お貴族様の初夜 ~TS転生令嬢は家族監視の中で夫を受け入れられるのか~ 作:春風れっさー
オリジナル:ファンタジー/恋愛
タグ:R-18 転生 性転換 初夜 ほのぼの いちゃらぶ 見守られ
それはそれとして、王国特有の慣習により家族一同に見守られながらすることになった。
※ノクターンノベルズ様にも投稿しています。
豪華な調度品が置かれていても、天蓋付きのベッドが中央に配置されているところを見るとその部屋の役目は一目瞭然だった。
シルクのシーツが敷かれたベッドの上には一対の男女がいた。
一人はカリオス・シェロ・ルベール。伯爵令息だ。そして今日、入り婿として名字が変わった。
鼻梁の通った端正な顔立ちの彼は、鳶色の瞳で目の前の人物をじっと見下ろしている。
目の前にいるのはルセリア・ゼナ・クヌート。クヌート侯爵家令嬢にして長女だ。
金糸のように艶やかな髪と海原を切り取ったかのような美しい瞳。そして芸術作品のように整った顔立ちが精巧な人形のようと社交界で噂される美人だ。
そう……彼女はまだ、齢十四の少女だった。
そんなルセリアは、異様な格好をしていた。
なんと全裸で、膝立ちになるカリオスの前で仰向けに寝転んでいる。しかも、両足を大きく開き手で抱え、秘所をご開帳した姿で、だ。
少女にとって大事なところが全て、丸見えになっていた。発展途上の小ぶりな胸も、微かに肉付いたなだらかなお腹も、花の蕾のような尻穴も、そして見せつける形で開かれているピンク色の秘裂も、全てが露わとなっていた。
男と女。二人がベッドの上で揃えばやることは一つ。
それはそうで、これからするのもそうなのだが、その光景にはまだ異常なことが一つ残っていた。
何故ならそのベッドの横には、ルセリアの家族が勢揃いしているのだ。
人形と謳われたルセリアの顔も、流石に赤く染まっている。
そのルセリアこそ……俺である。
残念ながら俺だった。
気がついたら転生し、赤子となっていた。
それはまだ、別にいい。前世に未練はあったしこの世界の文明レベルは低いしで帰りたい気持ちも多少あったが、交通事故で死んだ記憶がハッキリ残されていたので帰れないことは理解できた。異世界転生物もよく見ていたので、あまり混乱はなかった。
貴族の生まれというのも、別に、むしろいい。ノブリス・オブリージュという義務は発生するが、その代わり豊かな暮らしが約束される。加えてクヌート侯爵家は国有数の大貴族であった為に、将来の安泰は約束されたようなものだった。
問題は今世の性別が女だったことだ。
ルセリアとして成長していくに連れ、俺は不安を覚えた。
俺の容姿は明らかに美しい。前世で男だった目線で見ているのだ、まず間違いない。
ふわふわの金髪。宝石のような双眸。パッチリした睫毛に朱の差した頬も、ブサイクな部分が一つも無いと断言できるような美貌の持ち主だった。
だがそれを見て俺の中に膨れ上がっていくのは憂鬱だった。
――俺は将来、男とまぐわうのか?
