「めぐる、どうしたんだ? 最近、調子でも悪いのか?」
「そ、そうかなぁ……わたしは絶好調だと思うんだけど。ステップに変なところでもあったかなぁ?」
声が上ずるのだけは何とか避けたが、プロデューサーの問いかけに対し、めぐるは不自然なごまかし方をした。めぐるがプロデューサーの瞳から、目だけでなく顔全体を逸らして、レッスンでかいたのではない汗をこめかみに浮かべていたのは、プロデューサーに対する後ろめたさがそうさせた。
それでも、これまでのアイドル生活によって、めぐるの演技力は本人が思うより向上していたらしい。
「……そっか。めぐるが大丈夫だって言うなら、別にいいんだ。でも、辛かったらちゃんと言ってくれよ?」
「う、うん……」
「疲れてるかもしれないけど、こんどの収録が終わったら、オフも増やせると思う。それまで一緒に頑張ろうな!」
暖かい励ましの言葉。めぐるのことを信頼してくれている笑顔。めぐるが大好きだったそれらが、いまは彼女の良心をチクチクと苛む。初めてめぐるに恋愛感情を教えてくれた青年の顔を、最近のめぐるは直視することができていない。
めぐるがこのプロダクションに所属して、彼のプロデュースを受けるようになってから、既に約一年が経過した。思えばそのあいだ、色々なことがあった。アイドルの仕事を成功させて喜びを分かち合ったこともあれば、オーディションで落とされて、共に涙したこともあった。
スラっと背が高くて見た目が良く、いつもそばで親身になって面倒を見てくれる年上の若い男に対し、思春期の少女が恋心を抱かないと思うほうが間違いだ。ご多分にもれず、めぐるも彼に対して、「アイドルと担当プロデューサー」の枠を超えた感情を抱くようになった。
紆余曲折あって、めぐるは彼と結ばれた。去年のクリスマスにめぐるのほうから告白して、それから周囲には内緒の付き合いを重ね、今年の春、ホテルで初めて彼に抱かれた。大学時代に付き合っていた女性がいたらしいプロデューサーは、処女のめぐるを紳士的にリードしてくれた。
しかし、良く分からないまま終わったというのが、初体験のときのめぐるの感想だ。気持ち良かったかと聞かれても、処女膜を貫かれた痛みと異物感で、それどころではなかった。ただ、プロデューサーは気持ち良いと言ってくれて、最終的に自分の中で果ててくれたから、そのことは嬉しかった。
(何回もエッチしたら、わたしもプロデューサーと一緒に気持ち良くなれるのかな……)
その疑問を相談する相手は、めぐるの周りにいなかった。何しろ、めぐるがプロデューサーと付き合っていることは、他人に絶対漏らしてはならない秘密なのだから。ただでさえ事務所にはプロデューサーに好意を抱いているアイドルが多いのに、そんなことを不用意に打ち明けられるわけがない。
だから、めぐるは同ユニットで親友の真乃と灯織にも相談せず、ネットのコラムなどで疑問を解消しようとした。
はじめてのセックスで男女が一緒に気持ち良くなるのは難しいと書いてあって、めぐるは少しほっとした。お互いの心が通じているのなら、身体を重ねていけば、いずれは彼のモノで気持ち良くなれるとも書いてあった。
(じゃあ……わたしとプロデューサーも大丈夫だよ…………ね?)
