幼馴染幽谷霧子と同じ大学に進学して半同棲イチャラブエロエロ生活を送る話 作:黒胡椒サラミ
僕の部屋はあまり広くないけれど、その広くないスペースの中に、植物の鉢がいくつか置いてある。何種類かのサボテンと、白いアザレアや赤いゼラニウムの鉢は、元々は、きりちゃんが僕にくれたものだ。その花を枯らさないように、起きたらちゃんと世話をするのが、僕のモーニングルーチンの一つだ。
ほんの少しだけあるベランダスペースには、野菜やハーブのプランターを置いた。小学校のとき、きりちゃんにアサガオの世話のしかたを指導してもらって以来、僕も植物を育てるのが趣味になった。東京は空気が汚いというけれど、部屋の中に緑がたくさんあれば、爽やかな気分でいられる気がする。
「……ん…………」
僕がベランダに続く窓を閉じると、ベッドの上にいる女の子が、少しだけ寝返りをうった。
「きりちゃん、おはよう」
「…………おはよう、○○くん……」
ベッドに横向きで寝たまま、きりちゃんが柔らかく微笑んだ。
きりちゃんは、たいてい髪をツインテールに縛っているけれど、今は下ろしている。寝返ったときに毛布がはだけ、何も着ていない肩の丸みが露わになり、その上に彼女の銀色の髪がかかって、なんていうか、とても神秘的な美しさだ。
「今日はお寝坊さんだったね。もしかして、疲れてた?」
「うん…………。だって……昨日の○○くんが……あんなにたくさんイジメるから…………いっぱい、いっぱいイっちゃって…………――あっ」
きりちゃんは、自分が何を口走っているのか気付くと、顔を赤らめて布団の中に引っ込んでしまった。僕はベッド脇に腰掛けると、きりちゃんの肩あたりをぽんぽんと優しく叩いた。
「ほら、きりちゃん。出ておいでー」
「…………」
「もう朝だよ? ごはん食べないと」
「んー……!」
きりちゃんは、なかなか布団の下から出てこようとしない。僕にとっては当たり前なんだけど、きりちゃんにこういう駄々っ子な一面があるっていうことを、他の人は知らないらしい。きりちゃんから毛布と布団を引き剥がそうとしているうち、僕はついついテンションが上がって、布団越しに彼女の身体をくすぐり始めた。
「ふふっ、うふふっ」
「あ、きりちゃん笑った? ね、いま笑ってるでしょ」
「んーっ……!」
「え~、まだごまかす感じ? ほら、きりちゃん起きて。起きないともっとくすぐるからね」
「ふふふっ、ふふっ」
そうやって、朝のひと時を、僕らはイチャイチャイチャイチャと過ごした。
「きりちゃん、きりちゃん……!」
「あ……っ♡ ふあ……っ♡」
でも、若さと性欲に溢れる僕らが、誰の監視もない二人っきりの部屋で、ただイチャイチャするだけで終われるはずがない。自分でも気づかないうちに、僕はきりちゃんのことを熱っぽく呼びながら、彼女の胸や下腹部のあたりをまさぐるようになっていた。
やがて、布団の隙間からきりちゃんの滑らかな白い腕がはみ出て、僕の手を捕まえた。きりちゃんの手は、しっとりと汗ばんでいる。きりちゃんは何も言わなかったけど、彼女が絡めた指にきゅっと力を入れただけで、僕の頭にかっと血がのぼる。
きりちゃんが隠れている布団の中に侵入した。そこは、きりちゃんの匂いが充満する空間だった。薄暗い中に、ほっそりした――それでも女の子らしい柔らかそうな肉付きの身体が見えた。そして、きりちゃんの潤んだ瞳が、僕の視線をとらえる。彼女の瞳の中にある情欲の光をみとめたところで、僕の理性は完全に崩壊した。
外からは、二人分の身体を飲み込んでこんもりと盛り上がった布団が、もぞもぞと動いているようにしか見えなかったはずだ。たまに僕かきりちゃんの腕がはみ出して、僕が脱いだシャツやなんかを床にポトリと落としてから、再び布団に引っ込んでいく。最後にきりちゃんの手が、枕元に置いてあったコンドームの箱を捕まえると、しばらくのあいだ、どちらの身体も布団から出てこなくなった。
