「いいタイミングで来てくれましたね。 助かりました」
璃月港に明霄の灯が昇った夜から二日、璃月土産を片手にモンド城へと戻ってきた。
城門をくぐって早々、どこからともなく現れた
「お、オイラ本当に食べられるかと思ったぞ…」
「すみません。ですが、非常食をパイモンと呼ぶ気持ちが今よくわかりました」
「オイラは非常食じゃ…って、なんか語順がおかしいぞ!? 非常食はオイラじゃない!」
ドアを開けるやいなや床にへたり込んでお腹を鳴らす貧乏占星術師を救うべく、本日の
急場の飢えをしのいでほっと人心地ついた様子の少女──
「また金欠? モナが干乾びてるの見るのこれで三度目だけど」
「う゛っ…ま、まぁそれもなくはないのですが…」
見下ろす俺の呆れ声に、モナは気まずそうに顔を逸らす。
「その、ですね。 例の『星座相談』の原稿を書いていたら、いささか筆が乗りすぎまして…」
「寝食を忘れた?」
「いえ、忘れてはいません。 多少寝ましたし一昨日は食べたはずです」
フォンテーヌの主流新聞『スチームバード新聞』への寄稿が、今のところのモナの最大の収入源だ。専門性は高いながらも星空への深い造詣と溢れんばかりの探求心が素人目にもみてとれる、モナ先生の『星座相談』は「よくわからないけど面白い」とプロアマ問わず読者に大変好評…らしい。読んだことないけど。
「好評につき新聞の見開き丸々二
「ジン団長みたいなことしてたのか」
「あの人いつもこんななんですか…? ま、まぁ、そんなこんなで流石の私も精魂尽き果ててぐったりだったというわけです」
でもこれでフォンテーヌ製の
自宅だからだろう、
「食べ物よりもその、あすとろぐらふ?のほうを優先するなんて、オイラには絶対無理だぞ…」
呆れを通り越して理解不能の域に達したパイモンの声に、はっと我に返って目線を上げる。
トレードマークの魔女帽子をかぶっていないせいか、普段よりも心なし幼げに見えるモナの切れ長の目が、もの言いたげにジトっと細められる。
胸見てたのバレてる……!
「わかってないですねぇパイモン。 生活か研究かの二択を迫られて、研究と即答できるようでなければ
「年中腹ペコでいるくらいなら、オイラそんなのお断りだ!」
「なにをぅ! そんなのと言いましたか今!」
ありがたいことにどうやら視線の追及はしないでいてくれるらしい。
ばたばたとパイモンと追いかけっこをはじめたモナから視線を逸らし、火照った顔を冷ます。
「逃がしませんよパイモン! 運命よ、ここに──」
「わああぁ~! ストップ! ストーップ! 元素爆発で捕まえようなんてずるいぞぉ! ぷぎゅ!」
元素爆発まで持ち出されては勝ち目はない。諦めて降参したパイモンのほっぺがもみくちゃにされる。
原稿料の使い道は、食べ物派の惨敗となった。
「まったくもう…。 それで、今日はどんなご用ですか?」
パイモンを揉みながらモナが戻ってくる。
追いかけっこで血行もよくなったらしい。さっきまでやつれていた顔はもうすっかり元通りだ。
「そうだった。 えっと…はいこれ、璃月土産」
「これはご丁寧にどうも。 お土産に免じてパイモンには恩赦を与えましょう」
「ぷはっ! うぅ、た、助かったぞぉ…」
俺とモナは、バッグから出した木箱とパイモンを交換する。
どっと疲れたのか、飛行もヘロヘロになっているパイモンは俺の頭に体重を預けてグロッキーの様子。
モナの「開けても?」という視線に「どうぞ」と手振りで返す。
「これは、干物と調味料ですか」
「うん。 モナ、サラダが好きみたいだから」
「ドレッシングはオイラが選んだんだぞ」
モナへのお土産は、璃月港で水揚げされた海産物の干物セットと絶雲辣油のドレッシングだ。
エビ・イカ・貝柱などの干物を水で戻してサラダに混ぜれば、草元素一辺倒なモナの食生活にも彩りが増えることだろう。手間もそんなにかからないし。
「ありがとうございます、二人とも。 大切にいただきますね」
普段は凛々しい表情をとりがちなモナの顔に、珍しく年相応の屈託のない笑顔が浮かぶ。
この笑顔は望舒旅館の黄金ガニ以来かもしれない。喜んでもらえたようだ。
俺が頭上のパイモンとハイタッチしていると、くうぅと誰かの腹の虫が鳴いた。
「あうぅ、食べ物を見たらあらためて空腹感が…」
モナが恥ずかしそうにお腹をさする。
「今から作るから、パイモンと喋りながら待ってて」
「おう! オイラ、エビが食べたいぞ!」
腹ペコ占星術師の救助活動もこれで三度目。
