※この作品はR-18です。

東方淫魔伝   作:スイセン

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[第70話]そして、時は動き出す

 真っ暗な部屋の中で、ため息を吐く。

 この『〇〇しないと出られない部屋』に閉じ込められて、もう1週間。

 最初の頃はアリスの機嫌が著しく悪くなるといった事件が起きたものの、アリスと咲夜はなんやかんやこの状況に順応したようで、俺の隣でスヤスヤと寝息を立てている。

 

 そう。俺の隣でだ。

 右を見れば、アリス。左を見れば、咲夜。

 安らかな寝顔を見せてくれていた。

 

 やはりこの布団一枚で3人が寝るのは無理がある。

 この部屋にあった布団などの寝具は一式だけ。

 少し大きめなサイズが用意されていたとはいえ、3人で寝るにはどうしても狭い。

 ほぼゼロ距離で2人の美少女が寝ている。

 しかも、寝巻きという名のワイシャツと下着だけの姿で。

 

 あのスキマ妖怪は何を考えてるんだ。なんでこんなの用意してるんだよ。彼シャツみたいな格好を2人にさせて。

 しかも、こんな狭い状況で3人一緒に寝るとか精神衛生上とても良くない。

 気を抜いたらすぐに手を出しかねないし、このムラムラも、2人が隣にいるせいで自分で発散も出来ない。

 

 生殺し状態だ。

 そろそろ手を出してもいいんじゃないかと、悪魔の自分が囁く。

 しかし、初日のアリスの機嫌の悪さを思い出したらなかなかそんなことは出来ない。あれは宥めるのが大変だった……。

 

 こんな状態で満足に寝れるわけがない。

 ただでさえ、普段はあまり寝れないのに。

 白玉楼にいた頃は、酷い不眠症の時期もあったが、最近は疲れや気絶による睡眠のおかげで不眠気味ではなくなっていた。

 だというのに、これではまた不眠症に逆戻りだ。

 頭を抱えたくなる。

 せめて、この部屋から出られれば……。

 

「眠れないの?」

 

 小さな、ギリギリ聞き取れるような声が左側から聞こえた。

 咲夜がその綺麗な瞳を開けて、俺を見ている。

 

「悪い。起こしたか?」

「いいえ。普段は夜にあまり寝ないから」

「吸血鬼は夜型だからか」

「ええ。お嬢様はとても健康的な生活を送られているもの」

 

 秘密の会話でもするように、咲夜と小声で言葉を交わす。

 

「それで、眠れないの?」

「……まあ、少しな。2人と違って日中何もしてないから疲れてないってのもあるんだろうけど」

 

 アリスはこの部屋から出るために結界の解読を、咲夜は家事をと、俺を除いた役割分担が成立している。やだ、俺ってばすごく要らない子! 

 

「子守唄でも歌いましょうか?」

「そんな歳じゃないって」

「500歳までは許されると思うけど」

 

 咲夜の手が伸びて、俺の頬に触れた。

 くすぐったい感触に顔を顰めてしまうと、彼女はクスリと笑った。

 

「顔に出やすいのね」

「……とっとと寝るぞ。アリスも寝てるんだし」

 

 寝れないからこうやって話してるのに、逃げるように咲夜に背を向けた。

 その背中に温かい感触がぴったりとくっついた。

 

「咲夜?」

「この部屋、出られると思う?」

「出られなかったら困るだろ。そのために、アリスが結界を解読してるわけだし」

「上手くいってなさそうだけどね」

 

 アリス曰く、毎日、結界が少しずつ書き変わっているらしい。

 こんな面倒なことをして閉じ込めておきたいなんて、紫はなにがしたいのかと憤慨していた。

 

「それでも、待つしかないだろ」

 

 それ以外にもう方法はない。

 2日目までに、試せることは試した。

 壁の破壊、◯◯に当てはまりそうなこと、色んなことを試した上で未だに出られていない。

 あとは、アリスの結界の解除を待つしかない。

 

「この待っている間に紅魔館はどれだけ荒れるのかしら」

 

 咲夜の手が伸びて、俺の胸板に触れる。

 なんで、そんなに密着してくるんだよ。

 トクン、トクン、トクンと、少し早い周期で刻むこの音は俺か彼女か。

 