「――んっ♡ ああ――っ♡」
鉢植えの植物たちが見守る前、窓の外で小鳥たちが朝を告げる中、室内にはベッドのスプリングが軋む音と、くぐもった嬌声が断続的に響く。もぞもぞと動く布団の中では、僕ときりちゃんが、一つがいのオスとメスになって愛し合っている。うっすらとした視界も、息苦しいくらい濃密な体臭も、いやらしい声も、汗ばんだ肌も、交わらせた唇と舌の味も、僕の感じている全部がきりちゃんであるように、きりちゃんの五感の全部を、僕が支配している。
きりちゃんがいればいい。きりちゃんさえいれば、他には何も要らない。そう思うことのできる女の子と出会えて、その子と好き同士になれた僕は幸運だ。きりちゃんのマンコは凄くキツいけど、同時に僕のモノにぴったりだ。だって、彼女は僕しか男を知らないんだから。僕もきりちゃんしか女の子を知らないけど、きりちゃん以上の女の子がこの世に存在するわけがないから、不満はこれっぽっちもない。
「はぁ……♡ ……〇〇くん……ふふっ♡」
「どうしたの、きりちゃん」
「ううん、声が聴きたかっただけ……だよ…………♡ あっ♡」
「僕も、もっともっときりちゃんの声が聴きたい」
小さい頃から好きだったのに、今はその頃よりもずっと好きになっている。きりちゃんの産毛の一本一本、それどころか汗の一滴まで愛おしくてたまらない。
窓の外では、集団登校する小学生たちの元気な声が聞こえる。僕らにも、あの小学生たちみたいに無邪気な時代があった。でも、大学生になった現在の僕ときりちゃんは、朝っぱらから布団の中でセックスしている。昨日もあんなに長い時間繋がっていたのに。
「あ……っ♡ んんぅっ♡ ん……はぁ……♡」
「きりちゃん、可愛いよ……」
「ん……♡ ああ……っ♡ あああ……っ♡」
きりちゃんの表情に余裕がなくなっていく。僕もそろそろ限界だ。最後は一緒にイキたい。僕らは二人とも同じ考えを持っていた。僕がきりちゃんを抱きしめると、きりちゃんも僕の腰に脚を絡め、ぎゅうっとしがみついてきた。
「うっ……!! で、る……!! ぐぅ……!!」
「ンっ♡♡ ふああ……っ♡♡♡ んぅううう……っ♡♡♡」
僕ときりちゃんは、全く同時に果てていた。その瞬間、それまで二人を隔てていた肌の境界すら曖昧になって、ドロドロに溶けた僕と彼女が、一つに混じり合っていくような気さえした。
==
「きりちゃん、今日は2講から?」
「うん……そうだよ。○○くんは……3講義目からだったよね……」
「二人とも5講があるから、終わるのは6時かぁ。じゃあ、晩ご飯は学食で食べよっか」
「うん……っ」
今日も朝から激しくセックスしてしまったわけだけど、「えっちはほどほどにしましょう」条約は、一か月も経たずにほとんど有名無実化してしまったわけだけど、高校と違い、大学は多少遅起きでも許される日がある。一緒にシャワーを浴びて、服を着てから朝ご飯を食べても、2講目の開始までは、まだ余裕があった。
壁にかけたコルクボードには、僕ときりちゃん、二人の講義表が貼ってある。1年生は全学共通の講義も多いけど、文学部と医学部だと、同じ単位はほとんどとれない。スケジュールは基本的にバラバラだった。でも、お互いの勉強に集中するには、そのほうが良いのかもしれない。僕はそうやって無理やり言い聞かせて、きりちゃんと一緒にいられない時間を、自分に納得させていた。
「それじゃあ○○くん……わたし……一回お部屋に帰るね…………?」
「…………え? あ、そ、そっか、そうだよね。うん、わかったよ」
僕が挙動不審になってしまったのは、一瞬、「きりちゃんの部屋ってここじゃなかったっけ?」と思ってしまったからだ。でも違う。ここは僕の部屋で、きりちゃんのアパートは、ここから50メートル離れた場所にある。
