詞はコクッと唾を呑んでから、乳房を抱いていた腕をゆっくり下ろした。
儚く淡い色をしている。
ピンクの乳首まで露わにされたふくらみに、生々しさを感じるくらいの視線がねちっこく這いまわった。
ふるんと揺れたのは部屋の寒さのせいばかりではない。
羞恥と嫌悪の感情が広がっていくが、逃げることも隠すことも許されていなかった。
肌という肌に満遍なく絡みつく。
くびれた腰。
同じ年頃の女のコなら憧れずにいられない小ぶりで、キュッと引き締まったツンと上向きのヒップ。
そして年頃の少女としてとくに濃くもなければ、これといって薄くもない艶やかな黒い恥毛に彩られた秘裂にも、ハチミツのように粘つく視線で三人は獲物の身体を舐めしゃぶっていた。
「絢辻さんのオッパイ……ちっちゃいけど美乳ってやつだよね」
「こんなプロポーションいいなんて、ホント嫉妬しちゃうくらい羨ましいわ」
「男子人気が密かに棚町さんと、これならツートップなのも頷けるかな」
棚町さんと?
そんな風に男子に見られているのは知らなかった。
2年A組のクラスメイトたちは誰しもが詞を、お堅い気詰まりな優等生としか見てないと思っていたので意外である。
が。
薫との引き合いに出されることは光栄なのかもしれないが、今は男子に人気があるとかないとかくだらないことはどうでもいい。
こうしてまじまじと裸体を眺められ品評されていると、自分が欲望のための道具に貶められたようで不快だった。
「でも棚町さんっていえばさぁ、やっぱ佐川と西谷に今日もヤラれてんのかなぁ?」
心臓がドキッと跳ねる。
確信めいた弥生の言葉と声には暗い愉悦が滲んでいた。
「アイツらってマジでサルだかんね」
そして悠子にも、
「なんかマトモに覚えてる英単語セックスしかなさそ」
美雪にもそれは当て嵌まった。
なんとなく勘づいているというレベルでない。
この空き教室であのときナニが行われていたのか明確に知っているようだ。
「あ~んなカッコいいことしちゃうから」
「田中さんは親友ポジだから、サルどもとケンカすんのはいいとして……」
「ねぇ」
ふるふる小刻みに揺れている慎ましいふくらみの先端に、発火しそうなくらいの熱視線を浴びせていた美雪が、ほんの少しだけ顔を上げてまだ屈してはいないが、それも時間の問題の瞳に憂いを帯び始めた詞と、余裕たっぷりに真っ正面から見つめ合う。
交差した視線に火花が散ったのは刹那。
刹那で視線を逸らす。
自分の取った無意識のそのリアクションが悔しくて、チカラを篭めてキッと睨み返すが、テイク2の間に合わせの眼光に迫力があるわけもない。
「イジメられてる優等生まで庇っちゃうとか、チョットやってることが勇者すぎるかも」
……あ?
美雪のその言葉に詞はすぐに思い当たるものがあった。
三人の鼻っ柱をへし折った翌日。
品性の下劣さを証明する卑怯で陰湿で幼稚な蛮行が、こういうときだけ無類の行動力を発揮して早速始まった。
体育の授業のドッジボールで、詞だけを仲間ハズレにするというもので、低レベルさに逆にムキになってしまったのを憶えている。
ボールを手にした薫が、詞サイドとして加勢してくれたのも。
もしかして……アレが原因、だったりするの?
