東方淫魔伝 作:スイセン
幾分か時間が経ったというのにも関わらず、浴場のお風呂からは湯気が立ち込めたままだ。
魔法で沸かしたりでもしているのだろうか。便利なものである。
熱い湯気に当てられてか、それともこの漂う濃厚すぎる匂いにやられてか頭がクラクラしてきて思考が正常に働かない感覚がある。
「んぐっ、んむっ、んんっ……」
苦しそうに声を上げる小悪魔の頭を掴み、腰を動かした。小悪魔の口内にある肉棒が喉奥まで侵入して、また引き抜く。
肉棒が彼女の涎でベタベタになりながらも更に快楽を求めようと何度も動かすと、それに答えるように小悪魔は舌を這わせてくれた。小悪魔の舌の感覚、それと同時に肉棒を締め付ける感覚すらも感じる。
小悪魔の秘部に肉棒を挿れ込んだ俺の分身。その感覚を共有しているために、その快楽がこちらに流れ込んできていた。
これ、は……、すぐにイッてしまいそうだな……。
「んくっ、んあっ……」
アリスとやった後なのにも関わらず、その強すぎる刺激にすぐさま射精してしまいそうになる。
秘部の感覚もやばいな。ねっとりとしていて、子宮が吸い付いてきて離そうとしてくれない。アリスと俺の行為を見て興奮した……にしても濡れすぎだろ。
「……いっぺんに犯されて興奮しているのか」
「ッ!?」
俺の呟きに小悪魔は顔を赤く染めた。
きゅうと心地よく肉棒を締め付ける膣肉の感覚がある。
「当たりなのかよ……。ちょっと淫乱すぎないか、お前」
呆れたように言った俺に小悪魔が不満げに睨みつけてきた。
まぁ、この行為を始めた俺が言うのもあれだよなぁ。
しかし、この行為を始めた当初はちょっとした好奇心程度ではあったが、それで小悪魔が大いに興奮してくれるのなれば俺としてもやぶさかではない。慣れない感覚に戸惑うであろう彼女を気遣って、分身の方は遠慮して動いていただろうが、それも気にしなくて良さそうだ。
本体と分身、互いに一気に腰を引いて打ちつける。
「んんっ! んんんっ、んんんんんっ!」
口を塞がれて喘ぎ声をまともに出せない小悪魔ではあるが、蜜壺から溢れだした愛液の量が彼女が達したということを教えてくれていた。
しかし、それでも遠慮なんてせずにもう一度同じ動作を繰り返す。
「んんんんっ! んん、んん、んんんっ!」
「動き始めたら、この刺激、強すぎるな……! 小悪魔、中に出すぞ」
「んんっ!? んー、んー!」
俺の言葉に小悪魔は首を小さく振るが、そんなことは気にせずにもう一度奥に肉棒を差し込んだ。
それと同時に一気に欲望を放つ。
「んんんっ! んん……、んん……」
彼女の喉奥と、子宮奥に精液を吐き出した。
小悪魔の口元から溢れた精液が垂れ、彼女の喉が上下するのが見える。
数秒に渡って射精を終えると、小悪魔の口と秘部の中から肉棒を引き抜く。
「んはぁ……、はぁ……、なんて、めちゃくちゃするんですか……」
ぐったりとした様子で床に座り込んだ彼女は荒い息を吐きながら文句を口した。
その秘部からは何度も注がれて溢れた精液が漏れている。
「めちゃくちゃにする予定ではなかったんだけど、嫌いじゃなかったみたいだからな」
「……絶対嘘です。私が嫌がっていても絶対にめちゃくちゃにしてました」
うーむ。確かにそれは否定できない。めちゃくちゃ気持ちよかったからあのままゆっくりと行為におこなえたかと言うと自信はない。まぁ、別に仮定の話はどうでもいいだろう。
それに嫌いじゃないというのは否定しないんだな。
「はぁ、はぁ、口も中にもいっぱい……変態……」
快楽の残滓に彼女は小さく身体を震わせて、なんとも不名誉なことを言ってきた。
「変な魔法薬を飲ませたせいだろ。おかげで酷い目にあった」
「……美少女二人を侍らせて、お風呂場でハッスルすることですか?」
ハッスルって……。
いや、確かに暴走して小悪魔のことをめちゃくちゃにしてしまったわけではあるが。
ジトっとした目を向ける小悪魔の視線から逃げるように、分身体に触れてその身体を消滅させる。
……前まで出来なかったはずの感覚の共有に分身の削除も上手くいったな。
つまり、それはフランを……、そういえば、藍にやられた後の俺をフランが連れてきたって話だったもんな。
