東方淫魔伝 作:スイセン
朝焼けの眩しさにうっすらと瞼を開けると、緑がかった髪を持つ少女が俺のことを見つめていた。
「おはようございます。よく寝れました?」
「……おはよう、早苗。いつから見てたんだ?」
「30分ほど?」
そんなにマジマジと俺の寝顔見ていたのかよ。
「起きたなら、俺のことも起こしてくれよ……」
「よく寝ていましたし……、それに、
クスリと笑う彼女は愛おしそうに俺の頬に手を触れる。
それがくすぐったくて、恥ずかしいので、誤魔化すように言う。
「それじゃあ今度は早めに起きて、早苗の寝顔をじっくり見るよ」
「だ、ダメです。それは流石に恥ずかしいです!」
「別にいいだろ。それぐらい」
「好きな人とはいえ、見せられない顔もあります!」
少し顔を赤くした早苗は必死に抗議してくる。
そんな様子が可愛らしくて、何より朝からこんなくだらない幸せな会話が出来ていることに、ついつい頬が綻ぶ。
それを見て、早苗は揶揄われたと思ったのか頬を膨らませると、ぎゅっと抱きついてきた。
頭を胸板に当てて、ぐりぐりと押し付けてくる。
「痛い痛い……」
「ふーんだ、意地悪な悠希さんの言うことなんて聞こえませーん」
そんなことを言う早苗からは怒った様子なんてものは一切ない。
それどころか、どこか嬉しそうで、甘えてきてるようにしか見えなかった。
なので、こちらからも早苗のことを抱き締めてやるように手を回して、優しく撫でてやる。
「……今更、優しくしても許しませんから」
わざとらしい台詞についつい苦笑してしまう。
「じゃあ、何したら許してくれる?」
「……好きって言ってください。悠希さん、あまり言ってくれないから……」
「そうか? それぐらい別にいいけど。好きだぞ」
「もっと真剣に」
真剣にって……。
お気に召さない様子で抱きつく力を強める早苗。
「……好きだぞ」
ちょっと恥ずかしくなって、声が小さくなった。
「……もう一回。大きな声で」
……我儘なお姫様なことで。
恥など捨ててはっきりと口にする。
「好きだよ、早苗」
俺の声だけが室内に響いた。静まり返った室内。
早苗の反応を伺う。
「えへ、えへへ……」
「……おーい。だらしない声、漏れてるぞ」
なんだそのあざと可愛い声。どこでそんなの覚えた。
めちゃくちゃ顔を嬉しそうに綻ばせる早苗は、満足したように俺から離れて起き上がる。
「朝食の準備をしないとですね。悠希さんはもう少し寝ますか?」
乱れた寝装束を整え直した早苗がこちらを振り向いて尋ねた。
「いや、起きるよ。ところで、……早苗からは言ってくれないのか?」
「……いつも言ってるじゃないですか」
「ほら、何度も聞きたいだろ」
さっきのやり返しと、本当に言って欲しい気持ち半々ぐらいで言ってみる。
「う〜……、改めて言うと少し恥ずかしいんですが……」
「俺は今それを乗り越えたんだよ」
早苗は少し頬を赤く染めて、少し悩むようにしてから、俺と視線を合わせるように屈み込んだ。
そのまま再び抱きついてくる。
「顔を見ながらだと、恥ずかしくて、ちゃんと言えなさそうなので……」
そっと口元を耳に近づけて囁く。その声は緊張でか少しうわずっている。
「その……、大好きです」
吐息と一緒に、甘く蕩けるような声で早苗は愛の言葉を口にした。
それから、ばっと離れて、逃げるようにして部屋から出ていった。いや、あれは実際逃げたな。抱きしめて逃げれないようにしておけば良かった。
「朝からお熱いわねぇ」
1人になった筈の部屋で無遠慮な声がかけられる。
「……見るなよ。趣味が悪いぞ」
「見ているだけでお湯が沸かせそうだったわ」
声の出どころに視線を向けると、そこには大きく開かれたスキマに八雲紫。
どこにでも居て、どこにも居ない妖怪。
「んで、何のよう……なんて野暮なことは聞かないけどよ」
「ええ。定期検診よ。異常はない?」
「あるように見えるか?」
