ユニット名『ゆずっとリリィ』それは二階堂ゆずと白銀リリィで構成されるユニット名である。当時四ツ星学園中等部の卒業を控えていた二階堂ゆずはその天才的ダンスの素質からたくさんの海外のオファー受けていた。しかし、それを全て蹴り、リリィと共に四ツ星学園高等部へ進学した。
「彼女は『リリエンヌと一緒にいるのが一番楽しいゾ』。と言っていましたが ……」
当時はそのことを心からうれしく思っていたが、同時に心配に思う気持ちがあった。
白銀リリィという存在が彼女を成長という翼から引き留めてしまったのではないかと。
自分は彼女を地面に繋ぎ止める鎖となってしまったのではないかと。
「けど、そんな懸念はもうありませんね」
リリィはベッドに腰掛けながらカードバインダーを取り出す。思わず笑みがこぼれた。その中には2人で世界へ羽ばたくための象徴があった。ゆずのブランド『シャイニースマイル』と白銀リリィのブランド『ゴシックヴィクトリア』のコラボレーションプレミアムレアドレス。
明日、海外でこのドレスを発表する。今日は朝一番の飛行機に乗るために2人でこのホテル予約したのだった。
「これが私たちの新しい星のツバサ」
世界へ羽ばたく星のツバサ。2人の新しい伝説の始まりはここから。
ゆずはまだ仕事があるので待つばかり。
「さあ、ゆずが帰ってくるまで読みかけの本でも読みましょうか」
リリィは立ち上がった。しかし、体がふらつきベッドに座り込んだ。
カードバインダーが床に転がる。
「あれ ……」
今日は体調も悪くない。どうしてだろう。
頭を抱える。
「なんだか …… 声が ……」
頭の中で声が聞こえる。誰かの声。
リリィの瞼が下がり、目から光が失われる。
「え …… はい …… 承知しました」
リリィは頭の中に響いた命令を復唱する。
「待ってますよ、リリィ」
彼女は虚ろな瞳で立ち上がり、笑った。
「ただいま、リリエンヌ―!」
ゆずは勢いよく扉を開ける。彼女にとってリリィのいる場所こそが帰る場所。マイホームだった。
「おかえりなさい、ゆず」
彼女は笑って水滴の滴るグラスをゆずに差し出した。
「お疲れの体に冷たいお茶です。どうぞ。さあ、ぐいっと」
「ありがとうだゾ!いただきまーす」
ゆずはリリィの差し出したお茶を一気に飲み干す。麦茶だった。唇にグラスに浮かんでいた白い花が触れる。そのいい匂いは鼻孔を通り、麦茶をさらに冷たく感じさせていた。
「ぷはあ、おいしかった …… ゾ …… あれ?」
飲み終わった途端、ゆずの思考が、視界が不明瞭になる。
そして、瞳から光が失われる。
「リリエンヌ ……」
「何も心配することはないですよ、ゆず」
リリィはゆずに虚ろな瞳を向けて笑う。
「さあ、こちらへ」
「…… はい」
今、ゆずの瞳はどこも見ていない。
リリィに背中を押されながらふらふらとベッドの近くへ歩いて行った。
「さあ、服を脱ぎましょう。ゆず」
リリィは暗示をささやく。
「…… はい」
ゆずはいわれるがまま服を脱いでいく。シャツを脱ぐとふわふわで黄色のツインテールが揺れた。下着も全て脱いで生まれたままの姿をリリィの前にさらけ出す。
それをリリィ自身も服を脱ぎながら恍惚とした表情で見つめていた。
「ああ、ゆずのあられもない姿が目の前に。これでゆずは私のものに!」
リリィの感情はゆずを自分の物にする所有欲で支配されていた。
「さあ、ベッドに寝てください」
「…… はい」
ゆずは言われるがままベッドにあおむけになった。
裸のリリィが彼女を見下ろす。その体には局部からお腹にかけて淫紋が刻まれていた。
「さあ、いつかは羽ばたいてしまう天使に刻印を与えましょう」
リリィはゆずと局部同士をこすり合わせる。
「あ、く」
ゆずは何をされているのか認識していない。ただ喉から空気を漏らしているだけ。
「ゆず、ゆず!」
パートナーの名前を呼びながらリリィは体を動かす。そのたびに彼女の白い髪が揺れる。
これ以上ないほどに体が火照る。体が快感に染まる。
「あ、あ、リリ、エンヌ ……」
ゆずの体にも快感が蓄積され始め、目の前のパートナーを虚ろな目で捉え始める。
