※この作品はR-18です。

ようこそヒロインだらけの短編へ   作:メスガキとかドS令嬢とか好き

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急激にUAが伸びたので確認してみたらR-18日間にのってたみたいですね……。本当にありがとうございます。

2話目のアンケートについては締め切りましたが、1話目のアンケートについては人気投票感覚でひとまず残しておきます。

感想は運対になってましたね……。個人的にリクエストくらいは気にしないのですが、規約があるみたいなのでご注意ください。

今回は脱衣チェスになります。エロエロにする予定でしたが、あまりエロくできませんでした……(´・ω・`)

ちょっと長いのでご注意ください。
視点は交互に切り替わっていきます。



天沢一夏 続×2 (脱衣チェス)

 

 

 

 

「あ、もしもーし。有栖先輩ですかー? 可愛い可愛い一夏ちゃんですけどー」

「えー? 番号をどこで知ったとか、どーでもよくないですか? それより噂で聞いたんですけど、有栖先輩ってチェスが得意だったんですね? 実はあたしも、結構自信あってー」

「確かこの前、先輩言ってましたよね? どんな勝負でもいいから、どっちが上かはっきりさせましょーって」

「そこで提案なんですけどー、あたしとチェスで勝負しません? といっても普通にやってもつまらないですしー、負けたら一枚ずつ服を脱いでいく脱衣ルールなんてどーですかぁ?」

「もちろん途中リタイアはなしですよ? どちらかが裸になるまで続けてー、負けたらそのままお散歩なんて面白そうだと思いません?」

「あははっ、やだなぁ、冗談ですよぉー。今回のお誘いは単なる遊びですからぁー、そんなに身構えないで大丈夫ですよー?」

「盗撮とか気にしてるならぁ、中立の立会人を呼べばどーですかぁ?」

「えー、いるじゃないですかぁ、2年の先輩にぃ、絶対に裏切らない優しい先輩がさぁ」

「そーそー、一之瀬先輩にボディチェックしてもらってぇー、携帯も預かってもらえば大丈夫ですよねぇ?」

「それでぇ、どーですかぁ? この勝負、ちゃんと受けてくれますよねぇ? あんなに自信家の有栖先輩ですもんねぇー。まさか逃げるなんて言わないですよねぇー?」

「あははぁー、さっすが有栖先輩。それじゃあ、日程の調整は先輩にお任せしますけどー、ちゃんと見られてもいいよーに、可愛い下着着けてきてくださいねー?」

 

 

 ◆◇◆

 

 

 七泊八日の船上クルーズも終わり、昨年通りの夏休みを迎えて数日が経ったある日の夕暮れ。

 予想外の相手から電話がありました。

 

 天沢一夏さん。

 

 ホワイトルーム出身の1年生で、その実力は未知数。

 もちろん、直接戦えば勝つ自信はありますが、厳しい相手であることもまた事実。

 船内で初めて顔を合わせてからまだ2週間と経っていませんが、そんな彼女からチェス勝負のお誘いがありました。

 詳しいルールについては一度会って調整することになりましたが、前提として決まっている特殊なルールが一つあります。

 脱衣ルール……つまり、チェスの試合に負ける度、服を一枚脱いでいき、最終的に服がなくなり、裸となった方が負け──という、風俗的なもの。

 盗撮のリスクはあるものの、それは更衣室であっても同じことです。

 立会人として一之瀬さんを呼ぶのであれば、より磐石でしょう。

 

 気になる点は、私との勝負にあまり関心がなさそうだった天沢さんの心境の変化ですが……。

 

 数あるゲームの中でも、チェスは私にとって特別なものです。

 単純に得意というのもそうですが、彼という存在を意識するようになったキッカケのようなもの。

 そのような舞台の上で挑発されては、簡単には引けません。

 

 致命的なリスクもありませんし、天沢さんとの勝負自体は、兼ねてより私が望んでいたことでもあります。

 