「頭は異常かしら?」
「お花畑って言いたそうだな。……定期検診なんているのか? どうせいつも監視してるんだろ」
「ええ。それはもちろん」
扇子で口元を隠しつつ微笑む紫。
「貴方の中の呪いは確実に進行しているわ。手遅れになる直前には手を打たないと」
「……悪いな。嫌な役目を」
「妖怪が人間を襲うだけの単純な話ですわ」
話は終わりと紫は扇子を閉じた。
「……あの子にはまだ伝えてないんでしょう?」
「伝えられるわけないだろ」
「そこが貴方の弱さねぇ……」
少し憐れむように見てから紫はスキマの中へと消える。
ちょっとばかし文句を言いたいが、スキマを開くなんて芸当を出来ないのが悔やまれる。凄い便利そうな能力なのに……。
「……俺も行くか」
本当に1人だけになった部屋でやっと俺は立ち上がって動き出した。
***********
着替えたり、顔を洗ったりと色々とのんびり準備してから、部屋に着いた時には既に守矢神社の2神、八坂神奈子と、洩矢諏訪子は机を囲むようにして座っていた。
「やぁ、悠希、おはよ〜」
「おはよう、悠希」
「ああ、おはよう」
俺もそこに加わるように座る。
そこで諏訪子が嫌な笑みを浮かべてきた。
「さっきさぁ、早苗が凄い顔を真っ赤にして廊下を駆け抜けていったんだけど……、何をしたの?」
「それを喋ったら怒られるのは俺だから絶対に言わない」
早苗が怒るとめっちゃ怖いのだ。具体的に言うと、手が出るあたり。
話し合いで解決という穏便な道を選ばないものなのだろうか。
「そんなこと言わないでさぁー。夜の営みには目を瞑ってるんだからいいでしょう?」
「聞き耳立ててたことある奴が言うと説得力が違うわね」
「……うるさいなぁ。神奈子だって、覗こうとしてたじゃん」
「お前ら2人して何やってるんだよ……」
「「早苗が心配だったから」」
「……はいはい」
それ言ったら許されると思ってるだろ。
俺はどうでもいいけど、早苗は許さんと思うぞ。……いや、どうかな。早苗、この2神には甘いところあるし。
苦笑いを浮かべつつ、湯呑みにお茶を注いで飲む。
俺のそんな態度に口を割らないと判断したのか、諏訪子は違う切り口から攻めてきた。
「それじゃあさ、子作りは順調なの?」
「ぶっ……! ばっ、朝から下世話すぎるだろ!」
「そうでもないさ。ねぇ?」
「そうね。私としても気になるところね」
興味津々といった様子でこちらに視線を送る神奈子と諏訪子。
「お前らには関係ない……わけじゃないのがなぁ……」
「そういうこと」
早苗はこの神社の巫女であり風祝だ。
そんな彼女とそういう関係であるということは、この2人にとってはものすごく重要であり、こうやって定期的に下世話な質問責めに合う。
何度もされてるわけだが、未だに慣れない。てか、朝イチからするなよ。夜にすれば良いわけでもないけども。
「それでどうなの? 昨日もしていたんでしょう?」
「だから、聞き耳を立てるなと」
「早苗の声、聞こえてくるのよ」
「……あー、それはまぁ」
昨日は結構激しかったからなぁ……。
少しの恥ずかしさを誤魔化すようにお茶を啜る。
「避妊なんてどうせしてないんでしょ」
「そもそも、幻想郷に避難具ないだろ」
「え、あるよ?」
「あるわよ」
「……知らなかった。てか、早苗も無いって……」
「へぇ……、それはそれは……」
「ふーん。あの子が……」
あ、不味い。面白いネタが落ちてきたとばかりに2人の笑みが深まる。
そして、タイミング悪く早苗が朝食を持ってやって来てしまった。
「……どうしたんですか? 私を見て」
俺からは申し訳なさそうな顔、神奈子からは良くやったと言わんばかりの顔、諏訪子からは面白そうにみる顔を向けられて困惑した様子の早苗。
訝しみながら早苗は朝食をテーブルの上に並べていく。
白米に、卵焼き、冷奴、昨日の残りの山菜の味噌汁と、簡単ながらも十分すぎる朝ごはん。