危なかった。危うく、きりちゃんと僕は一緒に住んでるものだと、脳が思い込むところだった。きりちゃんの歯ブラシや、替えの下着やパジャマなんかもこの部屋に置いてあるけれど、僕らは一緒に住んでるわけじゃない。
僕ときりちゃんが付き合ってることは、お互いの家族に対する公然の秘密みたいなものだけど、東京に出る前に、僕はきりちゃんのお父さんに釘を刺されていた。その時のお父さんの脅し文句の詳細は省くけど、僕は「娘さんとは誓って健全なお付き合いをさせていただいております」的なことを言わされた。その誓いの手前、同棲はマズい。
「どう……したの……?」
「いや、なんでもないよ、きりちゃん」
「……? じゃあ、学校に行く準備をしてくるから……10分後に……また会おうね?」
「うん、わかった。僕も準備しとく」
「それじゃあ…………またね?」
「うん」
別れの言葉を言ったのに、きりちゃんは、なかなか僕の部屋を出ていこうとしなかった。今の僕ときりちゃんは、僕が彼女の腰に手を回して、きりちゃんが僕の胸に手を置いた状態だ。そのまま二人して、なかなか互いの身体から離れることができないでいる。
「…………」
「…………」
きりちゃんの瞳は、本当に澄んでいて綺麗だ。見つめていると、瞳の奥に輝く星空の中に吸い込まれそうになる。というか、僕らは本当に、星が引力で引き合うみたいに近づいていた。
「――んっ」
きりちゃんの口から、ほんの少しだけ声が漏れた。
唇と唇を重ねただけの、柔らかいキス。
「…………また……ね?」
「……うん」
そのキスで、僕は泣く泣くきりちゃんを手放し、きりちゃんも僕を振り切って部屋を出ていった。きりちゃんがいなくなった部屋は、急にガランと広くなったように感じられた。
まあ、その10分後には、僕らはきちんと再会したわけなんだけども。
==
「あ、きりちゃん見てごらんよ。あそこの家の庭」
「――わ、ネモフィラさんが……咲いてるね」
まだ歩き慣れていない道には、色々な発見がある。東京には建物が多いけど、それでも目を凝らせば、色んな緑や生き物が見つかる。
「――見て見て、○○くん……! 鯉さん……! 鯉さんが泳いでるよ……! 赤と白と、金色と黒が、キラキラで、たくさん……!」
「うわ……すごいなぁ……。ここって池? ここで養殖してるのかな? 良く分かんないけど、綺麗だね」
気持ちが浮き立ち、心が弾む。きりちゃんと手を繋いで登校なんて、小学校以来だ。
「東京って、けっこう神社とかお寺とか有るんだよなぁ……。美術館とか博物館も。今度いろいろ見て回ろうよ」
「――うんっ」
中学と高校の時は、知っている人に見られるのが恥ずかしかった。でも、こうやって知らない土地に来てみると、かえって開き直れるのかもしれない。歩いているあいだも、電車に乗っているあいだも、僕の右手はきりちゃんの左手としっかり繋がっていた。
「○○くんと……通学路で探検するの……小学生のとき、以来だね…………」
「……きりちゃんも覚えてた?」
「――もちろん、だよ……」
地元とは比較にならないほど混雑した電車の隅っこで、僕ときりちゃんは、内緒話をするみたいにヒソヒソと会話している。
「……ふたりで、お花が咲いてる場所とか……綺麗な景色とか……探して――――」
「田んぼの用水を、ずぅっとさかのぼった事とかあったよね」
「――うん。あの時は帰りが遅くなって……パパとママに怒られちゃった…………」
「はははっ、僕も」
「――ふふっ」
きりちゃんと共有するあの頃の思い出は、今も心の引き出しの中に大切にしまってある。どれも綺麗なガラスの欠片のようにキラキラと輝いていて、思い返すと、自然に笑顔が溢れてくる。
そして、現在の僕らがここでこうしている事実も、いつか大切な思い出になる。だから――