 勝負を受けない、という選択肢はあってないようなものでしたね。

 

 

 ◆◇◆

 

 

「これでよかったんですかー?」

 

 有栖先輩との通話を終え、あたしは先輩に声をかける。

 

 先輩は……ぐっと指を突き出してる。

 

 うん……良かったね。

 

「それにしてもぉ、こんなに可愛いご主人様がいるのに、先輩は他の女の子の裸が見たいなんて言い出すんですもんねー」

「別にー。怒ってなんかないですよー。先輩は前からそうでしたしー」

 

 ……でも、ちょっと拗ねるくらいはいいよね?

 

「有栖先輩なんてロリ体型の貧乳だしー、どう考えても性格悪いしー、あたしの方が断然可愛いじゃないですかー?」

「……ブーメランって、先輩、何を言ってるんですかぁー?」

 

 そんな言葉知ーらない。

 

 ……でも、あたしと有栖先輩が似てるとすると、先輩が好きになっちゃうのも当然かぁ。

 

 先輩、責められるの好きだし、責めるのが好きなのはあたしもだけど、多分、有栖先輩もそう。

 

 あれ、ホントに強敵かも?

 

 でも先輩は去年から有栖先輩と同じクラスだったし、その割にはまだ手を出してないよね……。

 

 んー、有栖先輩の体がハードプレイに耐え切れないから、とか?

 

 先輩って責められるのが好きなくせに責めるのも好きだからなぁ。

 

 先輩のせいで、最近は責められるのもちょっといいなって思い始めちゃった……。

 

 

 ◆◇◆

 

 

 場所は一之瀬さんの部屋をお借りすることになりました。

 私か天沢さんの部屋では盗撮機器類を隠すといった仕込みができてしまうため、中立の一之瀬さんの部屋で、ということになります。

 

 日程については、特別試験があった関係で一之瀬さんの予定もそれほど埋まっていなかったことが幸いし、天沢さんから連絡があったその週末、8月20日の金曜日には都合をつけることができました。

 

 ルールは天沢さんから提案のあった通り、脱衣ルールを採用しています。

 細かく言えば、身に付けているアクセサリー類──帽子や手袋など──は衣服としてカウントせず、お互いに共通する制服の上下、シャツ、下着の上下、靴下という計6枚の衣服を賭けて勝負を行います。

 

 チェスの対局は一試合一試合が長く、プロ同士の試合であれば2時間とかかることも珍しくありません。

 ですが、仮にそのような長さで試合を行うと、どちらかが6連勝したとしても12時間、最長では22時間と、殆ど丸一日かかる計算になってしまいます。

 そこで、一試合あたりのお互いの持ち時間を20分とし、延長なしのルールで毎試合を行うことになりました。

 こうすることで一試合あたりの時間が40分以内に収まるため、最長の11試合行ったとしても7時間と20分以内に勝敗を決めることができます。

 

 ……まぁ、これでも長いことに変わりはありませんので、一之瀬さんには部屋を借りる代金も含め、立会人としての拘束時間に応じて私と天沢さんからプライベートポイントを支払うことになっています。

 

 合計すると時給2000ポイントですから、アルバイトのできない現状では破格……とまでは言えないですが、小遣い稼ぎ程度にはなるでしょう。

 

 

 ◆◇◆

 

 

 有栖先輩との脱衣チェス、その当日になった。

 今いる場所は一之瀬先輩の部屋で、時間はお昼を食べて直ぐの12時40分くらい。

 試合開始は13時ちょうどからだけど、集合したのは12時で、一緒にご飯を食べてからのスタートになる。

 

「えぇっと、天沢一夏さん、で良いんだよね。坂柳さんとチェスで勝負するなんて凄いよね……。私はあまり詳しくないんだけど、ちょっと特殊なルールってことで立会人として呼ばれたので、精一杯頑張るつもりです。よろしくね」

 

 一之瀬先輩……凄く良い人なんだろーなぁ、とは思う。

 