お節介をしたおかげで、馬鹿のヘイトを稼いだということだろうか。
「アタリ」
表情から読み取ったらしい。
美雪はにっこり笑って片目をつぶると、てへっとでも言うように可愛らしくペロッと舌を出した。
その舌はやけに紅くて、……やけに生々しくって艶めかしい。
爬虫類を連想させる。
大人しく内気な少女というビジュアルをしているので、気味の悪いグロテスクささえ感じる異質さがよりいっそう際立った。
鳥肌が立つ。
「佐川くんも西谷くんもシンプルにアホだからさ、やられっぱなしで情けなくないのとか焚きつけたら――」
「びっくりするくらい踊ってくれて」
「この空き教室を使えばってアイディアも、棚町さんを呼び出すのだって、セッティングはぜ~んぶアタシらがしてやったんだけどね」
聞いてもないのに漫画やアニメの真犯人みたいに、説明パートに入った三人は嬉々として自分たちの手柄を語り出した。
かなり穴だらけでテキトーな計画のように思えるが運良く、薫からすれば運悪く歯車が噛み合ってああいうことになったらしい。
色々ザルな計画に想定外があったとすれば、空き教室の廊下にすでに先約が居たくらいだ。
薫の暴行現場を撮影するはずだったスマホは、急遽の飛び入り参加をした本来の標的、絢辻詞のオナニーをゲットできたのはラッキーでしかない。
佐川や西谷を脅して手駒にするつもりだったが、おかげで本当にアプローチしたい相手へショートカットできた。
三人としてもたとえドレイ扱いであろうと、サルとツルむのはあまり本意ではない。
詞には馬鹿認定されている三人だが、三人は三人で馬鹿は嫌いなのだ。
もともと薫にそれほどの敵意があったわけでもなく、佐川と西谷に嬲られこれからも貪られるのを想像するだけで愉しめる。
それで充分。
「でも絢辻さんもアイツらの玩具にされる棚町さんより、チョットは自分の立場がマシなんだって理解できたでしょ?」
「初めての相手がサル二匹とか、もう一生のトラウマもんだよね」
「アタシらとここに居れる絢辻さんは、幸運ってやつに感謝した方がイイんじゃない?」
などと。
口々に勝手なことを言っているが、果たして本当に自分は幸運なのだろうか?
なるほど薫の悲惨さは理解できたものの、比べたとき自分はそうじゃないと言い切ることはできそうもない。
むしろ同世代の同性だからこその嫌悪感すらある。
羞恥心がある。
なによりオンナという生き物はオトコよりも、残酷なことを考えられるというのはよく知っていた。
「それじゃラッキーガールな絢辻さん――」
大好きなオナニーしてよ。
花も恥じらわなくてはいけない女子高生に、ショッキングなことをさらりと口にしてみせる。
その口ぶりはあまりにも自然で唐突ではあったものの、突きつけられた破廉恥な要求を予想してなかったわけではない。
紙媒体にこだわってしまっているのは、最初に手にしたモノがそうだったからだろう。
詞の性のバイブルは神社の裏に捨てられていた汚いエロ漫画だが、高校二年生になった現在では自分でもネット購入していた。
流行り廃りもあって、いろいろなジャンルを網羅している。
ただ最初に読んだのがレイプモノだったせいなのか、もっと厳密には脅迫モノだったせいなのか、どうしても少女の嗜好の琴線はそちら寄りに傾いていった。
改めて考えると毎夜のズリネタは、そんなモノばかりで占められている。
パターンはいくつかあるがそのなかでも、学校でオナニーしているのを目撃されて、というのはお約束というか定番中の定番セオリーだ。
公共の場でそんなことするヤツいるわけない。
ツッコむのも野暮なのかもしれないが、不特定多数の目を心配しなくてはならない場所で、もっともシークレットにしておきたいプライベートな行為に及ぶなど正気の沙汰ではないだろう。
なのでフィクションは、所詮フィクションでしかない。
