※この作品はR-18です。

アマダレ   作:赤坂見附

8 / 13
第8話 イヌコロ

 

 

 

 

 んッ・んッ・んくッ……。

 

 どんな美女でもマヌケに映る瞬間がある。

 

 所謂ひょっとこ顔。

 

 同時に最高にスケベに映る瞬間であるかもしれない。

 

 弥生は雁首のくびれにぴっちり唇を巻きつけて、哺乳瓶に吸いついた乳児のように、尿道に残っていたスペルマを頬をへこませて吸いあげた。

 

 尿道内が真空になるほどの激しいバキュームに痛みを感じるのか、純一はその都度表情をしかめるものの、訴えているモノが痛みだけであるとはどうやっても詞には見えない。

 

 廊下の床に這い蹲るようにしながら、濡れた股間に被せた手を太腿で挟み込み、怒りで泣きそうな顔をしている自分がそうだからだ。

 

 片想いの相手をなす術なく目の前で寝取られるという、そういう妄想を哀しみに打ちひしがれた風を装いつつ愉しんでいる。

 

 まやかしでしかない。

 

 ……すべてはより悦びの純度を高め味わうための仮初であり擬態である。

 

 ちゅぽんッ。

 

 小気味よいコミカルな音を立てて、弥生は亀頭から口唇を離すと、

 

「ふぅ……」

 

 ひと仕事終えたみたいに大きく息を吐いた。

 

 額に手をやり掻いてもない汗まで拭いてみせる。

 

 ちょっとだけ可愛らしかった。

 

 と。

 

 馬鹿な男子生徒であれば騙されるのかもしれないが、馬鹿でも女子生徒である詞にはあざといとしか映らない。

 

 むしろ頬の内側にへばりついているらしい粘液を舌先でこそげ落としたり、しつこく喉に絡みついているモノを呑み下そうとする仕草の方が、生々しいというかリアルを感じられてクルものがあった。

 

 そしてどこに反応しているかは定かではないが、放ったばかりでも勃起には萎える気配すらもない。

 

 このまま二回戦でも問題なさそうだ。

 

 ふらふらして倒れそうになっている純一を椅子に座らせる。

 

 悠子と美雪は緩く開かれた脚の間に跪いた。

 

 これってダブルフェ……。

 

 純一の胸中でも詞と同じワードが浮かんだのだろう。

 

 ゴクッ。

 

 ふたりの喉が鳴った。

 

 まるで硬さと熱さを失った素振りのない勃起に施されるふたりがかりの愛撫。

 

 その予想を確信しているふたりの心臓は、早鐘を打ってドキドキ高鳴り、目は好奇と期待でイッパイに見開かれていた。

 

「はふッ!?」

 

 まずは悠子の舌が妖しく閃く。

 

 友人の唾液とザーメンにコーティングされたシャフトの裏筋に、根元から先端へと這い上りながら新しいぬめりが卑猥に付着していった。

 

 悠子の顔に年齢不相応の、あるいは適した淫蕩な笑みが浮かぶ。

 

 未熟な童貞を小馬鹿にしているようでもあるが、リードしてあげるから任せてと言っているようでもあった。

 

 もちろんそんなものは、視姦する処女の憶測でしかない。

 

 薄桃色の舌が丁寧に執拗にクラスメイトの、期待と興奮でびくんびくんひくつく勃起を往復する。

 

「あッ、あッ、ああッ……」

 

 堪え切れず情けない声が矢継ぎ早に漏れていた。

 

 ……否。

 

 それは無理のないことかもしれないが、実際にはもう堪えようとしているかどうかも怪しい。

 

 ねろ……ねろねろ……ねろ~……。

 

「くぅああッ、あッ、んンッ、ン、ン、ン、ハッ、うぐぐぅうううッ」

 

 ただ丁寧で執拗ではあるがイマイチ責められている箇所が、ストレートには快楽に直結していないみたいで、もどかしいというかじれったそうに身悶えをくり返している。

 

 カウパー腺液のにじむ切れ込みや、雁首のくびれの窪みなどに舌を這わせるが、悠子は亀頭をなかなか呑み込んでくれない。

 

 しかし、だ。

 

 純一はあまりヤキモキする必要はない。

 

 そして詞も期待を裏切られたと、ガッカリ落胆する必要もない。

 

 これからである。

 

 コンビプレーを披露するのは。

 

 んちゅッ。

 

「ああッ……!!」

 

 意外なパーツに口撃を受け、純一が驚きの声をあげた。

 

 参加するタイミングを測っていた美雪が、ここぞとばかり固くしこっていた陰嚢にむしゃぶりつく。

 

 どれだけ厳つい屈強なオトコであろうとも、ここが急所であることあることは変わらない。

 

 純一の睾丸はクラスメイトの口内で、飴のように舐め転がされていた。

 

 な、ナニされてるの?