 ……立会人に選ばれちゃったばっかりに、先輩の魔の手で部屋中にカメラを仕掛けられちゃったり、最悪バレても許してくれそうだから、っていう酷い理由で定期的に睡眠薬を盛られちゃったり、色々と可哀想な目にあってるけど。

 

 初対面の挨拶をしながら、あたしはちょっとだけ同情した。

 

「有栖先輩も一之瀬先輩も分かっていると思うけど、途中の休憩も殆どなくかなりの長丁場になるのでー、お手洗いはちゃんと事前に済ませておいてねー?」

 

 なんて言ってみるけど、トイレにもカメラが仕掛けられてるんだよね……。

 まぁ、今さらだし、あたしも使うけどさぁ。

 

 

 ◆◇◆

 

 

 お手洗いも済ませ、迎えた13時ちょうど。

 私と天沢さんの1局目が始まりました。

 

 先手はコイントスの結果、天沢さんから始まり、以降は交互に交代することになっています。

 

 長丁場になるため、できるだけ脳の負担を減らそうと思えば、少ない持ち時間もあって序盤はほぼ定石通りの流れになるでしょう。

 

 1手、2手と進んでいきますが、天沢さんも私も、迷うことなく打っていきます。

 

 やや動きがあったのは、やはり中盤にかけて。

 私を試すような手を天沢さんが打ってきます。

 

 ここからは定石という一定のレールからは外れ、終盤のチェックに向かって互いの打ち手を短い時間で読み合いながら、少しずつ自陣を有利にしていく作業が始まります。

 

 1試合目、余裕のあるうちにこの中盤を制することは、この後のゲーム展開を考慮しても重要です。

 

 目まぐるしく移り変わる盤面、次々に展開される駒の動き。

 全てを把握するには深い集中力を持続させることが求められますが、それ自体は私も天沢さんも得意とするところです。

 

 ……問題は、やはり持ち時間です。

 

 今のところ、私と天沢さんの間に大きな実力差はありません。

 実力が拮抗していれば、当然ながら考える時間も増えていきます。

 

 序盤は5分とかからずに打ち合っていましたが、中盤を迎えて既に10分近くが経過。

 拮抗し続けている盤面に焦りが滲み始めます。

 

 焦りは緊張を生み、緊張は思考を鈍らせます。

 

 思考に無駄なノイズが混じり、既に考慮した筈のことを何故かもう一度考えてしまう。

 

 残り1分──。

 

 終盤はいつの間にか来ていました。

 私も天沢さんも、殆ど直感を頼りに打っています。

 

 チェックをかけ、逃げられ、チェックをかけ、逃げられ、チェックをかけられ、逃げて──。

 

「──チェック、メイトです」

 

 私のナイトが、天沢さんのキングを打ち取りました。

 

 大きく息を吐き、張り詰めた体を和らげます。

 それでも、心臓の鼓動はうるさいほどにどくどくと耳の後ろから響いています。

 チラリと横目で確認すれば、残り時間は5秒。

 

 ……流石に、強敵でした。

 

「……初戦は負けかぁ。……言うだけあって、強いね、有栖先輩」

 

 ぐぐっと伸びをした天沢さんが、ふぅ、と脱力して呟きました。

 ……彼女にも、確かな疲労が見えます。

 そのあたり、ホワイトルーム出身であっても、同じ人間ということでしょうか。

 

「勝ちは勝ちですが……ギリギリの勝利でした。あなたも、やはり彼と同じ出身、近い能力を持っているということですね」

 

 綾小路くんの名前は一之瀬さんの前では出せませんが、彼女には伝わったのでしょう。

 比べられ、匹敵はするものの超えてはいないという評価を付けられて、彼女は苦笑いを浮かべました。

 

「まぁー、世の中にはバケモノみたいな人がいるからねー」

 

