※この作品はR-18です。

東方淫魔伝   作:スイセン

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[第13話]悪魔の従者

 真っ赤な壁に覆われた地下室で、俺の主は光悦とした表情で腰を上下に振っていた。

 

「あは、あははははっ!」

 

 腕と脚を失って動けなくなった俺を見て可笑しそうに笑いながら彼女は肉棒を咥え込んだ膣内を締め付けてくる。

 その締め付けに耐え切れず、何度目かもわからない射精を彼女の中に行うと、結合部からは収まりきらない精液が大量に溢れ出してきた。

 

「ふふっ、まだ出来そう」

 

 それを気にすることもなく、彼女は再び腰を動かし始める。

 精液が泡立ち、ぶちょぶちょと卑猥な音を立てていた。

 腕と脚から止めどなく溢れる血がカーペットに赤いシミを作っていく。

 これは後で咲夜に怒られるな。そんな意味のない感想を抱いていると、彼女は俺に元々腕があった場所へと指を這わせ、血を拭う。

 

「たくさん溢れて勿体ないわね」

 

 赤黒く染まった手を見て彼女はそれを綺麗に舐めとっていった。

 彼女の顔には俺の血がついて真っ赤に染まっている。

 血が失われ続けているこの体は既に思考も纏まらず、視界もとうに定まっていない。

 そんな俺を前にして、彼女はとても嬉しそうに優しく口付けを交わしてきた。

 

「あなたは私のずーっと大切な玩具よ」

 

 そのキスは古くなったワインのような鉄錆のような苦い味がした。

 

 △ △ △

 

 紅魔館に住むことになった翌日、俺は咲夜に起こされて厨房に連れてこられて業務内容の説明を受けていた。

 昨日は色々とあって大変ではあったが、用意されていた部屋のベッドがふかふかで速攻で寝れてしまったので疲れ自体はない。

 ただ、咲夜に起こされた時は普通に心臓に悪かった。起きた時に目の前に美少女の顔がある状況は本気でびっくりする。

 しかし、起こしてくれるのも今日までらしく、明日からは所定の時間までに起きて来なかったらナイフを飛ばすと言われた。怖い。てか、それ俺、死んじゃう。冗談だと思いたい。

 

「あなたにやってもらう事はそんなに多くないわ。元々私一人でも回せていたものだし」

「一人でやってたのか?」

 

 こんな広大な屋敷の手入れを一人でしていたとか信じられない。

 あれ? でも妖精のメイドとか飛んでいたような……。

 

「妖精メイドや、ホフゴブリン達はあまり役に立たないのよ。すぐに遊び始めるから」

「そういうものなのか」

「ええ。ただ、私はサボりを許さないけど。あなたもそうならないことを願うわ」

 

 そう言って銀のナイフを手に構えて見せる咲夜。

 サボったら投げつけるという意味だろう。この人、怖い……。

 

「それで俺は何をやるんだ?」

「あなたにはここにある食器の手入れを行ってもらうわ」

 

 まずは食器の手入れか。まぁ、そこまで重労働ではない。量はそれなりにあるがなんとかこなせるだろう。

 

「他には何をするんだ?」

「以上よ」

「……え、これだけ?」

「ええ。最初の頃は色々と手をつけても上手に出来ないでしょうし、それに……」

 

 そう言って言葉を切った咲夜は唐突に俺の首元にナイフを突きつけた。

 気づいたらナイフがあったという状況だ。一切反応出来なかった。

 動けなかった俺はごくりと唾を飲む。

 

「……やっぱり、あなた戦闘経験が一切ないわね。それじゃあ妹様の従者として不十分よ。あなたの仕事が終わったら戦闘訓練をするからそのつもりで」

 

 呆れたと言わんばかりにたま息をつかれ、ナイフを降ろされる。

 従者なのに戦闘訓練が必要とはどういうことなのか。あのフランとかいうやつはどう考えても俺より強いし、護衛とか要らなくない? 

