男が少しでも手を伸ばせば、さっきのピザの宅配の若い男のように、乳房だけでなく秘部まで触られてしまう恐れさえあり、理香子は裸のまま無意識のうちに身構えてしまっていた。
「こちらがお釣りになります」
男はそう言うと、理香子の方に釣銭を握った手を差し出した。その手をあと数センチ伸ばせば、指先が乳首に触れてしまいそうで、理香子は怯えながらそれを受け取った。
素っ裸の美人妻にお釣りを手渡した男は、名のごり惜しそうに理香子の体を見つめたまま、玄関から立ち去った。
「待ってください!」
出前の男が玄関の外に出て行くと、理香子は扉から顔だけ出して、男を呼び止めた。このまま男に帰られてしまったら、部屋の奥から監視している菅原達の命令に背いた事になり、自分の恥ずかしい秘密がマンション中に知られてしまうことになるのだ。だから、理香子は何としてでも男に玄関まで戻ってきてもらう必要があった。
「どうかしましたか?」
急に呼び止められた出前の男は思わず立ち止まり振り返ると、訝しげな表情で美人妻の方を眺めた。
「あの・・・ちょっと戻って来てもらえませんか」
理香子が恥ずかしげにそう告げると、男は事情が良く呑み込めないまま、目だけをギラギラと輝かせて再び裸の美人妻のいる玄関へ戻るのだった。
「なにか御用ですか?」
出前の男は、その視線を目の前に立つ素っ裸の美人妻の体に泳がせながら、事務的な口調で問い掛けた。
「あ、あの・・・」
改めて男を前にした理香子は、自分がこれから告げなければいけない屈辱の口上を思い出し、羞恥に言葉を詰まらせた。
「なにか?」
男は、再び美人妻の裸を鑑賞できる悦びに浸りつつも、それを悟られぬよう面倒臭そうな口調で問い掛けた。
「あっ、あの・・・私の、は、裸についてどう思うか・・・感想を聞かせてもらえませんか?」
菅原達からさっき命令された屈辱のセリフをついに放ってしまった理香子は、羞恥に顔を真っ赤に染め上げ、男から視線を逸らす様に俯いた。
今、目の前に立っている出前の男には、自分がどうしようもなく淫乱な変態女だと映っているに違いなかった。そして、男が自分の破廉恥極まりない問い掛けに対して、ちゃんと答えてくれるか心配でならなかった。もしかしたら、バカバカしいと呆れ果て怒って帰るかも知れず、あるいは欲望を剥き出しにして襲い掛かってくる恐れさえあった。
お願い、早く答えて・・・。
理香子は一刻も早くこの状況から脱け出したく、男の言葉を羞恥に体を小刻みに震わせながら待った。俯いていても男のギラギラした視線が剥き出しの体中に這い回っているのが分かり、理香子の乳首は恥ずかしいくらいに鋭く尖っていた。