「……?」
首をかしげるオーフィス。
今日は月曜日であり、学校へ行かなければならない。学生としての本文を忘れてエロいことをするなど言語道断である。
しかし――この龍神幼女がそれを許さなかった。
「我、イッセーと一緒」
……いや、依存しすぎだろ!? 確かに昨日一昨日と本気で可愛がったけどさ。
いや、可愛がったといっても勿論エロい意味ではない。一緒に風呂入ったり一緒の布団で寝たり、食卓を共にしたり頭とかお腹とかお尻撫でてたりしただけだしな(セクハラ)。
うーん……あ。いいこと思い付いた。
「オーフィス、ちっこくなれるか? このくらいに」
俺は机の上においてあるねん○ろいどを指差して言う。
するとオーフィスはこくりと頷くと、
「えい」
「おお……」
本当にね○どろいどサイズ――ってか二頭身!?
兎に角オーフィスを頭の上に乗せる。
「取り合えず、オーラとか力を抑えてろよ」
「なぜ?」
「俺の学園には悪魔がいるからな。お前が見つかったら大変だ」
「分かった、どのくらい抑えればいい?」
どのくらい……うーむ……
「……下級悪魔より下くらい」
「分かった」
……素直なのはいいことだ。
「あと、外出たらここに隠れとけよ。あの学園には普通の人間もいるからな」
俺はブレザーの内ポケットを指す。
「ん」
オーフィスは頭からぴょん、と飛び降りるとブレザーの内ポケットに入る。
「よし、行くぞ!」
「おー……」
……大丈夫か?
☆
心配は杞憂に終わった。……授業中にツンツン腹筋をつついて遊んでくるからちょっとくすぐったかったけど。
「兵藤、次の授業ってなんだっけ」
「英Ⅱ。昼休みなんだからさっさと予習すませろよ」
「おう」
そんな会話を友人としていると。
『キャー!』
ほう、木場が来たか。
『キバ? ああ、悪魔か』
おう。どうもそうらしいな。
木場祐斗。この学園の『二大王子さま』の一人だ。もう一人? 俺だよ!
ちなみにファンレターは来てもラブレターは来た試しがない。
しかしなぁ、木場祐斗『くん』、か。
俺にはどうにも男というには不確定要素が大きすぎる。
28日周期で体調が悪くなりがちだし、着替えをした姿をだれも見たことがないらしいし、そもそも肩が男にしては細すぎる。胸板の筋肉の付き方も不自然だし……。
ん? なんで俺が木場の事をこんな調べ上げたかって? いや、入学時点でのライバル候補を一応調べたんだ。そしたらこんな気になる情報があってな。中学は敵うんぬんの前に、知識を詰め込むので精一杯だったしな。
「兵藤一誠くんはいるかい?」
「よんだか?」
俺と木場の揃い踏みに女子たちは黄色い声を上げる。
「みて、木場くんと兵藤くんよ!」
「いつみても二人とも格好いいわ……」
「そうよね奥さん」
「ふへへ、兵藤くん×木場くん……木場くんの総受け……ふひひっ」
「いやいや、兵藤くんの誘い受けもまた……」
あの腐ってるのは……成る程。中村と安藤はなし、と。
「いや、ちょっと放課後に用があってね」
普段なら断るだろうが……ふむ。
「いいぜ。放課後にこいよ木場」
「ふふ、わかってる」
爽やか笑顔を浮かべながら、木場は去っていった。
「っかぁー、今日もお茶が旨い!」
「お前変なところでそういうのあるよな」
「なにいってんだよ元浜。日本食はジャパニーズソウルだろ」
「……変態と天才は紙一重?」
「よーしいい度胸だ表出ろ」
「ごめんなさいでした」
「よろしい」
☆
「……我、もうでてもいい?」
「まだ待ってろ」
「ん」
放課後、誰もいない教室。木場はまだか?
「おまたせ」
「遅い」
「ごめんごめん、部長にちょっとね。さあ行こうか」
二人しかいない廊下を歩く。
「……なぁ木場」
「ん? なにかな?」
……よし、カマかけてみるか。
「木場ってさぁ、女の子みたいだよな」
「ッ、やだなぁ兵藤くん。冗談はよしてよ」
……こりゃ黒だな。よし、一気に攻めるべし、っと。
「冗談じゃないさ。実際お前かわいいし」
「か、かわっ!?」
お、真っ赤になってら。完全に黒とみた。おそらく「かっこいい」と誉められることはあっても「かわいい」って評価はあまり受けてないんだろうな。こいつを女としてみれば、この真っ赤に染まった照れ顔は実際かわいい。
「実はお前って女だろ?」
「……うぅ……み、皆には内緒にしてよ?」
お、以外と高い声だ。うむ、こういうのをギャップ萌えって言うんだよな。
学園の王子さまは実はお姫様で、毎晩俺に可愛がられてよがる……うん、最高。
「ま、その代わりに何かして貰おうかな。悪魔なら等価交換、ってな」
「! 気づいたのかい? 自分が悪魔だって」
「まあな……」
「へぇ……あ、着いたよ。僕が先に入るから、後からね?」
「へぇへぇ。部長とやらによろしくな、木場ちゃん♪」
「もう、からかわないでよ」
実名は『木場優美』かな? まぁなんでもいいや。
俺はノックをすると、扉を開いた。