※この作品はR-18です。

退学の決まった小柄な男子生徒が茶柱先生に絞られる話   作:とろぼっち

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前回の続きです。前半は変態パート、後半は重い純愛です。
前半部分は前回リクエストがあったのでパイズリをメインにしました。
後半部分は男の娘的な描写、ヤンデレ的な描写を含むので、苦手な方は閲覧をご遠慮ください。



第2話

離れたくない。

その思いが、貪るようなキスを止めさせない。

坂枝の思考はすでにショートしているようだ。辺りが薄暗くなっているのにも気づかず、蕩けた表情に小さく舌を出している。早く、早くキスして――そうおねだりされ、拒否できる茶柱ではない。その愛らしい舌にしゃぶりつき吸い上げる。一端離して糸を垂らすと、再び坂枝の口を塞ぐ。何故これほど坂枝がかわいらしく、そして愛おしく思えてしまうのか――もはや理屈ではない。普段生徒の前ではどのように振る舞っていたのかすら思い出せないほど、今の茶柱の脳内は坂枝でいっぱいになっていた。

 

 

 

 

「……教室を移動しよう。いつまでも、ここにいるわけにはいかない」

 

長い唾液交換の後、茶柱はそう提案した。

幾分か理性を取り戻した坂枝は、不安そうに頷く。この学校に留まってはいけない存在であることは坂枝自身も理解している。茶柱とて、訳の分からない提案をしたことは分かっている。しかしこのまま退学させることが坂枝との絶縁を意味してしまうのではないか――それを何よりも恐れ、苦し紛れに放った言葉だった。

そっと扉を開け外に出ると、ひんやりした風が蒸れた部屋に入っていく。音を立てずに扉を閉め、坂枝の手を引き玄関とは反対の方向へ歩き始める。

 

「どこに行くんですか……?」

「……分からない」

 

長い廊下、光のフェードアウトが坂枝の不安を煽る。

分からない――この先どうすれば良いか、茶柱には分からない。そもそも、欲情のスイッチがついた――坂枝の甘イキを見たときから、茶柱は後先考えずに坂枝を求めていた。たった今彼の手を引きどこへ向かおうとしているのかすら分かっていない。見つからないところへ、光のないほうへ――ただそれだけを考え、歩き続ける。

いくつも角を曲がり、階段を上り、気づけば完全に電気の落とされたフロアへ来ていた。空き教室を見つけ、逃げ込むように中へ入る。坂枝が中に入ったことを確認すると、人影がないか見渡してから鍵を閉める。

 

「……先生……」

 

ドアから振り返ろうとした茶柱は、腰に手が回され後ろからの軽い衝撃を感じる。

抱きついてきた坂枝の手は小刻みに震えていた。

しがみつくようなその強さは、坂枝の不安を表しているようだった。

どうすれば良いのか分からないのは、坂枝も同じ。

ただ一つ分かるのは、離れたくない、離れてはいけないということ。

 

「……安心しろ。キミは、私が……」

 

振り向き、坂枝をぎゅっと抱き寄せる。包むように、自分の体温を分けるように、強く抱きしめる。

 

 

 

 

引っ張り出した椅子に坂枝を座らせ、茶柱は自らのブラウスのボタンに手をかける。ゆっくり、ゆっくり、ひとつひとつ外していく。プチッ、っと最後のボタンが外れると、今度は手を後ろに回しブラホックを触る。

高校時代から自分の胸囲の数値が周りよりも大きく、大人になってからも成長を続けたこの胸を、茶柱はさして良いと感じはしなかった。むしろ肩や首などの身体への負担、胸に注がれる異性の視線に嫌気が差すなど悪いことばかりである。

しかし今、三桁を優に超えるバストを前に、顔を真っ赤にして恥ずかしそうにしている坂枝には不思議と抵抗がない。それどころか、目線を逸らしたくてもそらせない、そんなウブな様子が可愛らしい。

10を超える年の差がありながらも、坂枝が胸に興奮していることが、茶柱には嬉しかった。

 

「…………ぁ……っ♡」

 

“たぷんっ♡”と揺れる胸を片手で支え近づけていくと、坂枝はぴくんと身体を震わせた。

 

