退学の決まった小柄な男子生徒が茶柱先生に絞られる話 作:とろぼっち
この世界はいつだって弱肉強食で、容赦を知らない。
分かっていたつもりだが、やはり自分は甘いのだと実感する。
「……坂枝、応接室に行くように。他の先生が教室の外で待っている」
荷物を手にし、席を立つ。一人として声をかける生徒はおらず、自分が食われなくて良かったと安堵するばかりである。
坂枝はヒーローになったわけではない。むしろ逆である。
1年生の特別試験、クラスのお荷物を排除するその試験で、坂枝は選ばれた。
どうやら去年、似たような試験を2年生の先輩たちは経験したらしい。それは年度も終わろうとしていた頃だったらしいが、今回は違う。夏休みが終わって間もない、2学期のための戦力調整のタイミングである。
OAAで中の下の評価をもらっていた坂枝は、クラスに存在したグループのいずれからも弾き出され、票を組まれ、たった今退学が宣告された。積極的に動こうともせず、あっさりと策にはまる気弱な自分への嫌悪に苛まれることもない。教室の出口へ向かう途中、何人かの生徒と目が合いそうになった。逸らされるばかりであったが。
親友と呼べる存在が出来る暇もなく、坂枝の高校生活は終了した。思い残すことがあるとすれば、それは高校生として、体育祭やその他学校行事を経験したかったということである。
外には1人の女性が立っていた。
「おまえが坂枝か。ついてこい」
哀れみの視線を向けることもなく、その先生は廊下を歩き始める。聞きたいことがいくつかあったが、応接室でも大丈夫だろう。不適合者にも最後の談話くらいは許されているはずである。
「……なるほど、成績は悪かったようだな」
坂枝の評価を見て、率直な感想を言う。反論など無く、坂枝は頷く。
「そもそも、なぜこの学校に入ろうと思った」
「……言い訳がましく聞こえるかもしれませんが、僕は自分の意思で入ったわけではありません」
「……というと?」
「それは……、」
上手い言葉を探そうとする坂枝を、目の前の教師――茶柱佐枝は遮る。
「……いや、言わなくていい。何か事情があるのだろう、この学校は訳ありの生徒ばかりだからな」
不必要なことを聞いてすまなかった、と茶柱は謝る。助けられたと言うべきだろうか、坂枝もこの話は好きではない。
応接室に通された坂枝は、茶柱に指示され退学のための諸書類に記入をしていた。入ったことはなかったが、坂枝が小柄だからだろうか。応接室という場所はやけに広く感じる。
想像よりも退学手続きというものは手順が多い。退学理由や名前を書くだけでなく、これからの進路、学校に抱いた第一印象と現在の違い、担任との関わり、交友関係までも記述するよう求められる。進路など、退学になる多くの生徒が一層頭を抱えるだろう。Aクラスで卒業できなければ意味が無いとまで言われたこの学校、退学などもってのほかである。はたして自分に進路は残されているのだろうか。今だけでも目を背けていたい問題だ。
「さっきも言ったが、改めて言う。私は2年生の担任の茶柱だ。……少し独り言に付き合ってくれないか、時間もあるだろう」
「……はあ」
「理由は聞かされていないが、今回おまえの退学処理は私が預かることになった」
通常、退学処理はクラス担任が行うそうだ。考えてみれば当然のことだが、何故か今回に限っては事情が異なるらしい。今日2年生の授業が短縮の時間割だったからだろうか。
「私の担当クラスの生徒でないとはいえ、退学書類を書かせるのは多少心が痛む」
そういって茶柱はわずかに俯く。
「……去年も、先生が担任を持つ学年で同じような試験があったそうですね」
独り言に反応が返ってくると思わなかったのだろう。少し驚いた表情を浮かべたが、茶柱は話を続ける。
「ああ。グループで固まり、組織票の契約が飛び交い、クラスは荒れた。解せない試験だった」
「……そんなことが、あったんですか」