死にかけの俺に対する応急処置という意味ではあの方法しかなく、それを理解しているフランならその方法を取った可能性は十分あるわけで……。
「分身消しちゃったんですね……」
少し考えを巡らせていると消えた分身を見て、小悪魔が小さく呟いた。
「名残惜しそうだな」
「そ、そんなことありません!」
怒ったように否定する小悪魔は分身が消えた虚空を見つめて、小さくため息を吐く。
やっぱり名残惜しそうじゃないか。別にまた分身を出してもいいぞ。燃費がクソ悪いけど。
しかし、今回の行為で一つわかったことがある。分身魔法の燃費の悪さの理屈だ。
今まで分身魔法は分身の消費する魔力量が多いと思っていたが、それはどうやら違ったらしい。正しくは分身に渡せる魔力量が少ない。
例えば俺が分身に自分の魔力の8割を渡そうとして分身を作成した場合、8割のうち3割は分身の身体を構成する段階で消費され、更に分身自体にいく魔力量は残った5割の魔力のうち2割にも満たないようだ。
やっぱりこれは俺のオリジナルの魔法ではなく、使いこなせていないからなのだろうか。それとも、フランの魔力が莫大で分身に渡している魔力量も俺とは比べ物にならないのか。
ともかく、そういう理屈であるとするならば、性行為を分身体で行うことで、分身体が直接魔力補給できる。そうすれば、俺が分身を一回一回作るよりも効率は良い。なんなら、本体の魔力量を超えることすら可能ではある。
ただそれだと、どっちが本体かわからなくなるな。分身体を作るときは分身であるという自覚を分身に持たせないと不味いことになりかねない。
分身体が本体を消す。そんな場合だって想定できるのだ。考えただけでもゾッとしない。
分身魔法、便利ではあるが使い方には気をつけた方が良さそうだ。
まぁ、今はそんなことよりもだ……、
「……二人とも全然満足してなさそうだな」
アリスと小悪魔の二人は興奮冷めやまぬ様子で、こちらを見つめてきていた。
媚薬の効果でこちらにも多少の余裕はあるが、俺、怪我人かつさっき起きたばっかりなんだが……。いや、まぁ、いつものことだな。
とりあえず、分身魔法のお試しも出来たし、後はいつも通り楽しもう。
……なんて考えていたら、2人にギリギリまで搾り取られた。
2人とも性欲強すぎない……? あ、俺の体液による媚薬効果のせいか。同時にプレイするとこっちの身が保たない。
おかしい。俺の能力的に性行為は魔力回復的な役割があるはずなのに、ものすごく疲れている。
この疲れは性行為を通して2人に搾り取られたことによる精神的なつかれだから、魔力ではどうしようもないのだろうか。
お風呂から上がり、紅魔館の廊下で疲れたため息を吐く。
小悪魔とアリスは俺に魔力を奪われたために眠気が酷いと、小悪魔は大図書館に、アリスは自宅へと帰ってしまった。
小悪魔に俺が寝ている間のことを聞いておくべきだった。あと、アリスともっと会っていたかった。アリスロスだ。アリス成分が足りない。
アリス成分の効果は安らぎと癒し、肩こり解消とかある。多分。知らんけど。
濃密すぎる数日間だったせいで、別れてから数日しか経っていなかったにも関わらず、今日会ったアリスはすごく懐かしく感じてしまった。
次に会うのはいつになるのだろうか。……その前にフランに殺される可能性が今のところ高いんだよなぁ。
フランの右手が俺に向けて閉じられる光景が容易に想像がつく。
ぶるっと身震いして、自分のこれからの行動を考える。
第一に優先すべきことはこの短い期間で何かしらの技術を身につけることだ。
そのために、美鈴に修行をつけてもらうなんて考えで頼みに行ってみたが、これはダメだった。全く信用されてない。想像以上に紅美鈴は鋭かった。
となると、他に当たるべき相手は、小悪魔……は、教えてくれそうだが、馬鹿にされる未来しか見えない。なんならまた性行為に走ってしまいそうな気すらする。
だとすれば、パチュリーか。しかし、魔法は一朝一夕で身につくものではないだろう。俺の能力を使えば可能ではあるが、身体を許してくれるとは思えない。そして、こちらから無理矢理襲ったとしても間違いなく返り討ちにあう。
レミリアは問題外だ。間違いなく嫌われている。俺が何をした。記憶にある限りだとお気に入りの従者に手を出されて、紅魔館を破壊されたぐらいだ。うん。怒っていい。俺ならブチ切れる。