 

「とりあえず、あなたはこの仕事を終わらせなさい」

「わかった」

「……あなたが少しでも役に立つことを期待しているわね」

 

 全く期待していなさそうな声色でそんなことを言った咲夜は厨房から出て行ってしまった。残されたのは俺と大量の食器のみ。

 一人で無言やるのは寂しいが仕事となれば仕方がない。

 俺は食器とそれを磨くためのタオルを手に取った。

 そして、数十分後。作業の進捗を確認しに来た咲夜によって、磨いた分ほぼ全部をやり直ささせられました……。

 厳しい、厳しいよ咲夜さん。

 俺が見る分にはピカピカにしか見えないのだが、咲夜の目には汚く見えるらしい。

 それから更に数時間後。やっとのことで咲夜から終了の許可を得た。

 

「時間はかけすぎだけど、とりあえずは及第点ね」

「このレベルの綺麗さでいつもやってるのか? 時間足りないだろ」

「私にとっては時間なんて無限に存在するものよ」

 

 言っている意味はよくわからないが、とりあえず俺の仕事は終了だ。

 既に日は傾き始めている。食器を磨いていただけなのに疲れた……。

 大きく伸びをすると、お腹が鳴った。そういえば起きてからどころか、昨日から何も食べていない。

 

「お腹すいたな……」

「そうね。時間も丁度いいし、おゆはんの準備でもしましょうか。お嬢様と妹様もそろそろ起きてくるでしょうし」

「何か作るのか? 手伝うぞ」

「あら? 料理はできたの?」

「自慢じゃないが記憶にない」

「本当に自慢じゃないわね……」

 

 料理の知識はあるにはあるが幻想郷に来てから料理はしてない。

 まぁ、多分出来るだろう。それに料理なんて切って煮込んで焼けばなんとかなるはずだ! 

 

「……まぁいいわ。料理は手伝わなくて大丈夫よ。あなたには刺激が強いでしょうから」

「刺激が強いって蛇とかウサギでも使うのか?」

 

 たしかにああいう肉は元の形があったりするし、人によっては苦手だろう。

 

「……そんなところよ。それよりも、パチュリー様があなたに用があるらしいから、行ってきなさい」

 

 なぜかはぐらかすような回答をした咲夜は俺に背を向けて、厨房の奥の扉を開けた。食材とかを取ってくるのかもしれない。

 一人、厨房に残される。

 じゃあ、俺も言われた通りパチュリーのところにでも行くか。

 厨房から出て、紅魔館が広いものだから少しだけ迷って、ついでに妖精メイドに悪戯とかもされたりしながらなんとか大図書館にたどり着いた。

 そこでパチュリーは前と同じく本を読んで椅子に座っていた。その周りには小悪魔が本を持って飛び回っている。

 

「来たのね……」

 

 俺が来たことを見てボソリと呟くだけのパチュリーとは対照的に、小悪魔はものすごく嫌そうな顔というか、青ざめた顔で急いでパチュリーの後ろに隠れ始めた。

 これはだいぶ警戒されているようだ。

 

「使い魔が主人の後ろに隠れてどうするの……」

「だって、パチュリーさまぁ……」

 

 呆れたように言うパチュリーに対して、泣き出しそうな声でいう小悪魔。

 俺が何をしたというんだと言いたいが、昨日の惨状を見る限りなかなか酷いことをしてしまった可能性はある。

 しかし、もともと襲ってきたのはあっちだから謝るというのも変な話だし……。

 悩んで小悪魔を見てたら、ひぃっと小さく叫ばれてさらに縮こまるようになってしまった。

 はぁと小さくため息を吐いたパチュリーが持っていた本を机の上に置いた。

 

「あなたを呼んだのは少し実験してみたいことがあったからよ」

「パチュリー様、気をつけてくださいね」

 

 隠れている小悪魔が主人の心配をするようにこそこそっと声をかける。

 警戒どころか、敵視されてるレベルだ。近づいたら問答無用で攻撃されそう。

 

「それじゃあ……」

 

 立ち上がったパチュリーは観察するように俺の身体を見始めた。

 じーっと見られるものだからそわそわする。

 

