早朝からぐっすり寝入って昼過ぎに目を覚ましたモナとふたり、あとからエウルアとパイモンも交えて四人で一日のんびりと過ごして、『モナの抱き枕デー』も気付けば終盤。
肉の焼ける音と煮込まれるスープの香りにそわそわと飛び回るパイモンを横目に三人で夕食を作って、食べ終わる頃にはもうすっかり夜の帳は下りていた。
「これ、余っちゃいましたねぇ」
俺の部屋へと戻ってきたモナが揺らす手の中には小瓶がひとつ。
小瓶。
赤い媚薬が入ったそれは、モナからの「助言」に同封されていたものだ。
「そういえば、助言と一緒にくれてたのに、なんでエウルアにも渡してたの?」
ふと浮かんだ疑問を口にしてみる。
「本人に渡すなら、それはいらなかったんじゃ?」
「…あなたに助言を渡したあとになってから、もっといいレシピを見つけちゃったんですよ。 モンドの図書館で」
手の中で揺れる小瓶の赤い水面を眺めて、まったくオババは…とモナがぼやく。
「この『魔女の秘薬』は昔からある伝統的な錬金薬剤のひとつなのですが、古くから伝わっているだけあって、どうやらレシピにかなりの派生というか地域差があるようでして…」
「地域差?」
「場所によって植生や材料の手に入りやすさは違いますから、それに合わせてレシピや名前が変わっていくのはままあることです。 モンドでは『恋人の
「へぇ〜…」
「モンドにおいては、特産品のググプラムを使うことで鎮痛作用を強め、同時に烈火のオイル自体の薬理作用を弱めるように改良が施されていったようです。 オババから教わった、化石みたいに古臭~いレシピよりも明らかに使い勝手がよさそうだったので、実際に使ったのはそちらなんです」
「具体的にはどう違うの?」
「烈火のオイルは元々、塗布することで炎元素の獲得能力を一時的に向上させる薬剤ですが、特定の元素力に偏って取り込むことで人体には副作用が現れます。 炎元素の場合は体温の上昇、血行の促進や興奮作用などですね。 『魔女の秘薬』はこの烈火のオイルの副作用を強めることで強い興奮によって痛覚を鈍化させるアプローチだったのですが、『恋人の水薬』はググプラムの鎮痛及び筋弛緩作用を用いることで過度な精神作用に頼らずに…」
「…専門的なことはよくわかんないんだけど」
「…あなたもたまに、理解力がパイモンになりますよねぇ」
食後の満腹感のせいか、説明が全く頭に入ってこない俺に呆れ声になる
まぁ、よくわからないけど改良版があるならそっちのほうがいいか、なんて、なんとなく納得しかけたところで──
「…わからないなら、試してみますか?」
蠱惑的な誘い文句とともに、モナの唇が妖しく弧を描いた。
◇ ◇ ◇
「…ほんとにやるの?」
「もちろんです♪ さあ、横になってください」
常夜灯のみに照らされる薄暗いベッドの上、モナが楽しげにコップの水をかき混ぜる。
コップ半分の水に、中和したスライムの粘液と『魔女の秘薬』をひと瓶入れてよく混ぜる。軽く掬ってみせれば、ねばついた液体がてろりと糸を引く。出来上がったのは手製の媚薬ローションだった。
「ふふん♡ あなたにはいつもいいようにされてばっかりですけど、今日ばかりはそんな余裕があると思わないことです♡」
にまにまと笑みを湛えて腿の上に陣取るモナに押されるがまま体を横たえる。『神の目』の力でコップの中から媚薬を溶かした水球がふわりと浮かび、モナの手の中へと吸い寄せられる。
どうやらこの「試してみる」というのは、「俺に使って」ということらしかった。
「お、お手柔らかに?」
「そんなこと言って、
「それはまぁ…ここ一週間くらいモナとできてなかったし…」
エウルアに配慮して、このところは禁欲生活が続いていた。モナとはスキンシップこそしていたものの…いや、していたからこそ「その先」へ進めないフラストレーションは蓄積していく一方だったし、しまいにはエウルアにまで物理的に距離を詰められて、今や俺の獣性はだいぶ煮詰まっている。
