夕暮れが空を包み込み始め、涼しげな風が理香子の肌を撫でた。ランチ会が終わってからすでに数時間が流れ、素っ裸の美人妻は未だベランダに放置されたままであった。もしかしたら、菅原達はもう今日はここに戻ってこないんじゃないか、そして今夜はこのままベランダで過ごすしかないんじゃないか、理香子はそんな不安に駆られていた。
いくら自分の家のベランダにいるとはいえ、無防備な姿で締め出されてしまっては、得体の知れない敵地に忍び込んでいるような感覚になった。
あぁ、早く部屋の中に入りたい、そしてこの恐怖と不安から逃れたい・・・。
理香子がそんな風に思っている間にも外はどんどん暗くなり、窓の向こうに見える部屋は闇に覆われていった。おそらくもう夜の七時を過ぎているのだろう、と理香子がぼんやりと部屋の中を眺めていたその時だった。突然、部屋の明かりが点き、暗闇に覆われていた窓の向こうの世界が急に鮮明になると、そこに菅原の姿が見えたのだ。
あまりに突然の出来事に、理香子は驚き、ベランダの手すりの方に後ずさりした。すると、部屋の中の菅原はゆっくりと窓の方に近づいてきて、窓際まで来るとさっきと同じ不敵な笑みを浮かべ、ベランダに放置されたままの素っ裸の美人妻を見つめたのだった。
「お願いです、早く部屋の中に入れてください!」
理香子は、窓際に立つ菅原に向かって縋るような目を向け、訴えかけた。それはまるで、幼い子供が悪いことをして母親からお仕置きを受け、ベランダに締め出された幼い子供が、必死に許しを乞う姿に似ていた。そして、菅原はそんな理香子に対して、再び窓越しにメッセージの記されたメモを示したのだった。
『そこで本気のオ○ニーをしてイク姿を見せてくれたら、窓を開けてあげるわ』
窓越しに見せられたメモにはそう記されてあった。
そんな・・・。
菅原のどこまでも陰湿で卑劣な命令に理香子は愕然とした。彼女は、自分を数時間もの間、素っ裸でベランダに放置しただけでは飽き足らず、さらに屈辱を味わせようとしているのだ。
なんて酷い人なの・・・。
理香子はご近所さんである菅原に対し心の底から恐怖を覚え、裸の体を小刻みに震わせながら、不敵な笑みを浮かべる彼女の顔を見つめた。
『やらないなら、私はもう帰るから、今夜はそこで過ごしなさい』
理香子がずっと立ち尽くしたままでいると、菅原は新たにそう記したメモを窓越しに見せ、窓際から離れようとした。
「待ってください!」
理香子は咄嗟に窓に駆け寄ると、ガラス窓を何度も叩いて、部屋の中の菅原に呼び掛けた。
素っ裸のままベランダで一晩過ごなんて絶対イヤ・・・、それを想像しただけで理香子は背筋が凍り付きそうになった。そんな屈辱を受けるくらいなら、まだ菅原の卑猥な命令に従って、部屋の中に入れてもらった方がましなように思え、理香子は窓を叩きながら、部屋の中にいる菅原に向かって大きな声で叫んだ。
「わかりました。言われた通りにここでオ○ニーしますから、行かないでください!」
美人妻の悲痛なる叫びは、近所の家にまで聞こえてしまいそうな恐れがあったが、必死の理香子には、もうそんなこと構っている余裕もなかった。