退学の決まった小柄な男子生徒が茶柱先生に絞られる話 作:とろぼっち
前半部分に変更はないので、今回は物語の分岐となる後半場面から始めさせていただきました。
急いで歩きながら、茶柱は坂柳の言葉を反芻する。
“法的問題”を起こさないよう――坂柳が茶柱に伝えようとしていた中で最も重要なのはその部分である。そしてその言葉の前には、口にはされなかった“これ以上”というフレーズか付け加えられる。
結果として茶柱の行いを見逃す形となったのは、坂柳の優しさ故ではない。あくまで生徒を第一に考えた、教育者としての“義務”によるものである。
茶柱は、それを留意しなければならない。
ドアを開き、明かりのない部屋でなんとか坂枝を視認する。うとうとと眠りかけていた坂枝は茶柱が戻ってきたことを理解すると、安堵の表情を浮かべる。その顔に拒否の色が見えないことに茶柱は嬉しくなり、暗い部屋で孤独にさせてしまった坂枝を優しく抱擁しようと手をのばしたところで――
――坂柳の言葉が脳裏をよぎる。
「……今日、一晩だけ、この学校に泊まる許可を貰った。私の部屋か、それが嫌なら理事長の部屋でも良いのだが……」
密着しそうになっていた身体を離し、坂枝に尋ねる。
「……先生の……茶柱先生の部屋が、いいです……」
坂枝は、迷わず答える。
今坂枝と視線を合わせれば、きっと理性が外れてしまう。先程まではさして気にしていなかったその理性は、今では生徒と教師の距離感を保つ最後の砦である。だからこそ、茶柱は目を合わせることができない。
「……分かった」
ぎゅっ、と坂枝は茶柱の裾を掴む。その行為を、茶柱は拒否することは出来なかった。
離さないで――これがどちらかの想いなのか、茶柱には分からない。
無事誰にも会わず、部屋に着く。
先に風呂に入るよう坂枝に言うと、
「いえ、僕が汚してしまったんですから、先生が先に入ってください」
と、いちいち小さく興奮を煽りながら、茶柱を優先させる。
「……し、しかし、ここは私の部屋だ。客人をもてなすのは当然だろう」
「いえ、そもそも僕が退学になってしまったからお邪魔することになったんです。僕が先に入るわけにはいきません」
「それを言うなら、私がキミを引き留めて、その、いろいろなことを……してしまったから……」
反論しながら自分が今までどんなに卑猥なことをしてきたかを回想し、恥ずかしさの余り言い淀んでしまう。
「……それなら…………」
このままだと平行線から動かないと思ったのか、坂枝はおもむろに茶柱の手を取り顔を近づけ――
「一緒に、入りますか……?」
――茶柱の耳元で囁く。
急激に耳の温度が上がったかと思えば、一瞬で沸騰する。
突然の、それもあまりに積極的な坂枝の言動に茶柱は思わず耳を手で覆う。
坂枝は真剣な表情をしていた。行為は別にしろ、言ったことは単なる弄りやからかいではなさそうだった。
なんとか平静を取り戻すと、耳をさすりながら茶柱は観念したように折れる。
「……ここの風呂は、そこまで広くはない。……お言葉に甘えて、先に入らせてもらう」
待っている間はさっき買った弁当を食べるように――とだけ伝えると、そそくさと風呂場に逃げ込む。夜に男女二人がともに過ごすというこの状況だけでもだいぶ危ないのに、吐息で耳元を撫でられたらいよいよ暴走しかねない。
シャワーを流しながら、茶柱は自分に言い聞かせる。
――絶対に、何もしてはいけない。
何度も、何度も、繰り返し口にする。
これ以上の行為は、自分だけでなく坂枝の首さえも絞めることになる。
それだけは、絶対に避けなければいけない。
彼の将来を奪うことだけは、してはいけない。
交代で坂枝を風呂に入らせ、スマホの画面を開き適当に今日のニュースや明日の天気を調べる。
シャワーを浴びる音が浴室から漏れてくる。その微かな音に耳を傾けながら呆けていると、しばらくして水音が止んだ。今頃身体を拭き、着替えているのだろうか――着替え用に渡したシャツのサイズは大丈夫だろうか――そんな事を考えながら待っていると、扉が開く。
「早かったな。しっかり温まった……か……」
予期せぬその姿に、言葉を失う。
オーバーサイズの白シャツを一枚、身につけているのみである。
十分に身体を拭かなかったのか、水粒が滴っている。胸にはシャツがまとわりつき、鮮やかなピンクの突起――乳首が透けている。そして渡しておいた下半身用のルームウェアも履かず、下腹部には不自然な隆起が見られる。
