遊撃騎士の職業故か、エウルアはいつも早起きだ。
なんでも、「日の出前の二時間は、徹夜した哨兵が一番疲れている時間帯よ」とのことで、早起きの癖がついているのだとか。寝る時間が一緒でも、いつも目覚めるのは彼女のほうが先だ。
眠気で重いまぶたを開くと、覗きこんでいた黄金色の瞳と目が合う。カーテンからこぼれた朝日の逆光を受けるその表情は不思議と楽しげだ。
「おはよう」
目を覚ますと隣にエウルアがいる生活にも、最近ようやく慣れてきた。
「んー……」
ぼんやりと眠気のままに抱きついて、胸元に顔をうずめる。鼻腔をくすぐるエウルアのにおいに包まれながら幸せな柔らかさにすりすりと頬擦りして、ひんやりした彼女の体がじわじわと温まっていくのを感じながら微睡む。
添い寝は結構、熱が籠もる。体質のせいか暑がりなエウルアにはそれが若干寝苦しいらしく、幾晩かの試行錯誤のすえ、一緒に寝るときは彼女だけ掛け布団に入らないのがスタイルとなった。おかげで夜の空気で肌が冷やされて、朝にはすっかり冷感抱き枕になっている。それでも腕は枕にしたり、手を繋いだまま眠ったりとスキンシップ自体は諦めないのが彼女の可愛いところだ。
「ん〜……すぅ……」
「こら、寝ないの。 ちゃんと起きなさい」
「ゔ!」
咎める声とともに冷たい手がうなじに差し込まれて、反射で首がすくむ。心地良いふかふかにいつまでも甘えさせてはくれないらしい。
後ろ髪を引かれる思いで顔を上げ、目の前にあった唇に反撃のキス。
「……こっちも冷たい……」
さすがに唇まで冷たいのはあんまり嬉しくない。
だがまぁ、それも時間の問題。はむはむと唇で柔く食むようにキスを長く続けていれば、冷たかった唇はやがてじんわりと温まっていく。こうやって体温を分け与えるようなじゃれ合いは、エウルアとの間ならではって感じがして結構好きだ。
まだ起きだすにははやい時間。朝焼けの差し込む部屋に、早朝らしく静かな触れ合いが染み入っていく。
そっと唇を離すと、エウルアは普段よりも幾分かしっとりとした目つきでこちらを見ていて。
「……するの?」
咎めるように唇をとがらせ、けれど視線は甘い期待を宿して。愛を求める雌が、つがいの雄を蠱惑する。
布団の中へするりと伸びた彼女の手が、朝立ちで硬くなった肉棒をさわさわと撫でた。
俺としては単なる寝起きのスキンシップのつもりで、事にまで及ぶ気はなかったのだが──
「……する」
恋人になって間もない頃は「朝からだなんて、堕落しすぎよ」なんて言っていたエウルアが、今ではこうして彼女のほうから誘ってくれている。甘えることへの気恥ずかしさにはまだ慣れないのか、染まった頬がたまらなく愛しい。これで滾らない男なんていないだろう。
起き抜けのぼんやりした頭にエウルアの熱情が注ぎ込まれて、ふつふつと劣情が沸き上がってくる。
「まったく、仕方ないんだから……♡」
情交の誘いを俺のせいにして、愚痴のような呟きが躍る。声音に滲む裏腹の喜悦を恥じらうように、今度はエウルアから唇を求められる。
ちゅっ、ちゅぱっ……。
朝の静寂に熱の籠った吐息と水音が響く。唇同士が吸い付き合うたびに甘い快感が脳髄を蕩かして、エウルアと繋がっている実感を与えてくれる。
もっと彼女と繋がっていたくて舌を伸ばすと、エウルアも負けじと絡めてきて、唾液が混ざり合って口の端からこぼれた。
「んむ……♡ んふ……んッ……♡」
ねっとりと唇同士を貪りあいながら、布団の中へと抱き寄せて互いの体をまさぐりあう。俺がすべらかな肌に手を這わせれば、エウルアの手もゆるゆると肉棒を撫で扱く。
豊満な胸に指を沈み込ませてその弾力に溺れ、引き締まりながらもどこかむっちりとしたお尻と太腿を撫でまわして、睡眠時間ぶりの柔らかな体の感触を堪能する。敏感な場所に触れるたびに吐息が乱れ、体がぴくん♡と小さく反応するのが可愛らしい。
そっと秘所をくすぐる指先にとろりと絡んだ液体は、昨晩の名残かそれとも今溢れ出したものか。
「ん、ぷぁ♡ ……まったく。 ゆうべだってあんなにシたのに、もうこんなに硬くして。 これじゃあまるで、私が君を満足させられなかったみたいじゃないの。 この恨み、覚えておくんだから」
「いや、だってエウルアかわいいし、満足しててもそりゃ勃つよ……」
「ふんっ。 恥ずかしげもなく、よくもそんな調子のいいことを……っぁんッ♡」
恨むなら自分の可愛さを恨んでくれ、と言外に滲ませながらくにくにと優しく陰核を捏ねれば、エウルアは快楽に腰をくねらせ
自分の喉から出た媚びた声にますます頬を赤くしたエウルアにもう一度「かわいい」と耳元で囁くと、仕返しにがぶっと耳を噛まれて、そのまま体ごとのしかかられた。
愛撫ですっかり火照った素肌が密着し、たわわな乳房が胸板の上でむにゅりと潰れる。