「それにしても、この学校も変わったな。後輩が先輩の試験内容を知っているなど、少し前までは有り得なかった」
「……そうなんですか?」
「具体的には分からないが、生徒会長も理事長も変わったからだろうか。以前はポイントでの情報の売買すら禁止されていた」
基本的にはポイントで何でも手に入るのがこの学校のシステムだ。まるで金は能力の表れ、その保持は成果といわんばかりに。
「僕も先生にお伺いしたいことがあります」
「……ほう、言ってみろ」
少しだが茶柱が顔を上げる。さして興味はなさそうだ。
「……僕の落ち度は、何だったんでしょう?」
自分では見えていることを、敢えて茶柱に尋ねる。
「ずいぶんと落ち着いているな。未来に不安がないのか、とっくに覚悟はできていたのか」
「なんとなく自分が選ばれることは分かっていた。それでいて、何もしなかった。それだけのことですよ」
「つまりこの学校に対する期待値は最初から低かったと?」
「……そんな格好の良い理由ではありませんよ」
精一杯努力をしているはずなのに、勉強も運動もまわりに追いつかない。身長の低さをあざ笑う生徒を見返すことも出来ず、自分がいかに非力であるかを実感させられる。
この学校に入ることになった時も、そして今も、坂枝は流されている。
その流れに抵抗する力が無いからこそ、身を任せてしまっている。
「おまえは自己評価が低いな、坂枝」
「……え?」
思わぬ返しに、書類の記入の手が止まる。
「おまえは口が回る。そして退学書類に向き合っている今も平静を保っている」
「……それは、諦めがついているからですよ」
「だとしても、だ」
これは、褒められているのだろうか――そんな甘い考えにたどり着くのを許さず、茶柱は釘を刺す。
「まあ、“僅かに”自己評価がずれているだけだがな。その結果がOAAだ」
「そうですね。反論一つ出来ません」
「……ただ、話をしているとある生徒を想起させる。おまえはそれに近い雰囲気を感じる」
口ぶりや表情を変えないところなど、あのクラス一の問題児に似ているところがある。もっとも、薄気味悪さや常軌を逸した能力はないが。あの生徒には、手を焼くどころか丸め込まれてきた。
「その生徒が僕のように落ちぶれていないことを祈ります」
「大丈夫だ。……それと、その消極的な発言も気にしてみると良いだろう」
この生徒の言葉の節々に、そのような翳りが見られる。諦めがついているとはこのようなことだろう。
「すまないな。不愉快な試験により退学になってしまう生徒に、このようなことしか言ってやれない」
「いえ……ありがとうございます。先生と話せて良かったです」
もしかしたら、他人と話していてこんな気持ちになるのは生まれて初めてかもしれない――今日で初めて、しかもさっき出会ったばかりの目の前の先生は、坂枝としっかりと向き合っている。坂枝は、そのことが何より嬉しかった。
「……さて」
カップに注がれた分を飲み干すと、茶柱は立ち上がる。
「……おまえの退学処理は、私に一任された」
書類の記入が終わり、退学手続きは完了した。そろそろ潮時だなと思った坂枝に対し、茶柱は扉とは反対の方向へ歩き出す。
「……つまり、このあとおまえをどうしようが、学校は無関心と言うことだ」
「……どういう、ことですか?」
先ほどまで感じていた柔らかな雰囲気は、いつの間にか息を潜めている。
「私の独り言に付き合えと言っただろう。単なるその続きだ」
柔和な木漏れ日を塞いでしまうかのように、茶柱はゆっくりとカーテンを閉める。
「……困った生徒に、難しい同僚付き合い、不可解な学校の意向など、私にはストレスの溜まる一方な毎日だ」
両のカーテンが締め切られたことを確認すると、茶柱はドアの前に立つ坂枝に歩みを進める。照度が急激に下がったからだろうか、さっきまで明るかった部屋が、今は不気味なほど暗く感じる。そのせいで茶柱の表情は窺えない。
コツ、コツ、とヒールの音が近づいてくる。この空間全体から受ける判然としない圧力に、坂枝は思わず後ずさる。