「まだ、試してないことあるわよね」

「そんなのあったか?」

「ええ。すごく単純で、すごく簡単なこと」

 

 彼女の脚が絡みつく。

 

「この部屋に連れてこられたのは、貴方の能力を調整する目的ってあの妖怪は言ってたわよね」

「ああ、そうだったな」

「そして、今、貴方の能力が周りに及ぼす影響を抑えてるのは私の能力よ」

「……なにが言いたいんだよ」

 

 静寂の中で咲夜がゆっくりと言葉を紡ぐ。

 

「初日の続き、しましょ?」

 

 胸板の手がゆっくりと下腹部に向かおうとする。

 その手首を掴んで止めた。

 

「……アリスが横で寝てるんだぞ」

「アリスが近くにいなければいいの?」

「そういうことじゃないだろ」

 

 どうにも咲夜には流されやすい。こらそこ、普段から流されやすいとか言わない。

 ともかく、アリスが寝ている隣でなんてあり得ない。

 

「……そんなに嫌?」

 

 少しだけ沈み込んだ声で尋ねられる。

 嫌……なわけがない。こんな美少女に誘われて、喜べない方がどうかしてる。

 けど……、

 

「わからないんだよ。なんでなのか」

 

 ずっとわからないままだ。

 俺が白玉楼に行くまでは、こんな素振りは一切見せていなかった。

 それが、紅魔館に戻ってきたらこれだ。いや、正確に言えば、俺と咲夜の体が離れなくなってから、彼女の態度は変わった。

 だとすれば、彼女のこの態度はあの薬の影響なんじゃないか。惚れ薬のような。

 

「また、なんでって……、そんなに理由が欲しい?」

 

 欲しいのは理由なのか、それとも安心なのか。

 彼女の想いが薬で作られた紛い物であるという可能性を俺は恐れているのかもしれない。

 

「そうね。じゃあ、クリスマスの話でもする?」

「クリスマス……? なんのことだよ」

 

 ぽつりぽつりと咲夜は語り出す。

 紅魔館のクリスマス、フランの部屋でのパーティー、王様ゲーム、そして、その顛末。

 

 咲夜の頭がおかしくなったんじゃないかと思うような話。俺にはどれも身に覚えがない。それにクリスマスなんてまだ先だ。

 起きていないイベントをなぜ、こんな思い出でも語るかのように彼女は話すのだろうか。

 

「咲夜、なにを言って……」

 

 混乱、困惑、震えた声で尋ねると、咲夜は俺の背中に頭を擦り付けて、最後に呟いた。

 

「一緒にいるって約束、忘れないからね。

 

 今、誰の名前を呼んだ……? 

 バグでも発生したかのように名前の部分だけがノイズがかかって届いた。

 ああ、ダメだ。頭が痛い。

 喉が詰まったように、呼吸が出来ない。心臓の鼓動が早くて、口には血の味が広がった。

 痛い、辛い、苦しい。

 

「さく、や……」

 

 助けを求めたのか、それとも、胸の奥から溢れ出してきたドス黒い感情に支配されたのか。

 いや、結局は流されたのだろう。彼女の誘いに。

 布団を払って、咲夜を見下ろすように馬乗りになった。

 

「やっと、見てくれたのね。んっ」

 

 痛みから逃れるために、快楽を求めて咲夜に口づけをする。

 随分と強引な接吻だが、彼女は抵抗することなく受け入れてくれた。

 舌先を彼女の唇に軽く押し当てると、それに答えるように彼女も小さく唇を開いた。

 

「あっ、んっ……ちゅ、る、れろ……」

 

 濡れた舌を絡め合う。

 前に甘味処でしたキスは味わうような深さだったが、今回は貪るような荒さがあった。

 まだ頭は痛い。それどころかさっきよりも酷くなっているようだった。

 

「咲夜、もっと……」

 

 熱にうなされる患者のように、朦朧した意識の中で、咲夜の身体を求める。

 

「ええ。貴方ならいいわ」

 

 優しく慈愛の笑みを浮かべる咲夜。彼女の着ているワイシャツに手をかけた。

 無理矢理に引き剥がしたせいで、ボタンが弾け飛ぶ。

 ワイシャツ越しにチラチラと見えてはいたが、咲夜は赤い下着を身につけていた。

 前はドロワーズだったが、今回は普通のよく見るタイプの下着だ。

 