二度目に抱かれたときは、痛みはほぼなく、強い圧迫感だけが残った。三度目に抱かれたときは、気持ち良くなっている「フリ」をする余裕ができた。四度目も、やはりめぐるは感じている演技をした。そして、プロデューサーとの五度目の逢瀬を前にして、めぐるは学校の廊下で――「彼」の前で、落としてはいけないものを落としてしまった。
プロデューサーと使うはずだった避妊具を「彼」に拾われ、「誰かにバラされたくなければ」と脅されて、一人暮らしの彼のアパートに連れ込まれて……めぐるはその日、初めて本当のセックスというものを知った。
「で、ここの振り付けなんだけど……真乃と灯織がターンしてから…………。――めぐる? めぐる、どうした?」
「――え? な、なに?」
「聞こえてなかったのか?」
プロデューサーの心配する声で、めぐるの意識は回想から現実に引き戻された。
「やっぱり体調が悪いんじゃないか? 顔が真っ赤だぞ?」
「あ――」
その瞬間、めぐるの頭に、さらに血が逆流した。
「ご、ごめんなさいプロデューサー!」
「いや、そんなに勢いよく謝ることじゃないさ」
プロデューサーはそう言ったが、めぐるは、単にレッスン中に集中力を欠いたから彼に謝罪したわけではない。彼女は今、大好きなプロデューサーの前で、別の男とのセックスについて思い出していたのだ。恥ずかしさと情けなさと申し訳なさが、めぐるの心を満たしていた。
「……今日はこれで切り上げようか。たまには休憩も必要だし。それに、めぐるのダンスは、じゅうぶん上達してるしな」
プロデューサーの気遣いの言葉が、めぐるの申し訳なさに拍車をかける。
「……ごめんなさい、プロデューサー…………」
過去のあやまちについての謝罪。これから行われる裏切りに対する謝罪。その時のめぐるの「ごめんなさい」は、果たしてどちらを意味していたのだろうか。分からないが、それから約1時間後、めぐるは事務所でも自分の家でもないアパートの一室のドアを叩いていた。
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「あ゛っ♡♡ お゛っ♡♡お゛っ♡♡お゛っ♡♡お゛っ♡♡ う゛うっ♡♡♡ ぐぅ~~~~~~っ♡♡♡♡」
「はははっ、すっごいイキまくってるじゃん八宮。君のほうから僕を訪ねてくるなんて意外だったけど、そんなに発情してたんだ? もっともっとイっていいよ。好きなだけ感じさせてあげるからね」
「ん゛ぃいっ♡♡ ア゛っ♡♡ おっう゛っ♡♡ い゛っひ♡♡ んお゛~~~っ♡♡ お゛~~~っ♡♡」
シーツにうつぶせになっためぐるの背中に、同い年の同級生が覆いかぶさっている。二人とも全裸で、同級生はめぐるのマンコにゴム付きチンポを深々と突き刺している。彼はめぐるにとって、ついこの前まで単なる同級生に過ぎなかったが、今や彼はめぐるの身体のあらゆる場所を知り尽くしていた。
大切なプロデューサーに、せっかく与えられた休息のためのオフを、めぐるはセフレとの性欲解消セックスに費やしていた。めぐるは、大好きな年上の恋人と別れの言葉を交わしてから1時間後に、彼の知らない場所で、セフレとの浮気交尾に夢中になっていた。同級生の間男チンポに寝バックでハメられ、意識がトビそうになるくらいのアクメ快楽を存分に貪っていた。
(なんでっ!? なんでこんなに気持ちイイのっ!? プロデューサーだとダメなのに、○○君のおチンチンだと、どうしてわたしこんなに感じちゃうのっ!?)
それは分からない。だが、今のめぐるが動物じみた喘ぎ声をあげ、シーツを涎でベトベトにしながらイキ狂っているのは事実だった。
(ごめんなさいっ! ごめんなさいプロデューサー! ごめんなさいっ! ごめんなさいっ! ごめんなさいっ! ごめんなさいっ!)
「――お゛っ♡♡♡♡ あ゛っ♡♡ ん゛ぅううううううっ♡♡♡♡ んい゛い゛いいいいいっ♡♡♡♡」
頭の中で謝っても、めぐるの身体は浮気チンポでイクのを止めようとしない。
歯を噛み締め、唇を引き結び、背筋を精一杯のけ反らせても、この快楽は体外に逃しようがない。ふくらはぎがつりそうなほど脚をピンと伸ばし、足の裏がしわしわになるくらい指をぎゅうっと折り曲げて、下半身全体をビクつかせる。
胎内をゴリゴリ削るチンポのカタチが、コンドームを付けていても驚くくらい鮮明だ。ほんの少しプロデューサーのモノより硬いだけなのに、ほんの少しプロデューサーのモノより太いだけなのに、ほんの少しプロデューサーのモノと角度と反り返り方が違うだけなのに、気持ち良くて気持ち良くて気持ち良くて気持ち良くてきもちよくてキモチヨクテどうしようもない。