……しかし。
甘く不思議な暗香を感じ取り、頬にかすかな風を感じたそのときには、茶柱は坂枝の耳元で誘うように囁いていた。
「……溜まったモノは、出さないとな」
触れているわけでもないのに、唇の動きをダイレクトに感じる。それが動くたびに茶柱の湿っぽい息が漏れ、坂枝の肌を触る。女性とこんな近くにいるのは初めてで――いま坂枝が感じている鼓動の速さは、いつしかそんな程度では到底解釈できないほど激しくなっていた。
まるで別人だ、と坂枝は思う。退学書類を書いている最中、会話の中で感じ取れた安心感はもうどこにもない。向かい合っていないので依然茶柱の表情は窺えない。が、脳は判断する。この状況は危険で、計り知れない魅惑があると。
すぐ後ろで、カチャリと何かが閉まる音がする。気づけば扉に寄りかかってしまいそうなほど、坂枝は後退していた。
追い詰められた、とは思わなかった。後ろ手で鍵をまさぐり、それを回しさえすればこの場を脱することは出来るのだから。しかし、坂枝の手は動かない。抑えられているわけでもないのに。いや、むしろ自分自身で抑えている。今まで味わったことのない、得体の知れない妖艶な毒に侵されはじめ、それを味わってみたいという異常な判断に逆らえない。
「そう怖がるな。悪いようにはしない。だから……」
吐息が首筋をなぞる。”ぴくぴくっ♡”と未知の性感を味わい坂枝は震える。おそるおそる次に紡がれる言葉を待ちながら、しかし坂枝は扇情的な息づかいに早くもあてられそうになっていた。早く次の言葉を聞きたい。聞いたが最後、自分はどうにかなってしまうのだろうと分かっていながら。色香の罠に嵌まってしまったことに今更気づくが、そんなことどうでもよくなるくらい、官能の毒はまわっていた。
しかし茶柱はなかなか次を言わない。せがむように見つめる坂枝の子犬のような瞳に煽られ、余計に焦(じ)らせたくなる。耳後ろ、首筋、さらにはYシャツからチラリと覗き見ることが出来る坂枝の白い肌と鎖骨、首の根元に、自分でも分かるくらい熱い息を万遍なくかけ、感度を上げさせていく。そのたびに微かに声を漏らし、“ぴくんっ♡”と肩をはねさせる坂枝のあまりの可愛らしさに、茶柱は興奮を覚えずにはいられない。
一通りの吹きかけが終わるころには、坂枝の息はかなり小刻みになっていた。余韻が残り未だ坂枝を責めているのか、何もしなくても“あっ……♡あっ……んっ♡♡♡”と勝手に快楽に浸っている。
そろそろと頃合いを見計らい、おぼろげながらとろんとした目で見つめる坂枝の耳元に唇を近づけ、ようやく続きを口に出す。
「……いっっっぱい……気持ちよくなれ……♡♡♡」
“れぇ♡”と蒸れに蒸れた舌を伸ばし、耳穴の入り口を小突く。鋭い快感の次に訪れたのは茶柱の“ぷるんっ♡”とした柔らかな唇の感触。照準を合わせるようにだんだんと柔らかさが圧力を増し、ついに唇との接地面が最大になったところで、“はぁ♡”という茶柱の淫靡な吐息とともに、
“ちゅっ♡れぇ~……ろぉっ♡ぺろぉ……♡ちぃるぅ~……♡”
茶柱は坂枝の敏感になった耳を舐め始める。
早く貪りたいという気持ちをなんとか自制し、最初は外縁を舌でなぞる。
今まで耳の周りだけを執拗に煽られていたからか、坂枝の耳は刺激と快楽を求めていた。それがやっと訪れ、舌の感触を感じ取った途端、坂枝の身体は電流が走ったように跳ねる。
その反応を見て、一層茶柱は欲情する。
“ちゅぅぅ~~~っ♡ちゅぱっ♡ぢゅるっ♡じゅぷっ♡”
茶柱は卑猥な水音をじっくり聞かせながら舌で耳をべとべとにし、さらに身体を密着させる。
坂枝は、茶柱の胸が“たぷんっ♡”押し当てられるのだと気づく。黒のスーツ越しに感じるその柔らかなモノは、否応なく坂枝を刺激する。どれだけ自分が彼女と密着し、どれだけ自分がいま猥褻をされ、それにどれだけ反応しているか。考えるだけでも、発情しきってしまいそうなほど……淫乱である。