 

 狭い場所に密集しすぎてナニをされているのか、廊下から覗いている詞からは細部を確認できなかったが、

 

「橘くん、タマタマをおしゃぶりされてるのよ」

 

 わずかに開いた引き戸に寄り掛かって、喉にしつこく絡みつくザーメンを、ペットボトルの水ですすいでいた弥生が解説してくれる。

 

 不意を突かれて詞はびくっとした。

 

 思い出す。

 

 そうだった。

 

 この優等生の仮面を墓穴を掘って剥がされてしまった覗き魔に、こっそり視姦されてしまっているのは純一だけで、放課後の空き教室で興される痴態の宴のすべては、童貞と処女を嬲る三人のサキュバスのコントロール下である。

 

 おそらく詞が扉の向こうでナニをしているのかも、わざわざ詞のように隙間から覗くまでもなく確信しているのだろう。

 

 そしてガラッとやれば、片手間で確認することもできる。

 

「自分でもほとんど弄ったりしないかんねぇ。痛いってのは知ってるけど、気持ちいってのには気づかない男はけっこう多いわけ」

 

 しかしそんなことは後回しでなぜだか自慢げに、友人というよりも共犯のテクニックを親切に実況してくれた。

 

 余計なお世話であるが黙って拝聴する。

 

 被虐妄想を最奥に孕んでいるオナニージャンキーのヴァージンには、躾けられた飼い犬のように大人しくしていること以外ナニもできない。

 

「あッ、あッ、あッ、ああああッ!!」

 

 もしかしたらあったかもしれないIFのストーリー。

 

 自分のモノにしますと宣言したかもしれない男子生徒の嬲られる光景は、噛みつくどころかグルルッと唸る気概すらも奪おうとしていた。

 

 媚びるみたいにクゥ~ンッと鳴かないのだけが、詞の意地であり矜持であるが、残念ながらそんなモノにはなんの価値もない。

 

「ハァウッ!!」

 

 童貞の喘ぎ声より無価値だろう。

 

 美雪はシワの一筋一筋まで丹念に舌を這わせながら、ふたたび口内に頬ばり舐め転がして純一の懊悩を深めた。

 

 陰嚢全体を唾液でニチャニチャにしていく。

 

 睾丸を美味しそうにしゃぶっていた。

 

 ただふたつあるモノを、ひとりで独占したりはしない。

 

 女のコはナニかにつけシェアが好きな傾向があり、純一も詞も知る由もないがこの三人はとくに顕著だ。

 

 共有することで互いに互いの裏切りを防止し仲間意識を強くしている。

 

 罪に手を染めている。

 

「タマタマって男のウィークポイントじゃん? もしこのまま噛み潰されたらっていう怖さが、な~んか気持ち良さを倍増させてるんだってさ」

 

 そんな弥生の実況解説を受けてというわけでもないのだろうが、唾液の航跡を引きながら悠子の舌がヌルヌル勃起の根元へ下がってきた。

 

 空いている睾丸に吸いつく。

 

「ひゃンッ!?」

 

 ワンオクターブ上げて、またしても響く純一の甲高い悲鳴。

 

 陰嚢が両側から引っ張られる。

 

 右と左で微妙に感触の異なっている口内で、唯二無二な楕円の球体が弄ばれていた。

 

「ああッ……ハッ、ああッ……あッ、あッ、あッ、くぅん……うぅああッ!!」

 

 その恐怖感と隣り合わせになることで倍増するという心地よさは、だらしないというよりマヌケ面で天井を仰ぐ純一を見れば一目瞭然である。

 

 牡の本性をさらし、アホ丸出しで蕩け切っていた。

 

 すっかりふたりに放置された構ってちゃん気質の勃起が、至れり尽くせりの睾丸に嫉妬するみたいにひくひく脈打つ。

 

 すぐにそのサインに気づいた美雪の舌が、濡れたシャフトに沿って這い上り、悠子の舌もそれを追いかけ二匹の軟体動物が舞い踊った。

 

 勃起を捕食しようとでもするみたいに、知識や経験でなくDNAに刻まれた本能に従って絡み合う。

 