「……これからずっと先も、こうして……○○くんと一緒にいたいな――」
「きりちゃん……」
言いたかったことを大切な人に先に言われて、胸にぐっと込み上げてくるものがある。僕は人目もはばからず、危うくきりちゃんを抱きしめてしまうところだった。その代わりに、色々な思いを込めて、繋いだ手をぎゅっと握りしめる。
そのあとは、僕らは無言で見つめ合ったまま、ガタゴトと電車に揺られていた。
「じゃあ、5講目が終わったら学食でね」
「うん……」
大学のキャンパスに着くと、僕らはそこで分かれた。とても後ろ髪を引かれる思いだったけど、教養棟と医学部棟は離れているから仕方ない。
この大学では、1年生は、一部を除いて全学共通の教養科目を履修する。その教養科目を習う場所が教養棟だ。ただ、いくつか専門科目の単位をとる必要もあって、それで今日のきりちゃんは医学部棟に向かったわけだ。やっぱり、医学部は忙しい。
人を癒せるお医者さんになるっていうのは、きりちゃんの大切な目標だ。だから勉強の時間は大事だ。僕だって、きりちゃんに呆れられないように、せめて彼女の隣に居て恥ずかしくない人間になれるように、大学で学べることはしっかり学ぼうと決めている。
ちらちらと振り返るきりちゃんの姿が、道を曲がって見えなくなると、僕は気持ちを切り替えた。
「え~っと、3講目はドイツ語基礎か……まだけっこう時間あるな……」
きりちゃんが向かったのは2講目の講義で、僕が受けるのは3講目からだ。理系より文系のほうがヒマっていうのは、必ずしもすべての大学生に当てはまらないとは思うけど、空きコマ数もきりちゃんより僕のほうが多い。
きりちゃんがいない灰色の時間は、勉強関連に費やしたほうが有意義だ。だから図書館で予習でもしよう。――その前に、いちおう掲示板を見てからと思って、僕は教養棟前の掲示板スペースにやってきた。
(サークル案内か……きりちゃんは、何か入りたいサークルとかないのかな?)
ベタベタと貼られたサークルと部活の勧誘チラシ。もう新入生の勧誘活動はひと段落ついていたけれど、今からサークルに入ることも全然可能だ。僕自身には、そういうのに参加したいという思いは特にない。でも、きりちゃんが入りたいと思ってるなら、それは尊重してあげないといけない。また妄想で嫉妬することになるかもしれないけど……それはなんとか我慢して。
きりちゃんの趣味は献血やボランティアだ。高校のときは、よく病院や老人ホームで一緒にお手伝いをした。ボランティアサークルなら、僕も入っても変じゃないよなとか考えながら、僕は視線を隣の掲示板にスライドさせた。
「あ……そっか、バイトしないと」
思わずつぶやいていたのは、その掲示板に各種バイト募集のチラシが貼ってあったからだ。僕の家は、お医者さんをやってるきりちゃんの家と違い、あんまり裕福じゃない。それでも東京の大学に通わせてもらっている以上、バイトは必須だった。
(高校はバイト禁止だったけど……ようやく自分で稼げるようになったんだから……。仕送りばっかりに頼りたくないし……)
それに、もう一つ重要な理由がある。
(初めて自分で稼いだお金で、きりちゃんに何かプレゼント買いたいし……)
どっちかと言えば、そっちが本命の理由だというのは秘密だ。
それと、どうせプレゼントするなら、サプライズのほうが喜んでもらえる気がする。僕はきりちゃんが驚く顔を想像しながら、バイトを探してるってことは、しばらくきりちゃんには秘密にしておこうと思った。
(塾講とか家庭教師の募集が多いな……やっぱ大学生のバイトの定番って言ったら、家庭教師かなぁ。――ん? 定食屋の料理人募集? 料理人って調理師免許とか要るんじゃないの? 「うちのちゃんぽんは絶品ばい」……って、お店の宣伝をしてるのか、バイトの募集してるのか分かんないな、これ)