どれだけヒロインと自分をシンクロさせてもだ。
高校生にもなってリアルとの、区別がつかないようなヤツはいない。
「ほら早く」
が。
現実は漫画よりも奇なりだった。
自分で招いた種。
お気に入りのズリネタと同じシチュエーションにこうして身を置いてる。
そのことがどこかで期待している思春期の身体を昂らせていた。
「アタシたちは気にしなくていいから、絢辻さんはいつもみたいに愉しんでくれていいよ」
いつもを知りもしないのに知ってるみたいに、鼻で笑いながら弥生は自分の胸元をチョンチョンと指差す。
絶対にわかり合えそうにない相手とのアイコンタクトで、ハッとした詞は弾かれたように慌てて自分の胸元を見た。
慎ましくも美しいふくらみの先端が、官能の火を灯し顕著な変化を見せている。
詞の興奮の度合いを示すように、乳首はぴんぴんに尖り立ち勃起していた。
「ぁ……いッ、いやぁッ!!」
どこまでの要求をされるかはわからない。
リスクとリターンを秤にかけてより、ダメージが少なくなる選択をしたつもりだ。
2年A組のクラスメイト全員にさらされるくらいなら、ちょっとくらい三人の人形になるのもやむを得ない。
あくまで少なくなるだとかちょっとくらいだとかは、そうならいいという希望的観測と……そうなったらいいという潜在的願望の産物である。
最初が肝心は数学だけではない。
ソレを呑んでしまえばあとはもう泥沼なのは、お気に入りのシチュエーションだけに熟知している。
だから従ってきたのだが、乙女の恥じらいを捨て去ったわけではない。
むしろより愉しむためのスパイスとして、オンナとしての本能がそうさせるのを許さなかった。
「み、見ないでッ!!」
誤魔化しようのない露骨な欲情の証を認めて蹲る。
柔らかなふくらみが細い腕と抱えられた膝で、慈愛の母性をアピールするには些か卑猥に歪められた。
身をよじる白い背中から小ぶりなヒップの滑らかなラインも、清楚を主張するには過度に妖しい艶があって妙にいやらしい。
優等生の少女が無力な獲物でしかないのを再確認しつつ、それぞれが熱っぽくどこか湿り気を帯びた残酷な視線で嬲る。
だがこの状況がどれだけ残酷で、どれだけ自分が無力なのかを、もっとも身に染みて感じているのは……もちろん胎児のように丸くなっている詞だった。
しかし、
どうして……。
そんな残酷で無力で屈辱的な状況にさえ、妄想を具現化された少女は興奮を禁じ得ない。
梅雨を思い起こさせる粘つき蔑むような視線だけでなく、お腹の奥よりさらに奥深いモノに孕んだ熱が昂揚し全身を包んでいる。
「いやいやいやホンット絢辻さんって、マジもんのヘンタイさんなのかもねぇ」
背後にポジションを取ってニヤニヤしている悠子の、その視線が朝露のように零れきらめく蠱惑のひと雫を捉えていた。
そっと忍び寄り肩に手を置くと、力任せにぐいっと無理やり引っ張っる。
「きゃッ!!」
完全に不意を打たれた詞はあっさりころんっと、無様な尻餠を突いて仰向けにひっくり返ってしまった。
その拍子にはしたなく股が開かれる。
慌てて閉じようとしたが、
「隠さなくってもいいでしょ」
おっとりとした雰囲気はあくまで雰囲気だけみたいで、椅子から素早く立ち上がった美雪が、身体をねじ込んでスペースを埋めてしまった。
美雪からワンテンポ遅れて机から跳ね降りた弥生が、踏み潰されたカエルみたいな格好の詞ににじり寄ってくる。
三人の視線が吸い寄せられるようにある一点に収束し集中した。
狭い面積に密生してる黒い恥毛の奥では、綻びかけのスリットに透明な露が滲んでいる。
「ヌレヌレじゃない」
ニヤリと嗤う弥生が指摘するほどではない。
……するほどではないものの、濡れてないと否定するのは難しかった。
同じオンナであるからには三人も、やはりオンナの身体のことはよく知っている。