それらを並べる早苗に、諏訪子が爆弾を放り投げた。
「……避妊具ないって言ったんだって?」
「……え」
ピシリと石像のように固まる早苗。
この後の展開が想像ついて早苗が持つ味噌汁などを早めに受け取っておく。
数秒の間を置いて、早苗が顔を真っ赤に染めた。
「な、な、ななんの話ですか?」
あまりにも動揺していて可愛い。
にやにやとした笑みを浮かべる2人の意図を察したのか、早苗がこちらを睨みつけてくる。
……やっぱり悪者は俺なのね。
「……悠希さんは卵焼き抜きです」
拗ねたように俺から卵焼きを取り上げる。酷い。
取り上げられた卵焼きは諏訪子と神奈子の物となった。
「いやぁ、悪いねぇ、悠希」
「悠希、ありがとうね」
何一つ感謝してなさそうな2人の笑顔が腹立つ。
「……俺が悪いのか、これ」
ちょっと文句を言ってみたら、全員がこくんと頷いた。
「口は災いのもとってね」
ぺろっと細長い舌を見せる諏訪子が茶目っ気たっぷりにウィンクする。
あまりにも納得がいかなさい朝の一幕だった。
***********
朝の件のせいで機嫌を損ねてしまった早苗の手伝いをするということで手打ちがされ、卵焼きの切れ端2つだけ貰えた。早苗と神奈子から一つずつ。諏訪子はくれなかった。……覚えてろ。
手伝いと言っても大したことなく、境内の掃き掃除、そして夕飯の食材の買い出しなどを行うために人里まで一緒に行くことだ。
掃き掃除は終わり、少し日が沈み始めた頃ぐらいに人里まで飛んで買い物に行く。
俺は飛ぶのが遅いというのもあって、早苗に手を繋いでもらって、空を飛び、妖怪の山の上を越えていく。
ロープウェイなんかもあるが、流石に飛んだ方が早いからな。
下を見ると、少し色づき始めた木々たちがもう少しで秋が訪れることを教えてくれていた。
また静葉が頑張って葉っぱを塗っていることだろう。今度差し入れでも持って行ってもいいかもしれない。
人里につけば、買い物……ではなく、早苗が信仰を集めるために演説を始めた。こういう地道な営業活動が重要だそうで、俺はそれを端で聞いている。
外の世界で聞いたら危ない奴がいるって思ってたかも知れないなぁ……。
いや、早苗の容姿だったら、男いっぱい釣れるだろうけど。実際、人里でも早苗目当てのやつ何人かいるし。
俺と早苗の関係は大っぴらにはしてないが、そこまで大きくない人里だ。大抵の人はその関係を知ってしまっていた。それでもなお、早苗目的の人がいるのだから凄い人気だ。
それはきっと容姿もさることながら、この強者揃いの幻想郷で妖怪退治も担っているというのもあるのだろうが。
早苗の演説が終わり、聴衆の相談を受けたりや、ちやほやされたりするのを眺める。
「早苗が自分に構ってくれなくて悲しいな」
「……おい、勝手に人の心の声を読んで、ナレーションするなよ。しかも、微妙に似てるのが腹立つ」
てか、んなこと思ってねぇよ。そんな独占欲高くねぇわ。
振り向くと、優雅な笑みを浮かべる人里に相応しくない格好をした瀟洒なメイド、十六夜咲夜。
「奇遇ですね。こんなところで」
「そうだな。互いに人里に住んでるわけでもないからな」
咲夜は籠を持っていて、なにかを買いに来たのが察せられた。
「買い出しか?」
「ええ。小悪魔に行かせようとしたら逃げようとして……」
「咲夜から逃げるなんてやるな」
「いいえ。逃してませんよ。少しやり過ぎて動けなくなってしまったので、仕方がなく私が」
「……そ、そうか」
可哀想に。きっとナイフの錆にでもなったのだろう。
少し引きながら相槌を打つ。
「貴方こそ珍しいですね。人里にはあまり顔を見せないのに」
「早苗の付き添いだよ。朝怒らせたからその埋め合わせ」
「ふふ、また口でも滑らせました?」
「滑らされただな。俺から滑らせたことはない」
軽く訂正してやると咲夜はクスクスと笑う。
それから、周りに聞こえないようにこそりと耳打ちしてきた。
