ある日の朝
「………」
『『………』』
依頼のない休日の日。里の和服を纏いながらゲンジやゴコク、エスラ達は集会所のカウンター前にて固まっていた。その横ではフゲンも何故か不思議そうに腕を組んでいた。
目の前にはいつも通りに受付をしているミノト。だが、その顔は何故か赤く染まっており、喜んでいるかのようであった。
そしてその横では仕事が多いので助っ人のために駆けつけたヒノエ。
そして……
「はぁ〜い。お茶ですよ〜♪ちゃんと水分を補給してくださいね」
お盆に氷を入れたお茶を乗せながら持ってくる……
____もう一人のヒノエ。
「ミノト、書類の整理が終わりましたよ」
まとめられた書類を持ってくる…ヒノエ。
「では里の受付をしている私を呼んできますね♪」
集会所のテーブルを拭き終わり『自分』を呼んでくると言い集会所から出ていったヒノエ…。
何ともカオス。見ればヒノエと髪型も性格も声も髪飾りも目の色も何もかもが瓜二つのヒノエが4人もいたのだ。しかも先程の言葉から察すればその数は5人になる。
ゲンジは横に立っているフゲンに目を向ける。
「おい…こりゃどういうことだよ…」
「うむ。実はな…」
フゲンの話によると、ヨモギがロンディーネから『タラララッタラ〜』と妙な効果音と共に変な薬『5バイバイン』というモノを勧められたらしい。それは掛けたモノの数を5倍にするという何とも不可思議な効力を持つ薬であり、レア物のようだ。
原料がフエールピッケルらしい。
ヨモギはそれをウサ団子の材料に掛けようと考えていたのだが、ヒノエに見せた際にウッカリと溢してしまい、彼女の身体に付着させてしまったらしい。しかも、滴定する量も決まっているようで、一瓶の中の半分の量でようやく効力を発揮するらしく、ヒノエにその分の量が…。
その結果 5人に……。
「ガキになんちゅーモン勧めてんだあの脇役女…」
ゲンジの頭の中にドヤ顔しながら親指を立てるロンディーネの姿が浮かぶ。
「だが、本人は満更ではなさそうだぞ。里の仕事が次々と捗るらしいからな」
「本人がどれだか分からねぇよ」
見ると働いているヒノエはいつもよりも若干ながらも笑顔が輝いていた。なぜだ?
いや、それよりもどれが元の本体だか分からない。
「本体は?」
「いつものように里の受付をしておる。お、来たようだ」
入り口へと目を向けると、ヒノエにつられながらもう一人のヒノエが現れた。
それから5人のヒノエとミノトは昼休みになるとヨモギの茶屋へと向かっていった。
姉に囲まれたことでミノトは無表情ながらも顔を真っ赤にし、歓喜寸前になっていたのは言うまでもないだろう。
一方で、辛いのはヨモギだ。なんて言ったっていつもの5倍の量のウサ団子を作らなければならないのだから。
「まぁお主も嬉しいだろう。5人も増えたとなると賑やかではないか!が〜ハッハッハ!」
「笑い事じゃねぇよクソジジィ!!こんなにいたら鬱陶しさが倍増するだろうが!!」
それからゲンジは解決方法を探すべく、薬を買ったヨモギの元へと向かう事に決める。
だが、今行けば5人のヒノエに絡まれるので敢えて行かずに待つ事に決める。
その後 戻ってきたヒノエ達とミノトと入れ替わるようにしてヨモギの茶屋へと向かった。
因みにエスラとシャーラはフゲンの話を聞くとアッサリと納得してしまい、修練場へと出かけてしまった。
◇◇◇◇◇
「ぜぇ…ぜぇ…ぜぇ…」
茶屋へと来てみるとそこには『しばらくお休み』という看板を立てかけながらアイルーに扇子で仰がれているヨモギの姿があった。
見れば薬によって5倍に増えた餅米が後ろに置かれていた。
「あ、ゲンジさんやっほ〜…」
「あぁ。随分とお疲れのようだな」
「まぁね…250本も作るのは大変だったよ…」
見ればいつものような天真爛漫な姿はなく、夏の夜の暑さに苦しむお年寄りのようになっていた。
「それよりもどう?お嫁さんが5人に増えた気分は」
「嬉しくねぇからこうして来てるんだよ。あの薬の効力はどれくらいなんだ?まさか一生…あのままな訳ねぇだろうな…」
「あ、そこは大丈夫だよ。今朝掛かったから明日の朝になれば元に戻ると思う」
「効果は1日か…。とりあえず何にもなく終わって欲しいよ…」
それからゲンジはヨモギと別れると、武器を手に取り精神安定の為に修練場へと向かう。
◇◇◇◇◇◇◇