「……やっぱりあなた、魔力を帯びているわね」

「え?」

「あなたの能力が原因? それとも別の理由が……」

 

 ぶつぶつと呟きながらパチュリーは今度はペタペタと俺の身体を触り始めた。

 

「あ、あの、パチュリー?」

「動かないで。今、観察中よ」

「……はい」

 

 暫くの間耐えていたら、満足したのようにパチュリーは椅子に戻って座る。

 

「あなたの身体に魔力を帯びている理由に仮説をいくつか立てたわ。まず一つ目はあの媚薬が原因で魔力を身体の中に溜め込んでいるっていうもの」

「あのアリスの媚薬でか?」

「ええ。あれはアリスが作った魔法薬でしょ? だから、アリスの気づいていない効果があってもおかしくはない。二つ目の仮説はあなたの能力によるものね」

「俺の能力……」

「あなたの能力、卑猥な程度の能力と一応命名はしたけど、能力の本質はそこではない可能性が高い」

 

 そう言ってパチュリーは背後に隠れている小悪魔をチラッと見た。

 たしかに、この小悪魔の怯えようは卑猥なことを起こしたってレベルでは無い気もする。

 

「あとは、あなたが元々魔法使いの素質があったという可能性ね。けど、それにしては魔力がやけに濁ってるわ」

「濁ってる?」

「自分の身体に合ってない魔力ね。けど、それでもあなたは魔法を使えるみたいだし……」

「いや、俺、魔法使えないけど……」

「でも、魔法とは言ってもフランの能力で破壊できたってことは物体を持ってる……? それとも魔法陣を破壊したってこと? 透明なところに急に目が出たって話だけど……」

「いや、あの……」

「ともかく、検証が必要ね。どういう理由で魔力が溜まっているのか調べないと……」

 

 あれ? これ俺の声聞こえてる? 一人でぶつぶつ喋り始めて、こっちに全然意識を向けてきてないんだけど。

 小悪魔に助けを求めるような視線を向けたら、全力で隠れられた。酷い。

 ひとしきり考えこんでパチュリーは疲れたように伸びをする。

 その際にゆったりとした服が伸びて胸元が強調された。

 ……服の上からだとわかりにくいけど、意外と大きいんですね。

 

「あ、パチュリー様! 今こいつパチュリー様のこといやらしい目で見てましたよ!」

 

 ……おっと、唐突に冷や汗が出てきたぞ。

 このクソ悪魔、小学生か。

 心の中で悪態を吐きつつ、パチュリーの様子を伺うが、当の本人は一切気にした様子もなく机に置いてあった本を読み始めた。

 

「こんな子供にそんな目で見られたところでなんとも思わないわよ」

 

 子供って、俺、多分だけど20歳は超えてるんですけど……。自分の年齢わかんないから勘だけど。

 

「それより、フランが起きたみたいね……。随分と早い。寝れなかったのかしら。仕方ないわ」

 

 残念そうにパチュリーは呟く。

 え、フランが起きたって……。

 そりゃ、いつかは起きるものだが心の準備が出来ていない。右腕に残る火傷が痛み出してきた。

 そんな俺を冷めた目で見てパチュリーは言う。

 

「もし明日も生きていたら一番にここに来て」

 

 そう言ってパチュリーは俺から関心を無くしたように本に集中し始めた。その後ろで小悪魔がしっしっとジェスチャーしていた。

 嫌われすぎていてちょっとつらい。それに、物凄く不吉なことを言われたぞ。生きていない可能性があるってことですか。昨日のフランの様子的にありそうですね。

 とりあえず、パチュリーの用事は終わったようだし俺は咲夜のいる厨房に急いで戻るべきだろう。

 そう思って大図書館から出て厨房に向かう途中、見覚えのある七色の羽が見えた。

 

「あ、やっと見つけた」

「フラン……」

 

 小さく呟いて脚が止まる。

 今はこいつが俺の主とはいえ、昨日あんなことがあったばかりだ。恐怖で脚がすくんで、動けなくなっていると、その相手はゆっくりと近づいてきた。

 

「あなたは従者なんだから、フラン様でしょ? また躾けられたいの?」

 