それは前世男であった自分にとって、どうにかして避けたい事案だった。
だがそれは、この世界で、正確にはこの国で生活していく内に不可避だと悟ってしまっていた。
この国、ハーラウ王国では長子相続だ。
それ自体は別に普通なのだが、変わっているのはこの国、女性であっても一番上の子どもが相続する。
俺には二人の弟妹がいる。つまり男の姉弟がいるのだが、領地を受け継ぐのはあくまで俺であり、長男に相続権はない。
なら男女差別のない国なのかというと、それはそれで違う。
女性でも相続は約束されている。だが実際に相続するには、男の伴侶を迎える必要があった。この国では女当主は認められていないのだ。
そして当然、貴族なので子作りの義務がある。なので貴族の長子で女として生まれてしまった以上、結婚は確定事項だった。
そんなこんなで十数年生き……ついにその時が訪れた。
十分な年齢となった(少なくともハーラウの価値観としては)俺は婚約者と引き合わされた。
「お初にお目にかかります、ルセリア様。私はカリオス・シェロ・ルベール。伯爵家の三男坊です。恐れ多くも貴女様と婚約させていただいた不肖者でもあります」
初めて会ったカリオス様は優しげな顔立ちで、柔らかな物腰と相まって初対面ながら安心感を覚えた。髪と目も落ち着いた鳶色。長身で鍛えていたが、一見は細身に見える立ち姿で威圧感がなかったことも大きい。少なくとも人間としての第一印象は最初から好感度MAXだった。
そんな彼は、仲良くなる過程で繰り返されたお茶会でも常に気遣ってくれた。俺が苦手なお茶菓子に何も言ってないのに気付いてくれたり、気温が高すぎて動けないくらい参ってしまった時も部屋までお姫様だっこで運んでくれた。デリカシーの塊だ。心がイケメンすぎる。大切に扱われて、悪い気がしなかったのは確かだ。
所作は精練され話題は豊富。入り婿としてはこの上ない大当たりであった。家族となる人としては、一緒に暮らす人としては、不安はない。
だがそんな彼に触れる度、俺の中で不安は膨れ上がっていく。
自分はこの人と――愛し合わなければならないのだ。
「? ルセリア様、顔色が悪いようですが……」
「い、いえ。大丈夫ですわ、カリオス様」
「お体の具合がよろしくない場合はすぐに言ってください。貴女と過ごす楽しい時間は大切ですが、貴女自身には替えられないのですから」
「……はい、カリオス様」
俺のことをよく見ていて、よく気がつく。
そんな彼の前で繕うのは……気が滅入る作業だった。
しかし自分に出来ることはない。婚約は決定し、結婚はほぼ確定。この国の宗教では互いが存命の内は離婚は不可能。俺はこの人と添い遂げることが絶対的に決まってしまっていた。
そして遂に結婚し、初夜の時が訪れた。
だがここで、ハーラウ王国第二の変わった風習が発動した。
この国において、初夜は家族監視の下で行なわれるのだ。
「うぬぬ……なんとけしからん」
「貴方、我慢してください。私たちの時もそうだったでしょう?」
恰幅の良い男性と、俺とよく似た金髪の女性がそれぞれ険しい顔と柔和な微笑みで俺を見ている。父上と母上だ。
その隣では、十にようやく達した程度の二人の子どもが並んでいる。男の子と女の子は怯えて抱き合いながら、俺から目を逸らせないでいた。
「お、お姉さま……大丈夫だよね?」
「こ、怖い……」
二人は私の弟妹だ。十歳と九歳。……幼い二人に見られる方が、親に見られるより恥ずかしい。
私たちは存命の家族全員の視線の先で、しかもご開帳する形で、一糸纏わぬ裸を晒していた。
……何だこの状況は!?
