自慰行為は、キリスト教においては背信行為とされている。
熱い。
躰が熱い。
心も熱い。
すべてが熱い。
どうしてこうなったんだろう。
その事を、ぼんやりと思い返していた。
☆
イッセーさんのおうちに居候を始めて五日目。
今日も学校があったイッセーさんは何かを堪えるような顔をしています。私はきちんと考えなくてはならないことがあるのですが……イッセーさんが苦しそうなほうが心配です……。
「イッセーさん、おかえりなさい! 苦しそうですけど大丈夫ですか?」
私が声をかけるとイッセーさんは、一瞬だけ。
一瞬だけ、獲物を狙う鷹のようなギラついた視線になりますが、すぐに戻っていつもの優しいイッセーさんになります。
「大丈夫。ちょっと疲れがたまってるだけだからさ。ちょっくら寝るよ。フィー!」
「何?」
イッセーさんがオーフィスちゃんを呼びます。すると、ぼそぼそと何かを耳打ちします。
「わかった。我、頑張る」
……はぅ、気になりますぅ!
いかにもふらふらといった体でイッセーさんは自分の部屋へと帰っていきました。
「オーフィスちゃん、さっきイッセーさんと何をお話ししてたんですか?」
私は思わず聞いてしまいます。すると、オーフィスちゃんは無表情のまま答えます。
「ん。知りたければ我がイッセーの部屋に入ったあとに覗けばいい」
オーフィスちゃんはそういうと洗濯物を抱えて洗濯場へと向かっていきました。
……ちょっとだけなら、いいですよね?
いそいそと洗い終わって乾いた衣服を抱えてベランダへと向かうオーフィスちゃん。……あれ? さっき洗濯場へもっていったのと同じのような……?
「ゆめがあすをよんでいるー♪」
上機嫌でオーフィスちゃんはコンロの掃除をしていました。
……超スピードとか催眠術だとかそういうものじゃ、ないですよね。あからさまに人知を越えた動きですよね!?
☆
オーフィスちゃんが階段を上っていくのを見届けた私は、こっそり後をついていくことに。……うう、悪いことをしているみたいで変な感じです……。
私が階段を上っていく途中から声が聞こえます。
「イッセー、大丈夫?」
「……わりぃ、大丈夫じゃなさそうだ」
っ、やっぱり無理をなさってたんですね!?
しかし次の発言で疲労ではないということをわからされてしまう。
「部長に昼休みに呼び出されて抱き枕になってたんだがな……あの人真っ裸で寝るもんだから……何度セックスしてえと思ったか。耐えた俺を誉めてほしいくらいだ」
……部長って、あの紅い髪の人ですよね。裸で……それに、せ、性交だなんて……うう、不純です。
で、でも、聖職者じゃない男の人はエッチなことが好きだから油断するなと孤児院のシスターに教わりましたし……
「ん。よしよし」
「……狙ってんのか?」
「?」
「はぁ……ったく」
私は階段で足を停める。
今なら、まだ間に合う。引き返せ。
理性が警鐘のようにそう告げる。
本能が、先へ進めと足を動かす。
気がつけば、イッセーさんの部屋の前に立っていた。ドアが少し開いている。
覗くな。引き返せないぞ。
理性が警告する。
覗け。己の思うがままに。
本能が惑わす。
結局私は、覗いてしまった。
★
「ん……」
淫らな水音が響く。
オーフィスは彼の怒張を口いっぱいに頬張って懸命に彼を気持ちよくさせようと頭を上下させる。
そんな懸命な姿がいとおしく感じたのか、彼は頭を撫でる。
そして、その行為を見つめる双瞳。アーシアだ。
扉の影から覗いていた彼女は酷く狼狽えた。
何をしているのかは理解できていないようだが、本能は淫らな行為だと知っている。
(あぁ……)
男性器すら見たことないような生娘……いや、性の知識関連はゼロに等しい彼女。その性の知識は小学生の方が知っているといっても過言ではないだろう。
躰が火照る。まるで灼熱に
淫らな水音が、彼と彼女を刺激する。
「くっ……出すぞっ!」
「ん♪」
一誠がそう言うと、彼はふるりと躰を震わせる。
刹那、牡の臭いが部屋中に溢れた。
「んっ……んっ……」
男性器に顔を埋めて美味しそうに精液を味わうオーフィス。
その顔は快楽に堕ちた女の顔。酷くいとおしそうに彼の精液を口のなかで受け止め、味わい、嚥下していく。
その牡の臭いは微かに部屋の外へもれ、アーシアの鼻腔へと届く。
(ああ、からだが……熱い)
その臭いは無垢な少女を発情させるには充分だった。
「こんどは、俺が気持ちよくしてやるよ」
「ん♪」
少女の明るい声。
その澄んだ声はすぐに淫らな声へと変化する。
「んっ、ふぁ……んぁぁ……」
彼は全身を撫で回すように愛撫を始める。手を、脚を、腹を、頭を、頬を、胸を、背中を、喉を。
くまなく全身を撫で回す。
「ぁっ……んふっ、ぁぁ……」
発情しきったオーフィスは情欲の色に染まった瞳で一誠を見つめる。
そのオーフィスを、アーシアは一瞬……ほんの一瞬だけ、自己投影してしまった。
(ああ……っ!)
