ひんやりした床が、火照った肌にやけに冷たい。
開かれた脚の間に跪かされる。
下から見上げるようなアングルになったせいなのか、さっきまで覗き見ていたときよりも勃起が大きく感じられた。
今までの人生で嗅いだことのない不思議な青臭さが鼻孔に忍び込む。
どこまでもグロテスクで、見るもおぞましい肉のカタマリ。
亀頭の先端から滲み出た先走り液が、新たな愉悦の期待とともに滴り落ちて、卑猥なぬめりと牡のニオイをさらにペニスに付加していく。
こんなモノに触れるなんて、まして口に咥えるなんて冗談ではないが、
「それじゃコレ、誰でしょ~うか?」
三人の床よりも冷たい視線にもセリフにも、冗談で済ませてくれるような温かみは欠片もなかった。
早く。
言外に命じせかす。
従うしか選択肢のない詞が心の準備を完了するのを、時間の無駄と切り伏せ悠長に待ってくれる気は微塵もなさそうだった。
恐る恐るひくつく勃起に手を伸ばす。
指先がぬめるシャフトに触れると、寒気がする気味の悪い熱が伝わってきた。
ベトついた感触に眉を寄せつつ、手のひら全体で握り締めていく。
「ああ……ッ」
情けない声を漏らしながら純一はぴくんっと腰を震わせ、上向けた鼻から詞の首筋に荒い息を吹きかけた。
目隠しされて手錠までされて、わけのわからない異常な状況で、誰ともわからない人間に手コキされ、それでも悦んでいる――滑稽なドM男。
詞のそれが現在の純一への偽らない認識だった。
勝手だがヒーローにまで奉りあげただけに、そこから転落した衝撃はかなりのものである。
……もっともそれも詞ほどではないが。
「まずアイドリングからね」
キャディーみたい。
詞のすぐ後ろで中腰になっている弥生がそう言うと、純一の肩越しに覗き込んでいる悠子と美雪が、指で輪っかを作りリズミカルに上下させる。
茶化すような仕草に腹が立った。
立ったがそれでナニかしら、事態が変わるものでもない。
純一にバレないための保険は、悠子がテキトーに結んだハンカチだけである。
誰かしらがちょっとした悪戯心で指を引っかけるそれだけで、ハラリと外れて詞は舌を噛み切りたくなるかもしれないのだ。
こうなれば最善の選択は屈辱でも三匹のサキュバスのお望み通り、そしてどんどん呼吸を荒くするドM男のお望み通りにしてやるしかない。
仕方ないのよ。
そうやって無理やり自分を納得というか騙すと、
しゅにしゅにしゅに……。
詞は泣きたくなるような恥辱の覚悟を決めて、握っている湿ったペニスを乱暴に上下に擦りはじめた。
亀頭を隠したり露出させたりするたびに皮が捲れ、付着した粘液がニチャニチャと吐き気を催す音を立てている。
勃起は発火したような熱を帯びており、擦るごとに硬度が増していくみたいだった。
とっとと終わらせたいというのが、手だけで終わってくれればというのが、ピストン運動のスピードに顕著に表れていたのだろう。
うなじの生え際に汗を浮かべながら、苦しげな声を漏らす純一を観察していた悠子から、
「もっとゆっくり」
適切で残酷な指示が飛んだ。
もちろんスルーすることは許されてない。
無意識に速くなってしまうハンドスピードを抑える。
「ここからが本番だよ」
淫らなジェスチャー。
口を開けて美雪は紅い舌を艶めかしく蠢かせる。
見た目のビジュアルがいたいけで幼いロリータフェイスをしているだけに、中身の品性下劣さがよりいっそう際立ってしまい不快だった。
ふざけているが言葉に偽りはない。
ないはない。
美雪の言葉は脅しでもなければ駆け引きでもなく、しなければ躊躇なく即座に目隠しを解くだろう。
説得力があった。
長さよりも深さと密度。
認めたくはないがこの数日はお互いを知るのに充分な時間で、こういうときやるといったらやるのは疑う余地がない。
それくらい詞は美雪を……そして残りの二匹のサキュバスを理解していた。
フェラチオ。
行為としては初級も初級。
もっとドギついプレイだって……読んだことならある。
乱交だったり痴漢だったりと網羅してきた。
毎日欠かしたことのない淫らな独り遊びでは、エロ漫画から得た知りうる限りの、あらゆる行為やプレイで詞は自らを汚している。
が。