そう思う人もいるだろうし、俺も思う。このあまりに羞恥的な状況に、前世が男であった自分も流石に恥ずかしくて顔が真っ赤に染まる。
室内は明るすぎない灯りに照らされ、よく見える。
俺の緊張で汗ばんだ肌も、不安でゴクリと鳴る喉も、震える瞳も全部、衆人の元に曝かれていた。
これがハーラウの初夜だ。
家族は当主となる人物の初夜に必ず同席する。それは性教育の為だった。
親は子どもが間違わないように見守り、弟妹は兄姉の行為を間近で見て学ぶ。両親はすぐに指導できて、弟妹は自分の時の作法を知れる。一石二鳥。合理的な判断だ。……当人ら以外にとっては。
それがこの国における性教育だった。
考えついた奴はハッ倒したい。
「ルセリア様、大丈夫ですか?」
険しい顔をしていたのが伝わったのか、カリオス様が問いかけてくる。俺はすぐさま繕って答えた。
「ふ、ふふ。平気ですわ。それより夫婦となったのですから、ただのルセリアとお呼びくださいまし」
こんな時でも貴族令嬢としての礼儀を失わない。俺が自分に課した義務の一つだ。
中身が男なのだから、気を抜くとボロが出る。だから喋る時は貴族の一員であることを常に意識するようにしていた。
それにカリオス様には中身が男の女性と結婚させてしまうのだ。ならせめて、嫌な思いはさせたくない。
だが……出来るのだろうか。
俺は男への嫌悪を振り切って、貴族の義務を全うできるのだろうか。
分からない。それが怖い。昼間の結婚式の間もずっと不安で気が気じゃなかった。それを思うとこの異様な状況はむしろそれを薄めてくれて、感謝すらしている。
いや……やっぱしてないな。なんだよこの風習。前世にあったら人権問題だぞ。知らないだけでどっかにあるのかも知れないけど。
一方で、カリオス様はどこまでも優しい。
「……そうか。分かったよ、ルセリア」
俺を気遣ってか、柔らかな笑みを浮かべて頷くカリオス様。優しい、本当に優しいのだが……。
「お姉さま、アレで貫かれて大丈夫だよね!?」
「す、すごく大きいよ? 痛くないの?」
「ぬぅ……あそこまで大きくするとは余程のHEN-TAIだったか」
「まぁまぁ、仲睦まじいのはいいことではありませんか」
カリオス様の
初夜を一緒に迎えるカリオス様も勿論全裸で、だから丸出しになっている。長身のカリオス様は立派な体格に相応しい、立派な得物を持ち合わせていた。
そしてそれが俺の裸を見て興奮し、真の姿を露わにしていた。
いや、大きい。
前世の知識と比べても、カリオス様のイチモツは実にご立派だった。太さも長さも、AVの竿役でも見たことがないほど巨大だ。
当然、かつての俺についていた物よりも大きい。俺の中の雄がしおしおと萎れていくのを感じる。
「っ……!」
その肉鉾が、今から俺の中の鞘に収められる。
今更その事実を実感し、恐怖した。
「……怖くないかい?」
俺の表情の変化に感づいたカリオス様が、俺を案じるように頬を撫でた。温かく、今は女の俺の手よりもゴツゴツした感触が触れると、何故か恐怖がすーっと引いていった。
だから素直に、こくんと頷いた。
「そっか、じゃあ……」
「待ちなさい」
母上が手に持った扇子をパシンと閉じて注意を引いた。
「まずは前戯からに決まっているでしょう。夫である貴方がルセリアの膣をほぐしてあげるのです」
「は、はい、義母上」
指示が飛ぶ。この場を取り仕切っているのは母上だ。最初の俺の恥ずかしい姿勢も、母上の指示によるものだ。
ハーラウ貴族の慣習として、初夜は同性の親が取り仕切る。娘である俺の面倒を見るのは母上の仕事だ。今日は誰も母上には逆らえない。現当主である父上であってもだ。
だからカリオス様は大人しく従って俺の秘裂に手を伸ばした。
