……?」
「許して欲しいなら、指輪ちょーだい」
ぷい、っと背きながらぽつりと小さく告げられた言葉。一度目は聞き逃したが、二度目はさすがに聞き逃さない。
「あー、玩具でいいならすぐに渡せるけど」
「え、ほんと!?」
「おお、ほんとほんと。それこそもっと高いのはもうちょい待って欲しいけど」
「えへへっ、じゃあそっちは待ってあげる」
そう言い切り抱きつく鶴乃の笑顔は非常に可愛らしく、そしてそれとは真逆に準備が整った体は陽人の欲望を駆り立てる。
抱きつく少女の秘部が猛る剛直と擦れ、耳元を擽る熱のこもった吐息を溢す。一挙手一投足までもがもうセックスアピールととってもいいのではないかと思うほどの状態。
「やったぜ。じゃあ、今日の風呂ではサービスしてくれるって考えてもいいのかな?」
「もーっ! なんでそうなるのさ!」
「えー、してくれないの……」
「……何して欲しいのさ」
「色々」
奉仕、セックス、ついでに言えばお風呂場だからできるような鶴乃の体をスポンジ代わりに体を洗う、なんてことも彼の頭の中には浮かんでいる。
それをつらつらと口にすれば、一つ口にするたびにどんどん顔の赤みは増すばかり。
「……へんたい」
「自覚はある。けど止めるつもりはないし、鶴乃に指輪嵌める前に生ハメセックスしたい」
「う、うぅ……しょ、しょうがないなぁ……で、でもその分ちゃんとした指輪じゃないとダメだからね!」
「わかってるわかってる。……確か、いろはと同じ学校なんだっけ?」
「へ? そうだけど、それがどうかした?」
「なら、女子校じゃないんだっけか。……鶴乃は可愛いからなぁ、狙ってる男子にも見せつけないとな」
「えー、そんなのいないってば」
「いや、いるって。いなかったらそいつらの目が狂ってるだけだよ。鶴乃がどれくらい可愛いのか、ちゃんと教えてあげるから」
「えっ」
宣言通り、風呂場でのセックスの最中、彼女は常に甘やかされながら延々と好きになったところを告げられることになった。
最終的には逆上せて、二人揃ってやちよに怒られることにはなったが、それも悪くはなかったと鶴乃は思っている。
「……ぇへへ」
持ち上げた左手、その薬指。そこに嵌められた、部屋の明かりを浴びてきらりと光る、少しだけぶかぶかの銀色の指輪を見て少女は相好を崩し──
「ふ、ぅ、あ、ぁっ、ぁあ──っ! ぁ、やっ、や、ぁあああっ!」
その夢から、魔女の指が強制的に引き戻す。
左足のみを触手によって掴まれ、宙に吊るされる鶴乃は、今や魔女にとって心地の良い楽器。拘束されていない右足は投げ出され、結果としてしとどに濡れる股が魔女の前に晒されている状態だった。
一本一本が成人男性の腕ほどの太さはある、肉棒のごとき奇怪な指。どれ一つとして同じ形のないそれらが魔女の無聊を慰めるためだけに、彼女の気の向くままに選ばれた一本が少女の膣を圧迫する。
本来、圧迫感と苦しさしか感じないはずのその抽挿は、しかし快楽炎の烙印を刻まれた少女の神経にとっては苦しいほどの気持ちよさ。
抉るように膣を蹂躙したかと思えば、別の指は滑らかに滑るだけ。肉体が感じる快楽はもとより慣れることなどできたものではないが、抉られる感覚を堪えようと思えば子宮以外を責めたてない、なんてこともある。
噴水のように愛液を撒き散らす、魔女のお気に入りの玩具以上の価値を与えられないのが今の鶴乃という少女だった。
「ふぅ──っ、ふぅ──」
こつん、こつんと子宮だけを責めたてる、短すぎる指から伸びる細すぎて長すぎる爪。
いつもは膣と一緒にいじめられるのがセットだった故に、膣もまた勝手に反応を開始し、けれど締め付ける対象が細すぎるために締め付けることができずにもどかしさだけが彼女の身に満ちる。
「あ、やっ! やぁ、あああっ! あ、ぁぁああぁぁっ!」
かと思えば、ごつごつと角ばった、表面にイボがある指が強引にねじ込まれ、少女の思考を快楽で押し流す。
それらが交互に膣に挿入され、あるいは余った指が全く予想外のタイミングでクリトリスを撫で上げ、摘んでは弾き、簡単には飽きさせない楽器としてそこにある。
「つまらない。もっとちゃんと反応して」
けれど、当然いずれは飽きが来る。
絶頂絶頂、また絶頂。次第に鶴乃の反応は単調になり、楽器として魔女の興味を引くにはもうとっくに力不足。
ぽたぽたと溢れる愛液と精液。それが重力に従って落ち、少女の全身を汚す姿は淫靡ではあるが、それ以上ではない。
魔女のお気に入りという立場が急速に薄れていくのを感じたのか、足元に集った使い魔たちが騒ぎ出す。
「きなさい」
魔女の発した言葉。それに沸き立つ猟犬が尋常ではない跳躍力で宙に吊るされる鶴乃へと飛びかかり始めるが届かない。