率直に言って「溜まっている」のだ。エウルアに押し倒されてもなんとかギリギリ持ちこたえた自分の理性に拍手を贈りたいくらいに。
「ふふ、なら我慢してた分をたっぷり吐き出させてあげます♡」
欲求不満からの解放を求めてガチガチに勃起したペニスに、媚薬を纏ったモナの手がゆっくりと近付いていく。
ぬち、と、粘つく音を立てて、細く白い指が亀頭に絡み付く。
「うっ……!」
「ふふ、触っただけでびくっ、て♡ ……ほら、気持ちいいですか~?」
ひんやりとしたローションの奥から、モナの手のひらの温度が伝わる。
竿全体を包むようにしてゆっくりと上下する手の動きは、普段彼女が俺にしてくれるものよりも遥かに緩慢。じっくりと焦らすように、白く細い指先が期待と興奮をかき混ぜる。手の動きに合わせて、晒されたモナの美乳がふるふると揺れ、それが熱を持ちはじめた快楽神経に響いてますます勃起が硬度を増す。
「う、ぁ……っ! これ、すぐに出そうかも……っ!」
「まだ媚薬は効いてないはずですが」
「久々だから敏感で……」
「あらら…でもダメですよ? せめて薬効が出るくらいまでは我慢です♡ ……んふふ、たまには私が攻めるというのも気分がいいものですね♡ 」
普段は攻められる側を好むモナの、攻守逆転甘攻め手コキ。
たっぷりの粘液にまみれた手で、わざと焦らすようにさわさわと撫で滑る指技の刺激はもどかしいばかりで、思わず漏れかかる情けない声を必死に堪える。
瞬く間に息が上がり、鼓動が早まる。モナの指先がぬち、ぐち、と音を響かせるたびに体が震え、下腹の熱がどんどんと高められていく。
「ぅあ……っ、はー…っ、はー……」
「そろそろ、効きはじめる頃合いでしょうか」
やわやわと撫でるだけのじれったい指技に耐えること幾ばくか、ふいにモナの手がぴたりと止まった。
焦らされて煮えたぎった欲望のせいか心臓の鼓動はうるさいほどで、ちりちりと弱火で炙られるような攻めに股間のリビドーは今や爆発寸前だ。
「『魔女の秘薬』はその機序の関係上、どうしても薬効に感情が引きずられすぎてしまうのが難点だったんですよねぇ」
「はぁ……っ、なに、を……」
「簡単に言うと興奮作用が強すぎるんです。 鎮痛成分なしに痛みを誤魔化せるほどの興奮ですから、とても理性的ではいられません。 本能に基づく感情が増幅される、と言ったほうが正しいでしょうか」
そう言ってモナが、ローションでどろどろになったペニスに両手を添える。
にまぁっと意地悪げな笑みを浮かべたモナを見上げて、ぞくり、と快感とは別の震えが走った。
「──つまりこれからあなたは、本能的な『好き』とか『嬉しい』とか『気持ちいい』とか、そういった感情で頭がいっぱいになっちゃうんです、よっ♡」
「ぅあ、ちょ、待っ…でッ……!」
「待ちません♡」
言いながら、モナの攻めが再開される。先ほどまでのくすぐるような焦らす攻めではない。両手でしっかりとしごきあげ、強めの刺激で絶頂へと導く本気の攻め。
にちゃっ!ぐちゃっ!と激しい水音をたてる手の動きに、腰の奥底からぞわぞわとした感覚が瞬く間にせり上がってくる。
「はぁ、あ゛あっ……!」
「まずはいっぱい
「っく……! ぅううっ……!」
「ほぉら、気持ちよくなってください……っ♡」
「ぐぅう……っ! 出、る……ッ!」
張りつめた亀頭をぬるぬるの手のひらがぎゅっ♡と包んだ瞬間、視界が明滅した。びゅぐっ♡♡びゅるるっ♡♡♡と勢い良く白濁液が噴き出し、モナの手のひらに受け止められていく。一週間分の溜まりに溜まった大量の精液が、どくっどくっと力強く脈打ちながら繰り返し吐き出される。
「はッ、はーっ、はーっ……!」
「ふふ、たくさん出ましたねぇ♡ においすっごい…♡ ほら、見てください。 熱くて濃いのがこんなにべったり」
「はぁ……っ、はぁ……」