熱に浮かされ、躰が求める。
自然と、右手の人差し指が下半身へと伸びていた。
ちゅくり、と淫らな音がした。
「ふぁっ!?」
はじめての快感に思わず声を出してしまう。慌てて部屋を覗けば。秘部を優しく愛撫されてよがる幼い少女の姿。矯声をあげて乱れる姿は、もう一人の少女の熱をさらに加速させる。
左手で口を押さえ、右手で秘部に触れる。快感に立っていられず思わずへたりと座り込む。
それは、シスターの初めての自慰行為だった。
「んぁぁああああ! んっ、いっせー、も、きもちよく、なろ?」
一緒に、気持ちよくなる。
(だめ、こんなことしては……でもっ、指が、ああ、止まりません……)
指の数は次第に増えていく。一本が、二本に――。
「挿入れるぞ」
アーシアは一誠の男性器をこの時点で初めて見た。 雄々しく聳えるそれは、一般の平均サイズを越えている。
それの存在に、どうしようもなく“牝”が反応してしまう。
どうしようもなく、投影してしまう。
(イッセーさんのあれが……ここにっ)
本能がそう理解すると、愛液が更にとぷとぷと湧き出る。
本能が、彼を欲する。信仰と理性はとろとろに融かされて、何が何だか解らなくなる。
「ん、くふっ、んんんっ!」
前も後ろも、右も左も解らない。
分からない。判らない……。
躰と心はまるで相反するかのように動く。こんなことをしてはいけないと頭ではわかっているのに躰は勝手に動く。
その思考すら快感の波に揉まれて訳が解らなくなる。
「んぁぁ、いっせー、はげし、っ!」
「すまねぇ、もう止まりそうにないっ!」
「んぉぉぉぉぁぁ♪」
獣のように淫らに激しく交わる姿は、アーシアをどうしようもなく融かして行く。
もう、あとには戻れない。戻らない。戻りたくない……。
もう、なにもわからない。からっぽ。考えるのは気持ちいいことだけ。解るのは気持ちいいことだけ。
「あっ……あああああっ!!」
何処かへ飛んでいってしまいそうな感覚。
もう、なにも考えられなくなって。頭のなかが真っ白に、なる。
「いっせー、われ、も、いくぅううう♪」
「ぬぉ……出るっ!」
彼は再び射精をする。精液がオーフィスの膣内を満たしてゆく。
快楽と愛欲の絶頂に至ったオーフィス。
それと同時に、アーシアもまた、絶頂へと至っていた。
「「ああああああああああああああっ!!」」
快感の波に揉まれてもう、なにもわからない。
ただ。
(わたしも、ほしい)
本能が、理性を完全に打ち砕いた。
(ほしい。いっせーさんのが、ほしい……)
少女は意味も理解せぬままふらふらと立ち上がると、ドアを開ける。
「いっせー、さん。わたし、からだが、あついです。あつくて、あつくて、もう、なにもわからなくて……」
自分が何を言っているのかすら快感の波に思考が流されてよくわからない。
「いっせーさんなら、しずめてくれますよね?」
――今日は、聖女の堕ちる日。