「……前に紅魔館に来てからもうすぐで2週間ですね」
「ああ。……そろそろまた行くよ。その時は頼む」
「貴方の血は美味しいらしいのでお嬢様方も喜びますわ。今度は是非腕肉なども……」
「血と違って腕は失ったら生えてこないんだからやめてくれ」
「それは残念」
俺は定期的に紅魔館に通って血の提供を行なっている。帰りは軽い貧血だが、貰っている対価からすればあまりにも好待遇がすぎるぐらいだ。
「いつも悪いな」
「構いませんわ。お嬢様も貴方のことは良き客人として扱っておりますから」
良き客人、ね……。
その程度の相手にレミリアと咲夜はあそこまで許容してくれるのだろうか。
「……前から思っていたけど、なんでレミリアって俺のことあんなに良くしてくれるんだ?」
「さぁ? お嬢様の考えは海よりも深いので私には分かりかねますわ。……ただ、貴方のことは大切に思っていらっしゃいますよ。まるで昔、家族だったかのように」
「そうか……。なら、今度、直接レミリアに聞くよ」
「ええ。それがよろしいかと」
コクリと頷いて微笑む咲夜。
顔立ちが整っている美人なだけにそれだけでものすごく絵になる。
「ところで、貴方と会えて丁度良かったです。おゆはんに新鮮な血液が欲しかったので。もちろん、対価はお支払いしますわ」
咲夜の言う対価は俺にとって必須なものでいくら有っても足りないぐらいだ。だから、あちら側から誘ってくれるというなら断る理由は特になかった。
ただ、早苗が……。
チラリと早苗を見ると、まだ暫くは聴衆に捕まってそうだった。
「……構わないが、ここでするつもりか?」
「そうですね……路地裏にでも行きましょうか」
咲夜の手を引かれるようにして人通りの少ない狭い路地裏に連れてこられる。
表通りからは見えないし、人が通りそうな気配もない。
「よくこんなところ知ってるな」
「色々と入り用なのなもので。それでは腕を……」
「腕でいいんだな?」
腕を捲って咲夜の前に突き出した。
場所によって血液の味が多少違うらしく、毎回オーダーされる部位は異なる。
「首の方がお嬢様の好みではありますが……、跡が残りますから」
「ああ……、そうだな。悪いな」
「いえ、では少し血をいただきますね」
咲夜はどこからか注射針を5本も持ち出した。
細く長い咲夜の指が俺の腕に触れ、注射針を丁寧に刺して、採血していく。
里の中とあっていつもより全然採血量は少ない。これなら貧血にもならずに済む筈だ。
きっちり5本分血を抜き取った咲夜。咲夜の能力を使った特殊な注射器なので、血は新鮮な状態で保存されているらしい。
「……では、対価をお支払いしますね」
咲夜はそう言うと、籠を地面に置いて両手を空ける。
次の瞬間、俺の背筋にゾクゾクとした快感が一気に駆け巡った。
「だから、これ、心臓に悪いって……!」
射精してしまいそうなほどの快感。
いつの間にか俺のズボンは下ろされて肉棒が露出させられていた。
今の快感のせいで一気に硬くさせられてしまっている。
「時間短縮です」
「せめて、一言言ってくれ……」
「ふふ、考えておきます」
悪戯っぽく笑う彼女の姿も整えられたメイド服から変わり、胸元を肌蹴させ、スカートをたくし上げていた。
スカートの中は何も身に付けていない。彼女の秘部が丸見えになっていて、そこからは愛液が太腿を伝っていた。
「……んっ、私も準備は万端ですから」
時間止めてこっちに刺激与えて勃起させるのと、自慰などを行なって挿入準備を整えきる。たしかに時間短縮ではあるが……。
ちょっと文句なんか言いたくなるが、こっちはやらせてもらっている立場なのであまり贅沢は言えない。
「じゃあ、挿れるぞ」
「はい。どうぞ」
咲夜を片足を高々と持ち上げると、自らの慰めで濡れそぼった蜜壺がぱっくりと開いて鮮烈な肉の色を曝け出した。
亀頭の先端をあてがって、侵入口を探し出す。
そして、ずぷぷっと咲夜の秘裂の中へと肉棒を挿入した。