猟犬たちの怒りの叫び。この雌を孕ませねばならない、この雌を辱めねばならない。魔女とそれが生み出す使い魔の本能、少女を辱めるという本懐を果たさせてくれと叫んでいる。
「ぅ、ぁ……ひぃっ!?」
「いいわよ、つかいなさい」
猟犬の咆哮が鶴乃の耳朶を震わせ、気絶していた彼女の意識が現実に戻ってくる。最初に目に入ったのは、自分に襲いかかろうと跳躍してきた猟犬の姿。
それが届くことはなかったが、けれど幾度となく行われた陵辱は少女の心に確かな傷を刻み込んでいる。その反応にこそ魔女は嗤い、するすると、少女にもわかるようにはっきりと、されどゆっくりと彼女のことを下ろし始めた。
「や、やだっ! やめて、やめてよ!」
そうなればどうなるのか。考えるまでもなく鶴乃は先ほどと同じく、ケモノによる陵辱に身を晒されることになるだろう。
恐怖に顔を強張らせ暴れ始めるが、それは悪手。もはやいつ離しても問題ない魔女は鶴乃が暴れるほどに触手の拘束を緩め、ずるずると彼女の身が解放され始める。
幾度となく跳躍を繰り返す猟犬たち。その前足が届くか届かないかのギリギリの高さを魔女は維持し、少女から恐怖を引き出して笑う。
「とっておいで」
その少女を、まるでフリスビーのように投げ捨てる。投げた場所はつい先ほど、鶴乃が焼き払った飼育空間の残骸。
精液と愛液の混じった湖じみた水溜まりを彼女は転がり、鶴乃を追いかけ猟犬たちが走り出す。
汚辱の残滓でできた水溜まりで液を跳ねさせる少女。衝撃にすら快楽を感じる鶴乃の目に映ったのは、かつてもらった大切な指輪が悍ましい精液に沈み輝きを失っている様子。
鶴乃の左手薬指に比べると大きな指輪。精液と愛液の混合物が潤滑剤の代わりとなって、勢いよく転がる中で取れてしまったそれに届かぬとわかっていても彼女は手を伸ばし──
「ぁ……」
自分を蹂躙するために迫る猟犬たちに、それが踏み潰されるのを見た。
猟犬は尋常の生物ではなく、故にその疾走も通常ではありえない。鉄であろうと危ういというのに、たかが玩具の指輪ごときが耐えられる道理はない。
蹴り飛ばされるたびに、踏み潰されるたびに、その指輪は綺麗な円形から崩れてしまう。
手を伸ばせば届く距離にまで転がってくるだろうか。いや、転がってきたとしてもきっともうそれは指輪の形をしている保証はない。
「や、やだ、やだやだ! 返して、返してよぉ……!」
ケモノには、彼女が何を叫んでいるのか理解はできない。わかっているのは、主人が本能的に求める魔法少女の絶望、それが由比鶴乃という魔法少女から生み出されているということだけ。
ぱしゃん、と小さな音を立てて彼女の背後に何かが落ちる。顔だけそちらを向けば、そこにはかつて指輪だった破片があるだけ。
「う、あ、ぁ……」
ぽろぽろと涙を流しながら、指輪をつかもうともう一度手を伸ばす鶴乃。力なくふらふらと伸びる魔法少女の手が、ピンといきなり震えて、止まってしまったのは、突き立てられた剛直が原因だった。
「あ、ぁ──や、あぁあぁぁあっ」
衝撃は、これまでのどのケモノよりも大きかった。体毛が紫のそれはフェリシアが産んだ子供の中でも特等、彼女の力を受け継いだ猟犬。
ハンマーで殴る衝撃を全て快楽に変換したかのような一撃が膣内を蹂躙し、鶴乃の意識を飛ばしては絶頂させて呼び戻す。
幾度となく魔女言語に快楽神経をジャックされ、数多の魔女に陵辱を受け、今また烙印を刻まれた肉体はもうどんな小さな刺激であろうと絶頂に至る快楽として受け止めてしまう。
「ひ、ぃ、ぁ、うぁ……やぁっ……ふ、うぁぁぁあっ!」
そこに、鶴乃産の猟犬の快楽炎が精液と愛液の混合物を燃料として燃え広がり、彼女の全身を炙り始めたのだから、もうどうしようもない。
意識は飛ばされ、魔力に対する耐性も意味をなさず、ただただ成されるがままに犯されるだけ。
猟犬の子種とはまた別のところで、彼らの持つ力が機能しなくなった魔力耐性を抜けて、鶴乃の体に新たな作用を開始する。
(ぅ……ぁ、え……?)
ぼんやりと、理性が溶けていくような感覚が彼女の体を襲う。
新たな感覚が生えてくるような、そんな錯覚もまた。外から見ればそれが猟犬とお揃いの耳と尻尾が生え始めているのだとわかっただろうが、今動けぬ少女にそれを理解することはできない。
(わたしが、わたしじゃなくなる……?)
人間の記憶もいらぬとばかりに猟犬の本能を植え付けようとするその力。
それに恐怖を抱いた瞬間のことだった。
「おまえたち! あのこむすめどもをねらいなさい!」
魔女の叫びとともに、いくつかの人影を見つけたのは。
やちみふはどっちの方が泥棒猫が似合うのだろうか、なんてことをよく思う今日この頃