妄想ではいくら大胆な行為やプレイができても、処女の少女が他人の排尿器官に抵抗がないわけもない。
ないがやるしかない。
亀頭に鼻先を寄せると思春期の青臭さを、煮詰めたようなニオイがさらにキツくなる。
妄想と現実の境界が曖昧になってきた少女の、発情期で昂る身体を疼かせずにはいられなかった。
詞は不細工なソーセージみたいなペニスに唇を寄せると、
チュッ。
根元にキスをする。
そのまま唇の間から舌先を出し、静脈の浮いた幹の裏側に押し当てた。
「……う」
だが見た目通りで予想以上のエグ味にすぐに顔を離してしまう。
マズい。
しかしそんなヴァージンのうぶな反応など、それこそ予想通りだったみたいで、
「まずはじっくりね~っとり、ペロペロしていくかんね」
弥生の抑えているが弾む声は優越と愉悦に満ち満ちていた。
そしてそれにすぐさま応えたのは、
「は、早く、早くペロペロ、し、してください」
詞ではなくこの短い時間で、ずいぶん躾というか調教された駄犬である。
本人にも自覚のなかったかもしれないドMの本性を、すっかり目覚めさせられ露わにしている純一だった。
ぶっ殺してやろうか。
荒れ狂う感情を言葉にすればこうだ。
苛立ちをぶつけてみたところで意味はないだろう。
が。
行動の自由と鈍器か刃物がなかったことを、ヒーロー失格どころか人間失格にまでなったクラスメイトには感謝してもらいたい。
ツツゥーッ……。
詞は首から上だけを動かして、シャフトの根元から半ばまでを舐めあげた。
熱した金属の棒にゴムを被せたみたいな、意外にデコボコしている筋肉の感触が、控え目というよりも臆病に出された舌に伝わってくる。
これまでオナニー狂いの少女が曲がりなりにも、尊敬される優等生の仮面を被り演じてこれたのは伊達ではない。
そういった才能が多少なりとも最初から備わっていたにせよ、それを高めたのはすべて本人のたゆまぬ努力の賜物である。
インプットしたエロ漫画の知識を淀みなくアウトプットし、仕入れたばかりの三人の口唇愛撫を自分流にアレンジしフィードバックしていた。
過去のオンナの存在でも払拭するかのように、太い血管を這わせたペニスに新たな唾液を上書きしていく。
もっとも汚れが溜まり易く味の濃い雁首の裏にも、臆することなく舌をアプローチさせていた。
知識もあれば手本もあったとはいえ、ぶっつけ本番でテクニックを発揮する詞に、
「なかなかやるじゃん」
「橘くん、オチンチン気持ちイイ?」
「……悪くなさそうだねぇ」
三人は含み笑いとともに惜しみない賛辞を送ってくる。
からかっているようだが、本音のようでもあった。
それはなにより、
「……ハッ……あッ……、あ、ンぁッ……ひッ……あ、んぅ……あふぁッ!!」
身悶えする純一の喘ぎ声と、激しくなる勃起の脈動が証明してくれてる。
そうじゃなくとももうとっくにないので今さらではあるものの、その滑らかな舌遣いには堅物の優等生というイメージはなかった。
「ペロペロはこのくらいでいいっしょ」
「じゃ」
「咥えてみよう」
命じられるままテラテラ濡れ光る亀頭を口内に迎え入れる。
生臭くてキツい吐き気を催す不快なエグ味が、舐めていたときよりもダイレクトに粘膜を犯してきた。
我慢して亀頭をねぶる。
ちゅぶッ……ちゅぶッ……にちゅッ……。
こうすることを想定してなのかどうなのか、神様の設計というのはなかなか奥が深い。
皮を剥いたライチの実にもう少し弾力を持たせたみたいな感触で、ツルンとした亀頭の表面は無駄に舌触りがよく舐めしゃぶるのに適していた。
味さえ克服できればフェラチオ初心者にも易しい。
優しい。
そう思っていた時期が詞にもあった。
神様は性悪。
犯罪の類がそうであるように、ファーストステップがぬるいのは大抵罠。
ヌルヌルに導かれるまま逆らわず、そんなつもりはなかったが、けれど調子に乗って詞はどんどん唇を進めていく。
こうなったらヤケクソというのもあるが、あまり後先を考えてしているわけではなかった。
そのうえ完全に勃起し切っていたと油断していた純一のペニスは、
グググググッ……。
この異常なシチュエーションが原因なのか、詞の口中でさらに体積を増していき、丸く尖った切っ先で喉の奥の柔らかな部分を突き上げる。
「んぐッ!?」
