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イッセーがライザーの元へ向かう途中。リアスとアーシアは撤退戦を行っていた。
「アーシア、大丈夫かしら!?」
炎の攻撃が頬をかすめひやりとするリアス。しかし、反撃する手段はない。リアスはここまでくるのに魔力をつかい切っていた。
ことの発端はライザーの単独での本陣奇襲。朱乃からの連絡により察知していたリアスは開幕消滅魔砲を喰らわせるが、焼け石に水だった。才能は充分にあるのだが、成熟した悪魔との差は埋められない。
「はい、なんとか……!」
アーシアも攻撃するほど余裕はない。二人はひたすら逃げに徹することによりなんとか生き延びている。しかし、それも時間の問題だろう。ライザーは少し苛立ちを見せる。
「リアス! いい加減に諦めて落ちろ!」
だがリアスは諦めない。炎弾が再びほほをかすめる。
「その答えは『NO』よ! 私たちはまだ負けてない!」
それは仲間が助けてくれると信じているからだ。それに、こちらはフルメンバー構成。なら、少しは希望があるかもしれない。そんなほんのちょっぴりの勇気が彼女を動かしていた。
「……そうか、リアス。お前の心の支えはあの男だな? なら、俺自らそれを断つことにしよう!」
ライザーは翼をはためかせると、辺りを見回す。逃げ回るうちに森の中にいたらしい。無論、あの男とはイッセーのことだ。ライザーは、完璧に希望を潰すことでリアスに諦めさせようとしていた。
「……どこだ?」
しかし姿は見当たらない。校舎の上か? そう考えたライザーが高度を上げると……。
「ここだ」
地上からの魔力砲をもろに喰らってしまう。どうやら隠れていたようで、小猫と優美もそばにいる。イッセーは翼を羽ばたかせ、ライザーと同位置へ。
「またせたな、ライザー・フェニックス」
「そう言うお前は兵藤一誠……」
イッセーは学ランのポケットに手を突っ込む。その堂々とした姿に、問いかける。
「俺は不死身の不死鳥だ。お前が何度殺そうとも蘇る。勝ち目はないぞ、どうするつもりだ」
ライザーの問いに、さも当然といった表情でイッセーは答えた。
「勝つつもりだ。勝利をリアス・グレモリーに捧げる。それだけだ」
『Boost!!』
「それが無駄だと教えてやるぞ、赤龍帝!」
「そんなのやってみなきゃ分からんだろうが、不死鳥!」
それが開幕の合図となる。爆炎と魔力が撃ち出され、ぶつかり相殺される。
「この!」
ライザーが炎を放つとそれに合わせるようにイッセーも撃つ。イッセーがいくら規格外とはいえ、魔力に限りはあるし、被弾すれば動きが鈍くなる。ライザーは上級悪魔だが、イッセーは地力は今は精々中級悪魔レベル。籠手がなければ張り合っていられないのだ。そして、いつまでも避けていられるわけでもない。炎弾一発食らうと同時、
『Boost!!』
「あぐ……三回……まだ足りない……!」
「……っ、イッセー!」
リアスが一誠に制止の声をかけるが。
「ぐぅ……まだまだ、だ!」
魔力で炎を吹き飛ばして連戦の意思を見せる。その光景を見ながら、リアスは何も出来ない状況に歯噛みする。しかし、魔力を貯めていることしか出来なかった。リアスでこうなのだから、アーシアの感じている無力感は如何ほどなものか、考えるまでもないだろう。アーシアはその考えを振り払うように優美と小猫を治癒させていた。その傷もかすり傷ばかりなのですぐに癒えてしまう。
魔力が飛び交い、爆音が神経をすり減らせる。
「あれ……?」
優美はイッセーの動きが少し変化していることに気づく。ライザーをある一定の範囲内に留めさせるかのように行動し、攻撃しているのだ。しかも、遠距離攻撃に徹している。何故、と思う間もなく、耳を劈くような轟音と光がライザーを包み込んだ。
「あらあら……上の方がお留守ですよ?」
上空から声。そこには、魔力充填を終えた朱乃が笑みを浮かべていた。
「朱乃!」
リアスか嬉しそうに叫ぶ。リアスはほんのちょっとだけだが、勝機を見いだしていた。