戦姫絶唱シンフォギア~~歌姫たちの甘い宴~~ 作:ユウキ003
オリジナル設定などもありますので、苦手な方はブラウザバックをお願いします。
ある世界では、人知を越えた怪異が現れ、人々を襲っていた。
その名を、『ノイズ』と呼ぶ。
ノイズをごく普通の銃や爆弾で倒す事は出来ない。しかしノイズは、人間に触れる事で人間を自分諸共炭化させる事で殺す。意思疎通も出来ない。何故存在し、どこから現れるのかも不明な、異形の怪物。
しかし、そんなノイズと戦える力が存在した。
その名を、『シンフォギア』と呼ぶ。
異形の敵ノイズに対し、シンフォギアだけが、有効な力であった。そして、そのシンフォギアは『歌』を力にして戦う。シンフォギアを纏うのは、まだ若き乙女たちだった。彼女達は戦う歌姫、『戦姫』となって戦場を駆ける。
しかし、この物語の中では、彼女達戦姫の傍に一人の少年がいた。
彼は、戦闘力の点からすれば弱かった。
力強い拳も。
鋭い刃も。
無双の槍も。
全てを穿つ弓も。
何も持ってはいなかった。
ただ、与えられたのは、戦姫達を癒やし、助け、その力を高める『笛』の音を奏でる資質。しかしそれでも、少年は戦う道を選んだ。力が無くても、自分に出来る事で人々を。そして共に戦う戦姫たちを守る為に。
それが、あんな事を引き起こすなど、微塵も思わずに。
都内にある某所。どことも分からなぬ薄暗い牢獄のような部屋。
……ではなく、普通に明るいどこか近未来な内装の部屋で、紅いシャツのガタイの良い男と、白衣と眼鏡が特徴的な、笑みを浮かべた女性。そんな二人を前にしている少年。少年の見た目はまだ若い。10歳を超えているのかさえ怪しい。周囲には彼の親も居らず、少年はまるで子猫のようにプルプルと震えている。
「んんっ」
『ビクッ!?』
っと、男、『風鳴弦十郎』が咳払いしただけで分かるくらいに体を震わせる始末である。
「あ~、その、なんだ。まず最初に言っておくとだな。すまなかった……!」
そう言って、いきなり頭を下げる弦十郎。しかし、少年は訳も分からず、殆ど誘拐みたいな形でここへ連れてこられて、現状が分からずじまいだった。
彼に分かっていたのは、彼等が政府の人間である事と、対応した男、『緒川慎次』が冷静に、且つ優しく接してくれたおかげで彼等が悪い人間では無い、と言う事くらいだ。なので、突然謝られても訳が分からなかった。
「いきなりこんな所に連れてこられてびっくりしてるわよね~そりゃ。でも聞いて欲しいの。私達は政府の人間よ。貴方に大事な話があって君をここに呼んだのよ。
『春日井
「あ、え?ど、どうして、僕の、名前」
唐突に名前を告げられ、驚く少年、真人。
「あ~その、何だ。俺達は政府の、真人君に分かりやすく言えば、お役所仕事をしている人間でね。色々と君について調べさせて貰った。どこで生まれたのか。どこでこれまで過ごしてきたのか。学校の成績、友人関係、君のご両親の事などなど。色々とね」
「どうして、そんな事を?」
首をかしげる真人。彼は何故政府の人間である弦十郎たちが自分の事を調べているのか理解出来なかった。まぁそれも仕方無い。
なぜならそれは、彼自身も知り得ない、彼が持つ『素質』に由来していたのだから。
「そうだな。まずは順番を追って説明しよう。真人君。君はノイズ、と言う物を知っているかな?」
「あ、えっと、はい。少し前に学校の授業で習いました。確か、変な形の、人間を襲う怪物だ、って」
「そう。それがノイズだ。そして、俺達の属する組織、特異災害対策機動部二課、まぁ長ったらしいから二課という事にするが、その二課はノイズと戦うための組織なんだ」
「ノイズと、戦う?」
「そうだ。了子君」
そう言って、弦十郎は説明のバトンを了子に渡す。
「OK。それじゃあここからはお姉さんが説明してあげるわ。真人君はゲームとかする?」
「は、はい。ゲームは好きですけど……」
「じゃあそのゲームの中に、エクスカリバーとかガングニールって言う名前の武器は出てきたことは無い?」
「は、はい。あります。とっても強くてレアな武器、でした」
「そう。なら話は早いわね。まずね、そのエクスカリバーとかガングニールと呼ばれる武器は、実際、と言うか大昔に存在していたの。その大昔のメッチャ凄い武器の欠片の事を、私達は聖遺物と呼んでいるわ」
「せい、いぶつ?」
「そうよ。そして、その聖遺物の力を使ってノイズと戦う為に生み出したのが、アンチノイズプロテクター、『シンフォギア』よ」
「シンフォギア」
真人は、了子の語ったその単語を戸惑いながらも繰り返すように呟いた。
「そして、このシンフォギアだけが唯一ノイズと戦える武器なのよ。分かった?」
「え、え~っと、シンフォギアがあればノイズと戦える、って事は分かりました」