ルーキーへの手痛い洗礼。
死角から飛んできた不意打ちのカウンターのようになって、フェラチオデビュー戦の少女をワンパンで涙目にさせえずかせた。
そのままズルズル後退したくなるのも無理はない。
するとKO負けも有りうる展開になる。
「んッ……むッ……んーッ……」
しかしどれだけのピンチであろうと、レフリーストップによるTKOはない。
「根性よ根性」
「そのうちフィットしてくるから、出しちゃダメだかんね」
「オエッってなる感じ、チョット懐かしいなぁ。……もう一回味わいたいかって言われたらゴメンだけど」
リングサイドで見守るセコンドは無責任かつ精神論かつ非情であり、選手生命を気遣ってタオルを投げてくれるようなこともなかった。
「ふぅッ……はぁ……んぁッ……、んぅッ……はぁ……んぁッ……うぁッ!!」
「ン……ぅ、んふぁッ……うふぅッ……、むぅ……んッ……んぅッ……ぐぅッ……、ふ……くんッ……んッ……」
純一VS詞は倒すか倒されるかの、ノックアウトでの決着しかない。
前に出る。
雁首のところで止まっていた詞の唇が、ひくつくシャフトに沿ってふたたび動き始めた。
とはいえ慎重である。
どこまで入るのか探るようにジワジワと唇を進め、先端が喉につかえたところで、今度はソロソロと逆再生するみたいに引き返していく。
結果としてそのじれったさが拙さを補っていた。
じゅぷ……ちゅぶ……にゅちゅ……。
唇が急角度の勃起を滑り降りるたびに、実戦で経験を積んでいく少女の口元から唾液が溢れ、流麗なラインの顎を伝って妖しくしたたり落ちる。
「ああ、すご、お、オチンチン、と、蕩けちゃいそう、オチ、オチンチン、蕩けちゃう、ハァンッ、あッ、あッ、蕩けちゃ~うッ!!」
ナニか純一が夢心地のうっとりした気色悪い声で、聞くに堪えない戯言を仕切りにほざいているが気にしない。
したら噛み千切ってしまう。
鼓膜というよりも脳からドM男の声をシャットアウトすると、詞は口イッパイに頬ばったシャフトを甲斐甲斐しくしごき続けた。
興奮で更新されていくボリュームとサイズに、顎がすぐにだるくなってくるが、ここで口撃を緩めればさらに厄介な事態にもなりかねない。
「……んゥ……、ハッ……はふッ……」
受けた屈辱と施した恥辱はすべて水の泡になり、苦しみが自動で再更新されて長引くだけである。
ぬむッ・ぬむッ・ぬむッ……。
何事も継続は力なりということなのか、しばらくするとコツを掴んできたみたいで、上下する顎の動きに一定のリズムが生じていた。
小刻みに刻まれるリズムに合わせ、艶やかなストレートの黒髪が揺れる。
「んッ、んッ、んッ……」
初めは吐きそうなほど強烈だった生臭さも、喜ぶべきか悲しむべきか、徐々にではあるが気にならなくなってきていた。
「もっとオチンチン、奥まで咥えて」
「音もちゃんと意識してね。へたっぴでもソレでけっこうクルから。じゅぷじゅぷっていやらしい音させんのよ」
弥生と悠子に言われるままま催眠術にでもかかったみたいに、詞はペニスを深く含み、唇がシャフトを往復させるテンポを速くさせて、溢れる唾液を派手な音をさせて啜る。
慣れないことをし続けているせいで、いいかげん頬の筋肉がつりそうになってるが、それでも太い勃起を柔らかな唇でしごくのをやめない。
やめればこれまでの労力が無駄になる。
「ああッ!? お、オチンチンが、オチンチンが、くふぅッ!! ああああッ!! オチンチンがぁああああッ!!」
幸いという言葉を遣いたくないが、ふたりのアドバイスは効果覿面だ。
口唇愛撫の愉悦に酔う純一は身体をガクガクさせながら、いいパンチをもらったみたいに語彙のない妄言を吐き出し続けている。
ラッシュを開始したからには、ここで押し切りキメるしかない。
終わらせる。
詞は肚を決めていた。
……決めていたが、
「はい橘くん、手、ここね」
どうやら雰囲気を愉しむための道具でしかなかったらしい。
チャチな拘束具がなくても純一は呪縛されていた。
しかも悦んで。
カチャッ。
次の趣向のために外された。
頭にポンッと置かれたそれだけで、たったそれだけで簡単に連打が寸断されてしまう。
所謂純愛モノというかイチャラブ系も、ズリネタとしてはピンと来ないが、詞もお年頃のJKなのでそれなりに同年代の憧れが理解はできる。