丁寧に舌で舐めとり、沸騰しそうなほど火照った耳をふやけさせる。茶柱は何度も何度も自分の唾液で上塗りし、これでもかと坂枝の耳を溺れさせる。しかし欲情している茶柱だが、いま、自分は普段生徒たちに与えている印象とは真逆のことをしているという認識はあった。教師として失格な、淫らなことをしてしまっているという判断は、出来ていたのである。言い換えれば、まだ茶柱には理性というブレーキが働いていた。
しかし不幸なことに、教師と生徒の身体が加減を知らぬほど惹かれあい吸着していたからだろうか。
微かに、茶柱は下腹部になにか触るものを感じた。
坂枝の手ではない。目の前の男子生徒は扉に身体を預け、腕はピンと伸び、指はピクピク震えている。
坂枝の後ろに回していた手をほどく。その時初めて茶柱は坂枝を抱き、扉に追いやっていたのだと気づく。
「坂枝、もしかして……イったのか?」
焦点の合っていなかったような瞳がだんだんと戻り、坂枝と目が合う。
しかし、坂枝は何も答えない。
失いかけていた理性を幾分か取り戻した茶柱は、この状況にだんだんと疑問を持ち始める。
「……失礼」
本当に今更だが、と思いながら茶柱は断りを入れ、制服のズボンに巻かれたベルトに手を伸ばす。赤く染まった頬とともに、坂枝は自分が何をされているのか把握できていないようだった。カチャリとベルトをほどき、ボタンを外してチャックを引き始める。
途端に、濃い芳香が茶柱の嗅覚をつく。ズボンの中は何かが沸騰しているのかと思うほど蒸れて熱気がこもっている。そして。
坂枝の下着は僅かだが隆起し、そしてその周囲は広く濡れていた。
そのとき茶柱は理解する。坂枝はこの女教師に耳を責められ、それだけでイったのだと……。
「……すいません、先生……何かが……ちょっと……」
ようやく口を開いた坂枝の、その最後にくっついてきた言葉さえなければ展開は多少はマシだったのかもしれない……ということは、今の坂枝に分かるはずもなかった。
坂枝のか細い“イった宣言”を聞いた茶柱は、その最後に引っかかりを覚える。
何かが、ちょっと――坂枝は、今確かにそういった。坂枝の知識にはない“何かが”、“ちょっと”出た……。
茶柱は2つの疑問をもつ。
まず一つ分かるのは、坂枝は“イく”ことを知らないということ。茶柱の目の前にある濡れたそれは、明らかに精液である。つまり、坂枝は耳責め以前に通常の思春期を迎えた男子高校生に比べ性知識が著しく欠如しているということになる。保健の授業の義務教育化により射精という単語は知っているはずだが、それが実際どのようなものかを彼は知らない。
茶柱は、もしかしたら彼の初めての射精をもらってしまったのかもしれない……その不確定だがかなり信憑性のある予測が、彼女の理性をさらに蝕んでいく。
そして……残ったあと一つの疑問を解決するため、下着に手をかける。そのまま躊躇うことなく手に持ったゴムを足元までずり下ろす。
坂下の可愛らしい肉棒がうねり、“ぶるんっ♡”と跳ね上がってピンと張る。それが気持ちよいと感じたのか、”あっ♡“と発情したメスのような小さな喘ぎ声をあげる。あまりの恥ずかしさに坂枝は一層頬を赤らめ目をきゅっと結んでいるが、茶柱を拒むことはない。そして下着を下ろし目の前の竿が揺れた反動で、ぴちゃっと茶柱の顔や髪に精液がかかる――。
その一つ一つの無意識な動作や反応がいちいち茶柱の興奮を煽る。そして……下着にはどろっどろの液体が付着し、肉棒の先端や竿も精汁まみれになっている。さらにはパンツから飛び出したのか制服のズボンまでも濡れている。
「これが……、ちょっと……?」
茶柱は、思わず声を漏らしてしまう。
豊満に膨れ上がったその胸や思春期の男子にはあまりにも刺激の強い曲線美を描く尻、対照的にきゅっと締まったウエスト――そんな抜群のプロポーションを持つ茶柱は、もうじき30歳を迎えるものの男性経験は無いに等しい。だからこそ実物は見たことないのだが、知識は人並み以上にある。そんないわゆる「むっつりスケベ」に分類される茶柱でも、この精液の量は記憶にない。“ちょっと”と言いながら、坂枝の股間周りは濁液で塗りたくられた様である。