フランは最終手段だ。修行の段階で死ぬ工程を何度も踏む可能性の方が高いし、怪我の回復にも時間をかかることを考えると効率的ではない。しかし、フランが交わってくれるというのであれば、その効率は計り知れない。とは言っても、その状態ですら、美鈴には太刀打ちすら出来ないだろうが。
そもそも、吸血鬼姉妹はこの時間帯はまだ起きてないだろう。窓が少ないせいで時間感覚が鈍るが、まだ夜の時間帯ではないはずだ。
となると、やはり残るとは咲夜か……。前もフランの従者ならもっと戦闘訓練しろとか言っていたし、多少は付き合ってくれるかもしれない。
……いや、待て。そもそも俺の分身の記憶によると咲夜、怪我してたよな。そういえばその確認をしようと思っていたんだ。
あの2人との性行為ですっかり忘れていた。
近場にいる妖精メイドに咲夜の居場所でも聞こうかと思ったら、顔を見合わせるたびに妖精メイド達に逃げてしまった。
……そんな悪魔にでも会ったかのように逃げなくてもいいだろ。流石に傷つくぞ。
どう考えても避けられているという現状に居心地の悪さを感じてしまう。
どうしたもんかな……。
「あら?」
適当に歩き回っていたら、ばったり咲夜と出会った。
「目が覚めてたのね。道理で妖精メイド達がこの辺りにいないはずだわ」
「ついさっきな。よかった。ちょうど咲夜に用があったんだ」
「私に?」
コテンと首を傾げる咲夜の足に目を向けると、スカートの端から白い包帯のようなものが少しだけ見えた。
「動き回ってるみたいだけど、脚の怪我は大丈夫なのか?」
「……これくらいの怪我はなんてことないわ。パチュリー様に治癒魔法もかけてもらったし。それに、私が働かなかったら誰がこの屋敷の管理をするの?」
一瞬、微妙な間が空いた気がしたが、咲夜はなんてことないように答える。
本当に大丈夫なのだろうか? 咲夜の性格的に大丈夫じゃなくても、大丈夫と言いそうな感じがする。
「ちょっと傷跡見せてもらってもいいか?」
傷の具合を確認したい。
そんな意図を込めて言うと、怪訝そうな顔をした咲夜がナイフを一本手に取った。
「それはセクハラと言うものかしら?」
え……、あー、そうだった。咲夜のナイフが突き刺さった場所は太ももの辺りなのだから、傷を見せてもらうにはスカートを捲り上げないといけないわけで……。
「そ、そういうわけじゃない!」
咲夜の殺気こもった視線に慌てて答えるたが、なんとも動揺しているみたいになってしまった。
それに咲夜が更に視線を冷たくする。
「小悪魔とも何度も破廉恥な行為に勤しんでいるようだし……。別に構いませんが、もう少し控えていただけますか」
「うっ、善処する……」
俺としてはその破廉恥な行為は魔力回復の意味合いがある上に、あのレベルの美少女に誘われたら断る理由も特にないということで、今後もそういう行為は定期的に起きるではあるだろうが、咲夜の圧力に負けて頷いておいた。
「用事っていうのはそれだけかしら。それなら私はまだ仕事がたくさんあるから」
「あ、いや、それ以外にも用事があってだな。戦闘訓練についてなんだが」
「戦闘訓練? ……そういえば、そんな話もしたわね」
自分からやると言っていたのにすっかり忘れていたらしい。まぁ、何日も経っていたからな。
「……でも、どうしましょうか」
「忙しいって言うなら別にいいぞ。他の相手をあたる」
「他の相手っていうのは?」
「フラン」
「訓練で死にそうね」
「言われんくてもわかってる。まぁ、あとは小悪魔にでも聞く」
とはいえ、小悪魔は寝たみたいなので暫く暇になってしまうが。
なにをして時間を潰そうか。また美鈴のところにでも行ってみるか。下手なことをしなければ襲ってこない……と思いたい。
「はぁ、仕方ないわね。門前まで待っていて。少しだけ付き合うわ」
「仕事たくさんあるんじゃなかったのか? 無理しなくていいぞ」
「大丈夫よ。その代わり、明日からはあなたにもちゃんと働いて貰うから」
げっ……、この前の食器磨きやら掃除やらでも十分大変だったのに、ちゃんと働くとなるとどれほど大変なのか。
やっぱ戦闘訓練はやめた方がいいかもしれない。そうだ。間違いない。