 少しだけ、彼女の返答には違和感を持ちました。

 素直に認めたというのもそうですが、なんと言いますか……彼女は何か別の、もっと遠くにあるものを見据えているような気がしたのです。

 

 ですが、その違和感について深く考えるよりも先に、彼女が行動しました。

 

「うーん、まぁ、無難に上着かな」

 

 などと呟きながら、制服の上着を脱いで一之瀬さんに預けています。

 

 40分程度の時間ではありましたが、短時間で強く集中したためか、その肌には汗が張り付き、白いシャツからは薄らと下着が透けていて……。

 

 ……いえ、そういうことを考える時間ではありませんでした。

 

 やはり、脳の疲れが余計な思考ばかりを運んで来るようです。

 切り替えなくてはいけませんね……。

 

 胸に手を当てて深呼吸をし、心と精神の統一を図ります。

 

 最初の3試合、試合間のインターバルは5分です。

 

 もうまもなく、次の試合が始まります。

 

 

 ◆◇◆

 

 

「ふぃー………」

 

 3試合目でどうにか勝利をもぎ取り、あたしは強く息を吐きながら机に突っ伏した。

 およそ2時間が経過し、ここまで1勝2敗。負け越している。

 正直、有栖先輩の力量を侮っていたかも知れない。

 先輩ほどではないにせよ、あたしよりも少しだけ強いのは確かだ。

 初戦に負けてしまったのが痛いが、有利な先手番で確実に勝利を重ねていかないと、普通に負けてしまいそうな感じ。

 

 重たい頭を持ち上げて前を向くと、有栖先輩がちょうど制服の上着を脱ぐところだった。

 

 ……うわぁ、結構透けてるなぁ。

 

 有栖先輩の下着は水色だ。あたしが言ったせいかは分からないけど、なかなか可愛いやつを着けている。

 

 試合中は全く考える余裕がなかったけど、改めて自分の体を見下ろしてみると、あたしのシャツも汗でだいぶ透けていた。

 既に靴下も脱いで素足だから、割とえっちな感じになっている。

 

 先輩が喜びそうな絵面だ。

 

 今ごろは部屋の端末なりパソコンなりであたしと有栖先輩の様子を眺めてるんだろうなぁ。

 一之瀬先輩の部屋にあるwifiを経由して、先輩の端末までリアルタイムで映像が送られている筈。

 

 一之瀬先輩が用意してくれた冷たい水を飲み、水分を補給する。

 

 一応、3試合ごと、つまりは大体2時間ごとに、インターバルを15分と長めに取っている。

 

 言わなくても分かると思うけど、ようはトイレ休憩のためだ。

 

 ……行った方がいいのは確かだけど、なんか先輩が見てることを意識したら恥ずかしくなって来た。

 

 この勝負を始める前にも行ってるし、普段から色々とやってるから今さら……本当に今さらの筈なのに。

 

「すみません、次どうぞ」

 

 お手洗いから帰って来た有栖先輩は平然としている。

 たった今、先輩に見られちゃったのに。

 知らないっていいね。

 知らない方がいいこともあるよね……。

 

「ごめんね、天沢さんもどうぞ」

 

 一之瀬先輩も帰って来た。

 良かったね、先輩。

 こんな美少女たちの恥ずかしいところが見れて……。

 

 ……はぁ、しかたない。

 

 だって、試合中に尿意が来たら、それはもう、負けと同義だから。

 集中力が少しでも削がれたら、有栖先輩には勝てないから。

 

 だから──、うん、しかたない。

 

 しかたないけど……。

 

 意を決して開けた扉の先、一歩だけ進んで、扉を閉める。

 スカートの裾から手を伸ばし、引っかけた下着が足の間をするりと抜けていく

 ゆっくりと腰をおろし……小さく、軋む音がした。

 

 ……。

 

 視線を彷徨わせ、頬に熱が集まり、体が緊張する。

 我慢して、我慢して、でも……水の、跳ね返る音が──。

 

 ぁ、やばい、結構出てる。

 

 水飲みすぎた?