「もしかして……少し出たのか?」

「……はい…………っ♡」

 

ズボンを下ろしパンツを脱がせると、蒸れた匂いとともに精液で濡れた愛棒が姿を現す。

 

「その……先生の、お、おっぱいが……」

「……ふふ、おっぱいを見ただけでこんなになるのか……♡本当に、可愛いなキミは♡」

 

未だ絶頂状態のように頬を赤らめている坂枝に軽くキスをすると、女の子のように内股で閉じてしまった白い脚を優しく押し広げ、ちょうど茶柱の顔の目の前に陰茎が来るように、股の隙間に入り込む。“ふーっ♡”と息を吹きかけると、またぴくっと震え少量の精液が飛び出る。重くて持ち上げるのにも一苦労なほど豊かで柔らかな乳を持ち上げ――ちょうど亀頭がギリギリ触れないところで、静止する。

あえて、茶柱は何もしない。

何かが始まると固唾をのんで待機していた坂枝は、茶柱が何もしないことに困惑する。

しかしその様子を見ても、茶柱は何もしない。

その柔らかくて大きな、はち切れんばかりのおっぱいに触れたくて、包まれたくて――我慢汁と軽イキで湿った淫棒が触れたそうに“ぴくんっ♡ぴくんっ♡”と震えるが、その深い深い、差し込む準備の整った谷間にはあと僅かで届かない。

焦らして、じらして、茶柱は急激に溜まっていく坂枝の肉欲に欲情する。

そして、やっと応えるかのように、淫棒と向かい合わせていた下乳の穴を坂枝に見せつけ――

 

「……ここに、この“穴”に、キミのおちんちんを……キミが入れるんだよ……♡」

 

――まるで発情して感度が最大になり濡れまくった淫靡な割れ目のように――汗ばんで湿った乳房の間に生まれた淫茎専用の穴――その下品で淫猥な乳穴を示し、自分から挿入するよう坂枝に告げる。

この行為は何なのか、どのような快楽なのか。坂枝には皆目見当もつかない。しかしそれでも、この深く底の見えない穴がどれほど卑猥であるのか、それは坂枝にも、そして茶柱にも直感的に分かる。

手を椅子の後ろにつき、恐る恐る坂枝は腰を持ち上げ始める。届きそうで届かなかった乳肉に、5センチ、4センチ、3センチ、と距離が埋まっていく。

そしてついに先端が穴の入り口に触れ、狙いを定めると――

 

“にゅるんっ♡”

 

と音を立て穴は亀頭を咥え込み、肉棒に塗りたくられたような我慢汁が潤滑油となって――

 

“ずぷっ……じゅっぷんっっ♡”

 

――一気に、坂枝の小さな淫棒を、飲み込んだ。

 

「……あっ………♡………はぁ……あっ♡♡♡」

 

すべてを飲み込んだ瞬間、坂枝の身体は鋭い電流が走ったかのように跳ね、その衝撃で思い切り乳の肉に腰が打ち付けられた。

その一発、あまりの気持ちよさに腰が抜けてしまったのか、坂枝は背を預けるように再び椅子に座り込んだ。果ててしまったようにぐったりしているその身体にもう一度乳房を下ろすと、“あ゛っ♡♡”と呻くような猥声をあげ大きく身体を仰け反らせる。

電気ショックのような鋭い快感に坂枝は思考の制御を失い、目をチカチカさせ力なく天井を見上げる。そして度々訪れる“ぱちゅんっ♡”という音とともに身体を震わせるだけ。

そして予備動作も何もなく――

 

“ぼびゅっっっ♡♡♡♡”

 

わずか5往復足らず。あっけなく、そしてあまりの快楽に坂枝自身も朦朧としたまま、絶頂を迎える。

 

“ぶびゅ♡♡びゅるるる♡♡♡びゅくびゅくっ♡♡♡”

 

乳肉でしっかりと覆われていたはずなのに、爆発するような白濁が深い谷間を上り、吹き出る。

あまりに早すぎる射精は、天井まで届きそうなほどの勢いだった。

そして快感の度合いを表すかのように、吐精は全く終わる気配がない。

蛇口が全開になってしまったような、その卑猥すぎる射精は茶柱の思考をさらに奪い、絶頂を途切れさせまいと精子を求め――

 