「そうね。とりあえずはそこを分かってくれれば問題無いわ。さて、では次の説明に行くけど、そのシンフォギアを使える人の事を私達は装者と呼んでいるの。でもね、シンフォギアは誰でも使える訳じゃなくて相性があるの。ほら、ゲームだとジョブで装備出来るのと出来ない武器があるでしょ?あんな感じね」
「は、はい。なんとなく分かります」
「それでね、シンフォギア一つに合う装者を見つけるのも大変なの。それこそ砂漠で一粒のお米を見つけるような物なのよ。分かる?この大変さ」
「あ、えと、なんとなくは分かります。でも、その。どうして僕にそんな話を?」
シンフォギアの説明を受けて、真人はなんとなくそれを理解する事は出来たが、何故自分にその話をしているのか、理由が分からなかった。
「そうだな。では再び俺が説明しよう。今了子君が言ったように、装者を見つけるのも大変だ。加えて、聖遺物の元となる欠片もまた貴重。ゲームで言う所のウルトラレア。と言った所だな。それくらい、手に入れるのが大変なんだ」
「は、はい」
「そこで、何だが。現在二課は、シンフォギアの生みの親である了子君を中心に、人工的に聖遺物を造り出そうと言う研究を行っていた。そして……」
そう言って、弦十郎は足下に置かれていた箱を取ってテーブルの上に置くと、それを開いて真人に見せた。
「これが、人工聖遺物第0号だ」
ケースの中に入っていたそれは、言ってしまえば金属製のフルートのような物だった。
傍目には普通のフルートにしか見えないだろう。だが……。
「これ、って……」
ポツリと呟く真人。そして彼の視線は、そのまま第0号に釘付けになってしまった。
端から見れば、それは普通のフルートのようだった。だが、『素質』を持つ真人の視線は不思議とそれに吸い寄せられていた。不思議と引き合う真人と第0号。そして、それを見て弦十郎と了子は静かに笑みを浮かべていた。
今の引き合う人と聖遺物を見れば、真人が適合者である事が、分かるからだ。
「本来であれば圧倒的な力の源である聖遺物を人工的に創り出す事は不可能。でも長年の成果の末、この人工聖遺物第0号の開発に成功したって訳。でもこの0号には問題があってね」
「も、問題、ですか?」
「そうなのよぉ。何とか創り出したは良いんだけど、天然物の聖遺物よりも更に適合者が見つけにくい難物なの。シンフォギアを量産する目的で人工聖遺物を創ろうとしたんだけど、ただでさえ見つかりにくい装者が更に見つかりにくいんじゃ本末転倒。って事でこの0号を残して人工聖遺物開発計画は凍結。それでも何とか使える者はいないかと細々ながら探し続けた結果見つけたのが……」
そう言って、真人を見つめる了子。
「え?え?も、もしかして……」
「そう。あなたよ。春日井真人君♪」
「ぼ、僕が?」
了子の言葉に戸惑う真人。
「真人君。……本来君たちのような子供にこんな事を言うのは大人として失格なのかもしれないが……」
そう言うと、弦十郎は席を立って真人の椅子の傍に歩み寄ると……。
「どうか、俺達に力を貸して欲しい」
そう言ってその場で土下座をしたのだ。
「え、えぇっ!?そ、そんな、僕まだ小学生で、戦うのとかまだ全然分かんなくて、あの、あのっ!」
最初真人はあたふたと慌てた。当然だ。いきなり小学生の子供に、『君には力があるから協力してくれ』などと言われてはいそうですか、とうなずけるわけがない。
真人は、しばし迷った。
「あの、僕はまだ子供で、何が出来るか分からないし、痛いのも辛いのも嫌いで、臆病だし、何が出来るか分からないんですけど、本当に、そんな僕で、良いんですか?戦うのが嫌になって、あとでもうやりたくないって言うかもしれないんですよ?」
真人は、一般的な家庭に育ったごく普通の少年だ。だからこそ、覚悟も何も無い。だからこそ彼は問いかけた。『そんな自分で良いのか?』と。
すると、弦十郎は土下座のまま頭を上げた。
「それでも、ノイズと戦う術を持たない俺達には、シンフォギアを使える装者に頼る以外にノイズから人々を救える方法が無い。だからこそ、俺は君に頭を下げる」
そう言って、弦十郎はもう一度頭を下げた。
やがて……。
「分かり、ました」
真人は静かに頷いた。
「僕に何が出来るか分からないけど、僕に出来る範囲で、お手伝いします」
「そうかっ!ありがとう真人君!」
こうして、1人の少年が二課へとやってきた。この時、少年は『自分に何が出来るのか』と、自分があまり役の立てるとは考えていなかった。
しかし、彼はのちに知る事になる。自分が多くの命を救い、そして歌姫たちを助け、支え、やがて彼女達と共に、幾度も世界を救う力が自分にあると言う事実を。
プロローグ END
って事で、楽しんでいただければ幸いです。Hな話が入るのは、3話くらいからですかね。
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