濡れた膣肉の強い締め付けが肉棒を包み込んでくる。
「んっ、あっ、はぁ……あぁ」
こうして咲夜と身体を重ねるのは何回目だろうか。これが俺の血との対価。レミリアの許しを得て、咲夜も許してくれた上で成り立つ肉体関係。
早苗はもちろん知らない。守矢の2柱は知っているが、あまり快くは思ってないだろう。けれど、それでも仕方がないことと割り切って貰っている。
俺の体内に進行する呪い。それを少しでも遅くするには、自らの時の流れを遅くするしかない。
そのために咲夜の能力と魔力が必要不可欠だった。それを失えば、俺は一月と呪いに耐えられない。
咲夜の声が漏れないように口を唇で塞ぎながら腰を動かす。
「んっ、ふぅ……、れろ、るれろ、ちゅっ……んちゅ、んはぁっ……れろ」
咲夜もノッてきたのか自ら舌を絡ませ始めた。
暗い路地裏で絡み合う男女。
口づけをする音と卑猥な水音だけが響く。
「ちゅ、あっ……あぁっ、んんっ、ちゅぅ……れろ、れろれろ、ちゅっ……ちゅぷっ」
時折、咲夜の胸を揉みしだきながら、肉棒を何度も彼女の奥へと叩きつける。
「ああっ、きょ、今日は……ふぅ……んぁっ……随分と激しい、あっ、あっ、あっ……ですね……んあぁっ!」
「早苗を待たせてるかもしれないからな。あんまりのんびりも出来ないだろ」
もし早苗が聴衆から解放されて、俺が居ないことに気づき、こんな路地裏まで探しにでも来たら大変なことになってしまう。
俺の言葉に咲夜は小さく笑う。
「ふふっ、違いますよね。んっ、ふっ……、本当は……んぁっ……こんなところで、いけないことをしてるのに……あっ、はぁ、興奮……んんっ、してるんでしょ……?」
「……だから、人の心を勝手に読もうとするなって」
人目につきづらいとはいえ、絶対ではない場所。そして、近くに早苗がいるという背徳感。
それを見透かしたような咲夜の言葉に少し心臓を跳ねさせ、彼女の口を塞ぐようにもう一度深く口づけをする。
「んんっ、んふぅ、れろ……んちゅっ、ちゅぴ、ちゅぷ……んはぁっ!」
「そろそろ、出すぞ……!」
「は、はい。んはぁっ、あっ、お、お好きなように……んっ、ああっ!」
ピストンを少しずつ激しくしていく。膣内を掻き回され、跳ねる咲夜の身体。
強烈な締め付けが肉棒を襲ってきた。
「ぐっ、いくっ!」
「あっ、あはあああああっ……! わ、私も……いくうぅぅぅっ!」
互いに大きく身体を震わせ、襲ってくる強大な快感に飲み込まれる。
彼女の奥まで押し込まれた肉棒は、子宮の中へと大量に精液を吐き出した。
咲夜は光悦にも似た表情で絶頂の余韻に浸り、秘部から大量の愛液を噴き出した。
結合部が溢れ出した精液やら、愛液でびしょびしょに濡れる。
「あっ、はぁっ、あぁっ……、相変わらず、すごい……量……ですね……」
注がれた精液の感覚に咲夜は感嘆の声を漏らした。
肉棒を引き抜くと、どろりと精液が垂れて地面に落ちる。
「んっ、はぁ、はぁ……、妊娠しちゃいますね……。責任は取ってくださいね」
「……避妊薬持ってるだろ」
「あら、そんなこと言って責任から逃げるおつもりですか?」
罰が悪そうな顔をする俺を咲夜は揶揄うように楽しそうに笑う。
「冗談ですよ。帰ったら避妊薬を飲んでおきますね」
「……本当に悪いな」
妊娠させる気にしか思えない大量の中出しだが、実際に咲夜が妊娠してしまえば、行為は出来なくなるので呪いを堰き止める手段が無くなってしまう。
そうなれば終わりなので、彼女には行為をしてもらいながら、避妊薬だけは飲んでもらわなければならない。
あまりにも最低な行為だと理解している。だから早苗には伝えることが出来ないし、咲夜には頭が上がらない。
そんな俺の考えを読んだかのように、咲夜はそっと耳打ちしてきた。
「もし呪いが解けたら、今度は本当に子作りでもしますか?」
「なっ……」
彼女からの誘いに俺は随分と面白い顔をしていたのだろう。彼女はクスクスと笑って、妖艶に微笑む。