「っ! ……ぅ」
ぴとりと、カリオス様の指が白い貝口に触れる。ぷっくりと膨らんだそこはまだ誰の手にも犯されておらず、幼いままの固さを保持している。
感触に驚いてひくりと動いてしまったのがカリオス様に伝わっただろうか。
「………」
無言のまま、カリオス様の指先は割れ目の中に滑り込む。今まで碌に触れたことのないそこへ、初の侵入者が入り込んだ。
「……分かるかい?」
「は……ぃ……」
カリオス様の低い声が耳朶をくすぐる。余裕のない俺は素直に頷いた。
たった一本の指は、抜群の存在感を誇っていた。気を逸らせない。忘れさせてくれない。
「動かすよ」
カリオス様は宣言すると、ゆっくりと指先で俺の膣をまさぐり始めた。
「……っ、ふっ……ぅ……!」
最初の内は緊張の方が強く、くすぐったさの方が勝った。しかし続けられていく間に段々気持ちよくなっていく。
そして擦る音に、水音が交ざり始めた。
「は、ぅ……あぅ♡」
背筋を快感が走り抜けていく。身を委ねるには不安すぎる感覚だ。気を抜けば一気に埋め尽くされてしまいそうな、暴風雨のような気配を感じる。それをもたらしている指先が、先程は自分の頬を撫でて安心させてくれたものだと思うと、どうしようもない倒錯を覚えた。
「はぁ、はぁ、んっ♡」
ひくん、ひくん。腰が勝手に揺れ始めた。水音はどんどん濃くなっていき、それと比例して身を炙る快楽も強まっていく。自分の意思とは無関係に悦楽のきざはしへ押し上げられていくことが、堪らなく怖かった。
待って欲しいと、口をついて出そうになる。けれどそれは寸でで堪えた。ここで止めたら、カリオス様の名に傷がつく。それは避けなければと、俺は口をきっと結んだ。
だからフイと顔を逸らした。けどそれは悪手だった。
何故なら固唾を呑んで見守る、弟たちの顔を見てしまったから。
「お姉、さま……」
「すごい、気持ちよさそう……」
見られてる。俺が気持ちよくなるところを、惨めにイカされるところを。
「――いっ♡」
きゅん、と子宮が蠢動した。羞恥という鍵が最後の抵抗をこじ開けた。快楽という水流をせき止めていた水門が開き、濁流が俺の髄を駆け上る。
「イクっ……♡!」
甘い悦びが爆発し、俺は初の絶頂を味わった。視界で白い火花が散る。身体は仰け反るように痙攣した。膣の中から雫が弾け、自分を天に昇らせた指を汚す。
「……っ! はーっ♡ はーっ♡」
思い出したように息を吸い込んだ。まるで溺れたかのような感覚だった。初めて昇り詰めた絶頂感と、指一本で支配されたという被虐感が酒酔いに近い酩酊感をもたらす。クラクラくるそれは、俺にとって刺激の強い物だった。
牝の快感。
俺はついに、それを味わってしまった。
「ふあっ♡ ……うーっ♡」
奇妙な敗北感と、それに対する反抗心が湧き上がった。自分は何かに負けてしまった。そう根拠もないのに何故か思い込む。だからカリオス様が指を引き抜いて愛蜜に塗れたそれを見せつけられた時、敗北の証を掲げられているようで恥ずかしくて悔しかった。
取り繕えず、潤んだ瞳で睨み付けてしまう。
「うーっ♡」
「……可愛い」
カリオス様は思わずといった様子でポソリと呟いた。それは俺の耳朶を確かに震わせた。胸が高鳴る。けど今の俺はそれを認めたくない気分で、俯くことで紛らわせた。
俺は、どうしてしまったんだ。する前は、あんなに嫌だったのに。
今は余韻が心地よくて、鼓動がドキドキして……次は何をするのか、待ち遠しくなっている。
「結構。では――挿入してください」
母上の言葉が響く。俺の快楽に茹だる身体に、冷水をかけるように恐怖が再発した。
そうだった。気持ちよさに揺蕩っている場合じゃなかった。俺はこれから……カリオス様の股間に屹立する物を、受け入れなきゃならないんだった。