「もっと……♡もっともっと…………♡♡♡」

 

――放精が止まるのも待たず、茶柱は再び扱き始める。“とちゅんっ♡”と乳を下ろすたびに淫汁が漏れ、噴水のように茶柱の顔にかかる。

もちろん坂枝もそうだが、茶柱にとってもこの“パイズリ”という行為は初めてであった。そもそも男性器を間近で拝んだことすらないのに、なぜ坂枝にこれほど激しすぎる快楽を与えられるのか――それは坂枝の陰茎が小柄で容易に挟めること、茶柱のカップサイズがFやGを悠々と飛び越えていること、そしてローションの使用をもったいなく感じさせてしまうほど射精量が余りあるからである。

 

“びゅっっっ♡びゅっっっ♡びゅるっっ♡♡♡”

 

波打つ乳肉の動きに合わせ、深い谷間から白濁が飛び出す。それはまるで一回一回精液がひり出されて射精しているようで、実際は単発の長い長い射精なのだが――

 

“んぐっ♡……ぐっ……♡んっ♡……んんっ…………ンっ♡”

 

すべての吐精を逃すまいと、茶柱は自らの谷間に顔を埋め放出を受け止めようとする。

 

「もっと……♡もっともっともっと…………♡もっと出して…………っ♡♡♡」

 

腰の震えが収まっていく。

――しかし、ようやく脈動が収まった淫棒に、茶柱は容赦をしない。

 

“じゅるるるるっ♡ぶちゅっ♡じゅぶっ♡……じゅぞ~っ♡ちゅぽんっ♡

ぐぽっ♡じゅぽっ♡じゅぷぷっ♡ぐぽぉっ♡ぎゅぽっ♡”

 

“ずちゅんっ♡♡じゅぷじゅぽっ♡ぐっぽぐっぽっ♡とちゅんっ♡♡”

 

谷間をかき分けようやくひょこっと顔を覗かせたのは、淫汁を出したばかりの赤熟した肉亀だった。それを視認するや否やその真っ赤な頭に口をあて、吸い込むように咥え、精汁を搾り出さんと勢いよく吸引する。と同時に、控えめになってきていた柔肉のピストンを加速させ――誰に見つかってもおかしくないような盛大な猥音を鳴らし――バキュームとパイズリで一緒に責め立てる。

ようやく意識が戻ってきたのか、目の焦点が合ってきた坂枝は幸か不幸か再び下腹部の快感に悶絶する。

 

「もっと……もっと……出る……んっ……だろう……っ?♡♡れろぉ~……♡この……おちんぽ……まだまだ……んんっ……♡♡……しゃせい……♡♡……したい……みたい……んっ……ぐっ……♡……はあっ……♡♡」

 

ずっと肉棒を咥え込んでいた茶柱は顔を上げると、思い切り胸を寄せ肉棒をより強く包みながら、白濁と我慢汁と唾液を舌に這わせて、

 

「ほら……♡♡もっともっと……私の…………♡……どうしようもなく……淫猥な……口マンコに……♡♡だらしなく……育った……この乳マンコに……♡♡いっぱい……射精して……種付けして……受精させて……孕ませて……♡♡♡♡」

 

“じゅるるるっ♡じゅるるっ♡むちゅっ♡じゅるるるっ♡はぶっ♡ずろろぉぉぉぉぉ♡”

 

――再び卑猥に音を立て、ストロークを続ける。

坂枝にとって聞き慣れないような、下品で淫猥な茶柱の言葉は余計に坂枝の五感を刺激して興奮を煽り――無意識のうちに、茶柱の頭を両の手でつかんでいた。

おそらくは知らず知らずのうちに、勝手に腕が動いた結果。女性を屈服させるようなその行為――されど、坂枝にその気は無かった。今までに無いほどの快楽、それに応じて腹の底から段々と上ってきたような白いマグマ――それが茶柱の淫語に煽られ、もう間もなく噴出しそうなのを感じ取り、結果的にそのようなホールドをさせた。