禁欲からの解放感と吐精直後の虚脱感に苛まれながらも、しかしペニスは萎える気配がない。再びどくんどくんと下半身に血液がめぐっていくのを感じる。ここ一週間で煮詰まっていた欲望が解き放たれたせいか、むしろ一度の射精を経て更に硬度を増しているようにすら思える。
「んふ、まだかちかち♡ 当然、一回出しただけじゃ足りませんよね?」
「っはぁ……くぅ……っ!」
モナの言葉通り、俺の欲望はまだ満たされていない。気持ちいい、もっと強い快楽が、モナが欲しいと全身が訴えかけている。腿と腰のあたりでしかモナの体温を感じられていないのが寂しくすらある。
「ほらほら、まだまだこんなものじゃないですよ♡」
べったりと精液を貼りつかせた両の手が再度ペニスを包み込み、上下運動が再開される。
にちゃっぐちゃっと淫音を響かせながら吐精直後の敏感な裏筋を責め立てられ、そのあまりの快楽に腰が痙攣し跳ね上がる。
「ぅあぁ!? ちょ、待ってモナ……ッ!」
「待ちません♡ ふふ、かわいい反応…♡ もっともっと気持ちよくなりましょうね♡」
「くうっ、あっ! うあぁっ!」
竿全体を優しく揉まれ、手のひらでぐじゅぐじゅと亀頭を捏ねられる。ぬるつく手の動きが的確に弱点を刺激して、ただひたすらに甘美でかつ暴力的な快楽を脳髄へと流し込んでくる。
媚薬の興奮作用も相まってか、射精から数分と経たずに二度目の絶頂へと押し上げられてしまう。
「くっ、うぅ……!」
「んふ♡ もう限界ですか? さっきより早いですね♡」
「だって、これ……っ、刺激、づよ……っ!」
「今日は我慢しないで、全部出して良いんですよ?」
強烈な快楽に明滅する思考。淫らな水音に混じって囁かれる甘い誘惑に抗うことができない。
尿道を駆け上ってくる熱い濁流を必死に堪えようとするも、モナの手はそれを許してくれない。
気持ちいい。気持ちいい。気持ちいい。
「はい、にかいめー……っ♡」
「ぅ、あ゛あぁぁぁぁぁぁっ!!」
とどめとばかりに強く扱きあげられた瞬間、目の前で真っ白な光が弾け、意識が快楽に染まった。
びゅぐぅっ♡♡♡と、二度目の射精とは思えない量の白濁液がモナの手の中にぶちまけられていく。
「あはぁ♡ またいっぱい出ましたねぇ♡」
「はぁ……っ、はぁ……っ、はー……」
「んふふ~♪ でもまだまだ終わりじゃないですからね?」
荒れた呼吸がなかなか戻らない。夢見心地というのか、思考に靄がかかったようにぼやけて、難しいことが考えられない。
上機嫌なモナが粘液にまみれた指の腹で肉棒の先端をくりくりと捏ね、たったそれだけの刺激で俺の体が跳ね上がってしまうのを見てはくすくすと笑みを零す。
「せっかくですから、手でもう一回くらい出しておきますか?」
なにが「せっかく」なのか。二回ぶんの白濁でべっとりと汚れた手をタオルで拭いながら恐ろしいことを言うモナに、反射的に手が動いて腕を捕まえ、そのままの勢いで彼女を引き倒す。
耳に届く小さな悲鳴。驚いた顔がかわいい。のしかかられる重さが嬉しい。ようやく体全体で感じられた体温が心地良い。
「……もう♡ いきなりなんですから」
「はぁ……モナぁ……」
「ん、ちゅ……っ♡ ふふ、我慢できませんか♡」
甘やかすようなくちづけが嬉しい。間近で感じる吐息が愛しい。耳に染み込むような優しい声が心地いい。
「でも、今日はまだ主導権は…んっ♡ あげませんっ、からぁ…っ♡」
覆いかぶさった体勢のまま、片手と腰の動きだけでぬぷぬぷと、いきり立った剛直がモナの中に飲み込まれていく。
どろどろにほどけた膣肉が、ねっとりと絡みつく肉襞が、一週間ぶりのつがいの帰りを熱烈な抱擁でもてなしてくれる。
「うあぁ……モナぁ……」
「ふ、うぅ…っ♡ 秘薬のせいでいつもよりあっつい……♡ やけどしちゃいそうです♡」
俺の肉槍が挿入っていくごとにモナの声色に艶が混じり、媚声へと変わっていく。