その願望に自分も賛同するかはまったく別問題であるが、頭を撫でられるというシチュエーションで騒ぐクラスメイトを理解はできた。
しかしソレは誰でもいいというわけではない。
不快なだけだ。
「と、蕩けちゃうッ……ああッ、も、もうぼくの、ぼくのオチンチン、オチンチン蕩けてなくなっちゃうよぉおおおおッ!!」
こんな気色の悪い男にナデナデされても。
腹立たしい。
ムカつく。
昨日までの自分の見る目のなさが、
じゅちゅッ・じゅちゅッ・じゅちゅッ……。
ペニスにむしゃぶりつく詞は情けなくて仕方がなかった。
身を灼くような屈辱と恥辱。
一刻も早く終わらせるために詞は、頭部の動きをさらにペースアップした。
こうやって淫らな単純作業に没頭することで、時間の感覚はどんどん失われていき、もう何時間もドM男のペニスをしゃぶっている気がする。
どうしょもなく火照っているからだろうか。
たっぷり愛液の染みたショーツが恥丘にぴったり張りついて、気持ち悪いはずなのに不快さを上回る興奮をもたらして気持ちイイ。
恥毛で鼻をくすぐられるのさえ、発情した思春期の身体を煽るエッセンスになっていた。
「ああンッ、はぁああンッ」
相変わらず真上から降ってくる喘ぎ声と、髪を撫でる手の感触はキショイままだが、舐められるたびに大きく脈打ち、しゃぶられるたびに口内に青臭く生臭い先走りを垂らす勃起に対し、嫌悪がなくなるわけもないが、忌避する気持ちが薄れてきているのも事実である。
……恐怖でしかない。
このまま続けばけっして抱いてはいけない感情を、小五の頃から孕んでいた感情を少女は認知するしかない。
ドM男を軽蔑する資格がないのを。
自分がド淫乱の変態であるのを認めてしまっていただろう。
「んぶッ……むぅううッ……ンッ、ンッ、ンッ、……ンゥウウッ」
だがそんな少女が清楚を主張するための葛藤は、たぶん周囲からは往生際が悪いとしか映らない。
礼儀よく正座でクラスメイトのペニスにご奉仕する少女の、左右の手はいつものように分担されていつものポジションを取っていた。
「むぅンンッ、んッ、ン、ゥ、ンォオオッ!!」
ブラジャーを着けるのは許されてないので、柔らかなふくらみに喰い込む指の感触がダイレクトに伝わってくる。
制服のブラウスの布地の上から、ぴんぴんに尖っている乳首を摘まんだ。
だけでは満足できずに過剰に敏感なパーツを、痛みを覚えるほどキツく抓りながら、やはり勃起して膨らんでいるクリトリスを指の腹で擦る。
マルチタスクは優等生の基本。
そうやってふたつのウィークポイントを、同時に的確に弄りつつも、強烈なホルモン臭を発しているペニスへのご奉仕も怠らない。
だからだ。
「はぅううンンッ!?」
どれだけ甘く優しい男にでも必ず内包されている、DNAに刻まれた牡の暴力性を刺激してしまったのは。
頭に置かれ機械的に髪を撫でていた右手に、意味なく開閉をくり返していた左手が加わる。
力強く力任せにガシッとホールドされた。
えっ!? ま、まさか……。
王道。
お約束。
そしてセオリー。
ここまでこうなるフラグをきっちり立てているのに、エロ漫画愛好家の少女が気づいたのはこのときだった。
びゅくッ!!
低周波治療器で電流でも流されたみたいに、純一の腰がびくんっと跳ねて、深々と挿し入れられた勃起の先端が乱暴に喉の奥を突き上げる。
「んぐッ!?」
驚愕で大きく目を見開いた詞の口に、何度目だろうが濃厚な白濁液がぶちまけられた。
喉の奥にスペルマのほとばしりを感じると同時に、先走りのカウパーとは比較にならないエグい味が口の中いっぱいに広がる。
詞は慌ててペニスを吐き出そうとしたが、ガッチリと頭を押さえつける手がそれを阻んだ。
なんだかんだで純一も男であり、詞がどれだけ必死にもがいても、後頭部を掴んだ手は微動だにしない。
びゅくッ・びゅくッ・どくンッ!!
無慈悲な勃起は詞の口中で何度もしゃくりあげ、これでもかというくらい多量の精液を注ぎ込む。
喉の奥を突き荒らされてむせ返りそうになりながらも、無力であり憐れであり自業自得な囚われの少女は、口の中で荒れ狂う欲望の嵐が過ぎ去るのを待つしかなかった。