実験レポート
この世界ではアイカツシステムがまるで自我をもったかのように振る舞うことがある。その事例を持つものに協力を仰ぎ、必要なデータを取っていくこととする。
「ふんふふーん」
スキップしそうなほどにご機嫌で道を駆け抜ける大きいリボンのついた金髪のツインテールの少女の名は虹野ゆめ。現在は中学3年生。
彼女は自身の通うアイドル学校『四ツ星学園』のトップ組織である『S4』所属している。
今日は『S4』の看板番組である午前の『S4TV』の収録が終わってからの久々の半日オフ。そして……。
「ひめ先輩とお茶会だああ」
今日はゆめの先輩である白鳥ひめと学園長の姉である雪乃ほたるも交えて女子会。
それぞれ同じ悩みを抱えたもの同士、ゆめは2人にどれだけ恩を感じても足りない存在だった。
彼女は雪乃家の門をくぐり、トパーズのような瞳を輝かせながら走った。
「アイカツ! アイカツ!」
ダッシュしているが心はかろやかにスキップしていた。ワクワクが止まらない。
そして、雪乃ほたるが花を育てている庭園に到着する。
中へ入るとドーム状のハウスの中では学園長お気に入りの青い薔薇を始めとした色とりどりの花が咲いている。
「いらっしゃい、ひめちゃん」
ほたるは椅子から手を上げる。白いふわっとしたポニーテール髪に赤い瞳。今日は紺色を基調としたベストを着ており、大人の風格を感じさせていた。
その隣に座るひめも手を顔の高さまで掲げて横にふる。ひめの服は青いワンピースで、彼女の長いクリーム色の髪の毛との色合いが、見事に落ち着いたお姫様のような雰囲気を醸し出していた。
「ゆめちゃん、久しぶり」
「ほたるさん、ひめ先輩!」
元気よく手を振る。それに伴ってS4の象徴である赤い制服が勢いよく揺れた。
「さあ、座って座って」
椅子へ促すほたる。白い丸テーブルの上では蒸らしている紅茶とおそらくほたる自身が焼いたであろうシフォンケーキが並んでいた。
ゆめはルンルン気分で白い四角い椅子を引き、座った。
「今日はね、最近育ててる白い花を使った紅茶よ。タイマーが鳴ったら蒸れるから待ってね」
ほたるはケーキを切り分けて紅茶が蒸れるのを待った。タイマーはあと10秒。
5、4、3,2,1……
ピピピピという音と共に紅茶が蒸れた知らせ。
このまま楽しいお茶会が始まろうとしていた。しかし、雪乃ほたると白鳥ひめにかけられていた催眠の暗示が起動してしまった。
2人の瞳から輝きが失われる。
「あ……」
2人の空気が少し変わった気がしたゆめは首を傾げる。
「どうしたんですか?」
「あ…… いえ、なんでもないの!」
ほたるはなんでもなかったかのように紅茶を入れる。
「いい匂い……」
落ち着く香りがゆめの鼻孔をくすぐった。一瞬2人の動きが急に止まった気がしたが、気のせいだろう。
「さあ、いただきましょう」
ひめとほたるは紅茶を淹れている間、俯いて何かぶつぶつ言っているようだったが、顔を上げて、ゆっくりと紅茶へ手を運んだ。
いただきますの声と共に3人は飲む。ほたるとひめの2人は飲みながらもゆめの様子を伺う。
ゆめは紅茶を少し飲んでシフォンケーキを口にする。
「うーん、やっぱりほたるさんのケーキ最高! 酸味と甘さが絶妙!」
表情豊かに食べていた。
しかし、紅茶を2口、3口と飲むにつれて彼女の表情から笑顔が消え、黙々と紅茶だけを飲んでいく。
「……」
全て飲み終わるころには彼女の瞳から輝きが消え、どこか遠くを見つめているような様子で固まった。
「ほたるさん…… お願いしますね」
ひめは席から立ち上がり、ゆめが座っている後ろに回り込み、ほたるは録画カメラを構えるとゆめをレンズに映し出した。
ひめはゆめの肩に手を置き、ゆっくり語り掛ける。
「まず、全身の力を抜いて、リラックスしましょう」
「……はい」
ゆめの頭が前に傾く。そして、耳元にひめは顔を近づけると暗示を注ぎ込んでいった。
「私、世界で色んなアイカツをしたでしょう。これはその中の1つ」
ゆめの脱力した背中は椅子の背に全てを預けている状態。手は開いた状態で椅子から垂れさがっている。
ひめは彼女のS4制服の赤いコートに手をかけた。万歳をさせて袖を腕から外し、背中に手を突っ込んで浮かして脱がす。そして素早く畳んで机の上に置いた。
「今、ゆめちゃんの服、脱がしたの。けど、まだ、暑いよね、さっきより暑いくらい」
ゆめの耳元に暗示を流し込んでいく。それに彼女はただ虚ろな目をどこか遠くに向けて返事をするだけ。
「…… はい、わかりました」
ただ、ゆめはされるがままだった。
なんだか暑い、ゆめの首筋に汗が浮かぶ。上着を着ていないのになぜかさっきより暑くなっている。これは紅茶による作用だろうか。
耳元からは優しく語り掛けてくる誰かの声。
「暑いよね。たまらなく暑いわ。だから、服を全部脱いじゃいましょう。そうすれば楽になるから」
「…… はい」
ゆめの抑揚のない返事と共に脱力していた体に力が入る。
