※この作品はR-18です。

もしもイッセーが大変な変態だったら   作:天ノ羽々斬

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今回の章からオリジナルキャラクターが参戦します。




体育館裏の赤龍帝
01.使い魔と憎しみと


「みてお姉様、そとの景色とても綺麗よ!」

 

「こら、あまりはしゃぐんじゃない」

 

 金髪のサイドテールの少女と銀髪のセミロングの少女がはしゃいでいるのを紫藤イリナは尻目に見ながら、仕事仲間であるゼノヴィアは……寝ている。

 

「もうすぐ日本ですね」

 

 と、イリナは左隣の同僚──いや、元同僚だ。彼女に声をかけられる。

 

「そうね」

 

 彼女は兵藤桜。刀剣の扱いにおいては教会でも右に出るものは無い、とまで言われた剣の達人だ。しかし、教会の戦士をもう辞めて、日本に帰省するのだ。今回が最後の任務となる。

 

「~♪」

 

 最近流行のチーズの歌を口ずさみながら、窓の向こうを見る。辺り一面に白い雲が海のように広がっている。

 

「イッセー君は元気かなぁ」

 

 イリナがひとりそうつぶやくと、桜も同じ事を思ったのか窓の向こうの彼を想う。

 

「兄(・)さ(・)ん(・)……待っていて下さい」

 

☆

 

「…ッセーさん、イッセーさん!」

 

 声が聞こえる。誰だ?

 

「イッセーさん!」

 

 ああ、アーシアか……。そんなところにいないでこっち来いよ。

 ぼやけた視線の先のアーシアの腕を掴んでベッドに引きずり込む。「えっ!? えっ!?」と戸惑いの声を上げるのを無視してその可憐な唇を奪う。

 

「んむっ……ん、んっ、んふ……」

 

 だんだんと意識が覚醒してくる。朝日がまぶしい、時計は五時だ。目の前にはアーシア。最高の目覚めだ。

 

「んぁ……い、いっせーしゃん……」

「おはよう、アーシア。起こしてくれてありがとな」

 

 真っ赤になってろれつが回っていないところが何とも可愛らしい。そういえば今朝の朝食当番はフィーか。

 

「さ、朝のトレーニング行こうぜ」

「はい!」

 

 

 俺たちはジャージに手早く着替えると外へ向かう。そこには部長が仁王立ちで待っていてくれた。うん、今日も良いおっぱいだ。球技大会も近いし、やる気十分って感じだな。

 

「ほらいくわよイッセー!」

 

「はい、部長!」

 

☆

 

「使い魔?」

 

 その日の夜、使い魔というのを見つけに行くらしい。使い魔ねえ。

 

「ええ、そうよ。使い魔は私たち悪魔や魔法使いといった魔の存在なら持っていて当たり前と言っても良いわ。そろそろ、二人も持って良い頃ね」

 

 と、リアスは掌にコウモリを出現させる。

 

「これが私の使い魔。貴方に契約用の魔法陣のチラシを渡したのはこの子だったりするわ」

 

 なるほど、本来そういった雑事は使い魔にやらせているのか。だから下積み経験としてチラシ配りをねえ。

 

 小猫は小さな猫、朱乃は小鬼、優美は小鳥と、割と小さいんだな。まあ使い魔だし、そういうものなのかもしれない。

 

「さあ、使い魔を見つけるのにうってつけの場所があるわ。そこに行くわよ」

 

 そう言うや否や、足下にグレモリーの転移陣が───

 

 気がつけば、景色が反転していた。そこは鬱蒼とした森の中だ。

 

「ゲットだぜ!」

 

 と、そこに月をバックにあらわれたのは半袖短パンのオッサン。おい、それ某人気アニメのアレじょねーのか!?

 

「俺はマザラタウンのザドゥージ! 使い魔マスターを目指す男だ!」

 

 きら、と白い歯を輝かせる。なんだこのハイテンション……。

 

「彼は使い魔のスペシャリストよ。冥界でも彼より詳しい人はいないわ」

 

「わあ、凄い人なんですね!」

 

 アーシア純真だなぁ。優美は苦笑してるし、小猫は無言、朱乃は「あらあら」と微笑む……あれ、いつも通りか。

 

「グレモリーさん、今日はこの二人ですかい?」

 

 そういいながら、俺とアーシアを指すザドゥージ。

 

「ええそうよ。宜しく御願いね?」

 