「考えておいてくださいね?」
答えに窮していると、咲夜の姿がぱっと変わり、乱れたメイド服からいつものしっかりと着こなされたものへとなった。
「では、私はこれで。紅魔館へはいつでも来てくださいね。お嬢様も歓迎しますよ」
最後ににっこりと花が咲いたような笑顔を向けて、彼女は消えた。きっと路地裏から表通りに移動でもしたのだろう。
俺も早く移動しなくてはと思いつつ、彼女の言葉は一体どこまで本気なのだろうかと頭を悩ませるのだった。
ちなみに、戻った時には早苗は既に聴衆から解放された後であり、居なくなった俺を探していたようでまた不機嫌になってしまった。
「悪かったよ」
「……本当に悪かったって思ってます?」
「思ってる思ってる」
ジトッとした視線を向ける早苗にコクコクと頷くが、首を捻られた。
「悠希さん、こういう時は信用ないのよねぇ……」
彼女に全然信用されていなくて悲しい。今までの積み重ねの何が悪かったのか……。
「いや、本当に悪かったと思ってるよ。お詫びに団子を奢るよ」
「……前もそう言ってお団子を奢りませんでした?」
「……そうだったか? いいだろ、美味しいんだし」
冷や汗混じりに答えるが、早苗からの視線はどんどん湿度高めになってしまう。
そういえば前も団子を奢った記憶がなくもない。とはいえ、俺は働いているわけでもないので、そんな高いお酒とかは買えないのだから許して欲しい。持っているお金だって、文の取材に協力した謝礼として貰ったものでしかないのだ。
「……甘いもの奢れば、私の機嫌を取れると思ってません?」
「お、思ってないぞ?」
声は上擦り、視線を彷徨わせる。めちゃくちゃ動揺が出てしまった。
でも、実際早苗は甘いもの好きじゃん。団子で大体機嫌直るだろ。
今日は朝の件もあったせいで、虫の居所が悪いらしく、お団子では許してくれないそうだが。
「……なら、鯨呑亭とかどうだ?」
甘いものがダメならと違う案を出してみる。金銭的には痛いが、これで早苗の機嫌が直るなら安い。
「……別に怒ってませんからいいですよ」
そういうこと言う奴は怒ってるんだよなぁ。これ言ったら更に不機嫌になるのが目に見えてるので口にはしないが。
「それより早く買い物して帰りましょう」
ふんっとそっぽ向いてしまった早苗は足早に歩き出す。
慌ててその背中を追いながら、夜中には機嫌が直ればいいなんて淡い期待を抱くのだった。
***********
「……機嫌、直らなかった」
「ぷっ、あはははっ! それで私たちのところに相談しに来たの?」
爆笑している諏訪子に恨みがましい視線を向けておく。
まさか早苗の怒りがここまで持続するとは……。
どうして良いか困り果て、早苗がお風呂に入っている隙に2神に相談して、事のあらましを相談したらこの反応だ。
「道理で、晩御飯の時も悠希のご飯だけ品数が少なかったわけか、ぷっ、くくっ……」
神奈子も笑いを堪えられないようで、少し肩を揺らしている。
「……それでどうすればいいと思う?」
ちょっと不貞腐れながら問い直すと、笑っていた諏訪子が答えた。
「早苗のことだから、数日もすれば忘れると思うけどねー」
「それならいいんだが……、こんなに怒りが持続していたことも無かったから……」
大体、1時間後ぐらいには笑って許してくれることが多い早苗がここまで怒りを持続させるなんて初めての体験だ。
「もし気にするのなら、早苗をどこかに連れて行ってあげたらいいんじゃないかしら?」
「そうだね。悠希からそういうの誘うことってあまりないだろうし、いいんじゃないかな」
「……どこかってどこに?」
「それぐらい自分で考えなよ」
こうやって相談に乗ってくれる時点で優しい神様達ではあるのだが、重要な部分で優しくない。
どこかに連れて行くにしても幻想郷で早苗とお出かけ、もといデートするとしておすすめのスポットでどこだ……?