折角だから今日は璃月料理を食べさせてやろうと、勝手知ったるモナ宅の台所に立った俺は袖をまくった。
◇ ◇ ◇
モナの部屋には、驚くほど家具が少ない。
別に物が少ないわけではない。本棚から溢れ出した占星術関連の雑誌や書籍の数々は研究机の周囲にうず高く積まれているし、素人目には使い道の見当もつかない大小さまざまな器具はこれでもかと生活空間を圧迫している。
だが占星術関連でないもの、日用雑貨や家具の類は本当に最小限しか揃っていない。
ベッドと小さなテーブル、小さな衣装箪笥に帽子掛け。椅子は研究机のものを兼用でひとつだけ。モナの部屋で明確に家具と呼べるものはその程度しかなかった。
来客のことなど想定もしていない、一人暮らしの最小単位を体現するこの部屋でモナと食事を取るには、工夫が必要だった。
テーブルをベッドに寄せてモナと俺はベッドに座る。椅子は木箱で高さを調節して、パイモンが座る。
過去二度の
「できたよ~」
すりきりまで盛った椀を平皿で蓋してひっくり返せば、四方平和の完成だ。米と具材の優しい香りに、椅子に座ってそわそわしていたパイモンが喜びの声をあげて飛んでくる。
「パイモン、持ってって」
「任せろぅ! へへっ!」
料理を前に口元がだらしなく緩んだパイモンに配膳を任せ、かまどの方も火を落とす。
今日の献立は、四方平和、真珠翡翠白玉湯、そしてパイモンリクエストのエビ料理・明月の玉子の三品となった。
「なんというか、見るたびに料理のレパートリー増えてませんか?」
「この前なんて空に浮かぶ島に登ってまでレシピみつけてたもんな! オイラも鼻が高いぞ!」
パイモンが言っているのはたぶん慶雲頂での話だろう。
本当になんで
「…まさか寒天の釘あたりにもレシピが隠されてたりするのかな?」
「どうだろうな…。 でもあそこ寒いし、オイラあんまり行きたくないぞ」
パイモンとくだらない話をしながら真珠翡翠白玉湯と明月の玉子をテーブルまで運んで、モナの左隣に腰を下ろす。食器と飲み物の準備はパイモンとモナがしてくれたみたいだ。
「毎度すみませんね。 あなたのような弟子を持てて私は嬉しいです」
「この生活力で将来弟子離れできるのかねこの師匠は…」
初対面以来、モナは今でもたまに俺を弟子扱いしてくる。俺が占星術を学ぶ気はないと言っても、「それでも弟子は弟子です」と譲らない。
曰く、弟子が師匠のために何かをするのは当然、師匠が弟子のために何かをするのも当然、とのこと。
だから、俺が飢えたモナの世話をしてもモナは過剰に感謝したりしないし、モナが「師匠ですから」と俺の旅に力を貸してくれるのを殊更有難がったりもしない。
もしかしたら、モナは損得を抜きにした頼り頼られる気安い関係を「師弟関係」以外に知らないのかもしれない。そう思うと、この不器用でいじらしい「自称・師匠」に頼りにされるのがなんだかうれしく思えて、弟子扱いに異を唱えることはできなかった。
「なあなあ、もう食べていいか? いいよなぁ?」
言うが早いか、さっそく明月の玉子にかぶりつくパイモン。たった一口で、中から溢れる肉汁に口のまわりがてかてかになる。それを見たモナの喉がごくりと鳴った。
箸を使い慣れないだろうモナに明月の玉子を取り分け、ひとつをレンゲに乗せて渡す。明月の玉子は、溢れ出す肉汁を零さないためにレンゲに乗せてかぶりつくのだ。
四方平和も真珠翡翠白玉湯も、箸を使わずレンゲだけで食べられるいわば初心者向け璃月料理。香菱大先生の助言は偉大であった。ムダ知識ばっかり教えてくれる鍾離先生には見習ってほしい。
「ほら、モナも早く食べないとパイモンに全部食べられちゃうよ」
「そ、そうですね。では遠慮なく…!」
ふーっ、ふーっ、と冷まして、明月の玉子を乗せたレンゲを口に運ぶ。はぐ、と噛んだモナから、喜びの悲鳴が上がった。
「~~~~っ!! な、なんですかこの肉汁の量は! 美味しすぎます!」
「へへん! 新月軒のレシピだからな! 岩王帝君お墨付きの味だぜ!」
「あの岩神がですか!?」
感激に震えているモナになぜか自慢げなパイモン。「帝君、よく財布忘れるけどね」などと言ったらモナはどんな顔になるだろうか。
「この前の黄金ガニも新月軒の系譜だったよ」
「す、すごいんですね新月軒…」
夢中で食べ進める二人を見ながら、俺も食べ始める。
真珠翡翠白玉湯の滋味、四方平和の優しい甘さ、そして明月の玉子の魚肉の旨味とエビのぷりぷりの身!今日の出来は大成功だ!