「おう任せな! どんな使い魔が良い? オススメは五大龍王の一角、ティアマット! 伝説系だからバトル必須だけどな! それからヒュドラ! 毒系のかなり強い奴だ! 主人の命を常に狙ってくるだろうがな!」

 

 おい、とツッコミを入れようとして……ぞくりと何かの気配を感じた。なんだ? この感覚……リアスと朱乃も気がついたのか、目を険しくさせている。ザドゥージもだ。

 

「ヤバいのが来てるな……!」

 

 がさり、と音がする。ずるずると何かを引き摺るように動く音と、何かが歩行する音。

 

 目の前に現れたのは、ぼろぼろのドラゴンと巨大な蛇。

 

「ヒュドラ! おいおいマジか!」

 

 驚愕の声を漏らすザドゥージ。このデカい蛇のことだろう、毒が滴っているのか地面から煙が上がっている。

 

「ぐぅ、はぁ、はぁ……くっ、この姿ではこんな蛇相手にも勝てんか……」

 

 ぼろぼろのドラゴンはもう息も絶え絶えといった感じだ。このまま見過ごすのは後味悪いな……助けるか。

 

『Boost!!』

 

「部長。あのちっこい方助けましょう」

 

「……ヒュドラを退ける策でもあるのかしら?」

 

 俺の提案にそう返すリアス。俺は自信ありげに返す。

 

「ええ。ドライグいけるな?」

 

 そう良いながらドライグにイメージを流す。

 

『愚問だな。この蛇を退かせばいいんだろ?』

 

 ドライグのにやりとしたドヤ顔が浮かぶ。かわいい。ドライグは宝玉からオーラを漏れさせると、意識をヒュドラに向ける。

 

『こっちを見ろっ!』

 

 音声を出して態々聞こえるように出す。大丈夫かこれ……?

 そう思うや否や、ヒュドラはこちらを見た瞬間にかくかくと震えだして何かにおびえている。……ああそうか、本能的に勝てないと踏んだのか。流石は二天龍ってところだな。

 そんなことを考えているとヒュドラはそそくさと逃げ出してしまう。その気を見計らってアーシアがちびに駆け寄って『聖母の微笑』(トワイライト・ヒーリング)で治癒していく。

 

「大丈夫ですかドラゴンさん。すぐに治ります」

 

 ちびにそうアーシアが話しかけるとちびは口を開く。

 

「忝(かたじけな)い」

 

 ほう、口をきけるのか。ザドゥージもリアスも朱乃も、皆一様に驚いている。

 

「こいつはたまげた! 会話が出来るということはかなり高位のドラゴンか。しかしそんなドラゴンは……ティアマットは青の筈……」

 

 ザドゥージはそう呟くとまじまじと観察し始める。俺もそのドラゴンをみてみることにした。有鱗、四脚三対蝙蝠翼一尾のドラゴンだ。身体は結構スマートで、どちらかと言えば筋肉質なイメージを持たせる。四脚とはいえ、前脚は腕のように発達しているので二脚で立っている。そして、その全身に金属製らしい鎖が巻き付いている。

 

「して、先程のオーラ……赤龍帝か?」

 

 ドラゴンが俺を見てそう問うので答えることにする。

 

「いかにも、今代の赤龍帝だ」

 

「おお、やはりか! 懐かしいのぉ。おーいドライグ、妾だ、レムートだ」

 

『何? レムート? 本当にお前なのか? ……にしては随分みみっちくなったな』

 

「ぬかせ、お主もな」

 

 なんだなんだ、知り合いなのか? と俺が戸惑っていると、レムートは俺の方を向く。

 

「……ほう、あれも憑いているのか。中々に面白い男子だな。お主、名は?」

 

「兵藤一誠だ」

 

 問われるままに答えると、レムートはうむ、と頷く。

 

「兵藤一誠。ならばお主に妾も憑くとしよう」

 

 これは……使い魔になってくれるって事か? と迷っているとリアスに話し掛けられる。

 

「イッセー、凄いわ。赤龍帝と知り合いってことはかなり高位のドラゴンよ? こんなこと滅多に無いわ。契約すべきよ」

 

 そうだよな。しかも現存しててあまり名前も知られてないドラゴン。……いいな。

 

「じゃあ、使い魔って事になるけどいいか?」

 

「応。問題ないぞ」

 

 レムートはそう言うと俺の右肩にぱたぱたと羽ばたいて乗っかる。そこまで重くないのに驚いた。

 

「使い魔にするための契約は後でするとして、アーシアにも使い魔を見つけて貰わなくちゃね?」

 