「ひッ……はぁッ、ハッ、はぁああッ、あッ、かはぁ……あッ、んッ、ンゥウウ……」

 

 童貞には贅沢な口唇愛撫に純一は喉を仰け反らせ、切なげな喘ぎ声を教室に撒き散らしていた。

 

 二枚の舌が鏡に映したような動きをする。

 

 濃厚なダブルフェラによって、唾液と自身の吐液でぬらつく勃起は、三度の放出に向かって着実に昂っていた。

 

 身体を抱きしめるみたいにしながら、純一は椅子をガタガタ鳴らして悶え狂う。

 

「あ? あッ、ああッ、も、もう、もうダメぇええええッ!!」

 

 今更ながらこの期に及んで男のプライドゆえなのか、それとも牡としてより愉しむためなのか、三度目ということもありここまで堪えていたが、クルところまでキテしまうと、あっさり潔いギブアップ宣言が告げられた。

 

 悠子と美雪の口唇は情け容赦なく、きっちりトドメを刺しにくる。

 

 ちゅろちゅろちゅろ……。

 

 熟した果実みたいにパンパンに張り詰めている亀頭を、最もデリケートでナイーブなパーツを集中的に舌で舐めまわし吸いつきまくった。

 

 臨界点をとうに超えていた童貞ペニスは、いちばん感じるところをダブルで責められ、ひとたまりもなく三度目となるエクスタシーを解き放つ。

 

「んあッ!?」

 

 歓喜の叫びを迸らせた。

 

 粘液塗れの勃起が大きく跳ねて、尿道口を内側から突き破るようにして、煮え滾るマグマのようなザーメンがぶちまけられる。

 

 びゅちゃッ。

 

 至近距離から悠子と美雪の顔面に襲い掛かるように、むせ返るような青臭い精液が浴びせられた。

 

 それでもふたりはペニスから離れない。

 

 艶めかしく生々しい二枚の舌を妖しく激しく蠢かせつつ、断末魔の痙攣をする牡の生殖器をしつこく苛め嬲る。

 

 キショ。

 

 対外的には遣わないよう気をつけてる言葉で、しかし心中ではそう罵りつつも目が離せない。

 

 純一は自分自身を抱きしめる両腕に指先を喰い込ませ、これ女のコがやったら可愛いんだろうなぁという風にクネクネ身悶えた。

 

 びゅッ・びゅッ・びゅぶッ……。

 

 未練たらしく勃起がしゃくりあげるたびに、思春期の青臭く濃いスペルマが放たれ、瞬く間に悠子と美雪の顔面を粘液塗れにしていく。

 

 散々勿体ぶられ焦らされた後だけに、スペルマの量は三回目でも呆れるほど多かった。

 

「は……ああ……」

 

 ようやく激しい放出を終えて、ぐったりした純一が、椅子の背もたれに上体を預ける頃には、充満した臭気が教室から漏れるほどになっていた。

 

 小さな鼻の穴を仕切りにひくひくさせる詞のところにも、すえた汗にナニかをプラスしたような牡のエキスが漂ってくる。

 

 切ったばかりの足の爪だったり。

 

 茹でた空豆だったり。

 

 いいニオイでないのはわかっているのに、ついつい嗅いでしまう類の臭いに通じるものがあった。

 

 童貞男子の劣情が具現化したモノで、ドロドロに汚されたクラスメイトのふたりも、少なくとも顔を背け嫌がるほどの拒否感は示してない。

 

 思えば弥生もいきなりでびっくりはしてたものの、臭いに関してはとくに不満を口にしていなかった気がする。

 

 とろぉーッ……。

 

 口の端に垂れてきた白濁液を、悠子はチロリと舌を出して舐め取った。

 

 摘まめそうなほど濃いソレを指先ですくい取った美雪も、クンクンと二、三度鼻をひくつかせてから、パクっと口に含むと勃起に施した口唇愛撫

 

をリプレイするみたいに舐めしゃぶる。

 

 夢うつつでぼんやりしながらふたりを眺める純一の、視線を意識しているその貌には陶酔感だけでなく達成感と優越感も浮かんでいた。

 

 陶酔感と達成感はともかくとして、誰に対しての優越感なのかは明白であろう。

 

 ギリッ。

 

 またしても歯が軋んだ。

 

 純一なんてもうどうでもいい。

 

 わかるわけもないが覗き見る詞の気持ちなどお構いなしに、ふたりの計算された痴態に心奪われ勃起をまたムクムクさせている。

 