ということは……思考の先に行き着くのは信じがたい事実。
これは坂枝の本気ではなく、あくまで“軽い射精”でしかない……ということ。
その事実を頭の中で反芻した途端、茶柱の理性を限界点でとどめていた蓋が、外れた。
つまり自分は、性知識のない純真無垢な可愛らしい生徒の初めての射精をもらうだけでなく、そのとんでもない量の精液はあくまで甘イキであり、本来はもっともっと放出される――そのことは、茶柱を発情させきるには十分にしてあまりあるほどの情報だった。
“びゅっ♡”と勢いよく出て茶柱の下腹部を触った正体が分かったところで、一端収まりかけた興奮が再度フルスロットルで加速し一気に限界突破をする。
「あ、あの……先生、……すいま……あっっっっっ♡♡♡♡♡」
自分の生殖器から出た得体の知れない液体が、先生にかかってしまった――そのことを詫びようとした坂枝は、その生殖器を突如襲った刺激に思わず悶える。
生温かく蒸れ、湿った口内を感じ、吸い込まれるような感覚で……
「訂正しよう……♡♡♡、……おまえは……♡♡♡、とんでもない生徒だっ♡♡♡♡♡」
“じゅるるるっ♡じゅるるっ♡……じゅぞ~っ♡むちゅっ♡じゅるるるっ♡はぶっ♡ずろろぉぉぉぉぉ♡”
たまらず坂枝の淫茎を咥えた茶柱は、発情しきった声で評価の訂正だけを告げると、口をすぼめスロートを開始した。
“じゅるるるるっ♡ぶちゅっ♡じゅぶっ♡むちゅ~~~……ちゅぽんっ♡
ぐぽっ♡じゅぽっ♡じゅぷぷっ♡ぐぽぉっ♡ぎゅぽっ♡”
……第一印象で、彼はクラス一の問題児、綾小路清隆に似ていると感じた。飄々とした喋り草や変化の乏しい表情など、そっくりとはいかないまでも共通点の多い生徒だと茶柱は思った。
だからこそ、最初は鬱憤を晴らすつもりだった。
あくまで目の前の坂枝は綾小路“もどき”でしかないのだが、それでも今までいいように扱われてきた綾小路への復讐を、坂枝で果たすつもりだった。自分が最低な人間だということも、坂枝を襲ったところで根本的解決にはならないことも理解していた。その上で、今まで溜まりに溜まった恨みつらみを、リスクを承知の上で発散させようとした。
しかし……目の前にいるのはやはり綾小路ではなく、坂枝という1年生である。
ちょっとした刺激にも気持ちよさそうに反応し、快楽に敏感で、メスのように蕩けた表情をし喘ぎ声をあげる。その可愛らしさ、愛おしさに思いもよらず惹かれ欲情し、彼が軽く吐精してしまうほど抱き寄せ胸を押し当て性感帯のように“びくびくっ♡”と震える耳をしゃぶった。そして驚くべきことに彼は性的興奮に免疫がないどころかそれ自体知らず、それでいて陰嚢にとんでもない量の爆弾精子を抱えていた。
そう、表現は違うかもしれないが――
――茶柱は、坂枝の純真無垢で穢れを知らない艶麗さと、それに反するような、熟れた大人のメスを惹くには十分すぎるどエロさに“墜ちた”のである。
ならば墜ちた茶柱はどうするだろうか。
見返りも犠牲も何も考えず、当の坂枝を“堕とす”ことに決めたのである。
実際に坂枝は、自分が1人の女を堕としたこと、それどころか今自分が何をされているのかすら分かっていない。ただ部屋に響くほど激しく下品な口淫に“あっ♡あん♡はっ♡はあっっっ♡”と情けなく声を漏らすのみである。
――どうした、坂枝?もったいぶることはない♡♡♡年甲斐もなく興奮し堕落した淫らな私の口に、思い切りぶちまけろ♡♡♡♡♡
声には出さない。他人が見たら引いてしまうほどの、激しく淫猥で情欲的で下品なバキュームを止めることなど今の茶柱には出来るはずもない。
白濁液をせがみ見上げると、そこには。
茶柱の口淫を邪魔しないためだろうか白く細い手でYシャツの裾を恥ずかしそうにめくり持ち上げ、聞いているほうも顔を赤くし欲情してしまいそうな途切れ途切れのよがり声をあげる、坂枝の姿があり、