こうして詞の秘裂に潤みが生じているのがなぜなのか、性に目覚めた思春期の女のコに答えを導き出せないわけがなかった。
揺るぎようのない秘密の事実をまたひとつ暴かれ、詞の身体が眩暈のしそうな強烈な羞恥で凍りつく。
硬くしこった乳首。
ぬめ光る秘裂。
冷たいフローリングの床の上で、ほんのり桜色の火照りに染まった白い肌。
笑ってしまうほど見事にバロメーターが揃っていた。
言い逃れはできない。
絢辻詞の身体は欲情していた。
「ひとりでできないんなら、わたしたちが手伝ってあげようか?」
それってオナニーにならないんじゃ……。
生真面目な性格ゆえなのかどうでもいい疑問が浮かんだが、詞のそんな当惑には全く取り合うことなく、美雪は大股開きになったままの左右の脚の間に跪いた。
手が剥きだしの股間に伸ばされていく。
自我が芽生えてからというか物心ついてからというもの、オンナの身体で最もシークレットなココを他人が触れるのを許したことはない。
オンリーワンでロンリーワンのパーツだった。
どういうわけだかオナニーをする際、中指にどうでもいいこだわりのある詞の身体に、
「優しくするね」
一本だけ伸ばされたクラスメイトの少女の人差し指が、羽毛で捌けるみたいに下から上へ向けてスゥーッとなぞる。
くすぐるような美雪の指遣いは、その言葉通りの繊細なものだった。
微妙なタッチ。
触れるか触れてないかの、そのギリギリを絶妙に責めてくる。
「ン……」
脊髄を刹那で駆けた甘美な電流に、肌をぞくりと粟立たせた詞は唇を噛み締めた。
くしゃみが出そうで出ない感覚に似ているかもしれない。
美雪の口元に笑みが浮かぶ。
けっして不快を表してない反応に気を良くして、ほんのわずかだけ力を込めた指先で、微かにピンクの肉色を覗かせている秘裂を苛め始めた。
デリケートでナイーブな粘膜と人差し指の接触面から、微弱ではあるものの鮮烈な性電気がパチパチ生じる。
「あ……ン……ふぁ……」
小五からの欠かすことのなかった予習・復習により、バッチリ磨かれた牝の部分が疼いて仕方がない。
その嗅覚では感じることのできない濃厚な匂い、フェロモンに誘われるのはナニも、異性ばかりというわけではないようだった。
粘膜の浅い傾斜に沿って円を描く美雪の人差し指の動きが、より丁寧により執拗にオンナに棲む淫らさを引き出していく。
秘裂の中心に穿たれた小さな穴。
そこから滲み溢れてくる透明な粘液を、やはり丁寧にやはり執拗に膣口周辺に塗りたくる。
創設祭の準備のときには、欠片さえも見えなかった熱心さがあった。
そしてそうした熱心さはどうやら、美雪だけというわけではないらしい。
「……そろそろわたしも、手伝ってあげるね」
剥きだしの肩に置かれていた手のぬくもりが火照った柔肌を滑り、キレイに切り揃えられた爪がうっすら浮き出た肋骨を掠める。
レスポンスが早い。
「んふぅ!?」
詞はスレンダーな身体を即座に敏感に震わせた。
応えるように悠子もすかさず、自己主張している乳首を小指の先で転がす。
「や、やめなさい……」
弱々しい拒絶は拒絶とは受け取られない。
淫らな吐息混じりなら尚更である。
親指と人差し指で乳暈まで膨らませた果実の蕾を、そっと挟み込んでふるふる小刻みな振動を与えてきた。
「うぁ――」
乳首の裏側から痺れるような、慣れ親しんだ感覚よりも、ずっと大きなモノが湧きあがってくる。
指先が薄い皮膚を擦るたびオナニー馴れした少女は性感を蕩かせ、加速度的にくすぐったいようなむず痒いような甘い陶酔に支配されていった。
「あ……ふぁッ……あふ……」
もはや油断しようがしまいが喘ぎ声が漏れてしまう。
透き通るみたいに白かった下腹部まで、いつしかほんのり淡い桜色に染まっていた。
頃はよし。
粘膜の上でクルクル円を描いていた美雪の指先が動きを止めた。