 だからどうでもいい。

 

 三人に対しての敗北感こそが歯を軋ませていた。

 

「さぁ~てと」

 

「それじゃ次はナニして遊ぼうか?」

 

 ふたりは純一のペニスが完全に復活するのに合わせて、上目遣いで悪戯っぽく微笑んで尽きることのない欲望を刺激する

 

 もっともイチイチそんなことをしなくとも、卑猥にぬらつく勃起は期待で脈打ち続けていた。

 

 するとポンッと美雪がオチャメに、殴られても痛くなさそうな小さな握り拳で手を叩く。

 

「あ、橘くん、せっかくの童貞なんだからさぁ、どうせだしアレやってあげない?」

 

 内気で大人しそうなビジュアルとキャラをしてるだけに、ここまでされておいても童貞というワードだけで未だドキッとするらしい。

 

 頭を撫でられた従順な飼い犬みたいに勃起がぴくついていた。

 

「アレ? ……あ、アレね。ホント美雪ってアレ好きだよね」

 

 ポッケットからウエットティッシュを取り出し、ベトベトにされた自分の顔を拭いながら悠子もニヤリとする。

 

「悠子ちゃんだって、キライじゃないくせに」

 

 もらったティッシュで美雪も拭いつつ、同じくニヤリとして引き戸に寄り掛かったままの弥生を見た。

 

 ちょっとポンコツなリーダーの、顔を立てて一応のお伺いを立てる。

 

 とりあえず要所要所でヨイショさえしとけば、扱いやすい友人なのを悠子も美雪も熟知していた。

 

「弥生ちゃんもそれでイイよね」

 

 予想通りの答えを待つ。

 

 わかり切っているだけにレスポンスは早かった。

 

「オッケイ」

 

 気軽にサムズアップする。

 

 美雪も親指をグッと立てて返すと、自分のポーチからナニか取り出して、椅子に座っている純一の背後に廻り込んだ。

 

 ハンカチを手にした悠子もそれに続く。

 

 耳朶に囁いた。

 

「ねえねえ橘くんってさ、ゲームとか好きだったりするかなぁ?」

 

 舐めるみたいに首筋に息を吹きかけながら、

 

「わたしたち三人で考えたと~っても、刺激的なパーティーゲームなんだけど、橘くんにもやってもらって感想とか聞きたいかも」

 

 もう何度目かになる、お願いのカタチをした命令をする。

 

 ……その命令は甘く響いた。

 

 されたわけでもないオナニー狂いな妄想少女の脳まで。

 

 逆らうわけがない。

 

「う、うん。……あの、あの、ぼ、ぼく、ゲーム好きだし、や、やってみたい……な。三人の考えた……その……パーティーゲームってやつ」

 

 純一が参加するのは確定している。

 

 新たに提示された愉悦の期待に喉を鳴らしながら、三人が考案した遊戯の内容も知らないまま頷いていた。

 

 酔ったみたいに耳まで真っ赤に紅潮させつつ、何度も何度もカクカク馬鹿みたいに頷いていた。

 

「じゃ、手を後ろに組んで」

 

 本能が感じるに任せて、考えることなく命令に従う。

 

 快楽を求めるだけの三匹のサキュバスの人形――マリオネットだった。

 

 ガチャッ。

 

「え?」

 

 さすがに手首を拘束した金属のロック音に振り返ろうとするが、その視界もすぐにハンカチで目元を覆われ固く縛られて奪われる。

 

 そうやって望んで自由を失った純一の姿は覗き見る詞からは、これから拷問される被害者のようにしか映らなかった。

 

「第一回おしゃぶり当てゲェ~ム!!」

 

「パフパフ」

 

「ええそれではルールの説明です。橘くんにはこれから目隠しされた状態で、三人のいったい誰におしゃぶりされているかを当ててもらいます」

 

「簡単ですねぇ司会の澁澤さん」

 

「いや~阿波野さん。チュートリアルで頭脳フル回転しなきゃとか、わたしもうその段階でどんなゲームでもお腹イッパイなんですよ」

 

「メチャメチャわかります。やりながら徐々には我慢できるんですけど、いきなりパンクさせるようなのは勘弁してほしいです」

 

「やっぱりゲームは、考えるな感じろですね」

 

 ふたりがヘタクソな寸劇というかコントをしている間に、

 

「ついに出番ですよぉ」

 

 弥生はひそひそ声で静かにそ~っと引き戸を開けると、ルール説明にはないシークレットの四人目を登場させた。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。