少しでも早く涼しくなりたいと乱雑にボタンを外し、服を脱ぐ。下着も全て取っ払って一糸まとわぬ姿になった。
「…… ふう」
楽になった。
「だけど…… 暑い」
まだまだ暑い。思考が回らない。
「もっと楽になりましょう。そのために……」
ひめは語り掛ける。そしてひめ自身も青のワンピースを脱ぐ。
白い下着がはらりと白い羽のように地面に落ちた。
ホタルが机を動かす。そうして空いた机とゆめの間にひめの体が入り込む。彼女はゆめの膝の上へ座り、ゆめの顔を自身の顔の中にうずめるようにした。
「ふぎゅ」
ゆめの喉から空気が漏れる音が聞こえる。
「さあ、ひめトレ始めるわよ」
互いの局部をこすりあわせ始めた。
ひめの体には局部からへそにかけて模様のようなもの、淫紋が刻まれていた。
彼女はそれを刷り込むようにゆめの体と重ね合わせていく。
互いにどんどん体温が上がっていくのが感じられる。
「あ、あっ、あっ」
「いいよ、あ、ゆめちゃん、そのまま気持ち良くなって」
互いの艶やかな声が響く。
「あ、はい、あっ、何これ、気持ちいい」
ゆめは何が何だかわからないまま快楽に心を沈めていく。
「あ、あ、これも、あん、不思議の力のためだから……」
ひめは自分に言い聞かせる。これは必要なことなのだと。
しかし、そのためには虹野ゆめという女を人形にしなければならない。
普段の白鳥ひめならそんなことはしなかっただろう。だが、今は彼女自身も人形。
何よりひめの体では罪悪感と背徳感が全て快感に変換されている。
「あ、あっ、ゆめちゃん、ごめん、あっ、気持ち良くて辞められないの」
むしろ、ゆめに悪いと思えば思うほど快楽の虜になっていく。
「ひぃめしぇんぱい、わた、し、しやわせでしゅ」
ゆめは舌の呂律が回らなくなってきていた。憧れの先輩の胸に顔を埋めて、ゼロ距離で心臓の音を聞いて、これほど幸せなことはない。
快楽に溺れるゆめの体にもひめと同じ淫紋がうっすらと浮かび上がって来ていた。
ひめはそんな可愛い後輩を抱きしめ、目を細めて笑う。
「もっと気持ち良くなりましょう。ゆめちゃん」
「はい」
ゆめは思う。これ以上気持ち良くなったら私どうなっちゃうんだろう。ワクワクが止まらない。
「5つ数えるわ。だんだんともっと気持ち良くなるの。最後まで言ったら、最高に気持ち良くなるわ。いち」
ひめは数字を数える。
「に」
「ひゃ、ひめ、しぇんぱい!」
今まで感じたことのない快感にゆめは驚き、ひめの体を強く抱きしめた。
「大丈夫だよ、安心して、さん」
ひめは悪戯っぽい声でゆめに語り掛ける。
これはゆめの尊厳を奪うことだとわかっている。
「さん」
しかし、それをいけないことだと思うほど、最高の感覚がひめ自身を駆け巡る。
「ごめんね」
ひめは謝る。そして、擦り合わせる体はさらに激しさを増した。
ゆめは1つずつ上がっていく快感にただ声を上げることしかできない。
「ひ、ひめしぇんぱい、あ、あ」
憧れの先輩の鼓動を感じながらもこれが本当にアイカツなのかどうかも疑問を持たず、よしんば思い浮かんだとしてもあわのように快感は思考を押しつぶしていく。優しく包み込まれる体に全てを預けた。
「よん」
4つ目が数えられる。
「あ、あっ、げ、げぇんか」
限界だった。これ以上はどうなってしまうのだろう。
ゆめの口から唾液が垂れてひめの胸の谷間を伝う。
その冷たい感覚にひめの体がぶるっと震えたのがわかった。
「ゆめちゃん、一緒にイこう!いくよ!」
「は、はい」
ひめの口が開く。
「ご…… あっ、あ、あ、あああああ!」
「あ、ああああああ!」
互いに体を抱きしめ、イッた。
互いの体が震え、近くで互いを感じようと抱きしめる手に力が入った。
ゆめは頭を抱きかかえられている状態になって、少し息が苦しくなった。けれど、ひめの鼓動をゼロ距離で感じることができ、1つになれたことが何よりうれしかった。
こんなに気持ち良いのは初めてだった。
少し経ってから、服を着て、3人は椅子に座る。
「新しいアイカツをよろしくね。ゆめちゃん。みんなを気持ち良くしていくのよ」
「……はい」
ひめの頼み事。言うことを聞くに決まっている。
ゆめは汗ばんだ胸に拳を当てる。
心臓の鼓動は治まることを知らず、顔も火照っているのがわかる。
そして、これからのことに胸を膨らませる。
「私、ワクワクが止まりません」
そう言う彼女は虹野ゆめだが、そうではない。
輝きの失った虚ろな瞳をひめに向けて、微笑んだ。
次回更新は7月3日です。次回のターゲットは七倉小春ちゃん。お楽しみに。
新しくスターズ編始まりました。前作から引き継いで姫石さあやさんは白い花とか持ち込んで暗躍させてます。
この小説を書くにあたってスターズ2週目をしたんですが、一週目とじゃ全然印象が違ったりして、スターズ面白いですよね。
5thブルーレイももうすぐ発売するし、今からワクワクが止まりません。