改めてカリオス様のソレを見て、頬が引き攣る。
「……ルセリア」
俺を呼ぶ声が死刑宣告のように聞こえた。ずいと近寄ったカリオス様は、そのイチモツを俺の股の上に乗せた。大きい、太い、長い。その存在感を肌で感じ、俺の肌は粟立つ。こ、これが入るのか。俺の身体、壊れちゃうんじゃ……。
不意に、鼻腔を変な匂いが掠めた。微かに嗅ぎ覚えのある香り。これは確か……カウパーの匂いだ。
よく見てみると、カリオス様の肉棒、その先端部はてらりと湿っていた。それは、俺の身体に興奮し、先走っている証明。
何かが胸をくすぐる。恥ずかしさ、優越感、……誇らしさ。自分の肢体に発情してくれているという事実が、俺に高揚をもたらした。
恐怖が消え、再び鼓動が高鳴る。
「……挿れるよ、ルセリア」
「は、ぃ」
頷いた。それしか許されていなかったし、それしか選ばなかった。
濡れそぼった膣口に亀頭が押し当てられ、粘液同士が触れたくちゅっという音が鳴る。気恥ずかしい、それでいてときめく音色だ。
それ以外にも、色んな音が聞こえた。
父上の許しがたいという鼻息が聞こえる。
母上がよろしいという風に扇子を閉じる音が聞こえる。
弟と妹の、こくりと生唾を飲む音が聞こえる。
みんなの見守る中、俺の、ルセリアの処女は貫かれた。
「いっ……!」
激痛が走る。ブチブチという感触が膣の中で響き、鮮血がつうっと流れ落ちた。
心配そうなカリオス様の顔が覗き込んでくる。
「ルセリア、痛くないかい?」
「いたくっ……ない、わけじゃないですけど」
痛い、すごく痛い。けどそれと同時に、色んな感情が胸を去来した。
自分の身体の一部を失った虚しさ。
大人の階梯を上った達成感。
目の前の人の女になれた、嬉しさ。
そして――完全に男を失ってしまったという、自覚。
処女を破られた衝撃が、残っていた残滓を掻き消した。汚れなき乙女という、ある意味中性的ですらある属性を失ったことで、ルセリアという人間から男という自意識が吹き消された。心からも自分の一部が失われたその虚脱感に、一筋の涙が流れる。
「っ、ルセリア……っ!」
「ち、違うんです!」
慌てて首を横に振る。カリオス様が誤解するよりも、父上が憤り立つよりも早く、告げる。
「もう……
今までは口だけで言っていた言葉が、カチリと胸にはまり込む。
純潔と共に男を失ったことで、『私』は心から安心できた。
愛していいんだ。
恋していいんだ。
元男だとか、前世だとか、そんなこと関係なく――カリオス様の女になっていいんだ。
「引っかかっていたものが取れて、寂しいような……でもやっぱりホッとするんです」
それが嬉しくて、私は求めるように両手を広げた。
「だからカリオス様。私を安心させてください。私にいっぱいの愛を注いで、相思相愛だと示してください。私たちは――夫婦、なんですから」
微笑む。そこにぎこちなさはもう無い。
私は今、ようやくこの人の妻になれた。
夫婦となれるかは――この後のカリオス様にかかっている。
「……ルセリア」
カリオス様の唇から静かに紡がれる、返答。
「私は、最初からそのつもりだよ」
覆い被さった唇が、私の唇を塞いだ。黄色い悲鳴と何かを壊す音が、そして叱られるように叩かれる音が響く。けど私はそれより、胸に満ちた幸福感でいっぱいだった。
伸ばした腕をカリオス様の背中に回し、抱きしめる。舌を濃厚に絡め合い、愛情と歯列の形を確かめる。しばらく楽しんだ後、名残惜しくゆっくりと引き抜かれていく。唾液が残す銀の糸が引き、二人が繋がった証として微かにこの世に刻まれた。
――あぁ、愛してくれるんだ。
「カリオス、さまぁ……♡」