我ながらよくできたぞと頷きながら、飲み物を手に取る。
杏の甘い香り。口に含むと、果肉をそのままかじったかのような芳醇な甘さが広がる。酸味はあまりないが、かわりに舌にはピリピリした不思議な刺激があった。
こくりと飲みこむと、喉のあたりがほのかに熱くなる。なんだか鼻に抜ける息も少しだけ熱くなったような気がする。
不思議な杏ジュース…それもおそらくは結構上等な。
「…?」
モナがこれを買うとは思えない。彼女なら飲み物などに
モナのほうに顔を向けると、なぜかさっと目を逸らされた。
「…パイモン。 これって?」
もぐもぐとせわしなく動いていたパイモンの口の動きがぴたりと止まる。あやしすぎる…。
じっと無言のまま視線で圧力をかけ続けると、ややあってパイモンは白旗をあげた。
「い、いい杏ジュースだろ? オイラ、目をつけてたんだ…へへ…へ…」
「…パイモン?」
「…う、うぅ。い、 いいだろぉ! オイラも飲んでみたかったんだよぅ!」
パイモンがテーブルの下に隠していた瓶を出す。ラベルには見覚えのある「
「これってモンドの酒飲み氷三人組への…」
それは璃月港でガイア、エウルア、ロサリアの三人へのお土産を見繕っていた時のこと。
三人ともよくエンジェルズシェアに通っているから土産は酒がいいかと入った酒屋で、俺とパイモンは魅惑の文字を目にしてしまった。
『十瓶まとめ買いで一割引き』
三人分の土産に九瓶買えばいいところ、九瓶も十瓶も価格が変わらないお得感についつい釣られて十瓶買ってしまったのだ。
まぁ余った分は別の誰かにでもあげればいいかと思っていたのだが…。
「余ったやつに目をつけてたのかやんちゃ非常食め…」
「なぁ、いいだろぉ? もう開けちゃったんだしさぁ」
パイモンの口に戸は建てられぬ。果てしない味への探求心はモナにも止められなかったらしい。
モナに目をやると気まずそうにこちらを窺ってくる。
「ま、まぁ、私も興味がなくはないですし…そもそも私一人じゃ買う機会ないでしょうし…。これもまた世界の真実に近づく一歩、ということで」
モナの探求心も止められないらしい。
「…まぁ、いっか」
「へへっ! 話がわかる相棒でオイラ嬉しいぞ!」
俺とて酒という未知に興味がないわけではない。ウェンティが好んでやまない
元々余ってたやつだし。パイモンが開けちゃったし。飲んじゃったし。
行動派パイモンの既成事実大作戦は、俺に言い訳をさせるには十分すぎた。
「ん~、ちょっとぴりっとするな。 これが酒の味なのか?」
早速グビっといったパイモンが首をかしげている。
俺ももう一口飲んでみる。このピリピリが酒精というやつなんだろうか?
「…普段水しか飲まないので、正直よくわかりません。 こういう味なんだと言われれば納得します」
モナにはそもそも違和感を違和感と感じるだけの下地がなかった。そりゃそうか。
こうして、『貧乏占星術師に餌付けする会』は期せずして『璃月土産試飲会』となったのであった。
◇ ◇ ◇
「それで、璃月はどうでしたか? お祭りがあったのでしょう?」
「海灯祭ね。絶景だったよ」
コップの残りをぐいと飲み干して、モナが酒のおかわりを注ぐ。
瓶の中身は残り二割を切ったくらいだろうか。よく飲むなぁ。
「霄灯っていう、紙で作るランタンみたいなのを空に飛ばすんだ。満月の月明りと霄灯の光、それに明霄の灯っていう仙人を
「…そう聞くとなんだか占星術師向けのイベントではなさそうですね。星が見えなさそうです」
「由緒正しい祭りにしていいコメントじゃない…」
「俗世の祭りにはあまり興味が…なんですかその目は」
「仙人みたいなこと言ってる…いやでも屋台とか気になるでしょ? パイモンなんて大はしゃぎだったんだから」
「いや、屋台でなに売ってようが関係ないですし…買いませんし…」
「なんか地図見て宝探しする、みたいな催しもあったよ。賞品付きの」
「色んなことやってるんですねぇ。 さすがは流通の都」
もうすっかり日は落ち、ランプの明かりに照らされた部屋で土産話に花が咲く。
なんだか酔いで頭がぼんやりしてきた。
意識こそはっきりしているものの、あまりうまく思考できていないというか、頭の回りが悪くなっている感じがする。
「顔、赤いですよ」
主犯のパイモンは、瓶の中身が四割も減る頃には「オイラ、なんだか眠くなってきたぞ…」とか言って
おかげで残りの六割はモナと二人で飲み切ることになってしまった。
俺と同じくらいか、あるいはそれ以上に飲んでいるはずのモナは、涼しい顔で俺の隣で一口大に切ったベーコンを摘まんでいる。…いや、少しだけ頬が赤いかな。
ちらりと流し目でこちらを見てちょっと得意げな顔になったのは、自分の酒の強さを自覚したからか。
「そう言うモナはあんまり変わらないね」
「そうですね。 少しだけふわふわするな~って程度です」
「…なんかちょっと負けた気分」
「なんですかそれは」
こんなに遅くまでモナの部屋にいるのは初めてだ。占星術師の彼女は、この時間だと星を見ていることが多い。
光の色のせいだろうか、ランプの黄色い光に照らされたモナの横顔は、星明りの下で見るそれよりもどこか温かく感じた。
「……なんですか? そんなにじっと見て」
こちらを向いたモナと目が合う。切れ長の目は普段よりも少しだけとろんとしていて、いつもは美人系だけど今日は可愛い系だな、とか益体もないことが脳裏に浮かんでは消える。
思ったことを口に出すかどうかで一瞬迷い、結局なにも答えず誤魔化すように、ぽふ、と腰かけているベッドに倒れこむ。
ふわっと甘い香りがして、鼓動が少し早くなる。誤魔化そうとして墓穴掘ったかもしれん。
マズったかな~とぼんやりしている俺をよそに、モナは「おねむですか?」なんて笑いながら酒をあおっていて、少しホッとした。