喉元に感じる吐息が熱い。モナの興奮が伝わってきて、それだけでまた嬉しくなる。
くにゅっ♡と先端が最奥にキスをすると、ぎゅゔっと体に力が入り、びぐんっ♡とのしかかった肢体が震えた。
「ぅあ゛…っ♡♡ ……っはっ、はあぁっ♡ ……うぅ……奥まで挿入れただけでイかされるの、ずるくないですか? 今日は私が攻めてるはずなのにぃ……っ♡」
躰の芯をびくつかせながら、モナが恨めしそうな声をあげる。我慢していたせいで敏感になっているのはお互い様らしい。
恋人になって以来すっかり慣れ親しんだモナの秘肉にきゅんきゅんと締めつけ舐られると、なんというか「帰ってきた」ような安心感があって、その心地よさにすぐにまたぐつぐつと射精感がこみ上げてくる。
『秘薬』で高められているせいか、モナが少し腰を動かせば、たったそれだけの刺激がたまらなく気持ちよくて、思うままに情けない声をあげさせられてしまう。
「ゔ、んっ♡ ふっ♡ ……んふ♡ 『好き♡』『大好き♡♡』」
慣らすようにゆっくりと体を揺すりながら、いかにもわざとらしく囁かれる睦言が脳髄を溶かす。ぞわぞわと痺れるような甘い痒みが頭の中をくすぐり、どろりとした蜜のような幸福感が鼓膜から脊髄を伝って心臓へと流れ込んで、全身にめぐっていく。
モナが俺の意識を
「はぁっ……!モナっ、モナぁ……!んむっ」
「ちゅ…ちゅく……んん♡ ん、っはぁっ♡」
すき。モナすき。モナかわいい。すき。
蕩けた思考の全てがモナへの慕情で染まっていく。
もはや口から意味のある言葉は出てこない。ただただ己の内から溢れ出した熱情が唇からこぼれ落ちていくだけだ。
モナもそれがわかっているのか、微笑んでは舌を絡めながら唾液を流し込み、こちらの言葉を飲み込ませてくれる。
「れる……っぱ♡ はぁーっ……♡ はぁぁ……っ♡ んふふ~……♡♡」
モナの目が蕩けている。俺もきっと同じ目をしているだろう。繋がったまま抱き合って、お互いの熱を交換し合う幸福な時間。いつまでもこうしていたいと思う一方で、もっと激しくモナを感じたくてたまらなくもある。
そんな欲望に応えるように、ぬちっ♡ぐちっ♡とモナが腰を振る。下腹をすりすりと擦りあわせるように体を前後にスライドさせて、子宮口で幾度も熱いベーゼをかわし合う。すっかり硬くなった乳首が動きに合わせて胸板の上を滑っては、その甘くむず痒い摩擦快楽にどちらともなく体が跳ねる。指を絡ませぎゅっと握った手が、体重いっぱいの力でベッドに押し付けられた。
「ん、あっ♡ ふうぅっ♡ すきっ♡ んう゛っ♡ すきぃ♡」
モナの唇と舌がぺちゃぺちゃと首筋を這いまわり、へっ♡へっ♡と喉元に熱い吐息がかかる。
わざとらしく囁いていたはずの言葉に、いつしかモナ自身も飲み込まれ、キスの合間からは艶声と愛慕の情ばかりが溢れ垂れ流される。
甘イキを繰り返しては不規則に痙攣する肉壺に、射精欲求は否応なく高められ、無意識のままに腰が動いてはその刺激でまたモナが気をやる快楽の無限ループ。モナの体もまた貪欲にそれに応え、肉棒に吸い付き、ざわめくようにうねり、搾りとろうとする。
もう、限界だった。
「っ……モナぁっ!!」
「あ゛ッ!?ひぎゅぅう゛ッ♡♡♡」
ぐりっ♡と亀頭が最奥を思い切り突き上げた瞬間、視界が真っ白に染まった。
「っお゛、ぉおお゛……♡♡♡ ~~~っ……っ♡♡♡♡」
モナの身体が暴れるように跳ねあがり、白い喉が弓なりに反り返る。ぎゅっと繋いだ手が震え、腹筋が激しく脈打って、秘肉が剛直を絞り上げる。
どぷぅっ♡どぽっ♡と音を立てるほどに鈴口から放たれた精液が、モナの胎内を白く染めていく。
「ゔぅ……っ♡ あつ……っ♡♡ ん゛っ、ぅう ♡ ゔぅぅううぅうぅ……っ♡♡」
絶頂の余韻にがくがくと震えながら、モナが体を丸め、俺の胸に顔を押し付けて呻き悶える。結合部からはごぽっ♡と泡立った子種があふれ出し、肌をつたってシーツにこぼれ、シミを作っていった。