 それとも、チェスで集中していたから気付かなかっただけで、溜まってたのかな……。

 

 ……カメラ、いくつあったっけ?

 

 確か、正面からと、上からと、あと……下からも、あったよね……。

 

 うぅ……先輩に見られてる……。

 

 見られちゃってる……。

 

 ……。

 

 ……。

 

 ……あぁ、やばい。

 

 ……なんか、もう、死にそう。

 

 

「……どうかしたのですか? 随分と顔色が……赤いですけど」

 

「ちょっと……暑かったかなぁ」

 

 ……もうダメだぁ。

 

 雑な言い訳しか思い付かない。

 

 先輩のせいだよぉ。

 先輩が、先輩が、先輩が……見てるからぁ……。

 

 

 ◆◇◆

 

 

 お手洗いから戻って来た天沢さんの様子が少しおかしいのが気になりましたが、休憩時間ももう終わるため、あまり気にかけてもいられません。

 

 4試合目、15分の休憩を挟んで思考力を回復させた状況、先手は私──。

 

 戦況は悪くありません。

 3試合目では勝ち星を譲りましたが、もとより6連勝できるほど甘い相手ではないでしょう。

 このまま流れを掴み、押し切りたいところです。

 

 

 ◆◇◆

 

 

 脱衣チェス、なんて聞いた時にはちょっと坂柳さんの正気を疑っちゃったけど、こうして2人の勝負を側から眺めていると、2人とも凄く本気だということが伝わって来る。

 

 私自身はチェスに関して人並み程度の腕前しかないから、2人の試合がどれくらい凄いのかも分からないし、実況も解説もできないけど、次々に駒が動いて、時に激しくぶつかり合ったり、時に静かな膠着状態に陥ったり、目まぐるしく変わっていく盤面を眺めていると、多分……凄くハイレベルで、貴重な試合を見れているんだろうなと思う。

 

 うぅ、せめてもう少し勉強して来た方が良かったかなぁ。

 もしくは解説を呼びたい気分……。

 

 持ち時間が20分と短く、展開が非常に早いことと、何より2人の実力が高く、それでいて拮抗していることが、勝負をより濃密で、魅力的なものに変えている……んだと思う。

 

 実際、激しく変化していく盤面は、分からないなりに見ているだけでも結構楽しい。

 

 これで内容が理解できればもっと楽しかったんだろうけどね……。

 

 私は立会人として呼ばれたけど、部屋を貸すことが殆ど全てで、勝負が始まってしまえば仕事はあまりない。

 

 一応、盗撮されないように監視するという役目があるんだけど、携帯も回収したし、ボディチェックもした。

 

 2人は完全に集中しきっていて、不正なんてする暇もなさそうだし、私ができることは、それこそ休憩時間に飲み物を用意するくらいかな……。

 

 

 ◆◇◆

 

 

 4試合目は余計な思考が抜け切らず、終始有栖先輩が優勢で、そのまま負けた。

 スカートとシャツ……大穴としてスカートに隠れるからパンツ、どれを脱ぐか迷ったけど、汗で殆ど透けていたから、シャツを脱ぐことにした。

 

 空調の冷気が直に当たってちょっと冷えるけど、おかげで熱も冷めて、冷静になれた。

 

 ふぅ、よし。

 

 5試合目、先手では負けられない。

 

 

 ◆◇◆

 

 

 一時的に精彩を欠いていた天沢さんですが、続く5試合目は好調で、私も粘りはしましたが、負けました。

 

 これで3勝2敗。

 差をつけたと思うと直ぐに追いつかれますね……。

 

 ルールに従って靴下を脱ぎ、水分補給をします。

 

 天沢さんは……既に上半身が下着ですが、それを気にする素振りは見られません。

 同性なのですから過度に気にする必要はないと思いますが、天沢さんは脱いでから、むしろ打ち手が良くなったような……。

 

 ……いえ、気にしすぎですね。

 