酒気に浮かされ漫然とした頭でモナの後姿を見つめる。
リボンでくくられたツインテールの黒髪、ほっそりとした首筋、華奢な肩、大きく開いた背中の素肌。
肩にかかる黒髪とアイボリーに照らされた肌のコントラストをぼんやりと見上げていると、ふと思い出す景色があった。
あれは確か瑶光の浜で野営した時。雲で星の見えない暗い夜空。光も音も飲み込んでしまいそうな闇色の海。焚き火とランタンに照らされた淡い橙色の砂浜。
あの日の夜空は曇っていて月も星も見えなかったけど、今日は手が届く距離だな、なんて判然としない頭で回想に耽って、気付いた時には既に俺の右手はモナに触れていた。
なだらかな肩の線に沿って指を滑らせ、そっと髪をどける。黒髪の
ちゃり、と指先が星に触れる。
「──星を見上げようとは、殊勝なことです」
少しだけ喜色を孕んだような、静かで優しい声にどきりとする。心を見透かされたような気すらした。
モナの左手が、肩越しに俺の指に触れた。
こちらを振り向きもしない彼女のひんやりした指先が、俺の手を払いのけるでもなく、ただそっと指の腹を撫でる。まるで幼子でもあやすかのように。
モナに触れることを許されている嬉しさと、男として警戒されていない気がする悔しさが酔いの回った頭を掻きまわして、ふと魔が差す。
──モナはどこまで許してくれるのだろうか。
ゆっくりと指先を肩からうなじ、うなじから背中へと滑らせる。
モナはくすぐったそうにぴくりと肩を震わせた。
指先だけではなく手のひらで背中を撫でる。
砂浜よりもはるかにきめ細かく滑らかな肌は、しっとりと手のひらに吸い付いてモナの温かさを伝えてくる。
モナは不躾に背中を撫でまわす手の感触を身じろぎせずに耐えている。
そのまま手のひらを下へ下へとずらしていく。
背中から、モナの体をぴっちりと包む服の伸縮性の高いすべすべした生地へ。
女性らしくほっそりとくびれた腰の曲線へ。
そしてサテン地のタイツに包まれた、むっちりした尻肉へ。
手のひら全体で柔らかさを楽しみ、指を沈み込ませるように揉みこむとモナは小さく声をあげたが、それだけだった。
エンジェルズシェアで同じことをしようものなら即騎士団案件だろう愚行にも、モナはされるがまま。逃げるそぶりはおろか、抵抗すらしない。
…これがセーフならもう何やってもセーフでは?
高まっていく鼓動が、速まっていく呼吸が、俺の体に残る理性を押し流していく。
「──あっ…!」
体を起こし、抱きつくようにモナを押し倒す。少し体重をかけただけで簡単に組み敷けてしまった。
柔らかく、温かく、甘い香りのする女が、今俺の腕の中にいる。
頬を朱に染め、恥じらうように手の甲で口元を隠して、水色の瞳がじっと俺を見る。
口元を隠す手を、そっとどけさせる。
色素の薄い楚々とした唇からは、ふっ♡ふっ♡と浅い吐息が漏れている。
「モナ…」
最後に残った理性のひとしずくを込めて、絞り出すように名前を呼ぶ。
ここでモナが逃げないのなら、俺はもう止まれない。モナが嫌がっても泣いても、絶対に彼女をものにする。モナの、この美しく誇り高い女の一番奥に、俺を刻み付けてやる。絶対に、止まらない。
だから、嫌ならここで止めてくれ。押しのけて逃げてくれ。
そんな弱音と葛藤を込めて、モナの名前を呼ぶ。
葛藤に悶える俺を笑い飛ばすかのように、モナの手が俺の頬に触れる。
全てを許すような慈母にも似た笑みで、彼女は笑った。
「──運命には、逆らえません…♡」
モナの酒精混じりの甘酸っぱい吐息が熱く唇を撫ぜ、最後の理性が、蒸発した。
「んっ…♡ っふ、ん…♡」
欲望のまま、貪るようにモナの柔らかな唇を吸う。本能任せの、自分勝手で我儘なキスに、それでも彼女は受け入れ、合わせてくれる。
頬を撫でたモナの手が首の後ろへと回され、ぎゅっと抱きしめられる。思ったよりも強い腕の力に思わず息が漏れる。
「ちゅ…♡ ちゅる…んっ…♡」
漏れた息の隙間から、モナが舌を絡めてくる。
急かされるように舌先をつつかれ、ぎこちなくこちらも舌を絡めてみればほのかに杏の味がして、そこから先はもう夢中だった。
舌に互いの唾液を塗りこむような、甘く溶け合う粘膜接触。互いの唾液を混ぜあい、舌を吸いあい、唇を甘噛みしあって、俺達は粘膜での睦みあいに没頭した。
「んむ… ふ♡ …っは、はぁ…♡」
どれくらいそうしていただろうか。時間の感覚が曖昧になるほど夢中で絡まり合って、俺達の唇はようやく僅かな距離を取った。
互いの吐息が名残惜しげに頬をくすぐる。
「はーっ♡ …ふぅ…ふふっ♡ キスってこんなにいいものだったんですね 」
「博学なモナにも知らないことってあったんだ?」
「当たり前じゃないですか。 まだまだ知らないことばかりです」
くすくすと笑うモナが俺を抱き寄せ、耳元に口を寄せる。耳たぶを唇で食まれ、軽く声が漏れる。
「だから、あなたが教えてください …この先のことも、全部♡」
ぎゅっと抱きしめられ、耳元にキスをくれる。 ちゅっ♡と鮮明に響くリップ音に、こちらも負けじとモナの首筋に顔を埋めた。
息を吸えば瑞々しい桃のような甘い香りが肺を満たし、多幸感でくらくらする。酒よりよほど酩酊感がある気がする。
「ちょ、あ、あんまり嗅がないでください…あっ♡ あうぅ…♡」
モナが今日初めて見せた微かな抵抗の声色に、喜びと嗜虐心の沸き上がるままに思わず首筋で深呼吸すると、モナの体がぞくりと震えた。
モナの香りに包まれながら、首筋に吸い付く。
いい匂いまでさせて艶めかしく俺を誘う彼女の白い肌は、軽く吸うだけでうっすらと赤い跡が残る。
こんなに簡単にキスマークが付くなんて、モナの体はもしかしてマーキングされたがってるのかな?