その格好の、男性なのか女性なのか分からなくなってしまうほどのあまりの妖艶さに、茶柱は反応を示すことすら出来ない。
パチン、と部屋の電気が落とされる。坂枝が切ったのだ。一気に照度は落ちるが、坂枝の身体は淡い月明かりに照らされている。
ゆっくり、ゆっくりと、水滴を落としながら茶柱に迫り、目の前に立つ。
そして頬を赤らめ、恥ずかしそうに俯きながらも、シャツのボタンに手をかけ、プチッ、プチッ、と外していく。
それはまるで坂枝が辱めを受けているような――誰かに命じられ裸ワイシャツをそっと脱ぐような――官能的で、扇情が過ぎる光景である。
一番下までボタンを外すと、シャツを左右に広げその美しい裸体を露わにする。
白く透き通った肌に、華奢な体つき。ウエストは細く締まり、小柄ながらも脚はスラッと伸びている。
恥ずかしげに開かれたその胸元には、乳頭がぷっくりと小さく膨れ――勃起している。そして下半身も同様に、色欲をそそり“綺麗”とさえ表現できるような淫茎が屹立している。
「……さっきから、先生に避けられているような気がして……」
坂枝は膝をつくと、じわじわと茶柱との距離を縮める。
「……理事長に、なにか言われたんですか……?言われたんですよね……?」
茶柱は何も言葉を発することが出来ず、後ずさるばかりである。
「……なんて言われたんですか……?」
「……先生を不安にさせるようなこと、言われたんですか……?」
「……僕と触れちゃいけないって、そう言ったんですか……?」
「……ねえ、先生…………」
にじり寄ってくる坂枝を抑えることは出来ず、背後に壁を感じたところで、茶柱は為す術無く倒れ込んだ。坂枝はその上に跨がると、追求を止めないとばかりに耳に息を吹きかけ――
「……ねえ、先生……教えて…………」
――甘美の声を茶柱に聞かせる。
必死に逸らそうとする茶柱の目線を、坂枝は逃がしてはくれない。
今まで、坂枝が一方的に責められていた状況とは真逆の構図。壁際に追い詰められ、今にも覆い被さろうとする坂枝に、もういっそ全てを許してしまいそうになる。
首筋に、吸い上げられるような感覚。丁寧にその上を舌で上塗りされた後、チクリと心地の良い痛みを覚える。
――甘噛み。
いつか茶柱が坂枝にしたように、今度は“お返し”をされる。何も言わないなら、止めないから――まるで坂枝がそう言っているかのよう。最初は優しかった舌の這いずりは徐々に加減を失い、いつのまにか激しくなっている。
――最初は、茶柱の欲求により始まったこと。一人墜ちた茶柱は、自分の欲求に身を任せ坂枝を振り回した。目の前にいる彼の気持ちを顧みる事も無く、ただひたすらに求めるばかり。
その場の淫猥な雰囲気と、思春期による健全な性欲。それに突き動かされているだけで、誰でも良かったのかもしれない――そんな不安は、確かに茶柱の心の奥底にはあった。
しかし、今の坂枝からははっきりと伝わってくる。茶柱が抱いている感情、想いを、坂枝も同じくらい抱いている。それが、愛撫により届いている。
自分が想われている――自分の愛する人が、自分を愛してくれている。それが、何よりも嬉しい。
だから――だからこそ、そこには畏怖がある。
「私は……わたしは、怖い」
びくっと坂枝は震え、動きを止める。
「君とのことが明るみに出てしまったら、君の人生は捻れてしまう――私は、それが一番恐ろしい……」
そう、茶柱の責任だけでは収まりきらない。
もし、あるいは茶柱の責任のみで収まる話ならば、おそらくとっくに理性が外れていただろう。しかし実際はそうではない。坂柳が危惧したように、坂枝にも飛び火してしまうこと――それが、茶柱の理性をなんとか留めている。
「理事長は、見逃してくれたんだ……事情を把握した上で、君を守るために……」
「そんな…………」
「…………全ては私の責任だ。私のせいで、もうこれ以上君の人生を奪うようなことは…………できない」
そう、この関係や行為は赦されない。
一方的に坂枝を巻き込み、振り回し、迷わせたのは他ならぬ茶柱自身。
「…………先生は、今でも僕のことを想ってくれていますか?」
「…………ああ、だからこそ――」
「――だったら、否定しないでくださいっ」
鋭く、部屋に響き渡る。坂枝の瞳はきらりと光るものがあった。