「はい!」

 

 そう言って俺達は森の中を進んでいく。途中で触手とスライムがいたが問題なく焼き払った。

 

 湖に着く。ここには精霊ウンディーネがいるらしいが……。

 

「ウンディーネなあ。美しい女性の姿なんだろ?」

 

 そう優美に問うと苦笑いされた。

 

「あはは……まあ、とても澄んだ子だと思うよ」

 

 な、なんでこんな微妙な反応……と、水音が。

 

「出てきたぞ、運が良い。ウンディーネだ」

 

 それは──それはかくも残酷な現実だった。リアスや朱乃はウンディーネを見て珍しいわね、と話し合っている。

 

 そのウンディーネは……ムキムキマッチョだった。

 

「なあ、あれウンディーネだよな? なんでA極振りしたみたいになってんの!?」

 

 こんなファンタジーの現実なんて見たくなかったわ。と、ザドゥージがそれに答えてくれた。

 

「ここらへんのウンディーネは特に縄張り争いが激しくてな……縄張り争いが少ないところなら美女なウンディーネを見ることが出来るが、最近は精霊達が暮らせるような綺麗な自然が少なくてな」

 

 意外と世知辛い精霊事情に感心していると、こんどは別の屈強な肉体を持つウンディーネが現れると、肉弾戦を繰り広げ始めた。

 

「ファンタジーが……俺のファンタジーが……」

 

 思わず崩れ落ちる。だって、ウンディーネって精霊なのに魔法とかそういうのじゃなくって肉弾戦って! 肉弾戦は、ないだろう……。挑戦者を退けたウンディーネは見せ付けんばかりに眩いマッスルポーズをとっている。

 

「よしよし」

 

 小猫に頭を撫でられてしまう。案外心地良い。

 

「ありがとう小猫ちゃん」

 

 思わず頭を撫で返してしまう。一瞬しまったと思ったが目を細めて気持ちよさげなのでいいか、と思ってしまった。

 そんなこんなしていると、ばちばちと電気が弾ける音。それに蒼い鱗のドラゴンがアーシアにすり寄っている。おいそれは俺のだぞ。

 

「高位のドラゴンに続いて『蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)』の幼体……夢でも見てるようだ」

 

 ザドゥージがそう呟く。まあ無理も無いか。

 

 結局、俺はレムートと、アーシアはその『蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)』と契約した。アーシアは俺の名前からとって『ラッセー』にしたらしい。……少しだけ照れくさかった。

 

 そして結局、レムートがどういうドラゴンなのかさっぱりわからなかった。レムートが言うには『直に判る』らしいが……。

 

 

☆

 

 今日は俺の家で、というリアスの言により俺のうちで部活をするらしい。

 

「あら、小さいイッセーがこんなに……小さいイッセー小さいイッセー小さいイッセー小さいイッセー……」

「リアスお姉様の気持ち分かります!」

 

 なんでフィーは俺の小さい頃のアルバムのありかなんて知ってますかねぇ!? 俺すげー探したのに! ……お、これ誰だっけ? ……ああ、桜か。あいつがドイツに行ったきり音信不通だもんなぁ。元気にしてるかな?

 

「あらあら、裸で海に……」

「朱乃さんもそういう恥ずかしい写真見つけて態々言うの辞めてくれませんかねぇ!?」

 

 ほんとこの人Sだよな……まあSとMは表裏一体だけども。ひんひん鳴かせてやりたい。

 

「ん? おっ、この写真も懐かしーな」

 

 近所に住んでた紫藤イリナ。男勝りでやんちゃなイメージだけどな。なんだっけ? 確か昔、サンタクロースふん捕まえてプレゼント全部貰うとかいう約束をしたような……。

 

「イッセー君。これは?」

 

 険しい顔で優美がイリナとの写真を指す。あーっと……

 

「幼馴染みだよ。確かお父さんが教会関連の人でさあ。小学生の頃に引っ越していったからさっぱり音信不通だけど……」

 

「いや、そうじゃなくてこの剣だよ。……ふふふ、因果な事もあるものだね」

 

 いつもとは違う底冷えするような声。

 

「これは聖剣だよ」

 

 その表情には、暗いものが写っていた。それは憎しみの炎───。





・桜

藤井連 さん が投稿して下さったオリキャラ。

・レムート
本作オリジナルドラゴンキャラ。ドライグ等の昔から存在するドラゴンも知っている。別に軍神では無い。

元ネタはまた何れ。たぶん判る人には判る。
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