ようこそヒロインだらけの短編へ 作:メスガキとかドS令嬢とか好き
アンケートでは全く構想していなかった天沢と先輩の続きが予想外に優勢だったので、どうにか設定を練って来ました。
今回はR-12相当です。エロなしです。
時系列が現在と過去を交互に行き来してます。
先輩に捕まって、なんか演技させられて、そのままえっちまでしちゃったのが昨日のこと。
今いるのはあたしの部屋で、隣には……先輩が寝てる。
あぁー、どうしよ。
なんか昨日のあたし、テンションおかしくなかった?
初えっちでこーふんしたのもあるけど……。
自分で自分のことが分からなくなるなんて、いつ以来だろ。
少なくとも、ホワイトルームにいた頃は完璧に制御できていた。
あぁ、もう、先輩のせいだよ。
先輩のせいで……おかしくなっちゃった。
◆◇◆
あたしが先輩という存在を初めて認識したのは、高度育成高等学校に派遣されて、しばらく経ったある日の放課後のこと。
ケヤキモールのお店をぶらぶらと見て周り、使えそうなものを探していた時のことだ。
不意にあたしの直ぐ後ろに気配が生じて、驚いて反射的に振り返ったその先に、先輩がいた。
先輩は、まさか気付かれるなんて、とでも言いたげな表情を一瞬だけしたけど、それはあたしもそうだ。
そんな簡単に背後を取られるなんて、思いもしなかった。
先輩は右手に学内端末を持っていた。
立ち位置、場所、振り返った時に僅かに視界の端に捉えた手の動きからして、先輩の目的は……多分、盗撮。
チラリと確認したけど、当然のことのように店内の監視カメラからは死角になる位置。
証拠はない。
並の相手なら、適当に騒いで端末のデータを確認するか、ハッタリで脅して自供させても良かった。
でも、この人は……。
初日に記憶したOAAのデータと照合するが、これといって特徴のない成績だ。可もなく不可もなく、その他大勢に上手く紛れている。
分かることは、一学年上の先輩ということだけ。
完全にノーマークだった。
不確定要素。
未知の存在。
放置しておけば、この先、計画の邪魔になるかも知れない。
ここで情報を引き出すべきか、何も気付かなかったふりをして立ち去るべきか。
迷ったのは、本当に少しの時間だったはずだ。
だけどその一瞬の間に、先輩はすべてのことであたしを上回っていた。
普通、人の無意識には、大なり小なり間隙が存在する。
気を張っていたとしても、人である以上は避けられない刹那の気の緩み。
あたしが瞬きをするかしないか、そのくらいの時間で、先輩は一歩だけ踏み出し、あたしの耳元に顔を寄せ、囁いた。
──ごめんね、と。
ぞわりと、肌が泡立つような感覚があった。
先輩の、動作そのものは見えていた。
決して速すぎることはない、普通の、容易く対処できる程度の速度。
なのに、脳が反応できなかった。
何が起きたのか分からない。
まるで自分の体が、自分のものではなかったみたいに固まって、血の気が引いて、動けなくなる。
どれだけそうしていたのか。
深呼吸をして、心を落ち着けて、ようやく立ち直った時、先輩の姿は、もうどこにもなかった。
◆◇◆
先輩が起きたから、朝ごはん作ってーって命令したら、フレンチトーストが出て来た。
ふわふわで、甘くて、ケヤキモールにあるカフェのものと比べても遜色ないくらい美味しい。
なんか悔しかったから掃除、洗濯、あと書くのが面倒な宿題の代筆とかやらせてみたけど、全部完璧だった。
書体なんか、あたしが見ても見分けがつかないくらい似てる。
……どこでそんな技術学んだんだろ。
正直、先輩はあたしから見ても高校生とは思えないほど多才だ。
というか、大学生、社会人まで含めても、先輩より優れた人は相当限られる気がする。
もちろん比べる分野によっては勝てる人もいるだろうけど、総合的に見たらね。
ホワイトルームの理念とも違った、言うなれば、秘密工作員──スパイみたいな能力を持っている。
そんな凄い能力を持った先輩が、この学校で何をしているかと言えば……盗撮とか、盗聴とか、睡眠薬を使ったレイプとか。
……別にお国のために頑張れーとは言うつもりないけど、もう少しさぁ、マトモになってくれてもいいよね?
◆◇◆
あれから、先輩を監視する日々が始まった。
少なくとも、あたしを軽くあしらえる程度の身体能力を持つことは確かで、それはつまり、仮に敵対すれば非常に危険な相手だったからだ。
……別に、パンツ撮られたかも知れないから弱みを握ろうとしてる訳じゃないよ?
正直、あたしひとりだと荷が重い相手だけど、あたしと同じようにホワイトルームから送られてきたメンバーにはまだ先輩のことを報告していない。
この前の態度からして、先輩があたし達の敵になる可能性は低いと判断したのもあるし、先輩に不利になる情報を悪戯に広めて機嫌を損ねたら不味いと考えたのもある。
……別に、パンツ撮られたかも知れないから隠している訳じゃないよ?