「ちゅ…。 ちょっと吸うだけで簡単に跡付いちゃった…」
「あっ♡ ちょ、ちょっと、付けるならちゃんと隠れるところにしてくださいね?」
「じゃあ
「まぁそのくらいなら…あっ♡ 首はダメっ♡」
「チョーカーつけるじゃん」
「それでもダメです、隠しきれませんっ」
「隠す必要ある?」
「恥ずかしいじゃないですか!」
「え~?」
嫌がるモナが可愛くて、ついつい意地悪したくなってしまう。
右手でモナの太腿から上へ、体の輪郭をなぞるように撫で上げる。モナ自身に意識させるように、ゆっくりと。
「普段からこんなボディライン見せびらかすような服着てさ。 男はみ~んな、モナのこと狙ってるんだよ?」
「っ♡ し、視線を集めている自覚はありますがっ…♡」
「だからさ、付けてもいいよね? モナが俺のだってマーク。 見えるところに」
「~~~っ♡」
「モナが俺のだ」ってあたりで、モナの腕にぎゅっと力が入った。
「そ、そんなのなくても私はっ、あ♡」
「いっぱいつけるね」
「あっ♡ あう、胸元…♡ しょ、しょうがないですねぇ…」
首筋から肩へ、肩から鎖骨、そして胸元へと、下に移動しながらキスの足跡をつけていく。
モナの白い肌にキスマークは映える。キスの軌跡に点々と残る無数の赤い跡が、新雪に足跡をつけたようなほの暗い満足感を満たす。
「うぅ、そんな風に見られていたなんて…」
「ちゅ…。 そもそもなんで普段からこんなえっちな格好してるの?」
「ひ、酷い言われようですね…布地を節約した結果です」
「服ですらコスパ重視なんだね…。 じゃあさ、プレゼントした服なら着てくれる?」
「ぷ、プレゼントって、何を着せる気ですか。 …まぁ、あなたがどうしてもというなら着ますけど」
「お、言質とれた」
「本当に何を着せる気ですか!」
頬を染めてまんざらでもなさそうな表情。今度デートにでも連れ出して着せ替え人形にしてみようか。
モナは美人だから大体なに着せても似合いそうだ。鍾離先生みたいに「全部買おう」とか言い出さないように気をつけなければ。
「あんまり変なのだったら着ませんからね!」
「大丈夫大丈夫。 一緒に選ぼうね、キスマーク隠せるやつ」
「どれだけ付ける気ですか…んっ…♡」
胸元にバードキスを再開しながら、服の上からモナの胸に触れる。
モナの美しい胸の形をぴっちりと包む、伸縮性のある柔らかい服の生地。
動くたびに揺れ、普段から俺の視線を吸い寄せる魅惑のふくらみにようやく触れることができた感慨に、「おお…」と思わず声が出る。
感触を確かめるように、服の上からカリカリぷにぷにと胸を弄っていると、モナは半ば呆れたような顔になった。
「そういえば、さっきも胸元見てましたねぇ」
「うぐっ…」
「お尻に視線を感じることはよくありますが…あなたはこっちもよく見てますよね」
「…言い訳のしようもございません…」
目の前で揺れる美乳についつい視線を向けてしまうのは男の悲しき
むしろがんばって目を逸らそうとしてる日頃の努力を誉めてもらいたいくらいだ。無防備に揺れてるモナぱいが悪いよ。
「そんなにこれが好きなんですか? たいして大きくもないですよ?」
「モナの胸はまず何よりその形の美しさが素晴らしいと思うんだ。 手のひらにちょうど収まるくらいの、慎ましやかながらそれでいて確かに女性を感じさせるなだらかな曲線美が…」
「熱弁しなくていいです!」
わからないものを見るような目をしながら、モナが服のカップ部分をぺろりとめくる。
汗で蒸れたカップの下から、モナの甘い芳香がむわっ♡と広がる。
あらわになった、ふっくらと実った張りのある乳房とその上にぴんと立ったキスマークよりも少し色濃い桃色の乳首に、思わず感嘆の息が漏れる。
手で包むようにそっと触れると、指が沈み込む柔らかさと汗でしっとりと張り付く肌の滑らかさに、たちまち虜にされてしまう。
「おぉ……おおぉ……」
「…っん♡ 夢中になりすぎです…♡ もう…っ♡」
「だってこんな…おぉ…」
手の中で自在に形を変える柔らかな果実に、語彙力が急速に失われていくのを感じる。
このままいよいよモナの美乳にしゃぶりついてキスマークを付けるべく、膝を立てようとした時だった。
「っあっ♡ イっ♡ ん~~~~っっ♡♡♡」
「えっ」
前に出した膝にくにゅ♡と柔らかいものが当たって、モナの背がぴんとのけぞる。
跳ね上がったモナの腰がびくびくっ♡と痙攣する振動が、俺の太腿を震わせる。
「~~~っはあっ♡ はっ♡ はーっ…♡」