「な、なんだか気持ちいい …… ゾ。あ、ああ」
目の前で何がされているのかわからない。ただわかるのは気持ちいいということだけ。
「ええ、私も気持ちいいです。ゆず。この感覚に身を任せてください」
「あ、あ、あ、あ! リリエンヌ、リリエンヌ!」
リリィがそう言うなら、とゆずの心が快感を受け入れる。
すると急激に体が熱くなる。体が波打つ。目の前の幼馴染の名前を叫ぶ。
「何も怖がることはありません。全てを受け入れて、さあ」
体をのけ反らせるゆずを押さえつけながら、彼女の心に寄り添うように言葉を投げかける。
「あ、あ、あ! 全て …… 受け入れる!」
リリィの言葉はゆずの心に楔のように打ち込まれていく。
「気持ちいいですよね」
ゆずの体にうっすらとリリィと同じ淫紋が浮かび上がって来ていた。
「あ、きも、ち、いい!」
リリィの言葉に同意する。
「もっと欲しいですか」
「もっと欲しい、リリエンヌと一緒なら!」
白銀リリィと一緒なら楽しい。その二階堂ゆずの心が本来なら受け入れないはずの全てをスポンジのように心へしみこませていく。
互いに顔を紅潮させ、快楽へ溺れていく。
「もっと欲しいので、あれば、5つ数えます。1つ数える度にどんどん気持ち良くなります。5つ数えたら最高になれますよ。いち」
「や、きた、きた、きたあ!」
互いに体を擦り合わせ、快感をさらに高めあう。
「に」
「もっと、もっと、もっと」
ゆずは貪欲に快感を求めた。
「さん、うくっ、ちゅぱ」
それに応じるようにリリィはゆずと唇を重ねた。
「う、くちゅ、ぷはあ」
声として外に出ていた快感が2人の間で循環する。
ただでさえ高められている快感がさらに高まっていく。
「くちゅ、ぬぷ、ぷはあ、よん」
リリィは唇を離して数を数えた。あと1つで目の前の幼馴染は人形になる。絶対に自分から離れない。
「ずっと、ゆずは私の物です」
ゆずを自分の物にすれば一緒にいれる。
「あ、あ、う、うん!」
ゆずは顔を紅潮させながら、リリィの言葉に応えた。
同意の言葉がリリィの口角を吊り上げさせた。
最後の数を数える。
「はい、ゆず、ずっと、一緒に。ご、ッッッ!」
互いの感情が爆発する。リリィは目を閉じて体を震わせてイった。
「あ、ああ、リリエンヌ―!」
ゆずは顔をのけ反らせながらパートナーの名前を叫んでイった。
小刻みに快感で体を震わせるその体に淫紋がはっきりと浮かんでいた。
「ん、ゆず、くちゅ」
「リリエン …… くちゅ、くちゅ」
互いに名前を呼び合いさらに体を重ね合わせ、2人だけの時間を楽しんだ。
海外で行われるプレミアムドレスの発表会。その会場に『ゆずっとリリィ』が立つ。
「皆様、これより発表いたしますのは!」
リリィが落ち着いた声で。
「シャイニースマイルとゴシックヴィクトリアのコラボドレス!」
ゆずは元気な声で宣言する。
いつも通りの2人に見えるが、その目は虚ろで焦点が定まっておらず、瞳に光が宿っていなかった。しかし、その些細な違いに気づくような人間はこの会場にはいなかった。
「「発表します」」
大画面モニターを手で示し、画面が切り替わる。
そこにはコラボドレスの映像が …… 映るはずだった。
映ったのは変な幾何学模様。機材の故障かと会場がざわめいたが、そのモニターを見ていた会場全員がその画面から目が離せなくなっていた。
ゆずっとリリィの2人だけが笑って観客を見つめている。
そして、リリィがマイク越しに声をかける。
「皆さん、今から言うことは全て受け入れてください ――――――」
これから会場の観客全員に催眠をかけるために。
次回更新は8月28日(土)20時です。次回のターゲットは花園きららちゃん。お楽しみに!
ゆずっとリリィ考えれば考えるほど深いってなってました。音楽性では正反対だし、性格も正反対なほうだし。ほんと共通してるのはワクワクを求めるというところだなあと感じながら書いてました。
今回はそれを催眠で捻じ曲げる感じで書いてみました。
次回からはヴィーナスアーク編。物語のクライマックスに向けて動き出します!