やがて荒く息をつくモナの体から力が抜け、ぐったりとしなだれかかってくる。互いの汗で湿った肌が触れ合い、呼吸と鼓動を共有する。
「はぁ、はぁ……っ、んぅ……♡ ふぁ♡ ……んむ……んちゅ……♡」
どちらからともなく唇が重なりあう。
充足感と倦怠感の中でねっとりと舌を絡ませるうちに、また性懲りも無く熱が上がってきて、収まるかに思えた情炎が再び火勢を取り戻していく。
「ん、はぁっ……は~っ♡ ……んふ♡ まだ、ですよね?」
熱い息で唇をくすぐりながら、モナが笑う。とろんとまなじりが垂れた、快楽に浸りきった淫らな笑みがまた次の快楽へと誘う。
微睡むような幸福感と快楽の余韻に揺蕩いながら、俺は最後にわずかに残った理性の欠片を手放した。
◇ ◇ ◇
桃色の淫霧にぼやけ、熱に浮かされたような意識がふと微かに我に返る。
体を起こして、荒くなって久しい呼吸を戻そうと深呼吸する。濃厚な性臭で満たされた生ぬるい部屋の空気が胸いっぱいに流れ込み、ずくん、とまた芯が疼いた。
仄明かりに照らされるベッドの上。見下ろす先には、もうすっかり嬌声以外をあげられなくなったモナが、ぐったりとうつ伏せに体を投げ出している。
法悦に浸ったまま互いの体液に塗れた尻を後背位に掲げ、数え切れない絶頂の残滓に息を切らせ痙攣が収まらないでいるモナの肢体。『偉大な占星術師』の名前とは遠くかけ離れた淫蕩に堕ちきった姿が、圧倒的な征服感でもって暗い愉悦を満たす。
ぬぽぉ…♡と未だ硬いままのペニスを引き抜けば「ん゛ぉ♡」と雌の鳴き声が漏れ、秘肉にぽっかりとあいた穴から湯気立つような子種がどろりと溢れて糸を引いた。
……あぁ、こぼれちゃった。また注がなきゃ……。
もう何度出したかなんて覚えていない。だが目の前に裸のモナがいる、ただそれだけで興奮が沸き立ち、体の芯から熱い何かが溢れてとまらない。まだ何度だって交われる、そんな気がした。
足りない。まだ足りない。もっと抱きしめたい。もっともっと気持ちよくなりたい。
朦朧とした意識が求めるままに、震える桃尻に手を伸ばす。
と──
「──そこまでよ」
後ろから伸びてきた手が、腕を掴んでそれを阻んだ。
熱の籠った部屋の空気に、凛とした声が響く。ひやりと冷たい手が、火照った肌を心地よく冷ます。
「えう、るあ……」
常夜灯の明かりに、エウルアの涼やかな美貌が照らしだされる。
袖無しの白シャツにショートパンツのこの姿は…ナイトウェアだろうか。洞天で生活を始めてから見るようになったラフな格好のエウルアは、普段の凛々しい騎士の出で立ちよりも、なんというか、年頃の女の子らしさみたいなものに溢れていて、見るたびに普段とのギャップで否応なくドキドキさせられてしまう。
「…凄いことになってるわね。 モナ、これ大丈夫なの?」
俺を制したエウルアが、気遣うようにモナの体を揺する。下着はつけていないのか、動きに合わせて揺れる豊かな胸に自然と目が吸い寄せられる。ここ一週間さんざん近くで見せつけられ、悶々とさせられ続けた美女騎士の肢体が、今もまた目の前で誘うように揺れている。
……ああ、でもそっか。もう、触れてもいいんだ……。
だって恋人だし、と、呆けた頭にそんな考えがぼんやりと浮かんで、それに唆されるままに体は勝手に動いていた。
「……これはどういうつもり?」
後ろから覆いかぶさるようにぎゅっと抱きついて、うなじに顔をうずめる。ひんやりした体温が、熱くなった体に心地良い。深く息を吸えばミントのような爽やかな香りが鼻孔を突き抜けて、茹だった脳と元素反応を起こした。
……いいにおい。すき。
「やっ…♡ こら! 嗅がないでよ!」
恥ずかしそうな声、かわいい。もっと聞きたい。すき。
「何言って…ひんっ♡ ちょ、ちょっと! やめなさ…んむっ♡ ん〜〜……っ♡♡」
すき。エウルア、すき。すき。