監視を始めて、一週間が経った。
とはいえ、学年が違うと授業中に監視することは難しいし、必然的に後を追うのは放課後や休みの日だけになる。
短い期間で分かったことは、先輩は能力を隠すのが非常に上手いということだ。
周りの目がある時は本当に平凡な学生そのもので、体の動かし方や歩き方さえも違和感がないレベルで「普通」を演じている。
あの一件がなければ、あたしや他のホワイトルーム生であっても普通の人、としか思えなかっただろう。
……そう、先輩が明確に失敗したのは、今のところ本当にあの一件だけだ。
背後を取られ、恐らく撮影されている最中も、あたしは先輩に気付いていなかった。
だけど、何かがあって、先輩は気配を漏らしてしまった。
……本当に?
先輩を監視すればするほど、本当にあれが単なる失敗だったのか、疑問になる。
あるいは、何らかの意図を持ってあたしに気付かせるため、わざと失態を演じたとか──。
先輩の目的が分からない以上、どれだけ考えても真相には辿り着けない。
それは分かっているけど……。
いずれにせよ、単に監視しているだけではダメそうだ。
何か……先輩が食いつきそうな餌を用意する必要がある。
◆◇◆
昨日は日付の感覚も曖昧だったけど、カレンダーを見たら今日は日曜日だった。
朝ごはんを食べ終え、掃除も洗濯も宿題も終わったので、特に予定もないあたしと先輩は部屋でだらだらとしている。
昨夜にかけて随分と体力を使ったので、少なくとも午前中はのんびり過ごすことで意見が一致していた。
「……先輩って色々強すぎない?」
体を動かさずに遊べる携帯端末のアプリで、将棋から始まり、チェス、囲碁、リバーシとやってみたが、全部負けた。
将棋は飛車角落でなんとか勝てるくらいだから、明確に実力差がある。
……これでもあたし、ホワイトルームで結構優秀だったんだけど?
気にするな、お前は十分強い、と頭を撫でて来た先輩にイラッときて、地面に転がして急所を踏みつけてみたけど、むしろ嬉しそうだった。
……どうやっても勝てそうにない。
◆◇◆
「私とお買い物、ですか?」
「そーそー。七瀬ちゃんとは一応仲間なのに、あんまり親交深めてなかったし? いい機会だと思ってねぇー」
「……まぁ、いいですけど」
先輩はあの時、あたしの下着を盗撮しようとしていた。つまり、後輩好きという可能性がある。
その点、七瀬ちゃんならあたしと同じ学年だし、まぁ本当のホワイトルーム生に比べたら能力は低いけど、他の一年生に比べたら断然マシだから、先輩の気配に気付ける可能性も少しはある。
容姿も整っているし、あたしほどじゃないけど可愛い。
胸は……七瀬ちゃんの方が大きい訳だけど、あたしも別に平均より小さい訳じゃないし、先輩が小さいもの好き、という可能性は低そう。
つまり──総合的に判断して、七瀬ちゃんは先輩を釣る餌として今のところ最適解ということ。
「あー、やっぱり日曜日は混んでるねー。ちょっと早いけど先にご飯とかもありかなぁ。七瀬ちゃんはどこか見たいお店ある?」
「そうですね……防犯グッズを購入しようか迷ってはいました」
「え、防犯グッズ? 七瀬ちゃん誰かに狙われてるの?」
「そういう訳ではないんですけど、……宝泉くんと真正面から対峙することになった場合、対抗策は必須だという結論になったので……」
「あー、アイツね。うーん、でも正直、付け焼き刃の体術じゃ難しいと思うけど?」
「やはりそうですよね……」
「まぁ、見てみるくらいなら全然いーけどね。あたしも興味あるし」
「天沢さんも興味があるんですか?」
「ほら、例のアレに使えるかも知れないし?」
「……なるほど」
微妙な距離感はあるものの、それなりに会話を弾ませながら、あたしと七瀬ちゃんはケヤキモールをぶらぶらと歩き回る。
何かを買うでもなくお店を冷やかして、お昼になったらご飯を食べて、ゲームセンターに寄ってみたり、映画を見たり、なんかデートみたいなことをした。
だけどその日は結局、最後まで先輩は現れなかった。
◆◇◆
お昼は先輩がパスタを茹でた。
オリーブオイルと唐辛子、ニンニクと塩、醤油で炒め、ペペロンチーノを作ってくれたが、絶妙な味わいだった。
工程は単純なのに、味はほんと、レストランとか開けそうな感じ。
添え物はトマトクリームスープ。
じんわり温まって美味しかった。
……先輩の有能さにご主人様としての立場が危ぶまれる気がする。
◆◇◆
ここまで来ると、手詰まり感があった。
監視は続けているものの、先輩は一向に尻尾を掴ませないし、そろそろ他のホワイトルームのメンバーに怪しまれる。
今日で最後。
そう決めたその日、予想外の出来事が起きた。
いつものように先輩の後をつけ、先輩が普段買い物をしているお店の角を曲がったな、と思った矢先。
同じように曲がろうとしたあたしを、横合いから伸びて来た腕が力強く引き寄せた。
……正直、油断していた。
先輩はまったく力の片鱗を見せないし、誰かに見られる恐れがある公共の場所では本気を出さないだろうとたかを括っていた。