「はぁー……っ、はぁー……っ、はぁー……っ、――もっ、もうや゛め゛でよぉ……っ」
いつまでも浅い膣イキが止まらない。頭がおかしくなりそうだ。めぐるはボロボロと涙を流しながら、セフレの彼に許しを請うた。
許してもらうために深く頭を下げようにも、めぐるは既にベッドにへばりついた状態だ。両手でシーツを強く握りしめ、男に上に乗られて押しつぶされ、ある意味で土下座よりも無様な格好である。しかも、「彼」はめぐるに無慈悲な事実を突きつける。
「セックスしたいって言ってきたのは八宮のほうじゃん。僕が満足するまで、今日は返さないからね?」
「う゛ううう゛~~~♡♡♡♡」
めぐるの白い喉が、さらにのけ反る。強くつぶった目の端から零れた涙がシーツに落ちる。今日の「彼」は、めぐるのマンコにペニスをずぽずぽ出し入れするのではなく、最奥まで挿入したまま、ペニスの先端をめぐるの行き止まりにぐりぐりと押し付けている。それをされると、下腹部から全身にじんわりと快楽が浸透し、しかもその快楽の水かさは増していくばかりで、引くことがない。一度イってしまったら、イったきり戻れなくなってしまう。
大好きなプロデューサーとのセックスでは感じたことのない快感。恋するプロデューサーの前では発したことのない下品な喘ぎ声。まるでめぐるのために造られたような「彼」のペニスは、めぐるの意識を簡単に天国まで飛ばしてしまう。めぐるはそんな自分自身に困惑しながら、この快楽と「彼」のペニスへの依存度を順調に高めていた。
「ん゛っ♡ お゛っお゛っお゛っお゛っ♡♡♡ お゛お゛~~~~~っ♡♡♡♡
「あ~……イキ膣締まってくる……。もう一発出すよ、八宮」
「あ゛っ♡♡ おひぃいいいいっ♡♡♡♡♡」
めぐるの膣内に侵入していた男根が一回り大きく膨れたかと思うと、次の瞬間に精が解き放たれていた。「彼」が射精すると同時に、めぐるの身体も計ったように一緒に深イキしていた。
(ああ……気持ちイイよぉ…………♡♡♡)
この瞬間、快楽の津波に全てを押し流されためぐるの頭の中には、それしか残っていなかった。大切なプロデューサーのことも忘れ去って、彼女は恍惚とした表情でひたすらアクメしていた。
(このおチンチン……○○君のおチンチンが気持ちイイの……♡♡♡)
理性と思考がぼやける中で唯一鮮明なのは、この快楽を与えてくれたのが、誰なのかということだけであった。最上級の膣イキは、自分を脅迫し言いなりにしている相手への怒りや憎しみを置き去りにして、とにかく犯されるメスの悦びだけをめぐるに与えた。
「ふぅ……ふぅ……はぁ~……出したぁ……。めっちゃ濃いの出たよ、八宮……」
「……お゛っ♡ ……ヒっ♡」
射精後に脱力した男の体重が、めぐるに重くのしかかる。不快だと思うべきなのに、めぐるの肉体は断続的な追いアクメに浸っていた。「彼」はめぐるが抵抗力を失ったのを良いことに、引き続きペニスをぐりぐりとめぐるの最奥に押し付けながら、彼女の金色の髪を手のひらで撫でた。
「……やめっ……てぇ……♡♡♡ お゛っ♡♡♡ う゛~……っ♡♡♡」
膣内をペニスで貫かれるのとは別種の――しかし男に「支配される」という意味では同種の快感が、頭頂部からゾクゾクと溢れ出す。その黒い泥のような快感は、めぐるの背骨を駆け抜けたあと子宮にまで到達して、めぐるの大切な「何か」をジワジワと侵食していた。
「八宮、めちゃくちゃ良かったよ」
頭を撫でられながら耳元で囁かれると、喜びたくないのに悦んでしまう。わたしが気持ち良くしたいのはプロデューサーなのに……と思っているはずなのに、膣内がキュンキュンと引き締まり、「彼」の尿道に残った精液を搾り取ろうとする。
「八宮は良かった?」
全然気持ち良くなかった。プロデューサーへの筋を通すために、めぐるはせめて、口でだけはそう言おうとした。
「はい……ぐすっ……気持ち良かったです……」
しかしめぐるの身体は、もうほとんど「彼」の思い通りに動いてしまう。悔し涙が、さらにシーツを濡らしていった。
「僕はまだできそうなんだけど」
「――――!? ま、まって……」
めぐるが制止しようとした時には、既に「彼」の腰はゆっくり動き始めていた。
めぐるの歯が、カチカチと鳴る。これから味わわされる快感を想像して、彼女は恐怖におののいた。
「もうちょっと付き合ってもらうよ、八宮」
「やめ……て……お願い……だからぁ…………――あっ♡」
「大丈夫、前みたいに八宮が気絶しても、ちゃんと最後まで面倒見るから。気絶したあともイカせまくってあげる」
そこからは、めぐるの甘美な絶叫だけが部屋の中に響いていた。
めぐるは「彼」に、自分の表面を覆う全てを剥ぎ取られ、不格好な痴態を曝け出して、泣き叫びながらイキ続けた。