「っ、やめっ♡ み、耳元で囁かないでっ! んっ、やあっ♡♡ うらっ、うらむからね! んんっ♡ ……ちゅ♡♡」
微かに葡萄酒が香る唇の味。腕力は俺以上のはずなのに、全く力の籠っていない抵抗がいじらしい。まだ耳慣れない、鼻にかかったような甘い声が興奮の炎に薪をくべて、キスにも熱が入った。
温度差のあったふたりの体温は、絡み合いながら混ざりあって、やがてその境界をなくしていった。
◇ ◇ ◇
で。
翌朝。
「…ふーん、それで? なにか言うことは?」
「「ごめんなさい…」」
起き抜けに、巻き込まれたエウルアに二人して怒られるのは、至極当然の結果だった。
腕組みをして俺とモナを見下ろすエウルアのラフな部屋着のそこかしこについたシミが、昨晩の俺の蛮行を責め苛む。
…正直言って、昨晩のことは途中からは曖昧にしか覚えていない。が、ベッドの惨状と
モナが言っていた「使い勝手が悪い」って、こういうことだったのかぁ…。
「…『魔女の秘薬』、だったかしら? そもそもなんで使おうなんて思い至ったのよ」
「うぅ、出来心だったんですよ…。 『
一部始終を説明し終えたモナが、ばつが悪そうに動機を白状する。
「媚薬の力を借りれば限界まで搾り取れないかな〜…って思ったんですが、まさかこんなことになるとは…」
「つまり概ねそこの絶倫魔神が悪い、と」
「…それにたまには私も、こう、攻める側に回ってみたかったですし」
「ならモナも
ノリノリで媚薬ローションプレイに勤しんでいたモナが有罪判決を受けて小さくなる。モナとしても薬効でここまで俺が暴走するのは想定外だったらしく、素直に反省の様子。
それで俺はといえば、二人から「絶倫魔神」扱いされて非常に肩身が狭い。まぁ、この惨状を見れば当然の扱いではあるけど…。
「…というか、なんでエウルアまで部屋に?」
「……っ」
確かこの寝室は尋常じゃない防音性能だったはずだ。マルが「気合を入れて頑張りました!」って太鼓判を押していた。あの時のエウルアは中の様子を察知して止めに来たというわけではないだろう。
どうしてエウルアを巻き込む事態にまで発展してしまったのか。その核心に迫る疑問に、エウルアはただ腕組みのまま、無言ですっと視線を逸らした。
しばしの沈黙。モナとふたりで、じっとエウルアを見上げる。
「…………」
「…………」
「…昨日の今日で一人寝がちょっと寂しくなって、『一日抱き枕』を拡大解釈して日付が変わってから抱き枕をシェアしに来て巻き込まれた、と」
「ちょ、ちょっと!! 何も言ってないでしょ!?」
「ふふん! 占星術師に誤魔化しの類は通用しませんよ?」
「~~~~っ!! うぅ、憎らしいったらないわね! もう…っ!」
モナの言に、エウルアが悲鳴にも似た声をあげる。朱に染まった頬を見るに、どうやら正しいらしい。
…もしかして、虚飾を剥ぎ取り真実を捉える占星術師たるモナには、エウルアが日々口にする「恨み」や「復讐」の裏の意図すらも全部お見通しなんだろうか。結構相性いいのかもなぁ。
「と、とにかく! 今回のことはちゃんと反省してよね! それと『魔女の秘薬』は今後使用禁止!」
「「はい…」」
「ふん…まったく。 …わかったらさっさと水浴びしてきちゃいなさい。
赤面したまま無理やり話を切り上げて部屋を後にするエウルアの姿に、モナと目を合わせて苦笑しあう。
これだけのことがあったにも関わらず朝食作りを買って出てくれたエウルアの優しさに感謝しながら、早朝お説教タイムは終了となるのだった。
なお、さっそく復讐として朝食の添え物に出てきた肉野菜漬け炒めは舌が軽く痺れるほどの酸味で、俺は食べきるのに一時間ほどを要することになった。
「オイラもひとくちだけ…」とチャレンジしたパイモンはその酸っぱさに顔をしわしわにしていたが、モナは「ちょっと酸っぱすぎませんか?」と言いつつもぺろりと平らげていた。解せぬ…。