「こちらの方が好みでしょ?」

 

 心を見透かしたような咲夜の言葉には答えずに、彼女のブラジャーをズラす。

 綺麗な肌に桜色の突起。

 心臓が締め付けられた。

 我慢できない。

 

 自分のズボンに手をかけると、肉棒を露出させる。

 彼女のショーツをずらして、硬くなった肉棒を秘所に押し当てると、躊躇いなく一気に腰を沈めた。

 

「っう……!」

 

 咲夜が顔を歪める。

 愛撫が足りておらず、十分に濡れていなかったことに加え、突き刺す時に感じた何か薄い膜を破る感触。

 彼女はこれが初めてなのだから当たり前といえば当たり前。

 

 胸の中で謎の高揚感を覚えてしまう。

 彼女の胸を鷲掴みにしながら、抽送を開始する。

 

「うっ、んっ……、くぅ……」

 

 乱暴な腰振り。

 ただ自分の快楽を求めるための最低な行為。

 咲夜が気持ちいいわけもない。下の唇を噛んで、痛みを堪えてるようだ。

 

 正常位で必死に彼女に腰を叩きつける。

 ストレスでも解消するための、八つ当たりのように自分の欲望を彼女にぶつけた。

 

 濡れていない膣内は滑りが悪い。そのせいで気持ちよさも半減している。

 無造作に彼女の胸を揉みしだいた。

 

「っ、いた……、んっ……、くっ……」

 

 オナホ、まるで性処理をするためだけの道具だ。

 彼女の気持ちよさなんて一切無視して、腰を思いきり引くと、勢いよく膣奥に叩きつけた。

 肉と肉のぶつかる音が響いて、充血した剛直が震えた。

 

「ひぐっ……!」

 

 その衝撃に咲夜は目を見開いて、汚い声をあげる。

 きゅっと膣が締まった気がした。

 それに答えるように、真っ白い欲望を彼女の奥へと吐き出す。

 

「うぁっ……、なかに……」

 

 咲夜が身体を小さく震わせる。

 絶対に孕ませると言わんばかりの量が注ぎ込まれた。

 そのまま抜かず、刷り込むように、腰を擦り付ける。

 

「あっ、はぁ……」

 

 彼女は吐息を漏らす。

 肉棒を引き抜くと、赤い血の混じった精液が膣口からゆっくりと垂れた。

 淫美な光景に、溢れ出した欲望は未だ治ることなく、下腹部で疼いている。

 

「まだ……足りない」

 

 彼女の組み敷きながら、もう一度肉棒を押し当てた。

 

「っ……」

 

 咲夜は何も言わない。

 じっと俺を見るだけだ。

 腰を沈めると精液のおかげで、先程よりもスムーズに挿入が出来た。

 そして、俺は再び抽送を開始した。

 

 

 

 

 何度目かの射精を終えたところで、俺は自分のしでかしたことに気がついた。

 目の前にはぐちょぐちょに犯された咲夜。

 膣内から精液が溢れているのはもちろんのこと、胸や顔にまで精液が飛んでいて凄いことになっている。

 

「はぁ……、はぁ……」

 

 そんな状況で咲夜は腕で顔を隠しながら、荒い息を吐いて、ぐったりとしていた。

 な、何をやってるんだ俺は……! 

 初日は流されるように嫌がっていたアリスに中出しをして、今は乱暴に咲夜を犯した。

 

 記憶ははっきりとある。無理矢理に何度も中出しをして、道具を扱うように自分の性欲をぶつけた。

 咲夜が気持ちよさそうにしていたところなんてない。

 常に何かに耐えるようにしていた。

 

「さ、咲夜、俺は……」

 

 最低で、最悪だ。

 彼女になんて言うべきだろうかと手を伸ばそうとしたところで、横から手が伸びて、俺を止めた。

 

「待ちなさい」

「アリス……?」

 

 いつの間に起きてたのか、アリスは呆れているのか怒っているのか、それとも悲しんでいるのか分からない表情を俺に向けてきた。

 

「やっと気づいてくれた? ずっと呼んでたのよ」

「え? あ、そうだったのか……」

 

 全く気づいてなかった。

 先程まで視界の中には咲夜しか映ってなかった。

 

