そして、ついに。修行を終えたイッセー達は下山し、自宅へと帰り、レーティングゲーム当日となった。
「……闘いなら“これ”だな」
イッセーはクローゼットから学ランを取り出すと、それを羽織る。袖は通さずに羽織るだけだ。それからイッセーは神器を呼び出してみる。
『ん? どうした相棒』
「解れ。最終確認だ」
『Boost!!』
籠手は音声と共にイッセーの力を倍加させる。
「問題ねぇみたいだな」
イッセーはそう確認すると、神器を解除する。そして一人呟く。
「相手は腐っても不死鳥。こっちは未熟な悪魔。……負けるつもりはねぇ。……が、勝てる気もしねぇ、か」
イッセーは天を仰ぐ。
「……俺の人生だけじゃなくてリアスやアーシア達の人生もここで変わっちまうしな……『自分のやりたいようにやる』『自分の女は全力で守る』……両方やらなくちゃならないのが男の辛いところだな」
そして、イッセーは確認するかのようにこう言った。
「『覚悟』はできたか? 俺は出来てる───」
その時、誰かがイッセーの部屋のドアをノックし、入ってきた。アーシアだ。
アーシアはロザリオこそつけていないものの、シスター服で来ていた。
「部長さんが一番しっくりくる格好でと言われましたので……あの、似合ってます?」
「ああ、似合ってるぞ」
「本当ですか!? えへへ……」
イッセーは照れ笑いをするアーシアの頭を撫でる。
「さあ、行こうか」
「はい!」
☆
そして、学園の部室にイッセーとアーシアが到着した。
「イッセー……くん?」
優美はイッセーの『スゴ味』のあるオーラに少し気圧されていた。普段の自分をからかってくる時の楽しそうな、優しそうな、そんな雰囲気ではない。学ランを羽織っているだけだというのに、物凄い雰囲気の違いを感じる。まるで剥き身の刀のようだ。
「ああ、そうだ」
ここで、初めて彼女はイッセーの表情を見た。その表情から、覚悟が伝わってくる。
「……凄いね。僕なんかさっきから緊張と武者震いで震えっぱなしだよ」
「……俺の手を見てみな」
イッセーの手を見れば、小刻みに震えているのが分かる。
「イッセーくんも、緊張してるの?」
「そりゃあそうさ。俺はこれが“はじめて”だからな」
「あ……」
イッセーに言われて、優美は気がつく。イッセーはレーティングゲーム、ましてや実戦がこれが初めてだということに。最初の堕天使戦は戦いというよりは
「相手は格上、こっちは何もかもが足りてねェ。ケド、ここで勝たなきゃ……リアス部長は、あの男のモノ。そんなのは俺じゃなくてもムカつく。だから勝とうぜ」
イッセーの言葉に優美は首肯した。イッセーはそれを満足げに見たあと、小猫に視線を移した。
「……一誠先輩。勝ちましょう」
「……ああ。勿論だ」
小猫の言葉にそう短く答える。レーティングゲーム開始まで、あと十五分────。
★
そのころオーフィスは、次元の狭間からイッセーの戦いを覗くことにしていた。そこら辺にあったゴグマゴクの残骸に腰かけていて、その首には黒い首輪が巻かれている。それを撫でては頬を染めて嬉しそうにするのだ。首輪には『おーふぃす』と書かれている小さなプレートがついている。
イッセーがゲームに行くとき、オーフィスも平然とついていこうとした。至極当然と言わんばかりの顔で。
しかし、外見が幼女とはいえオーフィスを従えているなどという噂がたてば己の身や眷属の皆が危ない。まあ、たったらたったで守りきる気概も自信もあるが実力はどうしようとも今は足りない。そう考えたイッセーはオーフィスに首輪をプレゼントした。こんな言葉を添えて。
『今日からこれで正式にお前は俺のだ。俺のなんだから言うこと聞けよ? というわけで今回は悪いけどレーティングゲームには着いてくるなよ』
オーフィスはその言葉だけで腰砕けになってよがってしまうのだが、それはまた別の話である。
『レーティングゲーム、スタートします』
オーフィスは、イッセーを見るためだけに次元の狭間からレーティングゲームの空間を楽しそうに覗いていた。別に戦いを見るわけではない。イッセーを見るだけだ。
勝負の行方は、天のみぞ知る────。
没ネタ
一誠「堕天使か……そうだ、味もみておこう」ペロペロ
ミッテルト「ひゃう!? 翼を舐めるな!」
一誠「こんな味なのか……」ペロペロ
妙にリアリティを求める一誠。