「…もしかして、モナ、イッた?」
「っっ~~~~~!」
耳まで真っ赤になった顔を両腕で必死に隠すモナ。
体を起こして手を彼女の股間に滑らせると、股布を軽く擦られただけでモナの腰がまたびくんと跳ね上がった。
「もしかしてモナって、すごく感じやすい?」
「そ、んな、こと…っあ♡」
「わ、すご、めちゃめちゃ濡れてる…」
モナの秘所は服の股布はおろか、シーツや太腿のタイツまで湿らせるほど、とろとろに蕩けていた。
布の上から軽く指先でくりくりと股肉を捏ねるだけで、モナは面白いように腰をくねらせる。
股布をずらして、タイツの股穴から指で直接触れる。驚くほど熱くどろどろに茹だった蜜壺が、溢れんばかりの愛液で指先の刺激に咽び泣いていた。
膣口はまだ弄ってもいないのに柔らかくほどけ、そっと指先を入れるときゅっ♡と軽い締め付けで甘えてくる。
「っ…♡ も、もう、大丈夫ですから…♡」
「?」
「い、入れて、大丈夫ですから…♡ じゅんび、できてますからぁ…♡」
腕で顔を隠したままのモナが、必死に続きを促してくる。
こんな姿を見せられては、我慢なんてできようはずもなかった。
下着ごとズボンを下ろす。ガチガチに勃起したペニスが勢い余ってぺちりと腹筋を叩いた。
先端はもう先走りでどろどろになっている。正直、キスマークをつけまくっていた時点で既に我慢は限界ギリギリだった。
脚を開かせ、陰唇をかきわけて亀頭を膣口に食い込ませる。亀頭に触れる粘膜の熱さだけで、射精しそうなほどに気持ちいい。
「入れるよ」
顔を隠したままのモナが無言でこくりと頷いて、口元を隠していた手で俺の手首をぎゅっと握った。
…にち♡ ぷちん♡ みちみちみちっ♡
「っく! ふぐ…うっ…!」
苦しげに呻くモナの狭い膣肉をかき分けて、雄の欲望が浸食をはじめる。
モナの柔肉はにゅるん♡と待ちわびていたかのように俺のペニスを受け入れ、そしてそのままの勢いで処女膜の突破を許した。
カリ首のあたりに、ぷちっとなにかを突き破った感触。
「うぁ、入って…っ!」
熱い膣内は狭いながらもどろどろに濡れそぼっていて、亀頭で押し込めば従順に道を開き、驚くほどあっさりと最奥へ俺を招き入れた。
こつん♡と亀頭が子宮口に当たる。変化はその時だった。
きゅん♡ ぎゅううぅっ♡
今までの従順さが嘘のように、膣壁全体が収縮してペニスを締め付ける。
ただでさえ狭かった処女肉が、さらに強い締め付けで待ちわびた来客をもてなす。
火照った幾重ものひだが逃がすまいとペニスに絡みついて、その熱で俺とモナの境目を溶かすような強烈な快感が快楽神経を炙る。
モナの怒涛の反撃は、俺のちっぽけなプライドや我慢なんて粉々に吹き飛ばしてしまうような破壊力を秘めていて…。
「ぐ、おっ! これ、ヤバ、っ! 出っ…!」
どぷぅっ♡♡ どくっ♡ どくっ♡ どくっ…♡ とくっ…♡
「ぅあっ…♡ ぁ…おく、あったかい…♡」
捕まえて離さないとばかりの熱烈な膣抱擁に、たまらずモナの一番奥で精液を解き放ってしまう。
ただ奥まで挿れただけ、まだまともに動いてすらいないというのに、視界が真っ白になるほどの強烈な快感が脳を灼いた。
どくどくとペニスが脈打つ。射精の快楽に下半身全体ががくがくと震え、モナにのしかかるように体重を預ける。
「…ふふ、ナカに出されちゃいました…♡」
暴発の情けなさ、射精の気持ちよさ、妊娠の可能性。蕩かされた脳裏に様々な思いがよぎり、けれどまともに思考できない頭には処理が重すぎて、凍結したように何も考えられない。
倒れ込んだ俺にトドメを刺すように、鼓膜にモナの嬉しげな声が響いた。
「モナ…ごめ…」
「なんで謝るんです? 」
乱れた息を整えながらモナの顔を窺うと、微笑みながらもきょとんとした様子。
「だって、気持ちよすぎたからって中に…」
「いいんですよ。 どうせ今日はデキない日ですし」
あっさりと言い放つモナ。
不確定事項をそんなさも当然のように…いや、まさかそこまで計算の上だったのだろうか?
星を見て運命を知る占星術師モナ。時には
デキるデキないの二択なんて、彼女にとっては簡単に見通せるものだったのかもしれない。
「これで終わりってわけでもないでしょう?」
モナの脚が腰をぎゅっとホールドしてくる。期待を滲ませる声と腰の密着感に、射精で硬度を失ったペニスがにわかにむくむくと起こり勃つ。
襲っていたつもりが、気付いたらモナにリードされまくっている気がする。
…あれ?もしかして俺、最初から掌の上?