「全くこんなにして……、ドロドロじゃない。匂いもすごいし」

 

 なんて言うべきなのか。謝るべきか。

 言葉に詰まった一瞬に、アリスの瞳が浴場に向いた。

 

「とりあえず、お風呂入ってきて。咲夜は私がなんとかするから」

「けど」

「いいから。早く行って」

 

 拒絶に近い声色。

 それ以上は何も言えずに、ゆっくりと立ち上がると浴場に向かう。

 脚は重くて、胸は圧迫されるようで空気が薄い。

 

 ふらふらと浴場の扉を開けて、冷えた水を身体に勢いよくかけた。

 戻ったら彼女たちになんて言おう。

 言葉は思いつかない。

 ポタポタと髪から水滴が垂れる。

 押しつぶされそうな罪悪感。耳元で女性の声がした気がする。

 

「さなえ、俺は……」

 

 呟いた言葉の意味は自分にもわからなかった。

 床に水が溜まっている。その世界の端が少しずつひび割れていった。

 

 

 

 ☆ * ☆ *

 

 彼の沈み込みそうな背中を見送って、私は咲夜に向き直った。

 

「それで、どういうつもりだったわけ?」

 

 身体を精液でドロドロにした彼女は、大きく息を吐いて身体を起こした。

 

「アリス、怒ってる?」

「ん、どうかしらね」

 

 私は怒ってるのだろうか。

 だって、彼と私は恋人というわけでもないし、彼が誰と身体を重ねても、それは彼の自由なわけで。

 けど、そういう現場を目撃すれば、どうしたってモヤモヤしてしまう。

 

 この感情はつまるところ、独占欲に近いのかもしれない。

 なんというか、ペットを取られたような。私のものを勝手に取られたような気がする。

 って、今はそんなことを考えたいわけじゃないんだった。

 

「怒ってるというより呆れてるのよ。まさか、寝ている横でそんなことするなんて」

「ふふ、無防備だったから」

 

 クスリと咲夜は笑うと、自らの身体に付いた精液を指で拭った。

 

「私もお風呂入ろうかしら」

「後にしておきなさい。また、やらかすでしょ」

 

 今は彼が入っているんだから。

 

「あら、私が何かしましたか?」

「……やらかしたのはあっちの方だったかもしれないけど、あんたも充分やってたでしょ」

 

 水音に目を覚ませば、虚な瞳をした咲夜と、そこに覆い被さるなにか。

 一瞬、寝ぼけているんじゃないかと思ってしまった。

 だって、それはまるで化け物のようで。

 瞼を擦って見れば、獣のような形相で咲夜を犯す彼がいた。

 

「それで、答えはまだ返してもらってないけど」

 

 咎めるような目つきを向ける。

 私の最初の質問、どういうつもりだったのかという明確な答えを貰ってない。

 

「それはもちろん、ここを出るためよ」

「それなら、目論見が外れたのだからもう少し残念そうにしなさい」

 

 クスリと咲夜は笑う。

 

「これでも傷ついてるんだけど、わからない?」

「……わかるわよ。だから、彼を追い出したんでしょ」

「そう。ありがとう」

 

 素直にお礼を言われたものだから、言葉に詰まってしまった。

 

「っ、えっと、だから、私が聞きたいのは……」

「わかってるわ」

 

 ゆっくりと咲夜の手が伸びて、私の肩に触れたと思ったら、そのまま布団の上に押し倒された。

 

「さ、咲夜……?」

 

 咲夜の身体についた精液が垂れて、私の着ている服にシミをつくる。

 彼女の手は下腹部に伸びていて、くちゅりと水音がした。

 

「ん、これ……、彼に刻まれた印。分けてあげるわね」

 

 濃厚で粘ついた白い液体を指で掬った彼女はそれを口に含むと、そのまま顔を近づける。

 

「ちょ、ちょっと、ま、待って……! んんっ!」

 

 唇と唇が触れ合う。咲夜の舌が無理矢理に唇を割り裂いて、侵入してきた。

 舐めるように、絡めるように、舌が触れ合う。

 パチパチと脳が麻痺する感覚がした。

 

 なに、これ……。

 意識は微睡んで、目の前はぼやけていく。

 

 

 そして、照りつける太陽の下、(わたし)は人里の大通りに咲夜と立っていた。

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