まるみを帯びた人差し指の先端が、ぬめ光るくぼみの中心に宛がわれる。
蠢く媚肉の中に第一関節まで侵入した。
膣口を侵す異物の感触に、詞はひくんっと身を震わせる。
美雪は指先を咥え込んだ秘裂から目を上げると、
「チョットづついくよ」
溶けだしそうに熱く柔らかなぬかるみの中に、ゆっくりではあるが躊躇なく押し込んでいった。
第二関節をあっさり通過し根元まで。
「ン……」
さしたる抵抗もなく深々と沈んでいった。
歓迎するみたいに締めつける。
「どんな感じ?」
質問をした美雪は今更ではあるが意地が悪かった。
訊くまでもない。
人差し指を咥え込んだ秘裂だけでなく、憂いを宿した瞳までしっとり潤んでいる。
「悪くないみたいだね」
言いながら指の出し入れを始めた。
噛み千切ってきそうなほど、キツいホールをピストンする。
「……ハッ……、……あ……は……、はぁッ……」
肉色のぬかるみから淫らな水音が漏れ、それに少女の切なげな喘ぎが重なった。
とはいえ自分でするときよりも、気遣ってなのかどうなのかずっとスローな抽送である。
眉根を寄せながらじれったさを募らせる詞に、
「ね」
美雪はまた不意にまた不躾な、デリケートでナイーブな質問をした。
年頃であれば気にならないはずはないが、たとえ親しき仲であっても踏み込むには注意が必要な問題であろう。
そしてもちろんふたりは親しき仲などではなかった。
ラインを越えてる。
――もっともそんなものは、この期に及んでというやつなのかもしれない。
「もしかしてヴァージン?」
馬鹿々々しい。
クラスメイトの女子がする所謂ガールズトークの類で、このテーマがのぼっているたびに詞はそのグループを軽蔑してきた。
結婚するまで純潔を守り続けるだとか、操を捧げるのは一生にひとりだけだとか、それぞれ好きにしたらいいと思うが時代錯誤とも思っている。
しかしだからといって、安売りしていいものでもないだろう。
べつに処女膜を勿体ぶるつもりもないが、気前よくバーゲンセールするつもりもない。
まあ、なによりこれまでの人生で、売りつける相手がいたことはなかったが……。
「キマッてんじゃん」
声の近さに詞はギクッとした。
大縄跳びに入れないみたいに混ざるタイミングを失ってた弥生は、羨望と嫉妬の対象だった乱れゆく優等生の顔を覗き込んでくる。
すでに吐息がかかるほど間近に迫っていた。
「あたしたちの玩具が、中古なわけないでしょ」
驚きの声をあげる暇もなく、弥生の唇が詞の唇に押し当てられる。
新品の唇が、奪われる。
「ンんッ!?」
くぐもった呻きをあげて、詞は一瞬身体を堅くした。
さっきまでのドン臭さが嘘のように、歯列の隙間にするりと舌を潜り込ませてくる。
弥生は詞と唇を重ねたまま顔をわずかに傾けて、尖らせた舌を伸ばし奥へ奥へと挿し入れていった。
キレイな歯並びを裏側からたどり、意外に敏感な上顎の粘膜をくすぐってから、口の中で怯えたように縮こまる舌に触れる。
最初は反応を見るようにそっと。
それで相手が抗わないとわかるやより大胆に、キスの経験すらまだないうぶなヴァージンの舌を絡め貪り嬲った。
ファーストキスにしては激し過ぎる、あまりに濃厚でエロティックな口づけ。
「ン……んふ……ンむぅ……、ぅ……ううッ……ンふッ……」
口を塞がれてしまい鼻だけで、慣れない呼吸をしいられているせいか、詞には弥生の身体から発散されるオンナの匂いが、むせ返るほど強く感じられた。
脳がイカレてる。
でなければどう考えてもおかしい。
被虐の味。
舌と一緒に入ってきた弥生の唾液は甘かった。
お酒を飲んだことはない。
けれどアルコールを摂取したりすればこうなるのかもしれない。
弥生のぬめり蠢く舌に。
悠子の乳房を優しく揉みしだく手に。
美雪の妖しく繊細な指遣いに。
「んンン……」
――酩酊していた。