いや……そうなるように思考を誘導された。
あの時と同じように先輩が耳元で囁く。
騒げばお前の秘密をバラすぞ、と。
「……秘密って何のことですかぁー? それに、これって普通に退学レベルの問題起こしてますよねぇ?」
一応惚けてみたが、先輩の次の一言に黙らざるを得なくなる。
色のない部屋、最高傑作、月の代理人。
何も知らない人が聞けば、そこにどんな繋がりがあるのか理解できない単語。
聞き返すまでもなく、あたしは理解した。
つまり、ホワイトルーム、綾小路清隆、月城理事長代行……。
「……なるほどねー。それで、先輩はあたしに何を望むんですかー?」
先輩は、ただ、協力しろ、とだけ答えた。
「何に──」
あたしの言葉を遮るように、カメラの撮影音が連続する。
下を見れば、あたしのスカートの中からフラッシュの光が断続的に漏れていた。
……この状況でやることが盗撮って、どうなの。
「……つまり、あたしの下着を撮りたいってことですか?」
そう聞いたが、先輩は無言。
無言で、あたしを拘束している手が胸を揉み始めた。
「……あのー、流石の一夏ちゃんもこの扱いには怒るって言うか、秘密とかどーでもいいから先輩を退学させようかなぁーって思っちゃうんですけど」
本気でそう思いはするものの、秘密がどこから漏れたものであれ、実際に公表されてしまうとその責任の一端は間違いなくあたしにも降りかかってくる。
この国のトップに近い立ち位置にいる人間の面子が関わっている以上、場合によっては退学どころか、報復に消される可能性も否定できない。
……そもそも、親も親戚もいない、失敗作のあたしの立場って、使い捨てできる程度の弱いものだし。
何の前情報なくホワイトルームに関する秘密を暴いた先輩のことだから、多分、あたしが何もできないことだって分かっていたはず。
でも──、先輩の動きは止まった。
だから……そう、少しだけ、特別な何かを期待したんだけど……。
それから、少し間を空けて、先輩は言った。
ごめん、興奮して、つい──。
……がっかりだよね。
そうして、先輩とあたしは、密かに協力関係を結ぶことになった。
先輩に重大な秘密を握られたあたしが、一方的に使われる立場になるかなぁと覚悟していたけど、先輩は案外、そのあたりには寛容で、女子更衣室とか、女子トイレとか、女湯とか、そーいう、男の人が入りにくい場所の潜入をあたしに任せる以外は、特にリスクのある仕事もなく、それどころか、見返りにプライベートポイントまで払ってくれた。
……まぁ、対価を払うことであたしを共犯にする目的もあったと思うけど。
最初は詳細不明の危険な敵として警戒していたけど、ビジネスパートナーのような付き合いになれば、先輩という存在は、まぁ、うん、悪くはない。
黙っていればそれなりに整った顔してるし、能力が高いというのはあたし的にポイント高い。
盗撮とかレイプとか、趣味が悪過ぎるのが大きなマイナスだけど、性癖に関してはあたしも人のこと言えないし……。
まぁ、味方であるならこれほど頼もしい人もいないし、せめて良い関係は築いておきたいかなぁ。
◆◇◆
夕方になり、あたしは先輩と外に出かけた。
普通ならこんな美少女と一般モブを演じてる先輩が連れ立って歩いていたら次の日には学校中の噂になっているけど、協力関係を結んで以降、対外的に先輩はあたしの配下、奴隷みたいな扱いになっているので、隣り合って歩いていても別に怪しまれない。
先輩はついでに有栖先輩にあたしの情報を流す二重スパイのようなこともしているらしく、Aクラスでは目立たない能力の持ち主でありながら、あたしの存在を利用して排除されないように立ち回ってるらしい。
……奴隷は奴隷でも、昨日から性奴隷になったんだけどね。
まぁ、何があっても、先輩のことだから上手くやるんだろーなぁ、くらいにしか思わないけど。
隣の先輩を横目に見上げ、視線に気付いた先輩から逃れるように、前を向いて呟く。
「……ねぇ、先輩。今日の夜はグラタン作ってよ。なんか食べたい気分なんだよねー」
書いているうちにどんどん天沢可愛いなぁってなって最推しが天沢になるところでした(単純)。
次話は坂柳の脱衣チェスの予定です。
今週末までに投稿できれば良いですが、来週は忙しいので時間が取れないと再来週になるかもです。
あと、脱衣チェスについて、天沢と先輩が存在している世界線で天沢vs坂柳をするか、全く別の世界線で坂柳vs誰か(多分オリ主で男)をするか、迷っています。
例によってアンケートを設置しておくので、お気軽に回答してみてください。
あくまで参考なので全く違う展開になっても怒らないでね……。
アンケートは締め切りました。回答ありがとうございました!
脱衣チェスについて
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先輩と天沢が存在する世界線で天沢vs坂柳
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全く別の世界線で坂柳vs誰か