創設祭準備の参加率は百パーセントだった。
昨日は不参加の三人も、今日はちゃんと顔を見せている。
……変更された作業の場所が、例の空き教室だからかもしれない。
イチイチ資材や道具を毎回その都度、2年A組に移動させるのも面倒なので、詞が実行委員会に掛け合い確保していた。
自分の意思とは関係なく。
厳命されていた。
「コレってどうしたらいいの?」
「それは――」
「コレはココでいい?」
「ええ」
「じゃコレは?」
「それもソコに置いといてくれたら」
鬱陶しい。
そもそも逐一指示しなくては動けない三人ではあるが、やたら話しかけてくるのは半分以上嫌がらせだろう。
女のコ同士であればとくにおかしくないスキンシップやボディタッチ、肩や背中に触れてくる手がイチイチ関係の変化を訴えかけていた。
事情を知らなければ混乱するかもしれない。
クラスメイトが四人のパワーバランスの逆転を見せつけられたのはつい昨日のことだ。
学校生活で無視するのは許されない絶対のシステム。
スクールカーストの頂上から転落していく者の、末路へと至る過程を憐れみとともに愉しめると、きっと多くのクラスメイトが心のどこかで期待していただろう。
しかし、
「絢辻さん」
不自然なほど仲が深まっていた。
もちろんその不自然さに興味をそそられる者も一定数いたが、ほとんどの者の関心はもっとわかり易いべつの対象に移っている。
創設祭準備の作業をする教室内にはいくつかのグループができていたが、異性混合で組んでいるクラスメイトもチラホラ見受けられた。
ただやはりそのグループには、おかしなくらい比率に偏りがある。
男。
女。
男。
バランスに欠けていた。
どう見ても不自然としか映らないスキンシップや、驚くしかないボディタッチが幾度も繰り返されている。
肩や背中だけでなくポンッと軽く叩く程度ではあるが、ふたりの手はヒップにまでごく当たり前のように触れていた。
普通に考えれば、あきらかにセクハラである。
とはいえラインを越えているかどうか、それを判断できるのはされている当事者だけだ。
「も、もう、や、やめてよねぇ」
文句は言うものの、さして強くは否定することもない。
そしてその女子生徒は相手が誰であっても本当に嫌なら嫌と、ちゃんと口にできるのは2年A組のクラスメイトであれば誰でも知っていた。
冗談めかしながら笑って、誤魔化したりするようなことはしない。
怒りの表情をその都度その都度、ほんの一瞬だけするがほんの一瞬だけである。
薫のそんな違和感しかない様子に、さり気ないつもりでジロジロ見てるクラスメイトはもちろん、親友の恵子も中学からの男女を越えた友人の純一も戸惑っているようだった。
これといって抵抗らしい抵抗もせずに、されるがまま佐川と西谷ふたりからの、スキンシップとボディタッチを受け入れている。
当然といえば当然なのかもしれない。
「あッ!?」
セックスしか頭にない馬鹿なサル二匹が調子に乗って、エスカレートさせていくのもまた必然だった。
いきなり後ろから抱きついて首筋に鼻を埋めたり、抱きついたその手をバストにまで伸ばして揉みしだいたり。
前後から同時に抱きつきサンドイッチにして、股間をグリグリ身体に密着させたりしている。
準備作業そっちのけ。
真っ赤になった薫の耳元に時折り、ボソボソふたりはナニか囁いている。
どちらが上か下か、不幸自慢で争っても意味がない。
その内容がいったいどういったものなのか、大差ない似たような境遇の詞には容易に想像できた。
承認欲求のカタマリのようなバカップルみたいに、教室の真ん中で乳繰り合う三人に、思春期なクラスメイトの好奇の視線は集中していた。
高校生の流行り廃りは早い。
なので詞を注視している者はいなかった。
背後からすすっと忍び寄りぴったり寄り添った三人の女子生徒に、群がられている詞へと意識を向けているクラスメイトは誰もいない。
「ン……」
うなじに熱い吐息が吹きかけられる。
触れられると身構えただけで調教された犬のように、あっさり簡単に火照ってしまう白い首筋に唇が触れていた。
制服の短いスカート越しにある小ぶりでぷりっとしたヒップ。
朝の通勤電車に出没する痴漢みたいな手つきで、ゆっくりと優しく丁寧ではあるが執拗に撫でまわされる。
ちょ、ほ、本気なのッ!? こんなことして……もしも気づかれたらどうする気よ?