対して茶柱は、逃げられないように固定されたことにも気づかず、しかし再び腰が小刻みに震えだしたことにより射精が間近であることを感じ取り、より一層吸い上げを強める。

 

「……あっ……でる…………っ♡♡♡でちゃう…………っっっ♡♡♡♡♡」

 

――そのときになってようやく、茶柱は自分の頭が掴まれていることを知る。

 

「んぐっ!?」

 

――勢いよく喉奥を突き刺すような、太い固形物のようなものが精液であると分かった時には、すでに茶柱の口内は容量オーバーになっていた。

もはや喉の締まりは機能していない。口内でも喉でも収まりきらない濁流は食道を通り、胃に直接注がれる形となる。

 

――本気で、孕まされる…………♡♡♡

 

坂枝は無意識にも、力強く茶柱の頭を固定している。どうしても溢れてしまう精汁はどくどくと乳穴へ入り込んでいくが、ほとんどは茶柱の胃へ直接流し込まれている。

 

“びゅっっっっ♡♡♡びゅるるるる~~~♡♡♡びゅるるるっ♡どっぴゅっっっ♡♡♡♡びゅるるるるっっ♡♡♡♡♡”

 

あまりの勢いと量に意識が飛びそうになるのを茶柱は必死で抑え、思考を捨てただ口を開き坂枝の濁液を受け止める。自分がもはやただの精液のはけ口になっていることには不快の一つ感じなかった。むしろなぜか――考える暇も無いが――興奮を煽られているような気分になっていた。

坂枝は力が抜け始め精汁を放出しながらよろよろと椅子にもたれかかる。胃すら濁液で満杯になった茶柱は不意に口から淫茎が離され、その反動で口内に溜まり茶柱を溺れさせていた精液が溢れ出る。

 

――ああ、勿体ない……♡♡♡

 

そう思いつつも、茶柱にはその精液を飲み込める気力は残っていなかった。まるで本当に子を孕んでしまったかのように腹部は膨れ上がり、そのあまりの重さによろめき手を床につく。

そうなってもまだ坂枝の射精は終わらず、茶柱の裸体だけでなく小さな空き教室の至る所に飛び散り、部屋全体にマーキングする勢いで吐精した。

 

 

 

気の遠くなるような噴精ののち、切れかけていた茶柱の意識を再び覚醒させたのは校内放送だった。

 

「…………呼びです……きゅう……理事長室へお越しください。繰り返します。2年担任、茶柱先生、理事長がお呼びです。至急、理事長室へお越しください」

 

どこか遠くから聞こえてきたような声をようやく脳で処理し、現実に引き戻されたような感覚に若干酔う。ブラジャーはもう着けられないほど白濁でまみれていたが、脱いで脇によけておいたブラウスとジャケットは奇跡的に精液をあまり被っておらず、そのまま着ることが出来る。

呼び出しの理由はおそらく、目の前で気を失いかけている坂枝、その退学処理についてだろう。退学の完了報告をまだしていないことを今更ながら思い出す。外はすっかり日が落ち、暗闇で覆われていた。

 

「……少し、外に出てくる。安心しろ、絶対に戻ってくるから」

 

置いていかないで、とばかりに力なく手を伸ばす坂枝の手を取り、心を落ち着かせるため優しく口づけと抱擁をし、教室をあとにする。

教員用のトイレで、化粧が落ちるのも気にせず口元を洗う。髪にも付着していることに気づき、急いですすぐ。胸など身体に直接かかっているものはどうしようもない。それよりも、遅刻すればするほど怪しまれ、茶柱と坂枝の捜索が始まる。それだけは絶対に避けるべく、慌てて理事長室へ向かう。

 

 

 

少し前までは常に怪しげな笑みを浮かべていたあの男が座っていた席に、今はしかるべき人物が座っている。

 

「……茶柱先生に来てもらったのには理由があります。分かりますよね?」

「ええ。……今日退学になった生徒の、退学処理の件ですよね」

「そうです。報告が上がってこなかったので、何かあったのではないかと」

 