「それに…私の
目の前の少女の底知れなさに戦慄する俺を尻目に、モナの手がいまだ俺を咥え込んだままの自身の下腹部を撫でる。
「モナは大丈夫なの? 痛くない?」
「痛みはあまり…圧迫感でちょっと苦しい程度です」
既にどろどろに濡らしていたせいか、ろくにほぐしていなかったはずなのに、モナの表情は平然としたものだ。本当に痛みは少ないのだろう。
「まぁ、しばらくこうしてようか」
「いいですよ。 キスももっとしたいですし。 んっ…♡」
モナの腕が背中に回され、体ごと唇が密着する。
吐息と唾液が混ざり合い、モナの柔らかな胸が胸板でつぶれ、腕と脚がもっともっとと俺を抱きしめる。
「んむ…♡ …ちゅむ♡ …ぢゅ、ちゅるっ…♡ ふっ…♡」
互いを隔てる服の厚さがもどかしい。けれど、服を脱ぐたった数十秒だって離れる時間が惜しい。
きっとモナも同じ思いだったのだろう。長手袋を脱ぎ捨てた腕が服の中へと滑り込み、ぴったりと素肌が合わさった。
「ちゅ…♡ ぴちゅ…♡ ん♡ …っふ…♡ はぁ…♡ はーっ…♡」
「はぁ…モナ…んっ」
「…ちゅ♡ ふ…っ♡ いけませんね、ずっと続けてしまいそうです」
「いけないの?」
「いけなくはないですけど…そろそろ
声にあわせて、モナの膣がきゅっとペニスを締め付けてくる。
「もう動いても大丈夫ですよ」
「じゃあ、ゆっくり…」
「ええ。 …んっ」
催促されるがままに、ゆっくりと抽挿を開始する。
短いストロークだというのに熱い膣肉が絡みついて、快楽神経をじりじりと炙られるような気持ちよさに、思わず腰を思い切り叩き付けたい衝動に駆られる。
衝動をなんとか理性で押さえつけ、とん…とん…と亀頭で子宮を小突いていると、苦しげな息をしていたモナの口から少しずつ甘い声が漏れはじめた。
「うっ…♡ ふっ…♡ ふぅっ…♡ う゛っ…♡ ふっ…♡」
「モナ、奥が好きなの?」
「わっ、わかりませんっ♡ おくっ♡ あたるたびっ♡ じんじんするの、ひろがってっ♡」
「じゃあ、もっとしてあげるね」
「ふっ…♡ うあ゛っ…♡ ダメっ♡ だめです♡ ぐりぐりだめっ♡」
腰を密着させて円を描くように亀頭で子宮を捏ねくりまわすと、モナはイヤイヤとかぶりを振ってシーツをぎゅっと握りしめる。
「はじめてなのに奥で気持ちよくなっちゃうなんて、モナってもしかしてすっごくスケベ?」
「なっ、なんてこと言うんですっ♡ ちがっ♡ ちがいますからっ♡」
「違わないでしょ。 さっきまで処女だったのに、もうこんなに甘い声出して。 エッチの才能あったんだって絶対」
「ちがうっ♡ ちがうんですっ♡」
「占星術だけじゃなくてセックスの才能まであるなんて、モナは多才だなぁ」
「ほっ♡ 褒めてませんよねっ♡ ぜったいっ♡」
悶えるモナの手がふいに枕の下をまさぐって、ぺち、と俺の胸板に何かを押し付けてくる。
「…小瓶?」
ぽとりとシーツの上に落ちたそれは、親指ほどの小さなガラス瓶だった。
中身は既に空だが、底のほうには赤い残滓がわずかに残っている。
「これは?」
腰の動きを止めて問いかけると、モナは顔を真っ赤に染めて目を逸らした。
「…烈火のオイルとググプラムの種から作った……その……び、媚薬、です……」
「媚薬!?」
ググプラムの種は鎮痛効果があったはず。烈火のオイルは…そういえば副作用が「使用者が情熱的になる」とかだったような気がする。
そんなものがなんで?盛られた?