躾けられた犬としての反射でなく乙女としての反射として、手で尻肉をガードしつつ鋭い目つきで振り返り睨みつけるが、
「なに? 絢辻さんも棚町さんみたいに、クラスのみんなに見て欲しいとか?」
互いの視線と視線がぶつかり合ったのは、抵抗らしい抵抗があったのはわずかな時間でしかなかった。
強いモノに弱いのはもちろん、自分よりも弱いモノには徹底して強い。
刹那で交わされた睨み合いを制したのは弥生で、詞の視線にもまったくヘタレることなく余裕たっぷりでイキってくる。
ここで逆らうことの不利を悟らずにはいられなかった。
屈辱と恥辱と緊張で背筋をゾクゾクさせつつ、詞はせめてもの抵抗として尻たぶをキュッと締める。
そしてそれは憐れな獲物を嬲ることに、快楽を覚えた牝の嗜虐性を煽る効果しかなかった。
ヒップを撫でまわす手にあきらかな熱が籠っている。
「あッ」
尻肉をギュッと掴まれた。
小さいがそれでも耳に響く甲高い声が漏れる。
それは不快なだけでは説明できないモノから目を逸らした男子生徒、純一の視線を誘っったことに四人の女子生徒は誰も気づいてなかった。
左右から悠子と美雪の手が伸びてくる。
ふたりは詞のブレザーのボタンを、分担して手早く外していった。
襟元にリボンを結わえた純白のブラウスが露わになる。
「や……」
自分のモノとはとても思えないような弱々しい声に、少女のメンタルはさらなる弱体化を余儀なくされた。
そもそも輝日東は放任というか自由な校風なのもあるが、そうでなくてもブレザーのボタンを留めていない生徒は男女とも大勢いる。
品行方正な優等生を演じてきた詞がボタンを留めてないのは、少し目を惹くかもしれないが、けっきょく少しは少しでそんなこともあるだろうという程度でしかない。
いつもならどうということもない普通の光景だ。
……そう……いつもの光景なら。
不安になる。
詞は自分の胸元に視線を落とした。
コンプレックスを感じるほどではないものの、大きくないどころか二択であれば、どう贔屓目に見ても小さい胸のふくらみは目立ってない。
けれど注意深く目を凝らせば確認できてしまうだろう。
下着の線がまったく浮かんでいないのも。
慎ましく控え目であるが美しいバストのシルエットだけでなく、ぴんぴんに硬く尖り勃起している乳首まではっきり視認できる。
そうした恥知らずな自分の身体の反応を見せつけられる詞の視界に、不意にナニかががフレームインしてきた。
先端で小刻みに震え揺れている可憐なしこりを、左側から伸ばされた悠子の指先に摘まみあげられる。
「んンッ!?」
二重に恥ずかしい。
こうなるのを見透かしていたみたいに、美雪は完璧なタイミングで割り込んでくる。
喉から溢れた嬌声は寸でで、手のひらによって漏れるのを阻止された。
同時に乳房全体が燃えるみたいに、一気にカーッと熱くなる。
電流を流されたような鮮烈な刺激が、四肢の隅々まで伝播し少女を劣情が支配していった。
弥生に抱きすくめられた身体が、びくんっとこわばり腰が妖しく卑猥に蠢く。
「んも~う。静かにしてないと、気づかれちゃうよ?」
ニンマリ意地悪くほくそ笑みながら、悠子の指先は乳首から離れ、その周囲をくすぐるみたいにくるくる回りはじめた。
じれったくむず痒い感覚。
自分のペニスを摩擦することしか頭にない思春期の男子ならば、こんなまどろっこしい愛撫を施したりはしない。
この年頃でこのねちっこさは女子ならではだろう。
触れそうになってはスッと遠のき、際どいところを丁寧に執拗に刺激している。
バストでもっとも鋭敏なポイントを意識してしまうだけで、乳房の先端にまで血液が流れ込み乳輪までぷっくり膨らんできた。
またしてもタイミングを見計らって、
「ふぐぅッ!!」
口を塞ぐ役目を弥生と阿吽の呼吸でタッチすると美雪は大胆にも、ブラウスの生地越しで食べ頃になった旬の乳首にむしゃぶりつく。
丁寧に執拗に紅い舌を這いまわらせては、被せた唇で幼子みたいにチュウチュウと吸いあげた。
充血して過剰に敏感になった乳首を責められて、あらゆる意味で自由を奪われている身体が面白いように跳ねまわる。
唾液を塗しながら、ときには甘噛みまでしてきた。
「うンンンッ……ンむぅううッ……」