気になったチラシは、とりあえずスマホで撮影しておく。時間のある時、ゆっくり見返してみよう。
(でも、作れる料理のレパートリーが増えたら、きりちゃんも喜んでくれるだろうな。あとは……手芸店かぁ、こういうお洒落なお店って、青森に無かったよな。きりちゃんはかわいいものが好きだし……こういうとこで働いたら、プレゼントの参考になるかも。……うん……――まぁ、こんなもんかな)
一通りチラシを眺めると、僕はスマホをしまい、最初に考えたとおり図書館で自習するため、向きを変えて歩きだした。
==
「――あのね、数学の先生がね、とっても変わっててね――――」
「え~、そんな人ってホントにいるの?」
「――うんっ、ふふふっ……大学って……本当に色んな人がいるんだね――」
数時間後、講義が終わった帰り道も、僕らは手を繋いで歩いていた。一緒にいなかった時間のことをお互いに教えながら、ゆっくりとした足取りで。
午後6時に講義が終わり、そのあと学食で夕ご飯を食べたから、今は7時半だ。春の太陽はもう沈み、完全に夜と言っていい時間だ。でも、東京はビルが多くて、全然道が暗くならない。こんなたくさん、どこに隠れてたんだろうって思うほど人も多い。この人たちは、みんな今から家に帰るんだろうか。
僕ときりちゃんも、今から一緒に部屋に帰る。高校のときは、どんなに帰りが遅くなってもこんな時間にはならなかったから、なんだか不思議な感じだ。
「…………」
「…………」
アパートに近づくにつれ、人通りも減っていく。それとともに、僕らの口数もだんだんと少なくなっていった。別に、話題が尽きたからじゃない。きりちゃんとなら、黙っていても楽しい。それだけのことだ。その証拠に、僕ときりちゃんの肩は、さっきまでよりもぴったりと寄り添っている。
「それじゃあ……また、明日……」
「……うん」
きりちゃんのアパートの前に着くと、僕らは別れを惜しんでいた。
「今日は……これでお別れ、だね」
「…………」
「宿題も……しないといけないから…………」
「……そうだね、きりちゃん」
「…………でも」
「……なぁに?」
「…………ううん」
僕はきりちゃんと別れたくない。きりちゃんも僕と一緒にいたい。それでも、お互いに遠慮して、本音を言い出しかねている感じだ。
「昨日も……今日の朝も……たくさんしてもらったし……」
「……ほどほどにするって約束だもんね」
「うん……」
きりちゃんは、うつむき加減で頬をパッと赤く染める。繋いでいる手の指が、何かを訴えるようにいじいじと絡んでくる。
「…………ね、○○くん」
「……なぁに? きりちゃん」
「……わたしのお部屋で、お茶だけ……飲んでいきませんか……?」
きりちゃんは、彼女なりの精一杯の勇気で一歩踏み込んだ。
「……お茶だけ?」
「…………っ」
きりちゃんはこくりと頷いた。彼女はもう、耳まで真っ赤になってしまっている。前髪に隠れて目は見えないけど、たぶん、涙でうるうるになってしまっているんだろう。
そんな彼女を見て、僕は思った。要するに、エッチは我慢すればいいんだ。お茶をご馳走になって、ついでに一緒に勉強して、それから自分の部屋に帰ればいい。それなら別に条約違反じゃない。ていうか、エッチさえしなければいいんだから、添い寝くらいまでならOKなんじゃないか?
「じゃあ……お茶だけご馳走になろっかな」
僕がとぼけた感じでそう言うと、きりちゃんはもう一度うなずいた。
そのあと、僕はきりちゃんの部屋にお邪魔して、彼女お手製のハーブティーを飲み、夜11時過ぎくらいまで一緒に勉強した。
でも、「えっちはほどほどにしましょう」条約は、やっぱり守れなかった。その夜、僕はきりちゃんと3回戦までいたしてしまい、翌朝は彼女のベッドの上で目覚めた。