ときめくまま、もう一度キスをねだる。カリオス様は素直に答え、私に二度目の口づけを落とす。そしてそのまま、少しずつ腰を動かし始めた。
剛直に掘削される度、痛みが奔る。けれどもそれは、キスをしてれば無視できる程度のものだった。舌を絡め合う多幸感が麻薬のように苦痛を軽減する。夢中で唇を貪っている間に、若膣は開発され痛痒は薄くなっていった。それは私の膣が屈服し、肉棒に蹲い始めているシグナル。自分の最奥を他人に明け渡し、その主人となってもらう為の儀式。
「や……あっ、ん……ふぅぅっ♡」
ひだを擦り上げられる度、痺れるような快楽が全身を駆け巡った。火照った身体が更に火をくべられたように熱くなる。
やがて、ぱちゅん、ぱちゅんという控えめな水音が鳴り始めた。それは次第に早く、強くなっていく。
「はぅ……♡ ひ、ぃんっ……♡ ぁ、ぁう……っ♡♡♡」
奥を突かれる度、きゅうきゅうと絞まる自分の膣の動きを感じる。物欲しそうに、子種を強請っているのだと思うと、ポッと顔が赤くなる。
私は、この人の愛だけじゃなく子どもまで欲しがってるんだ。
「ひ、ふぅっ♡ ふぁ、んんっ♡ き、てぇっ……♡♡♡」
全身でおねだりする。口では蕩けるように喘ぎ、柔らかな媚肉で抱きつき、膣道をうねらせて射精を促した。
カリオス様はそれに、喧しい口を塞ぐために口づけし、逞しい胸板で抱き返し、暴力的なまで腰を叩きつけることで返答した。
男と女の、雄と雌の応酬。私が何かすればカリオス様はそれを組み敷く形で答えてくれる。絶対に逃がさないという意志を感じる。圧迫し、支配し、嗜虐する。私はそれをただひたすらに悦ぶ。男に屈服することが嬉しくて仕方ない。多幸感が胸いっぱいに広がり、もっと奉仕したくなる。
どんな風にもして欲しい。
むしろ虐めてもらいたい。
そう、本気で思い込む。
「ん、むぅぅっ……♡ ちゅぷっ……♡ ふぅぅっ……♡♡」
もう何度目になるか分からない口吻。もう自分たち以外の音は聞こえない。唾液を絡める湿った音色と、腰を打ち付けるリズムが私たちの全てになる。
破瓜の痛みはもうとっくに失せていた。代わりにあるのは、どこまでも甘い快感だ。何をされても気持ちよくて、私の全部を絡め取る。
唇を離した、鼻と鼻が触れる距離で、カリオス様の顔が歪む。
「っ、出るっ……!」
「! はいっ……♡♡」
ついに訪れた待ち焦がれた瞬間に、私は心の準備をした。
けどそれは全部無駄だった。
剛直が最奥部に差し込まれ、熱い奔流が流れ込んだ瞬間、私の思考は真っ白に弾け飛んだからだ。
「ひっ、あ゛ぁ゛あああああぁあーーーっっ♡♡♡♡♡」
火花どころじゃない、爆発。吐精の衝撃は私の魂を天高くまで飛ばし、全身を電撃的な快楽が迸る。
壊れたみたいに痙攣し、ガッチリ押さえ込まれた肢体はカリオス様の下で跳ね回る。絶対に逃さないと言わんばかりに、亀頭が子宮口にグリグリと押し当てられる。流し込まれる精液を私の膣は貪るように飲み干した。空虚を満たされる感覚。一度知ったらやみつきになってしまいそうな、これからしばらくは欲しくて堪らなくなるんだろうなという確信。
気持ちよくて、気持ちよくて、ようやく魂が身体に戻ってきた後も、しばらく法悦に動けなかった。
「あーっ♡ はーっ♡」
荒く息を吐き、絶頂の余韻少しでも軽減する。ただ、まったくの無駄だ。心身に刻まれた快楽の烙印は、きっとしばらく消えてくれない。
ずっしりと重たいお腹が心地良い。その重みを感じるだけで無限に幸福感が湧いてくる。本当の幸せってこういうことなのだと、初めて知った感覚だ。
ずるり、とイチモツが引き抜かれていく。女穴から引き出された剛直はまだ立派に屹立していて、精液と愛蜜が混ざった淫猥なストライプに塗れていた。自分とカリオス様の愛の産物に、恥ずかしくて目を逸らす。