いや、まさか…。
「
瞬間、頭の中で燻っていた小さな違和感全てが繋がった。
パイモンの飲酒計画を止めなかったこと。
初めて同士だったはずなのに妙なリードの上手さ。
ろくにほぐしたわけでもないのに、痛がるどころか快感まで感じる姿。
そして押し倒した時に彼女が口にした『運命』。
モナは知っていたんだ、今日俺がモナを押し倒すって。
モナの初めてを奪うのは──運命の相手は、俺だって。
「だからその、はじめてなのに気持ちよくなっちゃうのは媚薬のせいなので! 私がいやらしい女だとか、え、えっちの才能あるとか、そういうのじゃないんです!」
顔を真っ赤にしながら、スケベじゃないアピールに必死なモナ。
…だがちょっと待って欲しい。
「…部屋に男を上げて、自分に媚薬まで使って襲われ待ちって…スケベ否定できるところなくない?」
「なあ゛っ…!」
むしろ「才気溢れる天賦の無自覚えっちボディ」よりも「媚薬を用意してまで襲われるのを楽しみにしてた敏感処女」のほうが、自発的なぶんエロいと思う。
計画的えっちムーブを自白して盛大に自爆したモナの淫肉が、恥ずかしがるのに合わせて締め付けを強くする。
ぱちゅんと強めに突き込むとびくっ♡と腰が震えた。
「もしかして、自分がどれだけエロいことしてるか自覚してなかった?」
「~~っ♡ そんなっ♡」
「そんなに楽しみにしてくれてたんだ?」
「っ♡ し、て、ました、けどぉ…♡」
羞恥に顔を朱に染めて、目元を腕で隠して恥じらいながら、モナはそれでも素直に思いを告白してくれた。
普段は凛として理知的な、誇り高い少女・モナ。
そんな彼女が、俺に押し倒されるのを楽しみにしていた、なんて可愛いことを言う。
こんなにも俺を求めて、俺に求められるのを待ち望んでいたのだという実感に、モナへの愛しさが溢れ出し全身を駆け巡る。
衝動のままに腰使いが荒ぶり、目元を隠す腕を強引にはぎ取って情愛まかせに口付ける。
「やぁ♡ 見ないで…んむっ♡ ふっ♡ ん~~~♡ っは、あっ♡ あんっ♡」
「っは、ふっ。 モナっ! 好きだ、モナっ!」
「ぅあ♡ わたっ♡ わたしも♡ ずっとっ♡ っう♡」
「出るっ! 出すよモナっ! っ、ぐうっ!!」
「はいっ♡ くださっ♡ あっ♡ イっ♡ ~~~~~っっ♡♡♡」
ずぱんっ!と一際強く突き上げて、亀頭の先を子宮口にぐりっ♡と押し当てる。
びゅぐうっ♡♡ びゅぐっ♡ びゅるるるっ♡
意識が白熱し、脳が焼き切れるような途方もない射精快楽。
がくがくと下半身が震え、その振動がトドメとなったのかモナの腰も絶頂にびぐんっ♡と跳ねる。
熱く蕩けた膣肉がぎゅうっ♡とペニスを締め付けて、精子が吐き出されるそばから飲み干されていく。
「ぐ、お…っ! ヤバ…すごい出る…!」
「~~っ♡♡ っあ♡ はあっ♡ はっ♡ はっ♡ はーっ♡ はーっ…♡」
全力疾走もかくやと言わんばかりに息があがり、吐精後の心地よく重い疲労感に包まれる。
気怠さにまかせてのしかかるように体重を預けると、モナは優しく抱きしめてくれる。
モナの穏やかな声が、乱れた呼吸の中でそっと俺の名前を呼んだ。
◇ ◇ ◇
「そういえばさ」
「なんですか?」
「モナはなんで今日がその日だって知ってたの?」
モナの横に仰向けになって、乱れた息を整える。
「占星術師って自分の運命を占わないんじゃなかったっけ?」
「自分の運命を占ったわけではありません。 見たのはあなたの運命です。」
ふと浮かんだ疑問を問いかけてみると、モナはこともなげに言い放った。
…俺の運命って見通せないんじゃなかったっけ?
「運命は、その個人ただひとりのものではありません。 人は一人で存在することはできません。 親がいて、友人がいて、恋人がいて、子供がいて。 そういった互いに影響を与え合う存在が、多かれ少なかれ人には必ず存在します」
「まぁ、それはそうか」
「そうです。 そういった、星々が互いに影響を与え合うことを、占星術では『運命が交わる』と言います」
呼吸を鎮めたモナが、だんだんと普段の占星術師の口調になっていく。
「あなたはテイワットの人間ではないので正確な運命が見通せない、と言ったことを覚えていますか?」
「うん。 モナに初めて会った時のことだよね」
「ええ。 あなたの運命は、靄がかかったようにぼやけていて、非常に読み取りにくいのです。 …おそらく、この世界の運行規律では異世界の人間を推し測ることができない、ということなのでしょう」
現状では妹を探す手掛かりになるものは見ることができない、と申し訳なさそうに言っていた彼女の姿を思い出す。
「なので、手法を変えました。 あなたの運命を直接見るのではなく、運命が交わったテイワットの人間を中継することで、間接的にあなたの運命を観測する。 …言ってみれば測量のようなものですかね。」
運命に直接ものさしを当てるのではなく、複数の観測点から運命を推し測ろうとする試み。おそらくはモナの天才的な技量あってこその手法なのだろう。
「それでまぁ、手始めに運命の交わった私自身を中継してあなたの運命を観測してみた、というわけです。 もっとも、私が関わる部分の、それもごく一部しか、はっきりしたものは見えなかったのですが」
私もまだまだ未熟ですね、とモナが苦笑する。
「妹さん探しの手掛かりを占ってあげられる日は、まだまだ遠そうです」
「そっか…色々考えてくれてたんだな、モナも」
「礼には及びません。 『世界の真実』へのアプローチがひとつ増えたのは私としても望むところですから」
それに、師匠ですからね。とモナは俺の顔を見て穏やかに微笑む。
「まぁそんなわけで、さほど重要な『運命』は見れなかったのですが…」
「…ですが?」
「見たものの中に、まぁ、ちょっとした、プレゼント的な予言があります。 しかと聞いてくださいね、一度しか言いませんから」
そう言ってモナは悪戯っぽい笑みを浮かべて、俺の耳元に口を寄せた。
「──あなたと私の娘が生まれるのは、四年後です」
告げられた予言の内容に、ばくん、と心臓が鳴る。
驚きに振り向いた先の彼女は慈母のような優しい笑顔をしていて、それでいて瞳にはぞっとするほどの妖艶さが滲んでいて。
占星術師から女のものへと変わった吐息で、「だから」と艶やかな唇が綴った。
「──だからそれまでは…
理性を粉砕する魅惑の囁きにぐぐぐぐっ、とペニスがにわかに硬さを取り戻す。
そのまま延長戦にもつれ込んだ結果、寝坊してパイモンに叩き起こされたのは順当な結果であった。