「いや、咲夜、やっぱり、訓練は……」
俺が話している間に咲夜の姿が消えた。仕事を終わらせに行ったのかもしれない。
……これ門前に行かなかったら殺されるだろうな。確実に。
ちなみに、重い足取りで門前まで向かうまでの間に迷った。
ここの屋敷は相変わらず広すぎる。今度は本当に壁でもぶち抜いて進んでやろうか。
「遅いわ」
門前に着いた時には既に咲夜は到着していた。
「道に迷ったんだよ。屋敷の中で迷えるとか広すぎるだろ」
「そろそろ覚えなさい。または壁を破るとか」
「……わかった。次からは壁を破る」
「もしやったらナイフの鯖にするけどね」
笑顔でナイフを持つのはいい加減やめて欲しい。毎回ヒヤヒヤさせられる。
咲夜の隣には美鈴。いつも寝ているというイメージしかないが、今日は起きていた。もしかしたら先程咲夜に起こされたのかもしれないが。
「それで、ライカさんと咲夜さんはどうしてここに?」
「ライカ……?」
「あれ? 聞いてなかったんですか? 彼の名前です」
あ、そういえば咲夜に名前のこと伝えてなかった。なんなら美鈴以外誰にも伝えてないぞ。まぁ、別にそれで問題なかったからいいんだが。
「貴方、記憶が戻ってきたの?」
「いや違う。フランに付けられた名前だよ。望月ライカ」
「……そう。フラン様が」
咲夜は意外そうな表情で目を瞬かせた。
俺も意外だ。まさか本当に名前をつけるとは思わなかった。ペット感覚なのだろうか。その可能性は十分あるな。
「それじゃあ、これからはライカって呼ばせて貰うわね」
「ああ。わかった。慣れてないからちゃんと反応出来ないかもしれないが」
「大丈夫よ。すぐに慣れるわ」
まるで経験してきたかのような言い草で咲夜は言うと、美鈴に向き直る。
「それで、ここに来た理由だったわね。ライカに戦闘訓練、弾幕勝負について教えるためよ」
「ライカさんに?」
咲夜の言葉に美鈴が何かを言いたげにこちらをチラリと見た。
俺を疑うような視線だ。
信用されていないな。まぁ、前科があるせいで仕方がない。しかし、ここで問いただすことは出来ないと判断したのか小さくため息を吐いて頷いた。
「それで私はどうすればいいんでしょう?」
「美鈴には私と弾幕勝負をして貰うわ」
「咲夜さんとですか? ライカさんとではなく?」
美鈴は困惑するように首を傾げた。
俺もなにをするのか聞いていなかったが、咲夜と美鈴の弾幕勝負を見るのが訓練なのか?
「彼はそもそも弾幕勝負というものがどういうものか知らないし、見たこともないわ。そんな相手に教えても効率が悪いでしょ? だから、とりあえず一度弾幕勝負を見せもらって理解して貰う。そういうわけだから、ライカ、今から見せる弾幕勝負で、どういうものか理解しなさい」
「なんて無茶苦茶な……」
「この程度の無茶を通さないようじゃ、お嬢様の従者なんて出来ないわ」
咲夜が言うとやけに説得力がある言葉だな。
説明を聞いた美鈴は頷くと、少し心配そうな顔になった。
「なるほど。わかりました。……けど、怪我は大丈夫なんですか?」
「問題ない……わけじゃないけど、貴女もでしょ?」
「あはは……、バレてましたか」
頭を掻いて誤魔化すように笑う美鈴。
咲夜の怪我は知っていたが美鈴も?
「美鈴も怪我してたのか?」
「はい。数日前に少し侵入者相手に不覚をとってしまって」
美鈴は露出が少ない服を着ているからどこを怪我をしたのかわからない。
てか、数日前って……もしかして俺と戦った時の美鈴って怪我していた状態だったのか?
そういえば調子の悪そうな表情を見せるところはあったが、そういう理由だったのか。
「怪我している状態で弾幕勝負って大丈夫なのか?」
「本気でやるわけでもないし大丈夫よ」
「ええ。問題ありません」
言いながら2人はふわりと浮かび上がった。
ちょ、急に浮かび上がったら2人ともスカートの中とかが……!
咲夜はスカートだし、美鈴は中華服だ。下から除けば中身が丸見えになってしまう。
そんなことを思ったら目の前に唐突にナイフが飛んできた。
「うおっ!」
首を動かして避ける。
しかし、頬を撫でていったナイフによって血が出てしまった。
避けなかったら完全に刺さってたぞ……!
