俺の身体に何が起こって……いや、どうでもいいか。今は、コイツと戦える力がある、それでいい。
「まあ、これでようやくテメーと対等に戦えるって訳だ」
言葉を放ると同時、俺は斬りかかる。
「ッ! この……!」
それを羽ばたいて避けるライザー。なにやら追い詰められたような表情だ。
「怖じ気づいたか?」
「クッ……フェニックスの看板に泥を塗るわけには……!」
ライザーはぶつぶつと呟くと羽ばたく。……オイオイ無視か? リアスだけ先に潰そうって魂胆か。成る程俺をマトモに相手するよりは楽だな、賢明だ。……やらせねーが。
「何処へ行く? 俺はここだぞ」
ヤツに魔力砲を打ち込み、怯んだところへ回り込む。
「……チッ、小癪な!」
「小癪はどっちだ? お前だぜ」
軽くそう煽ってやると、腹をくくったのか翼をその場で広げる。
「……灼き尽くす!」
「やってみな。ただしその頃にはお前が八つ裂きになってるだろうがな」
再び、闇と炎がぶつかる。
☆
リアスはその光景をはらはらしながら見つめていた。黒い闇をまとい、六対の翼を羽ばたかせ、ライザーと互角にぶつかり合うイッセー。
(はやく魔力を溜めなければ……!)
焦れば焦るほど、時間は長く経過しているように感じる。今は一分一秒すら惜しい。
戦況はほぼ互角に見える。ライザーが炎を放てばイッセーは魔力で相殺する。
イッセーが攻撃しても避けられ、当たっても復活する。
「馬鹿な、今のを防ぐだと!? なら、もう一段階レベルをあげる!」
「強い……不死というのは厄介だな、やっぱり」
このままではイッセーがジリ貧だ。不死というアドバンテージはやはり強力だ。いつかは魔力が尽きてしまう。
『Boost!!』
「六回……まだだ!」
はやく、はやくと焦るリアス。しかし、時間は平等に過ぎてゆく。
「……ああ、こうか?」
一分か、1時間か……長い時間に思えたそれは、イッセーの行動と言葉によってかき消される。
闇の盾が、ライザーの炎を飲み込んでいた。イッセーはボロボロで魔力が無ければ倒れてしまいそうだ。だが、その闇の盾が不思議とそのイメージを掻き消していた。
ほんの、ほんの僅かだが、リアスはもしかしたら彼がライザーを倒してしまうかもしれないと思った。
そして、その予感は────
「ぐ、この、その忌々しい盾を退かせっ!」
「だめだね。お前には色々と熨斗付けて借りを返してやるよ」
──その予想は、どうやら正しいらしい。
☆
(クソッ、俺が押されているだと!? なんなんだコイツは!)
ライザーはそう心の中で悪態をついた。
『Boost!!』
(これで8回目の音声だな……つまり、256倍か。仮にヤツのスペックが並の下級悪魔だとしても、最上級悪魔クラスだと? 冗談じゃないッ……!)
だが。その表情を出さないのは上級悪魔のプライドか、はたまた威圧を与えるためか。
鳳凰が嘶き、悪魔王が吼える。互いの炎が、闇が、翼がぶつかり合う。
(こ、このままではこちらの魔力が尽きる! だというのにアレはむしろ余裕そうに……!! 真逆。闇の盾で魔力を食っているのか? もしそうだとしたら……!)
近づくのは愚策。何故なら近距離は恐らくヤツのキルレンジ。遠距離もダメ、何故なら遠距離攻撃は闇に飲まれるだけだ。無駄も良いところだ。
ならどうするか? そういうことを考えているのはイッセーも同じだ。
(ヤツが魔力を食うのなら……つっこむしかない、か!)
(ヤツが不死というのなら……再生できないほどの一撃を食らわせるのみ)
『Boost!!』
(9回目! 解放される前に倒す!)
「うおおおおおおおっ! 燃え尽きろっ!!」
ライザーは自らが炎と化しながら突貫してきた。本来なら避けるべきこの瞬間、イッセーは逆に動かずに手を突き出す。
「そこだっ! 解放しろ
『Explosion!!』
512倍。その恩恵を受けた魔砲は突貫してきたライザーを撃ち貫く。紅い魔力が視界を包み、ライザーは魔力に飲み込まれる。
(……負け、か)
その奔流に流されているライザーは痛みに顔をしかめながらも、心中はとても穏やかだった。
もし、もしこのまま婚約になったとして、もしイッセーが取り返しに来たら? そんなあり得ない未来を考える。そして、取り返してしまったらそれは赤龍帝のおかげだと言われるだろう。
せめて、ここで素直に敗北を認めること。それこそが、ライザーなりの礼儀であり、謝罪であった。
(リアス
グレモリーの長女に一生嫌われたままか? と1人嗤う。そして、その思考を割るように声が聞こえた。
「ライザー、お前……格好いいな。俺なんかじゃ敵いっこない……はぁ」
それはイッセーからの賞賛の声。魔力の奔流が止み、左手であたまを押さえるイッセーをぼやける視界の端に納めたところで、ライザーは気を失った。穏やかな笑みを浮かべて。
『Reset』
「……ほんと、かっこいいじゃねーか、ライザー」
『ライザー・フェニックス様、『
一誠「『覚悟』とは!闇夜の荒野に進むべき道を切り開く事だッ! ということでひとつ、この兵藤一誠が…実際に手本を見せてやるぜ……道を切り開くところのな」
ジョルノ太郎一誠。