「……あっ♡はあっ……♡……おっ♡おかしく、なっちゃう……っ♡♡♡」
と快楽に抵抗できずにいた。
オスもメスもその気になってしまうようなよがりにさらに煽られ、茶柱は一段とバキュームを激しくする。坂枝の瞳は発情したメスのようにハートマークを浮かべていて、おそらくは自分もそうだろうと、茶柱は理解する。
坂枝にとって、初めての射精。それを前に、おかしくなってしまうと喘いでいる。
教師の威厳など忘れ、本格的に堕としにいく。初めての射精の気持ちよさにどんな恥ずかしい表情を見せるのか、そして本気の射精量はどれほどなのだろうか。茶柱の脳内は性的な好奇で埋まり、フィニッシュさせるべく一気に吸い上げる。
――早くっ……♡♡早くっ……♡♡妊娠するほどの濃いザーメン♡♡いっぱい出せ……っ♡♡♡♡
“びゅっっっっ♡♡♡びゅるるるる~~~♡♡♡びゅるるるっ♡どぴゅっ♡どぷどぷっ♡”
「んぐ……っ!?……んっ♡♡♡かはっ……♡♡♡」
一瞬にして口が風船のように膨れ上がり、思わずこぼれそうになる精液を必死で飲み込む。
しかし、荒波のごとく押し寄せたザーメンは、とどまることを知らない。
“びゅるるるっ♡♡♡びゅるっ♡びゅるるるるるっ♡♡♡びゅくっ♡びゅくっ♡”
第1波、第2波、そして間髪を与えず第3波。何リットルものザーメンが、茶柱の口めがけて放出される。
“びゅるるるるるる~~~~♡♡♡びゅっくっ♡びゅるるっ♡どっぷっ♡びゅくっ♡”
“びゅ~~~っ…………♡びゅっくん……っ♡……どぴゅっ♡びゅるるる……びゅくっ……♡”
「んぷっ♡くぷぅんッ……♡んっ♡んんっ♡ンっ……♡ふぅう……♡んじゅるるっ♡じゅっ♡じゅるうう~~~~っ♡……んっ♡じゅっっっぽんっ……♡♡♡」
波がようやく静まりかえってから、念入りに残り汁を吸い出して飲み込み、拘束していた淫棒をゆっくりと離す。その反動でまた“ぶるんっ♡”と愛らしく揺れ、茶柱のつゆ液と混ざった汁が飛ぶ。
その様子がたまらなく卑猥で、茶柱の興奮を冷まさせない。腰の抜けた坂枝は力なくぺたんと膝を折り座り込む。
1分以上続いた射精は、全部受け止めたはずが気づけばあちこちに飛び散っていた。口からこぼれた汁を胸で受け止めたこともあり茶柱は下半身を濡らさずに済んだが、逆にそれが惜しいと感じた。言うまでも無く茶柱の顔、スーツの胸元、そして床は濁液で塗りたくられている。
明らかに人には受け止めきれる量ではない、そのザーメンを溢してしまったことを茶柱は悔いた。そして何より、さっきまで濃ゆい精液で満たされていた口内が空いてしまったことに、ひどく切なさを感じていた。
坂枝が座り込んだことで、久しぶりに茶柱との目線の高さが合う。坂枝は相も変わらず小刻みに息を漏らし、茶柱は切なそうに坂枝を見つめる。
もう一度――その意思を坂枝は汲み取ったのか、折って閉じていた膝をおもむろに開く。
おそらくは無意識のうちであろう。フェラチオをもう一度味わいたいというより、何かを求めている茶柱を拒めなかったのだろう。恥ずかしがりながらも受け入れるように、精汁いっぱいの脚を開いた。
そこから覗かせたのは、固さがもとに戻らずびんびんのまま苦しそうに腫れた肉棒である。
絶倫なのか――そんなことはどうでも良かった。ただ、目の前の彼が、まだ快楽を求めているという事実がこの上なく嬉しかった。
可愛らしく、咥えるのに何の苦労もないそれは、スロートに苦を与えない。おかげで茶柱はまだまだ求めてしまう。
2回目の口戯を始める前に、茶柱は坂枝にあることを告げる。
「……坂枝、この部屋は防音設備が備わっている。理事長代行が備え付けたものでな……それに、しばらくは誰もここへは来ないだろう……。だから……」
自然と2人の顔の距離が縮まる。
「……今度は我慢せずに、もっともっと……♡おまえのどうしようもなく淫らな声を……聞かせてくれ……♡♡♡」