身震いする詞の瞳はもう発熱したみたいに潤んでいる。
痴漢みたいにネチネチヒップを撫でていた弥生の指先が臀裂をなぞりながら、股間に潜り込んで湿りっ気を帯びたショーツの船底に到達した。
爪先でカリカリ擦られると波紋のように甘い刺激が拡散し、支えられてなければ膝が爆笑してしまうほどカクカク震えてしまっている。
乳首にも優る女体でもっとも過剰に敏感な部位を探り当てられ苛め転がされた。
恥ずかしい華蜜がどんどん分泌されていく。
「……ンぅッ……ンんッ……、ぐぅううッ……むぅうう……はンンッ……」
弥生の愛撫は同性だというのを差し引いても巧みで、同級生の少女の感じるポイントを的確に捉え刺激していた。
ついにはショーツ越しに淫熱を内包した膣口を圧迫され、布地ごとぬめりひくつく粘膜に押し込まれてくる。
全身の毛穴という毛穴が開いて、大量の脂汗がいっせいに噴きだした。
蕩けそうな媚肉を撫で擦りながら、クチュクチュという音が幻聴でないほど激しく掻きまわす。
そうやって指先で卑猥なピストンをしつつ、耳孔に息を吹き込むようにして弥生は囁いた。
「美雪も凄いけど、悠子もけっこう上手いんだよ」
わたしもね。
などとしっかり自分もアピールしてから、弥生は口を塞いでいた手を唐突に離す。
おかしな話だが弥生の唇に安心し切っていた詞の瞳が、いきなり消失してしまったセーフティに驚き大きく見開かれた。
すっかり緩んでいた声帯から、艶やかな声が漏れそうになる。
が。
「んむぅッ!?」
悠子の唇がすかさずインターセプトした。
舌が挿し入れられる。
温かな口内で申し合わせたみたいにスムーズに、淫らにぬめる少女たちの舌が絡み合って、貪るようにしてふたりは互いの唾液を交換し合った。
キャラクターの差ということなのか美雪に比べると、悠子はよりストレートで即物的な少し強引な口づけである。
こんなカタチでファーストだけでなく、セカンドまで奪われてしまった少女は否定するかもしれない。
けれど驚きで大きく見開かれていた瞳をとろんとさせてしまっては、どれだけ言葉を雄弁に語ってみたところで否定は虚しいばかりだった。
「ンッ、ンッ、ンッ、ん……むぅ……んふぅッ」
キスの巧みさを肯定しているのは、誰の目から見てもあきらかである。
……そう……誰の目から見ても。
ここまでのことをして目撃者がいないなど在り得ない。
それもひとりやふたりでは済まないだろう。
最初に気づいたのは純一のみであったがその純一の視線を追いかけ、クラスに起こっているもうひとつの異変に気づいた者もいた。
どちらを見るべきか迷って、しきりにキョロキョロしている。
視線に気づいてないのは獲物を嬲るのに、夢中になっているサル二匹だけだった。
十代の性とはひたすら、残酷であり貪欲である。
走りはじめたら歯止めが利かない。
2年A組スクールカーストの元ツートップ、ふたりの転落ぶりはやはり似たようなルートを辿っていた。
「やぁッ、ひッ……ひいッ……いやッ、や、やめてぇッ」
それこそ初めのうちはスキンシップやボディタッチの体裁を取っていたが、アクセルを踏むだけでブレーキのないサル二匹はそうしたツマミも馬鹿になっていってる。
輝日東には学校指定の小洒落たセーターもあるのだが、男子も女子も着る人間と着ない人間にけっこう分かれていた。
ブレザーを着ない代わりにという生徒は、男女ともに大半がセーターを愛用している。
その薫のセーターの胸のカタチが、あきらかに不自然に膨らんでいた。
いや、違う。
あきらかに自然なカタチで膨らんでいた。
左右両脇から身体を拘束されるみたいに密着されて、セーターの中に侵入した手に乳房を揉みしだかれている。
いつもとフォルムが異なるのは、不自然でなく自然であり当然のことだった。
揉みくちゃにされている。
「も、も、や、あッ、ン、やめ、て、あ、ああ……ッ」
薫は失望していた。
親しいとまで言えるのは恵子と純一くらいだがそれでも、2年A組のクラスメイトは青春という時間を共有する仲間でつもりでいた。
遠巻きに浴びせられるのは、暗い熱さの篭った好奇と軽蔑の視線。
仲間。
そんなものはまやかしなのだと思い知らされる。