「……なにをしているのかしら。早く飛んできなさい」
頭上から冷たい声が聞こえ、先程のナイフに文句を言おうと顔をあげようとしたら今度は目の前の地面にナイフが突き刺さった。
「女性のスカートの中を下から覗き込もうとするのはどうかと思うわよ?」
酷い誤解だ。そんなこと微塵も思ってない……なんてことはないが、そもそも俺は空を飛ぶ方法を知らない。
飛び上がれても、2人みたく飛んだ状態で維持できない。
「なぁ、空ってどうやって飛ぶんだ?」
「え?」
「は?」
頭を上に上げないようにしながら純粋な疑問をぶつけると、咲夜と美鈴から呆然とした声が聞こえた。
「……呆れた。飛び方も知らないで戦闘訓練がしたいって言ってきたのね」
言いながら2人は一度地面に降りてくる。
「普通は飛び方なんて知らないはずなんだがなぁ……。んで、どうやって飛ぶの?」
俺の質問に2人は微妙な顔をした。
「ねぇ、ライカって立ち方って知ってる?」
「もちろん知っているが」
「じゃあ、どうやってするのか説明できるかしら?」
「……つまり説明出来ないってことか」
こくんと頷かれる。
この幻想郷においてなのか、この2人にとってなのかは知らないが、空を飛ぶというのは当たり前にできることでやり方なんて説明は出来ないようだ。
「ライカさん、空を飛べなかったんですね。通りで前の手合わせの時に上空に逃げないなぁと」
「でも、不思議ね。魔弾は撃てるのに空は飛べないなんて。魔弾を撃てるってことは霊力の使い方は理解しているってことでしょ?」
「いや、魔弾は……うん、まぁ、なんとなくで撃てるだけなんだ」
魔弾とかを撃てるのは俺の能力によるところが多い。厳密に原理を理解できているわけでない。
だからこそ、出力は低い。きっと燃費だって他の奴らに比べたら悪いのだろう。
「不思議なものね。それで、そのなんとなくってどういう風に撃ってるの?」
「えっとだな、身体に巡る魔力を手に集約していくってイメージだな」
話しながら手に魔力を溜めると問題なく魔弾を生成できた。
そういえば、この前の藍戦では水中に大量の魔弾を生成出来たな。あの時は必死で、感覚に頼って行動していただけにもう一度の再現は出来そうにない。
「それじゃあ自分が空を飛ぶイメージをすれば飛べるんじゃないかしら?」
「空を飛ぶイメージって言ってもなぁ……」
羽があるわけでもないのに飛ぶって原理が全く理解出来ないのだ。
……いや、待てよ。羽があれば飛ぶイメージ自体は出来るというのだから。
「どうかしたの?」
「いや、少し試したいことがある」
背中に魔力を集中させる。
ぞわぞわとした感覚がしてきた。イメージするのは小悪魔の背中につく羽だ。
それを形取るように魔力を構成していく。
「……出来た」
「おお……」
「悪魔の羽、ね……」
驚いたような2人の視線は俺の背後に向かっている。首を回して見ると、ちゃんとイメージ通りに悪魔の羽のようなものが出来ていた。
けど、イメージでは黒い色だったのに、その羽の色は薄暗い赤色だ。やけに不気味な色だな……。
背中から直接生えているわけではなくイメージで具現化しただけの羽なため、服の背中部分を突き破ることもない。
動かしてみると、感覚通りに羽がパタパタと動く。
「これで……」
羽を動かして飛ぶイメージをしてみると、ちゃんと脚が浮いた。まだ慣れない感覚ではあるが、練習すれば大丈夫だろう。
しかし、なんでこのサイズの羽で身体を支えれるんだ。不思議でならない。
「さっきまで一切飛べなかったのに、こんなに簡単に浮けるようになるものなのね」
「天才型っていうタイプなんですかねぇ……」
いや、それは違う。
天才型でもなんでもない。ただ、これは小悪魔の魔力を使ってるから出来ていることだ。
卑猥な程度なんて不名誉な名前ではあるが便利な能力である。
「……ともかく、これでやっと訓練を始めれるな」
「そうね。予想外に少し遅くなったし早速始めましょうか」
「はい」
俺に続いて2人も浮かび上がり始めた。
ある程度の高さまで来たところで咲夜がナイフを取り出し、美鈴は構えを取る。
巻き込まれないようにと俺が少し離れたところで、2人が同時に動き出して弾幕勝負が開始された。
東方淫魔録その17
主人公の飛行能力について。
羽を具現化させ、それを使って飛ぶ。羽は小悪魔のものと形状は似ており、色は暗い赤。
現在は慣れてないため、そこまで自由には飛べない。
魔力切れを起こした場合、羽が消えるため落ちる。
また羽に被弾した場合、痛くはないがバランスが崩れる。その場合、魔力を使って羽の修復が必要。