柔肌の奥に感じる筋肉の硬さと体にかかるしっかりとした重さに、普段の、騎士としてのエウルアを感じて。凛々しい騎士の彼女が今、俺の前では熱情をさらけ出して心から甘えているそのギャップに、言い知れぬ興奮が沸き立った。
「んっ♡ はぁ……っあ゛♡♡ ぅ……っ♡」
鼻先に熱い吐息がかかる。
二人密着した布団の中で、ぬぷぬぷとペニスが膣内へと飲み込まれていくのを感じる。
みっちりと肉厚な膣壁を亀頭がかきわける感触。竿にきゅうきゅうと絡みつくきつい締め付け。何度も夜を共にしてすっかり硬さのとれた媚肉が、起き抜けの頭に鮮烈な快楽をもたらしてくれる。
「……ふぅ♡ ……ふふ、あっつい……♡♡」
ペニスを奥まで挿入しきったエウルアが、快楽に身を震わせながら体を起こす。圧迫から解放された胸がふるりと揺れ、布団が肩から滑り落ちる。まだ薄暗い部屋の中、浮かび上がるような裸身の白さは一層輝くようだ。
咥え込んだペニスに感じ入るように、たおやかな手が愛おしそうに下腹部を撫でた。
「エウルアってさ」
「?」
「上に乗るの、好きだよね」
「っん♡ そう、ね……♡ 体を動かすのは、性に合ってるし……っ♡ 」
騎乗位や対面座位など、エウルアは自分で腰を振れる体位が好きらしい。
ゆっくりと腰を揺らし、にちっ……♡くち……♡と微かに水音を響かせて。エウルアは今日も、俺の上に跨って満足げだ。
「やっぱり君が喜んでくれるのが、一番気持ちよくって、一番うれしいもの……♡」
「エウルア……っ」
普段は照れ屋なくせに、こういうところでは妙に素直な彼女の、ストレートな好意が胸を締め付ける。
思わず抱きしめたくなって伸ばした腕は、しかし手をぎゅっと握られてそのまま押し戻された。ぐりんっ♡と一際大きい腰の動きで緩急を与えられ、快感に腰が跳ねあがる。
「っぅ……♡ ぁはっ……♡ それにこうやって、っ♡ 君のだらしない顔を見下ろすのも、楽しいし……っ♡」
悪戯っぽく笑ったエウルアが、手繋ぎ騎乗位で腰を振る。
たちゅんッ!と肉を打つ音が響く。蒼銀の髪を乱し、ゆさっ♡ゆさっ♡と巨乳を揺らし、柔らかな太腿を波打たせてエウルアが踊る。小刻みだった動きは次第に大きなストロークへと変わっていき、絶頂へと高まっていく快楽のうねりに表情を淫靡に蕩けさせながら、エウルアは体を上下させる。
「ん、くぅ……っ♡♡ あ っ♡ はぁっ……♡♡」
「う、あぁ……っ! それ、いい……っ!」
「っあ♡ はっ、あ゛ぁっ♡ はやっ♡ ぁやくっ♡♡ はやく出してっ♡♡♡ わたし、もう……ッ♡♡ ……っう~~~ッ♡♡♡」
弾むようなピストンを繰り返し、腰をうねらせ刺激を増やして、性感の波に溺れながらエウルアが精をねだる。耳をくすぐる嬌声が、情欲に潤んだ瞳が、俺を放すまいとする膣肉の絡みつきが、彼女から与えられる全てが快楽となって射精を促してくる。
恋人つなぎの手がぎゅっと握りしめられ、膣内がきゅうっ♡と締まった瞬間──
どくんっ♡♡♡ びゅーーっ♡♡♡ ぶびゅっ♡♡ びゅくっ、どくん……っ♡♡
「っあ゛♡♡ ぁああぁ……♡♡♡ ぁ、あっつ゛ぅ……♡♡♡♡」
子宮口に押し当てられた鈴口から、濃厚な子種が噴き出した。
絶頂のさなかで熱い奔流を浴びたエウルアが、ぎゅっと背中を丸めて快楽に打ち震える。腹筋が痙攣し、搾り取るように収縮する膣肉が、脈打つペニスから精液を吸い上げていく。
「……っっ♡♡ はぁっ♡ はーっ♡ はぁー……っ♡ ……ん、む♡」
法悦に息を切らし、のしかかるように倒れ込むエウルアを抱きとめて、余韻の中でキスを交わす。
汗ばみ火照った肌から伝わる体温と、互いの舌を絡め合う感触が、痺れにも似た射精絶頂の残響の中で混ざりあって幸せのなかへと溶けていく。
「ちゅ……っは♡ ……ふふ、どう? ちゃんと目は覚めたかしら」
「……うん、おかげさまで」
「そう、ならいいわ。 んっ……♡」
少しだけ唇を離して微笑んだエウルアに、笑い返してまたキスをする。
これほどに甘く満足感に満たされた目覚めはないだろう。エウルアのおかげで眠気はどこかへ吹き飛んで、体には活力がみなぎっている。朝から元気いっぱいだ!
「……ねぇ、ところで」
「?」
「なんでまた硬くしてるのよ」
「……」
ばっちり目を覚ました体にみなぎった活力は、まだエウルアを求めて止まないようだった。朝から元気すぎて、ちょっと気まずい。
「だ、だってエウルアがかわいいし……満足しててもそりゃ勃つよ……」
「…………はぁ……」
呆れたようにジト目で溜息をついたエウルアを今度は押し倒して、もう一度、とシーツへ沈みこむ。
「まったく、これじゃあ寝坊と変わらないじゃないの。 ……ふん。 この恨み、覚えておくから。 ……っちゅ♡」
恨み言を吐く口を唇でふさいで、朝の睦みあいを再開する。
朝食を作りに二人で台所へと立ったのは、それから追加で二回ほどシたあとのこととなった。