 背筋も凍るような冷たい声だった。

 

「フラン様……」

「ええ。それでいいわ」

 

 満足そうに頷いたフランは俺の手を取る。

 

「私の部屋まで案内してあげるわ」

 

 嬉しそうに言われるが、今すぐ断りたかった。

 しかし、そんなことも出来るはずもなく手を引かれて地下へと続く階段へと案内されてそこを降りていく。

 地獄への入り口にしか見えない……。

 たどり着いたそこは昨日、俺が気絶した部屋だった。

 昨日は内装など見る余裕は無かったが、よく見たら壁には傷跡があり、赤いシミのようなものが大量に存在していた。

 それにこんなに薄暗かったか……? 絶妙な暗さがなんともいえない不気味さを醸し出していた。

 

「えっと、ここでなにを……」

「んー、遊んでもいいんだけど、お腹空いたわね。咲夜ー!」

「はい。ここに」

 

 フランがそう呼ぶといつの間にか、背後に咲夜が立っていた。

 どういう原理なんだ? ちょくちょくいつの間にか後ろにいることがあるが……。

 

「お腹空いたの。ご飯を準備して」

「かしこまりました。ただいま、お持ちします」

 

 そう言ったと思ったら、次の瞬間には部屋の中にあるテーブルの上に料理が用意されていた。

 どうなってんだ!? まるで時間を飛ばしたかのような光景だ。

 美味しそうな湯気が立つステーキに、赤いワイン、真っ赤なジャムのかかったケーキがテーブルの上に並べられている。

 

「それでは、私はこれで」

「ありがとう。咲夜」

 

 この光景を不思議とも思わなさそうにフランは椅子に座ると、ナイフとフォークを使ってステーキを食べ始めた。

 あれだけ凶悪なのにナイフとフォークの使い方はとても上手い。俺よりも確実に上手だ。無駄な音も立てずに静かにステーキを切っては、咀嚼していく。

 

「ん。美味しい。流石は咲夜ね」

 

 ……そういえば、まだご飯食べれてないんだよなぁ。

 美味しそうな料理を食べるフランの姿は胃が刺激される。フランさえ起きてこなければご飯を食べれたのに……! 

 そう思ってたら、不満そうにフランがこちらを見た。

 

「レディの食事風景をジロジロと見るのは不躾じゃない?」

「……え、あ、悪い」

 

 たしかに見られていたら食べにくい。

 お腹空いてたせいでじっと見過ぎてきたらしい。

 そんな俺にフランは嫌な笑みを浮かべる。

 

「お腹でも空いてるの? 少し分けてあげよっか?」

「え……?」

「遠慮しなくていいのよ?」

 

 そう言ってステーキにフォークを刺してこちらに向けた。

 ……これはどうするのが正解だ? 断れば相手の機嫌を損ねる可能性はあるが、そもそも冗談という可能性もある。

 

「ほら、食べて」

 

 悩む俺を見て、フランはわざわざ立ち上がって浮き上がり、俺の口元のところまでステーキの刺さったフォークを持ってきた。

 本当に食べていいのか? しかし、ここまでされては食べないという選択肢もない。

 少し口を開けるとフランは更にフォークを近づける。

 

「はい。あーん」

 

 そう言って、フランは口の中に肉を入れてくれた。

 その肉は筋が多く噛み切りにくい上に、鉄錆のような生臭い味がして端的に言って全く美味しく無かった。

 おぇっ……、不味い……。なんだ、この肉……。ソースも変な味だし……。

 しかし、ここで吐き出せば確実にフランからの躾が飛んでくるに違いない。吐き出しそうになるのを我慢してなんとか肉を飲み込む。

 

「ありがとう、ございます……」

 

 なんとかそれだけ言うと、フランは面白そうに小さく笑った。

 なにがおかしいんだと思っていたが、その答え合わせはされず、フランは残っていた肉やワインなども食べ始めた。

 あんなに不味い料理でも食べれている時点で彼女が俺とは違う生物であることがより鮮明に感じてしまう出来事だった。

 

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