何かあったのですね――坂柳理事長は、そう目で問いかける。

退学者を選出する試験が終了してから、すでに5時間が経過していた。部活や勉強で残っていた生徒は皆下校し、本来ならば警備員の見回りの時間も過ぎている。その時間になっても退学処理が終わっていないということは、まだ校舎内に生徒と教員が残っている可能性を浮上させる。

それでもなお叱責するのではなく事情を尋ねるのは、坂柳の人柄の表れでもある。

 

「……私の不手際により、退学処理書類に不備が見つかり、その対応に追われた結果……遅れてしまい、ました」

 

そう説明しながら坂柳と目が合う。その目は、猜疑を意味するものではない。生徒の安全を第一に考え、心配する目だ。

その人物に書類の不備という“嘘”を告げることに後ろめたさを感じ、言葉の最後が途切れそうになる。

 

「……それで、その後退学処理は完了したのですか?」

「……え……っと、それは……」

 

――咄嗟の判断が、できない。

ここで完了を報告すれば、いよいよ坂枝と離れてしまうことになる。

空き教室に入ったとき、後ろから抱きつかれたこと。そしてその手が、震えていたこと。

ここへ来るよう呼び出されたとき、手を伸ばしてきたこと。――そしてその目が、何かを訴えていたこと。

そのあまりの儚さに、茶柱は無視など出来るはずもない。

そして何より、茶柱自身が、あのか弱く小柄な生徒を失うことを恐れている。

しかし完了していないとなれば、それは由々しき事態になる。

書類不備にしても、5時間は余りに大げさだ。当然調査が行われ、様々なことが明るみになってしまう。それが結果茶柱の懲戒免職で済むならまだしも、その火の粉は坂枝にも降りかかる。彼の今後の人生を狂わせてしまうことにだってなりかねない。

――時すでに遅し。茶柱は今更だと分かっていながらも、自分が侵した罪の重さを実感する。

 

「……完了、しました」

 

声が震えているのを分かっていながら、どうにか絞り出す。

こう答えるしか、ない。

坂柳はそっと目を閉じると、座ったまま後ろを振り返り、縦に流れるブラインドをよける。

 

「……綾小路君は、私がいなかったとき特に問題はありませんでしたか?」

「……え?……ええ」

 

綾小路――ずいぶんと久しぶりにその名を聞いたような気がして、茶柱は反応が遅れる。

 

「……月城君が代行を務めていたとき、彼がどんな目に遭っていたのか。少し想像が出来てしまいます」

 

ただの雑談、ではないようで、坂柳は話を続ける。

 

「彼がもし退学に追い込まれた場合、それは私の責任でもあります。私情を割り込ませ、この学校に隠すように入学させたのは、他でもない私ですからね」

 

ブラインドから手を放すと振り返り、入り口に立ったままの茶柱と再び向き合う。

 

「この話は以前、先生にもしましたよね?」

「……ええ」

 

去年の入学の折、茶柱は坂柳からある生徒の面倒を見るよう頼まれた。それは大人顔負けの能力の持ち主で、まさに天才と周囲から評価されるほどである、と。

その年度始まりでも、綾小路の父親がこの学校を訪れた際でも、結局茶柱は詳しい事情――綾小路家の子細は、知ることが出来なかった。ただ坂柳が綾小路を暖かく見守っていた事実、そしてそれは坂柳が招いたことだけを、茶柱は知っている。

 

「……学校の入退学に、ましてや教育者が私情で動くなど言語道断。そしてその負担をあなたに与えてしまったことを、私は詫びなければいけない」

「い、いえ……」

「貸し借りの話はあまり好みではありませんが……準ずるならばいま私はあなたに借りが出来ている状態です。本来なら事の詳細を話すだけでなく、昇進やボーナスの上乗せなどをすべきところですが……」

 

――そこで、坂柳は言葉を止める。

彼がなぜ綾小路の話を持ち出したのか、そしてなぜ貸し借りの話をしたのか。思考が追いつくのに若干時間がかかったが、ようやく一連の意図を把握する。

 