太陽の畑はデートスポットとしては定番になりそうな選択肢だが、実際には幽香やメディスンがいるという点で危険度が高い。幻想郷ってそんなとこばかりだ。
なにより、早苗ってお花とか、綺麗な景色とかよりも、メカメカしい物の方が好きだし、アグレッシブな感じの子なので、妖怪退治に誘った方が喜びそうである。
頭を捻って必死に考えている姿を神奈子と諏訪子が妙に生温かい目で見るから、逆に集中できない。
「……そういえば、人里で、何か祭りがあるって話を聞いたな」
思い返した内容を口にしたら、2人は微妙そうな顔をした。
「どうかしたのか?」
「うーん。その祭りはどうだろうねぇ……」
「悪くはないけど……」
言葉を濁す。
何かあるのか……?
「まぁ、悠希が良いならいいんじゃないかな」
「そうね。後は悠希次第ね」
「……なんか不穏なんだが」
どういうことなのか尋ねようとしたら、ちょうど早苗が戻ってきてしまった。
「上がりましたー。いいお湯でしたー!」
風呂上がりの早苗は、少し湯気が上り、蒸気した頬、寝る前ともあって薄着なのもあって、いつもより艶やかさを醸し出している。
お風呂ですっきりしたせいか、先程よりかは機嫌は良さそうだ。俺と目を合わせてくれないけど……。
2人に目配せをしたら、こくりと頷かれた。
「なぁ、早苗」
「……なんですか?」
少しトーンが落ちた。反応もちょっと遅い。やっぱりまだちょっと不機嫌なようだ。
「えっと、その、なんだ。今度、一緒にデートしないか?」
「……え?」
俺からかけられた言葉が想定外だったのか早苗は固まる。それから、少し顔を赤くした。
「きゅ、急にどうしたんですかっ!?」
「いや、ほら、早苗はいつも布教とか頑張ってるだろ。だから、そういうの無しに2人で出掛けられたらと……」
それらしい理由をつけて早苗の反応を伺う。
彼女は俺の突然の申し出に困惑したようで、神奈子たちに視線を向けた。
「いいんじゃない。偶には行っておいで」
「そうね。1日くらい構わないわ」
優しく後押ししてくれる神様達に感謝しつつ、早苗の回答を待つ。
「じゃ、じゃあ、お願いします……」
ペコリと頭を下げられた。
少し緊張した様子の早苗。かくいう俺も誘うだけだというのにめちゃくちゃ緊張した。普段しないことをやるとこんなにも緊張するのか……。
「それで、どこに行くんですか?」
「近々、祭りがあるって聞いたから、それにでも行かないか?」
すると、早苗はきょとんとした後にちょっと微妙そうな顔になって言った。
「それって、博麗神社で行われる祭りのことですか……?」
……同業他社の祭りでしたかー。教えて欲しかった。
やっぱり優しいようで優しくない神様2人を恨みつつ、誤魔化しの笑みを浮かべるしかないのだった。
次回は糖分高め、甘々の早苗との祭りデート回で行きます。前後編で終わりにしたい。