そっと目を閉じ唇を重ねる。
夜景をバックに口づけ――そんなロマンティックなキスではないが――互いの熱を確かめ合う、蕩けるような接吻。どちらから離すこともない。離れたくない。墜ちた2人は永遠の愛を誓い合うように、時を止め唇を重ね続けた。
――そっと優しく坂枝の赤く腫れた淫茎の先っぽを撫でると、“ぴくんっ♡”と跳ね口づけは終わりを告げる。
坂枝は淋しそうに茶柱を見つめる。離れた2人の唇は暗い部屋の中で光る糸を引いていた。
それが愛おしく、茶柱は目線を外すことなく咥える。先ほどは好奇が勝りピッチを限界まで上げ吸っていたが、今回はしっとりと、愛情を込めて口に含む。
最初に茶柱に迫られたとき、坂枝には恐怖と得体の知れぬ興奮という二つの感情が入り乱れ、無意識的に脳は危険信号を発していた。
しかし、今は違う。茶柱とつながることにより心が安らぎ、離れると胸が締め付けられるような淋しさ、切なさを覚える。再び坂枝の陰茎が茶柱の口に吸い込まれたが、意識が飛んでいってしまいそうな先ほどとは違う。ゆっくりと茶柱の舌が裏筋を沿い、舐めあげる。口の中に入ると温もりを感じる。茶柱の熱が、伝わってくる。その気持ちよさに、思わず声が出そうになる。坂枝は慌てて口を覆い抑えようとするが、茶柱の言葉を思い出す。そしてまたそっと手を離し、つぐんでいた口を開く。
「……先生……♡きもち……いい……っ♡♡♡」
抑えずに漏れた、坂枝の声。その言葉は茶柱の心を癒やし、幸せにする。
「もっと…………♡もっと……聞かせて…………♡」
その満たされるような気持ちを何度も味わいたくて、おねだりをしてしまう。
“れぇっ♡れっ♡れろろぉ~~~…………♡♡♡れるぅ……♡れぉ……ろろ♡”
“あぁ……むっ……♡はむぅうう……♡じゅる…………♡ん~……むぅう……♡じゅるっ……♡”
ザーメンを搾り取ろうとしていた1回目とは違う。茶柱は、自分の想いを伝えるため、表現するために咥える。
「……先生……っ♡……好き…………♡」
不意に漏れたのは、告白。
「……わたしも……好きだ……♡……大好きだ…………♡」
2人は、想いを交わす。
――先生……♡……また……出ちゃう…………♡
――遠慮するな……♡今度こそ……私が全部……♡受け止めるから…………♡♡♡
“びゅるっ♡びゅるるるっ♡びゅくっ♡びゅくっ♡びゅるるっ♡”
「んっ…………♡んんっ…………♡♡♡」
“ぼびゅっ♡びゅぅうう~~~~♡♡♡びゅるるるる~~~♡♡♡びゅっくっ♡どぷっ♡びゅくっ♡”
“どぴゅっ♡どぷどぷっ……♡どっぴゅぅ……♡♡♡びゅっ……♡びゅるっ……♡”
“どくどく……っ♡とぷ……っ♡びゅるる……っ♡びゅくんっ♡びゅるっ……♡”
「んっ……♡んっ……♡んぐぅ……♡んぶっ……んっ♡んふぅぅぅ…………♡♡」
カーテンを開けると、外には朱の空が広がっていた。時計を見ると、応接室に入ってから3時間が経過していたことを知る。
「……安心しろ。退学に対し粘ろうとする生徒が多数だ。そのためか、退学処理のタイムリミットは緩く設定されている」
「……でも、決まっているんですよね……?」
「ああ。……あっ…………」
不意に、坂枝と茶柱の視線が交錯する。
そうすると磁石のようにひかれあい、そっと抱き寄せ唇を重ねる。
「んっ……」
さきほどからずっと、同じことを繰り返している。
目と目が合うたびに、2人は本能的に互いを求める。触れていたくてしかたがない。
「先生のことが好きすぎて……どうしたらいいか分かりません…………」
「私も……キミへの想いをおさえることができない…………」
――僅かに唇を離すだけで、それだけであなたがどこかへ行ってしまいそうで…………
「ん……っ」
――愛している…………
「ん……ん……っ…………」
これからどうするのか、どうすればよいのか。全く分からない。
ただ2人は視線を交わし、唇を交わす。
そしてより強く、抱き寄せる。
…………離れたくない。