カリオス様がそっとキスを落とす。
「ルセリア、愛してるよ」
「……私もです。カリオス様」
幸せな口付けを交わし、私はえへへと笑った。
最初にあった懸念は、今は欠片も残されていなかった。
私はこの人と、夫婦になれたのだ。それが嬉しくてたまらない。
そこでようやく、周りの様子に気付いた。
「ぁ……」
うんうんと、満足げな母上。
カリオス様を今にも射殺しそうな目で睨む、憤怒の父上。
そして真っ赤な顔をして瞳を潤ませる、弟と妹の姿があった。
「わ……」
すっかり忘れていた。
こんな異様な衆人環視を忘れるなんて、どれだけ私は夢中になっていたのか。
「き、貴様……よくも我が娘を……!」
「お、落ち着いてください、義父上」
「誰が義父上だ!!」
いや、それは間違ってないですよ父上。
頭に血が昇ってしまっている父上。いや娘が婿とは言え男の餌食になっているところをみればそうもなる。じゃあこの性教育間違ってるじゃん。私は今更ながら言いたくなった。
父上は今にも食ってかからん勢いだったが、それを諫めたのはやはり母上だった。
いや諫めたというか、閉じた扇子で頭を思い切り打ったのだけど。
「ぬがっ!?」
「およしなさい、見苦しい。……まぁ、今日のところは及第点としておきましょう。少々我を忘れすぎだけれどね」
「うっ……はい、母上」
血が巡った顔が更に熱くなる。ホントに恥ずかしい。
身体が動けば頭を抱えたいところな私へ、目をキラキラさせた弟妹が更に追撃する。
「ぼ、僕も……お姉さまみたい好きな人を見つける!」
「わ、私も! カリオス様みたいな格好いい人見つけていちゃいちゃする!」
「やめて……」
ホントに恥ずかしい!!
百年先までこの日を思い出してのたうち回るようなトラウマを刻まれながら、残った僅かな体力を使ってまで顔を覆った。穴があったら入りたい。
それはそれとして、貴族の義務は終わった。子孫を作るという責務は、今日のところはもう済んだ。それで今日はお開きのムードになる、筈だったが。
「さて……初夜の義務は一発で十分だけど、その様子だと治まらなそうね」
母上の言う通り、カリオス様のイチモツは元気ビンビンだった。まったく衰えを見せない。
後二、三発。あるいはもっと出さなければ静まらない……そう予感させる。
「なら後は若い二人にお任せするわ」
その言葉に私はひゅっ、と暗闇に落ちる錯覚を覚えた。
だって私は、カリオス様の精を受け止めて息も絶え絶えだ。絶頂の余韻はまだ身体を震わせ、膣はヒクヒクと痙攣している。満身創痍だ。指一本動かすのだって怠い。
これ以上されたら、私はどうなってしまうのだろう。
「は、母上、待っ……!」
「さ、行きますよみんな。貴方」
「いや、しかし……」
「行きますよ」
渋っていた父上も、問答無用で連れ出される。勿論素直な良い子である弟妹も一緒だ。去り際に心配そうに覗き込んでくるが、きっと幸せなんだろうなと判断して母上に着いていった。縋り付く先が、声をかける間もなく行ってしまう。
部屋には私と、獣欲漲るカリオス様が残された。
「か、カリオス、様……せめて、一度休憩に……」
「ごめん、ルセリア」
ギラギラとした目で見つめられながら、私は宣告を受ける。
「優しくするから」
その言葉だけは裏切られる気がして、事実そうなった。
弟妹曰く、寝室からは朝まで幸せそうな嬌声が響いたそうな。それは本当に幸せそうだったのだろうか……。
「もう! 本当に容赦無かったんですからね!」
「ごめんって。それだけルセリアが可愛かったんだからさ」
あの時と同じ寝室で、大きくなった私のお腹を撫でて、私たちは二人で微笑みあった。