なにより生まれてからずっと一緒に生きてきたはずの、もっとも信頼していた自分自身の身体に裏切られたような気分だ。
あまりにも身勝手な手つきで胸を揉まれているのに、それでも先端を硬く勃起させてしまっている。
オマエみたいな生意気なオンナは、大概乱暴にされたいマゾだったりするんだよ。
女という存在を舐め切ったエロ漫画の設定みたいことを、あのとき佐川は揺るがぬ事実のように自信満々に語った。
だからナニをしても許されるとばかり、この空き教室で自分を襲って笑いながら奪った。
佐川がサル並みの低能なのは疑いないが、自分もやっぱり頭のできが良いわけでないのだろう。
恵子との一件で話したいことがあると呼び出され、できればこの件に関係ない人間の目の触れないところで、まずはオマエに謝っておきたいという手紙でノコノコ誘き出された。
ああいうときこの身体が濡れるのは、傷つかないための防衛本能でしかない。
けっして無理やりされるのに、悦んでいるわけではなかった。
そうであったなら、
「んウッ、やめ、あっ、ンんぅ、ヤぁ、……あッ、ン、や、やめてッ」
まさしくマゾではないか。
悔しくて泣きそうなくらい身体が昂っている。
余裕ぶってるつもりかもしれないが余裕などまるでなさそうな、内包する興奮が微塵も隠せてない気持ちの悪い触れ方にさえ応えていた。
女性のバストというのはデリケートでナイーブなので、ソフトに揉めという基本中の基本マニュアルは頭にあるらしい。
不気味なくらい優しく指を開閉させて、男には絶対にない柔らかさを確かめていた。
けれどそれもいくらもしないですぐに荒っぽいモノに変わり、痛みを感じさせながら乳肉をこねまわす。
嫌悪に眉をしかめればナニをどう勘違いしたのか、
「ったくオメェもエロい女だなぁ」
これまたエロ漫画のマニュアルみたいなセリフを口にしつつ鼻で笑って乳房を玩弄する。
佐川というイタイ男のの中でまた一段、女という生き物の地位が下がり、相対的に自分のポジションを上げているみたいだ。
憎らしい。
クズなサルはもちろんだが、
「あッ、うぅうう……」
愛撫の意味を理解してない独りよがりな手つきにも、淡い媚熱に汗ばんで応えてしまう欲深い体質が憎らしい。
「あむぅッ!?」
口を塞がれていなければまたこの教室で、しかもクラスメイトの耳に嬌声を響かせているだろう。
レイプ犯ふたりは今更だがケダモノだった。
忌まわしい記憶が蘇る。
招かれざる客は昨日の昼前に来訪し、雪崩れ込んで獲物の肉を時間をかけ貪った。
棚町家の母娘が住んでいるアパートはお世辞にも高級とは言えず、当然のように壁は薄く安普請で気をつけないと生活音は駄々洩れになる。
隣りは仕事をしてるのかしてないのか、べつにこれといって興味も関心もなかったが、ここ数ヶ月はほとんど自宅で待機状態だ。
壁より薄い頭皮の透けた中年男。
今朝。
どうやっても最高にはなりようのない登校の、最低が重いドアを開けたその瞬間に確定した。
本当に偶然だったのか必然を狙ったものだったのか、
「おやおや?」
バッタリしてしまう。
粘っこくニッタリ嗤った顔は、佐川と西谷のモノによく似ていた。
頭の天辺から爪先まで無遠慮にジロジロ、不快極まりない視線を這いまわらせてくる。
胸や腰をとくに重点的に視姦してから、嫌悪を露わにしている隣家の少女の顔でぴたりと止まった。
吐きそうな顔がさらに怖気を誘う醜悪なモノになる。
見たくもないおぞましいモノを見てしまった。
勃起している。
「薫ちゃんてあんときの声デケェんだなぁ。でもオンナ日照りの無職のオッサンにもちったぁ気ぃ遣ってくれよ」
汗の臭い。
なにも言わずに横を通り過ぎた。
声。
ASMRが流行るくらいだ。
それだけ声というのは想像力を喚起するのに重要なファクターであり、聴覚というのは妄想力を掻き立ててやまないキーパーソンである。
「ンッ、ンッ、ンッ……ふぅッ……、んぁッ……ううッ……んむぅううッ!!」
……などというイマイチ理屈になってない理屈はどうでもよく、声を聴かれてしまうと無理やりという言いわけに説得力がなくなってしまう。
もうそんなモノはとっくにありはしないのだが、それは薫に残されたわずかばかりの矜持だった。
その欠片の尊厳を佐川は、ナメクジみたいな舌で嬲ってくる。