「僕が先生に惹かれたのは、僕を受け入れてくれているような、そんな温かさがあったから……温もりを感じたからです。他の誰でもなく、あなたと一緒にいたいと心の底から思えた」
ゆっくり、しかし確かに、坂枝は言葉を紡ぐ。
「先に好きになってしまったのは…………僕のほうなんですよ?」
頬を伝う、宝石のような輝き。その悲しみを受け止めるように手を頬に当てると、坂枝は優しく微笑んだ。
「だから……否定しないでください。僕の想いを、先生の想いを。それが否定されてしまったら、僕はおかしくなってしまいそうで……」
「坂枝…………」
「…………もはやそういう話ではないというのは、分かっています。選択肢が一つしか残されていないこと、僕のために先生がそれを選ぼうとしていることも。だけど、それで先生と離れてしまうのなら…………それは、受け入れられない」
――坂枝とて、もう高校生。義務教育を終え、これからは決まった道など無く、自分で選択をしていく。今まで流されてばかりだった人生に、終止符を打つ。
「…………僕と、駆け落ちしてくれませんか」
――刹那、茶柱は疾風が側を吹き抜けていくのを感じた。
深い森を抜け、一気に視界が開けたような――そんな感覚。眼下に広がるのは町の風景でも青く光る海でもなく、ただ混沌のみ。底が見えない恐怖に、たじろいでしまうほどそれは不気味である。
――しかし、真上からは日の光が降り注ぐ。まるで混沌を透かしてしまいそうなほど、眩しく輝く光。高く昇った太陽は、光束に乗せて地に暖かみをもたらしている。
隣に、坂枝がいることに気づく。彼は前を見つめていた。瞳には不安の色も窺える――が、強い決意のもとにあるように、しっかりと先を見ている。
…………私は、どうなのだろう。
彼のように、覚悟はあるだろうか。
彼の言葉が蘇る。
“否定しないでください”
否定――それは、坂枝の手を引き深い森へと戻ること。
それが私にできるだろうか。
――いや、できない。
そんなこと、できない。できるはずない。
彼が覚悟を決めたのに、私が怖じ気づいてどうする。
目の前の混沌、先の分からない不安。
それに二人で飛び込むことに、何のためらいが必要だろうか。
放っておけないからついて行く――そんな脆い理由はいらない。
彼と一緒にいたい。
彼と一緒に行きたい。
私自身が、そう願っている。
「…………ああ、駆け落ちをしよう」
「…………先生は、初めてですか…………?」
「ああ…………恥ずかしながら」
「いえ、嬉しいです…………もし違ったら、嫉妬でおかしくなってしまいます」
「…………それは、私もだ」
ふと目が合い、自然と唇が触れあう。
「…………シャツは脱がないのか?」
「あ……脱いだほうが良いですか?」
ほとんどはだけてはいるが……坂枝がシャツに手をかけたところで、茶柱は慌てて止める。
「…………脱がないほうが良いですか?」
「いや、その…………すごく、えっち……だから…………目のやり場に、困る、というか…………」
可愛らしい淫棒を野晒しにしてぷるんぷるんと揺らし、上半身は一枚の薄い布を羽織っているだけ――茶柱は、その恍惚な光景に触れずにはいられなかった。
「“えっち”だなんて…………先生、可愛いですね」
「お、大人をからかうな」
「…………そんな“えっち”だなんて言われたら、余計に……昂ぶってしまいます」
坂枝がキスを迫る。拒むことなく、ふんわりと坂枝の身体を受け止める。
「あっ…………」
どちらからともなく、漏れた声。
「先生、当たっちゃってる…………」
“びくんっ♡びくんっ♡”と苦しそうにパンパンに腫れた肉棒の先端が、茶柱の秘部を小突いている。
「…………」
「…………」
言葉は発しない。坂枝は欲情しきった顔で見つめ、茶柱は応えるように頷く。
その瞬間が徐々に近づく。それに併せて吐息はますます熱を帯び、淫靡な雰囲気が濃度を増す。
茶柱は自ら秘唇を広げ、坂枝を受け入れる。前戯を全く必要としないほど濡れ、開くと同時に粘性のある卑猥な水音が聞こえてくる。
「あっ……♡」
ぴとっ、と優しく触れあうと――ついに亀頭からゆっくりと差し込まれていく。
「っ……くっ…………はぁっ…………♡」
「んっ……っ…………ん゙っ♡♡♡」
鋭い痛みが性器から脳天に届くように走る。
だが、何故か嫌ではない。むしろこの鋭い感覚は、更に快感を増幅させている。
締まりきった厚肉をかき分けかき分け、何層にも連なったヒダは肉棒を包み込む。