「……私の不手際でありながら申し訳ないのですが理事長、今晩彼を……坂枝を、この学校で預かりたいのですが」

「……そうですね。すっかり日も暮れ、夜道に高校1年生を1人歩かせるのも危険です。1日限りですが、彼の退学を遅らせることにしましょう」

 

坂柳は微笑み、一夜限りで坂枝を泊まらせることを許可した。

 

「ただ、この件はできるだけ他言無用でお願いします。実際に泊まる場所は彼の意思に任せますが、学生寮の部屋はすでに清掃が入っているので、必然的に私の部屋か茶柱先生の部屋になりますが……」

 

なるべく人目のつかないようにお願いします、と付け加え坂柳は退室するよう伝える。

ドアを開け、坂枝の待つ空き教室へ向かおうとすると――

 

「茶柱先生」

 

――と、呼び止められる。

 

「……この場に私情を挟むこと、そのことに関して私は何も言いませんし、言う権利もありません。しかし……そこに法的問題が重く関わってくる場合、私は立場上何もしないわけにはいかなくなります」

 

最後に警鐘を鳴らし、坂柳は茶柱を退室させる。

 

 

 

急いで歩きながら、茶柱は坂柳の言葉を反芻する。

“法的問題”を起こさないよう――坂柳が茶柱に伝えようとしていた中で最も重要なのはその部分である。そしてその言葉の前には、口にはされなかった“これ以上”というフレーズか付け加えられる。

結果として茶柱の行いを見逃す形となったのは、坂柳の優しさ故ではない。あくまで生徒を第一に考えた、教育者としての“義務”によるものである。

茶柱は、それを留意しなければならない。

 

ドアを開き、明かりのない部屋でなんとか坂枝を視認する。うとうとと眠りかけていた坂枝は茶柱が戻ってきたことを理解すると、安堵の表情を浮かべる。その顔に拒否の色が見えないことに茶柱は嬉しくなり、暗い部屋で孤独にさせてしまった坂枝を優しく抱擁しようと手をのばしたところで――

――坂柳の言葉が脳裏をよぎる。

 

「……今日、一晩だけ、この学校に泊まる許可を貰った。私の部屋か、それが嫌なら理事長の部屋でも良いのだが……」

 

密着しそうになっていた身体を離し、坂枝に尋ねる。

 

「……先生の……茶柱先生の部屋が、いいです……」

 

坂枝は、迷わず答える。

今坂枝と視線を合わせれば、きっと理性が外れてしまう。先程まではさして気にしていなかったその理性は、今では生徒と教師の距離感を保つ最後の砦である。だからこそ、茶柱は目を合わせることができない。

 

「……分かった」

 

ぎゅっ、と坂枝は茶柱の裾を掴む。その行為を、茶柱は拒否することは出来なかった。

離さないで――これがどちらかの想いなのか、茶柱には分からない。

 

 

 

無事誰にも会わず、部屋に着く。

先に風呂に入るよう坂枝に言うと、

 

「いえ、僕が汚してしまったんですから、先生が先に入ってください」

 

と、いちいち小さく興奮を煽りながら、茶柱を優先させる。

 

「……し、しかし、ここは私の部屋だ。客人をもてなすのは当然だろう」

「いえ、そもそも僕が退学になってしまったからお邪魔することになったんです。僕が先に入るわけにはいきません」

「それを言うなら、私がキミを引き留めて、その、いろいろなことを……してしまったから……」

 

反論しながら自分が今までどんなに卑猥なことをしてきたかを回想し、恥ずかしさの余り言い淀んでしまう。

 

「……それなら…………」

 

このままだと平行線から動かないと思ったのか、坂枝はおもむろに茶柱の手を取り顔を近づけ――

 

「一緒に、入りますか……?」

 

――茶柱の耳元で囁く。

急激に耳の温度が上がったかと思えば、一瞬で沸騰する。

突然の、それもあまりに積極的な坂枝の言動に茶柱は思わず耳を手で覆う。

坂枝は真剣な表情をしていた。行為は別にしろ、言ったことは単なる弄りやからかいではなさそうだった。

なんとか平静を取り戻すと、耳をさすりながら茶柱は観念したように折れる。

 

「……ここの風呂は、そこまで広くはない。……お言葉に甘えて、先に入らせてもらう」

 