 今は目の前のことに集中しましょう。

 

 

 ◆◇◆

 

 

 6試合目、あたしは有栖先輩に負けて、とうとう下着姿になってしまった。

 別にそれ自体に恥ずかしさはないんだけど、有栖先輩を脱がすという目的からは遠ざかっている。

 

 ここまで2勝4敗で、このまま同じ流れが続くと10試合目に負けて4勝6敗で終わってしまう。

 

 既に4時間半ほどが経過し、時刻は17時半を過ぎている。

 ここで、ようやく2回目の15分休憩となる。

 

 試合中はある種のトランス状態になってしまうくらい、集中力を使う。

 

 この休憩で少しでも脳をリフレッシュさせないと。

 

 

 ◆◇◆

 

 

 トイレのドアを開け、そう言えば天沢さんの様子がおかしかったことを思い出しました。

 

 暑かったと言っていましたが……。

 

 ……変ですね。

 

 空調はちゃんと効いていますし、水分も補給しています。

 

 ですが、確かに私の体も火照ったように熱い……。

 

 集中のしすぎでしょうか。

 

 これまで長時間連続して脳をフル回転させるような状況はあまりなかったですから、そうかも知れません。

 

 排尿には体温を下げる作用もありますが……あまり、実感できませんね。

 

 ……だいぶ、疲れが溜まってきました。

 

 体力では天沢さんに劣っていることは明白です。

 

 できれば早い段階で勝負を決めたいですが……安全策でいきましょうか。

 

 

 ◆◇◆

 

 

 7試合目、先手のあたしが勝利。

 先手有利なのもあるけど、有栖先輩の打ち手が少しだけ弱っているような気がする。

 

 ……疲れてるのかな?

 

 もしそうなら、チャンスだ。

 

 と、思ったけど。

 

 続く、8試合目、あたしが負けた。

 

 うーん、さっきはあたしが先手だったから手を抜いたのかなぁ。

 それで少しでも思考力を温存しようってこと?

 

 確かに、有栖先輩の方が優勢だし、無理に後手の勝利を狙わなくても、先手の勝利を確実に取っていけば最終的には有栖先輩が勝つことになる。

 

 ……これで5敗かぁ。

 

 戦況は3勝5敗で、もう後がない。

 

 ホックに指をかけて、ブラを外す。

 

 上半身裸で、下はパンツだけ……。

 

 あぁ、なんか、先輩の視線を感じる。

 カメラ越しだけど、絶対見てるでしょ。

 

 

 ◆◇◆

 

 

 9試合目、先手は天沢さんです。

 

 まだ下着の上下に加えてスカートも残っている私に対し、天沢さんは残すところあと一枚。

 

 一息に勝ってしまいたくもなりますが、この試合、無理に勝つ必要はありません。

 天沢さんが余裕を持てない程度に追い詰めれば十分でしょう。

 次の10試合目、15分の休憩を挟み、万全の状態で私の先手となります。

 

 そこで──確実に勝利します。

 

 

 ◆◇◆

 

 

 9試合目、有栖先輩の嫌がらせに精神を疲弊させつつも、あたしの勝利。

 

 スカートを脱いだ有栖先輩が、ようやくパンツを見せてくれる。

 

 ブラと同じ水色。

 

 いつも着けてるガーターベルトはアクセサリー類をカウントしないことになっているから着けていない。

 

 ここで休憩かぁ。

 

 流れは有栖先輩に向かっている。

 

 このまま何もしなければ10試合目は負け、あたしが裸にされて終了だ。

 

 

 ……全部、先輩の予想通りだね。

 

 

 ◆◇◆

 

 

 休憩を終え、10試合目。

 既に勝負を開始してから7時間近くが経過し、疲れは残っているものの、終盤に用意できるコンディションとしては最良だと断言できる状況です。

 油断は全くできませんが、普段通りの力が発揮できれば勝てるでしょう。

 