油断すると意識が飛んでいきそうで、茶柱は坂枝の手を固く握りしめる。しかし腰が抜けそうなほどの快感に悶えているのは同じのようで、坂枝もぎゅっと握る手に力が入っている。
「……だ、大丈夫ですか……?」
痛みに苦しんでいるように見えたのか、坂枝は挿入を止め心配そうに尋ねる。
「だいじょう、ぶ、だから…………もっと……もっとはげしく、して…………♡♡」
盛大に喘いでしまいそうになるのを必死に抑えながら、茶柱は坂枝の髪を撫でる。
挿入する前までは少し怖かった痛みも、実際味わってみるとすぐに快感に変換されている。
身体の相性が良いのか――そんなことがふと思い浮かんで、さらに興奮は高まっていく。
コツを掴んできたのか、はたまた気持ちよすぎて止まらないのか――坂枝は腰を打ち付けるペースを上げる。“ぱんっ♡ぱんっ♡”と肉打つ音が響き、それに合わせるように二人は快楽に悶える。
「せんせ…………♡♡♡……も、もう、出ちゃう…………♡♡♡」
そういえば避妊具なんて売っていたな……と、絶頂を迎える直前に茶柱はそんなことを思い出す。
「イっっっ…………ぐぅぅぅぅ♡♡♡♡」
膣内で“びゅるんっ♡”と熱い脈動を感じ、次の瞬間には小陰唇から精汁が噴出していた。膣内だけでは収まりきるはずもなく、子宮には直接注がれみるみる壁を押し広げる。
今までに無い悦楽に、茶柱は声を上げずにはいられなかった。坂枝の、愛する人の子種汁が子宮に沢山注がれていることがこんなにも心を満たす物だとは想像できなかった。
しかし、これで満足するはずはない。
一回の射精で妊娠したように膨れ上がったお腹を感じても、茶柱はまだ坂枝の精子を求めていた。同時に坂枝も、もっと沢山茶柱の子宮に注ぎ込みたいと思っていた。
繋がりっぱなしだった性器同士は再び動き始め、二人は快楽に溺れていく。
「……あの、こういうのって普通逆じゃないですか?」
布団の中で向かい合い、坂枝は不満を垂れる。腕枕を茶柱にしてもらっていることが恥ずかしいのか、頬が赤くなっていた。
「そういえば、君の家の事情を聞いていなかったな」
「……話、逸らしましたね…………」
腕枕をする男性の心理をよく理解した茶柱は、いったん保留にしておいた話を再び持ち出す。応接室では坂枝が言葉に詰まったのを見て深くは追求しなかったが、この先のためにも聞いておかなければいけないことである。
「別に大したことは無いんですけど……ただ、Aクラスで卒業するまでは帰ってくるなと言われたんです」
「…………追い出されたのか?」
「ええ、まあ…………お恥ずかしながら」
そのほかにも、坂枝はいろいろな話をした。三人の兄弟がいること、いつも一番成績が悪かったこと。粗雑に扱われていたこと、暴力を振るわれていたこと。複雑な家庭状況を話す坂枝の顔は、茶柱にはどうしようもなく悲しく、淋しく映っていた。
坂枝は、全てを受け入れてしまっている。退学書類を記入している際、ぽつりと呟いたように。愛情が育まれなかったのかもしれない。誰からも愛されることなく、自分は無価値だと思い込み、生に執着が薄いまま日々を過ごしてきた。
だからこそ、初めて自分の中に生まれた“愛”、誰からも与えられなかった“愛”が自分の中に芽生えていることに気づき、それを守りたかった。その愛を、否定してほしくはなかった。同じように、人が抱いている確かな“愛”を坂枝は否定したくなかったのだ。
「坂枝、大好きだよ。愛している」
目を見て、まっすぐ。愛を、坂枝に届ける。
「……な、なに言ってるんですか急に…………」
ついさっきまでは“愛してる”と耳元で囁き合っていたのに、恥ずかしくなったのだろうか。赤面すると、目をそらしてしまった。
その可愛らしい反応に茶柱は思わず頬が緩む。
「君のことは、私が幸せにする」
「……僕も、絶対に先生を幸せにしてみせます」
たとえ、先が見えなくても。混沌としていて、不安になっても。
日の差すその未来、隣には愛する人。
なら、迷わず共に歩むことができるだろう。
第3話はアンケートで要望の多かった、狂ってしまった二人の続きを書く予定です。
今回もアンケートを用意したので、お時間よろしければアンケートへの回答をしていただけると幸いです。
ソフトな純愛Ver. の続きについて……
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