待っている間はさっき買った弁当を食べるように――とだけ伝えると、そそくさと風呂場に逃げ込む。夜に男女二人がともに過ごすというこの状況だけでもだいぶ危ないのに、吐息で耳元を撫でられたらいよいよ暴走しかねない。

シャワーを流しながら、茶柱は自分に言い聞かせる。

――絶対に、何もしてはいけない。

何度も、何度も、繰り返し口にする。

これ以上の行為は、自分だけでなく坂枝の首さえも絞めることになる。

それだけは、絶対に避けなければいけない。

彼の将来を奪うことだけは、してはいけない。

 

 

 

交代で坂枝を風呂に入らせ、スマホの画面を開き適当に今日のニュースを流し読みする。

シャワーを浴びる音が浴室から漏れてくる。その微かな音に耳を傾けながら呆けていると、しばらくして水音が止んだ。今頃身体を拭き、着替えているのだろうか――着替え用に渡したシャツのサイズは大丈夫だろうか――そんな事を考えながら待っていると、扉が開く。

 

「早かったな。しっかり温まった……か……」

 

予期せぬその姿に、言葉を失う。

オーバーサイズの白シャツを一枚、身につけているのみである。

十分に身体を拭かなかったのか、水粒が滴っている。胸にはシャツがまとわりつき、鮮やかなピンクの突起――乳首が透けている。そして渡しておいた下半身用のルームウェアも履かず、下腹部には不自然な隆起が見られる。

その格好の、男性なのか女性なのか分からなくなってしまうほどのあまりの妖艶さに、茶柱は反応を示すことすら出来ない。

パチン、と部屋の電気が落とされる。坂枝が切ったのだ。一気に照度は落ちるが、坂枝の身体は淡い月明かりに照らされている。

ゆっくり、ゆっくりと、水滴を落としながら茶柱に迫り、目の前に立つ。

そして頬を赤らめ、恥ずかしそうに俯きながらも、シャツのボタンに手をかけ、プチッ、プチッ、と外していく。

それはまるで坂枝が辱めを受けているような――誰かに命じられ裸ワイシャツをそっと脱ぐような――官能的で、扇情が過ぎる光景である。

一番下までボタンを外すと、シャツを左右に広げその美しい裸体を露わにする。

白く透き通った肌に、華奢な体つき。ウエストは細く締まり、小柄ながらも脚はスラッと伸びている。

恥ずかしげに開かれたその胸元には、乳頭がぷっくりと小さく膨れ――勃起している。そして下半身も同様に、色欲をそそり“綺麗”とさえ表現できるような淫茎が屹立している。

 

「……さっきから、先生に避けられているような気がして……」

 

坂枝は膝をつくと、じわじわと茶柱との距離を縮める。

 

「……理事長に、なにか言われたんですか……?言われたんですよね……?」

 

茶柱は何も言葉を発することが出来ず、後ずさるばかりである。

 

「……なんて言われたんですか……?」

 

「……先生を不安にさせるようなこと、言われたんですか……?」

 

「……僕と触れちゃいけないって、そう言ったんですか……?」

 

「……ねえ、先生…………」

 

にじり寄ってくる坂枝を抑えることは出来ず、背後に壁を感じたところで、茶柱は為す術無く倒れ込んだ。坂枝はその上に跨がると、追求を止めないとばかりに耳に息を吹きかけ――

 

「……ねえ、先生……教えて…………」

 

――甘美の声を茶柱に聞かせる。

直接の刺激を与えられていないにもかかわらず、坂枝が纏うその艶麗さに喘ぎそうになり、その直前で踏みとどまり――今まで逸らしていた視線を合わせまっすぐ見つめる。

 

「……こういうことを、してはいけない」

 

風呂場で何度も反復したように、言い聞かせるように繰り返す。

 

「……こういうことは、してはいけない……」

「……なんで……?」

 

――坂枝が聞き返すのは当然である。そもそも先に一線を越えようとしたのは茶柱のほうである。それが今度は一方的に拒否をする――一貫性のなさ、身勝手さに戸惑うのも無理はない。

 