 ……勝てる、筈でした。

 

「はい、チェックメイト。あたしの勝ちだねー、有栖先輩?」

 

 挑発するように笑う天沢さん。

 ですが、その笑みがどこか白々しいように見えるのは気のせいでしょうか。

 

 この試合……中盤から終盤にかけて、これまでの天沢さんの打ち手とは外れていました。

 

 1手打つたび、少しだけ、ですが、確実に──私が不利になっていきました。

 

 ギリギリの思考、閃いた最適解。

 次に繋がると信じた1手は、瞬く間に暗闇に塗り潰されていく。

 焦りも、足掻きも、何もかも──やんわりと受け止められて、優しく諭すように……逃れられない死を宣告された。

 

 ……まるで別人の打ち手です。

 それも、私よりも遥かに強い──誰かの。

 

 天沢さんは、試合中に誰かの指示を受けている様子はありませんでした。

 衣服はもう下着しかありませんし、通信手段を隠す場所もないでしょう。

 となれば、残る可能性は……事前に聞いていた、これしかありません。

 つまり、その誰かは、私が打つであろう手を全て予測し、その上で勝利してみせた……ということになります。

 

 ……にわかには信じがたい話です。

 

 天沢さんが手を抜いていた、そう考えた方がまだ納得できます。

 

 ですが……。

 

「……世の中にはバケモノみたいな人がいる、ですか。確かに、そのようですね」

「んー? まぁ、世界は広いからねー」

 

 ……世界は広い、ですか。

 

 戯けたように言う天沢さんの言葉に、少し毒気が抜かれます。

 

 ……考えを改めましょう。

 

 次の試合、先手は天沢さんです。

 これまでの疲労を考えれば、勝つのは難しいでしょう。

 勝負の結果も、恐らくは私の負け……。

 

 ですが、天沢さんを追い詰めることで、その裏にいる誰かの力を引き出すことができたということでもあります。

 

 それがホワイトルームに関係する存在なのか、そうではないのか、まだ何も分かりません。

 ですが、いると分かっていれば、警戒し、対策を考えることができます。

 

 夏休みも終わりに近い今日という日、これまで完全に潜伏していたその誰かが、特別試験でもない、単なる遊びの中でどうして急に力を見せたのか、疑問は残りますが……。

 

 決して収穫がないわけではない。

 

 今回はそれで我慢することにしましょう。

 

 

 ◆◇◆

 

 

 11試合目、先輩が用意した棋譜と戦った有栖先輩はかなり疲れていたみたいで、先手ということもあってあたしが危うげなく勝利した。

 

 最後の一枚を脱ぎ、裸になる有栖先輩。

 

「勝負はあたしの勝ち……だね?」

「……そうですね。今回は素直に負けを認めます」

 

 あたしじゃなくて、先輩に、と言いたげな表情だ。

 まぁ実際、あたしだけなら負けてただろうし、有栖先輩の強さは本物だ。

 ……ちょっと先輩とかいう頭のおかしい人がいただけで。

 

 でもまぁ、勝ちは勝ち。

 

 だからあたしは、ニッコリ笑って有栖先輩に宣言する。

 

「じゃあ、罰ゲームするね?」

 

 

 

 

 

 





……という訳で、続きます。
ちょっと構想とは違いますが、上手い具合に繋がったので次話で坂柳を天沢が百合レイプしちゃう感じにしようと思っています。
ただ文字数的に書くのに時間がかかりそうなので、その前に七瀬がセクハラされる奴を書くかも知れません。

前話でも書きましたが、7/18ごろまで忙しくなるので、次の投稿まではやや間隔が空くかなと思います。

もしくは、今まで適当に書いて没にしていた連載用のネタを短編で出すかもしれませんが……。

あと、関係ないですが、ゲーマーズで予約できる天沢のメタライズアート予約して来ました。最初は高いのでスルーしてたんですが、これを書いてて天沢がめっちゃ可愛くなったので……。
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