その日の夜 やはり放っておく訳にもいかないので、増えた4人もゲンジの自宅へと泊まらせる事となった。
いつも通りヒノエとミノトが作成した夕食を食べる。だが、やはり違和感しかない。
「…」
目の前には談笑しながら喋る3人のヒノエ、そしてミノトに次々と夕食を食べさせる2人のヒノエ。
これまた何ともカオスな状況だ。
それに先程まで縦に5人並びながら食べており、その光景はまるで祠周辺に立つ石像のようだった。
「(いや…まぁいいか…)」
取り敢えず気にせずに食事の手を進める。それから食事を終えた皆は布団を敷き、就寝の用意をする。
だが、その就寝の時が大変だったのだ。
「旦那様と添い寝するのは私です!」
「いえ!私です!!」
「いえいえ私です!」
眠ろうとするゲンジの目の前ではミノトと共にゲンジと添い寝する場所を巡り言い争いをする5人の姿があった。
いつも笑みを絶やさないというのに真剣な表情で言い争う5人のヒノエ達の光景は何ともまた奇妙だ。
そんな中 言い争っていた5人のヒノエの目が光りながらゲンジへと向けられる。
「「「「「旦那様…」」」」」
「!?」
同時に向けられたその目線にゲンジは驚き、恐怖を感じながら身を震わせるとミノトの後ろに隠れる。
「な…なんだよ…」
「私達の5人のうち…誰と寝ますか?」
「勿論私ですよね…?」
「いえ、私ですよね?」
「そ…それは…」
次々と詰め寄ってくるヒノエ達にゲンジは混乱と共に恐怖を感じる。そんな中 ゲンジの身を案じたのか、ミノトがスッと手をあげる。
「でしたら、公平にジャンケンで決めてはいかがでしょうか」
「「「「「いいですね!」」」」」
ミノトの案を飲み込んだヒノエ達はジャンケンをし始める。ミノトからの助け舟によって救われたゲンジはミノトにお礼を言った。
その後 長くジャンケンが続くと、一人のヒノエが喜びながら抱きついてくる。どうやら彼女が勝利したようだ。
それから就寝となり、明かりを消すと、皆はスヤスヤと寝息を立てた。5人に増えたとなると、多少のトラブルは覚悟していたが、それ程でも無かったことに安心し、ゲンジもスヤスヤと心地いい寝息を立て始めた。
◇◇◇◇◇◇
眠る中 ある感覚がゲンジを襲い、それによって意識が揺さぶられるかのように目を覚ました。
「……んん…?」
身体が浮かび上がる感覚に見舞われており、背中に誰かの手の感触がある。即ち、誰かに抱き抱えられていた。その感覚は自身が意識を朦朧とさせたと同時に途絶え、柔らかい布団の上に降ろされた。
「なんだ…?」
自身を持ち上げた正体を確認するべくゲンジはゆっくりと目を開けて視界を鮮明にさせる。映ってきたのは前にミノトに連れてこられた場所と似ていた。
「あ、お目覚めのようですね」
「丁度良かったです」
「…え…」
突然と聞こえてきた声に驚き、ゲンジは声が聞こえた方向へと目を向ける。そこに広がっていた光景を目にしたゲンジは絶句する。
そこには顔を赤くし琥珀色に輝く瞳を震わせる3人のヒノエが白装束やサラシを脱ぎながらこちらを見つめていた。
「…!?」
それを見たゲンジはパニックを起こし、即座に逃げるべく四肢をばたつかせながら背後に下がり始める。
すると
ムニュ
その直後に後頭部に柔らかい感触が広がった。
「…え…」
その感触によってゲンジの思考と動きが停止すると共に冷や汗が流れてくる。生唾を飲みながらゆっくりと後ろを振り向くとそこにはもう二人のヒノエがニコニコと笑みを浮かべながら座っていた。
しかも、この2人は前の3人と異なり白装束どころかサラシさえも纏っていなかった。
「逃げるなんて酷いですよ?」
「そうです。せっかく5人に増えたんですからもっと喜んでくれてもいいじゃないですか。もしかしてミノトも5人に増えて欲しかったのですか?」
すると 白装束を抜いだ後ろの3人もゲンジと同じ布団の上に並ぶようにして座り、白く透き通った美しい肌と豊満な胸を曝け出した5人のヒノエによって取り囲まれてしまった。
「ひ……」
前も後ろも右も左もどちらを見てもヒノエの揺れる巨大な胸が広がっていた。
「さぁ…旦那様…」
「「「「たくさん気持ちよくなりましょうね♡」」」」
美しく透き通った声が重なり合いながら空気に溶けると共に取り囲んだ白く柔らかい身体が小さな身体を飲み込んだ。
今回はエロなしです…。