「……さきに始めたのは私なのに、すまない……

……だが本当に私がキミを想うなら……やめなければいけない」

「……なんで……どうして……っ」

「今この瞬間も、私はキミを、君の人生を狂わせてしまっている……」

 

――教師と生徒、許されない関係に引きずり込み、そして迷わせてしまっている。

 

「……分かってほしい、本当に君を愛しているからこそ、もうこれ以上君を……ん……っ」

 

これ以上言わせないとばかりに――坂枝は、茶柱の口を塞ぐ。

茶柱は押しのけたりはせず、ただ受け止める。

 

「……勝手……勝手すぎるよ……っ、こんなの……」

 

坂枝のこぼす涙が、茶柱の頬に落ちる。

 

「……もう先生しか、先生しか愛せないよ……」

 

茶柱は、決して坂枝の腰に手を回すようなことはしない。ただ受け入れ、何もしない。

 

 

 

 

「……先生を好きなこの気持ちは……狂っているの…………?」

 

 

 

「……………………ああ………………」

 

 

 

 

――つぶやいた途端、茶柱は自分が言ってはいけないことを言ってしまったことに気づく。

しかし気づいたときにはすでに遅い。きらりと光る涙で濡れていた坂枝の瞳はみるみる色を変え、不安定になる。

 

「……なら……もっと狂わせてよ」

「坂枝、今のは……」

「……この気持ちが狂っているなら、もっともっと狂わせて……」

 

危険な香りが一気に部屋に充満し、それが恐怖へと変わる。

 

「……ねえ先生…………もっと狂わせて……もっと……壊して……めちゃくちゃにして…………」

「坂枝……いまの……んっ……い…………んぁ…………」

「……先生言ったでしょう……?狂ってるって……ねえ……ぼく、もっともっと狂いたい…………」

 

「先生を、愛しているから…………」

 

茶柱の首筋を甘噛みすると、手を引き反対側へ引きずり込む。

坂枝に覆い被さる形となり、虚ろで不安定な瞳で坂枝は茶柱を捉える。

 

「……やっぱりこうだよ……♡先生が上になって、ぼくを犯して……めちゃくちゃにして…………♡」

 

 

 

気づけば、選択肢はなくなっていた。

ここから先、立ち入り禁止。

赤く塗られた、あの警告看板が浮かぶ。

その赤はあまりに強すぎて、脳に直接警告しているようである。

しかし、一本道の、その看板の向こうには――坂枝がいる。

ここから茶柱が後ろを振り返れば、果てしない一本道を引き返すことになる。

しかし坂枝は――看板の向こう――絶対にこちらに戻ってくることはない。

すでに坂枝は、看板を超えてしまっている。

それもこれも、なにもかも、自分のせい。

茶柱には分かっている。

責任は、自分にある。

だからこそ――坂枝のいる看板の向こうへ――先の見えない暗闇へ行かなければいけないことも、分かっている。

そう、すべては自分が悪い。

 

 

 

「……ん゙っっ♡♡♡はあっっ♡♡♡ああああああっっ♡♡♡」

 

膜を貫通し、血が飛び散る。

痛い。痛い。痛くて、どうしようもなく気持ちいい。

ついに、2人が本当に繋がる。

この瞬間を何よりも望み、何よりも恐れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

――あっっ♡♡♡あっ♡♡♡いっ♡♡♡いっっぐぅぅぅぅぅ♡♡♡♡

――イグ♡♡イグっ♡♡♡い゙っっちゃうぅぅぅ♡♡♡

――もっとぉ♡♡♡もっとぉ♡♡♡お゙っ♡♡お゙おっっっっ♡♡♡♡♡

――まだっっ♡♡♡でるぅぅっ♡♡♡♡♡ん゙ん゙っっっっ♡♡♡♡

 

 




最後に2人が狂ってしまうという結末でしたが、もう少しソフトで綺麗な純愛を読みたいという方が万が一いらっしゃった場合、コメントまたはアンケートにお答えいただけると幸いです。

最後は2人が狂ってしまうという結末でしたが……

  • もう少しソフトで綺麗な純愛が読みたい!
  • 狂ったその先が知りたい
  • 特になし
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