オンナを見下し切ったニヤけ顔をよじり、荒い呼吸と生臭い吐息だけでなく、どろりとした唾液まで喉の奥に流し込んできた。
不自然に甘いハチミツのような粘つきが、薫の柔らかな口内粘膜を侵し犯していく。
「うンンッ」
背に腹は代えられない。
息苦しさに負けて卑劣なサルの唾液を呑み下す。
獲物の喉が鳴ったのに満足したのか、佐川は舌を引き抜き唇を離したが、それで終わったわけではなく声が漏れる心配もなかった。
「うぶぅううッ!?」
ほっとする間もなく今度は西谷の唇が迫り、汚らしい欲望で煮詰められた舌が襲いかかる。
待った分だけ凶暴性が増しているようだ。
朱唇にむしゃぶりつき挿し入れられた舌だけでない。
スカートの襞を割ってショーツ越しに、秘唇に触れる指の蠢きにも現れてる。
不器用ではあるが牡としての欲望に従うのに一切の躊躇がなく、その野卑な果断さが結果として技術の拙さを補っていた。
強烈な汚辱感と妖しい感覚が、同時に薫の背筋を這いあがってくる。
ほんのつい数日前に処女でなくなってしまった少女の、柔らかな恥丘が太く無骨な指先に圧迫されて、ショーツにその詳細なディティールを浮かしながら卑猥に淫らにカタチを変えられていった。
「んッ……むッ……んーッ……」
自分を凌辱した略奪者の口内で悩ましい喘ぎ声を奏で響かせる。
ナニもかも見たくない。
至近距離で愉悦にニヤついている西谷の顔は当然であるが、クラスメイトの視線の集中砲火を瞳を閉じて薫はシャットアウトしていた。
もっともそうやって視覚を封じたことにより、残りの感覚はいっそう研ぎ澄まされたのは皮肉である。
牢獄と化した教室のあらゆるところから、興奮と軽蔑の視線の弾丸が肌に突き刺さり、燃えるような官能の銃創となって身体を火照らせた。
深く刻まれた裂け目にショーツの布地を喰い込ませて、丁寧に執拗に弄ってくる西谷の指戯をサポートしてしまう。
サル二匹は気づいてないし意図してというわけでもないが、2年A組の結束は発足以来最高のものになっているかもしれなかった。
狩り。
「んンッ!!」
抵抗することさえも許されないたったひとりを、まるで屍肉を漁る群れのように集団で無慈悲に責め立てる。
情けはない。
今にもオシッコが漏れそうになっているのを、我慢でもするみたいに内股になっていた薫の、デリケートでナイーブなクリトリスに押し当てた。
濡れてすっかり色が濃くなっているソコを転がされると、この数日の間にまさに突貫工事で開発された身体がびくんっと跳ねる。
クリスマスイブに中学からの男友達とキスするという、そういう世界線もあったかもしれない少女は、
「むふぅううううッ!?」
唇は無残に奪われ舌を弄ばれながら上向けた鼻から、牡の自尊心をくすぐって止まないか細く悩ましい息を吐きだした。
スカートの上から掴む手は震えており、よりいっそうケダモノの嗜虐性を煽ってしまう。
ただその挑発に乗った馬鹿なサルは西谷ではなく、
「……おいおい盛り上がってるとこ悪ぃけどよ、オレのことも忘れるんじゃねぇぞ」
自分の愛撫よりも反応しているように映る獲物への独占欲と、相棒への幼稚な対抗心と嫉妬の炎を燃やしたもう一匹のサルだった。
西川に負けじとスカートの中に手を侵入させ、ショーツ越しに熱くなっている双臀をまさぐりはじめる。
クロッチの脇から指を潜り込ませてきた。
すべすべした肌を滑り、指が這い進んでくる。
やがて深く切れ込んだ魅惑の曲線を描いている谷間を、所有物であるとでも言うかのようにガシッと掴んできた。
どころか指先を左右の尻肉の間でウネウネと蠢かせながら、少しずつ少しずつ狭間の奥底にまで沈んでくる。
「んンッ!?」
慌てて双臀をキュッと引き締めて、薫はそれ以上の侵入を阻もうとした。
けれどうっすらと浮いている汗が潤滑油となり、ぬるっと指先を奥へ奥へと受け入れてしまう。
先端から根元まで狭間に埋められて、尻全体を深部から掘り起こすみたいに、臀裂の艶めかしい溝を上下に撫でまわされた。
ひっそりと息づく窄まりを擦られる異様な感覚に、胸の奥が2年A組の雰囲気のようにざわめきだす。
創設祭の作業が完全にストップしている教室には不安と……粘つく期待が満ちていた。