僕の名前は、多田野 平助 30歳
葛飾署に勤務している警察官。趣味はアニメ、ゲーム、漫画などいわゆる典型的なオタク。
特にモテるわけでも無いし、そもそもあまり恋愛や結婚にも興味がない。警察官として大人しく仕事をして趣味に没頭できればそれで良いと思いながら、日常を過ごしていた。
そんなある日の帰宅途中に、何となく立ち寄ったリサイクルショップで店内を見ていると、隅で埃を被った手帳を見つけて手に取り開いてみると
「えっと…これに書かれた事は現実になる?何かの映画やアニメのグッズかな?」
ペラペラとめくるも特に作品名が書かれているわけでも無い。
「まあ良いや、新しい手帳が欲しかったしちょうど良いか」
そのまま手帳をレジに持っていき、購入するとカバンにしまい帰宅した。
次の日、書類を持って所内を歩いていると手が滑って書類の束を床にぶちまけてしまい、周りには誰もいなかったので1人で書類を拾っていると
「大丈夫ですか?」
と声をかけられた。振り返ると、そこには署内で随一の美人の秋本麗子が居て
「手伝いますよ?」
と言いながら手を貸してくれた。麗子が手伝ってくれて直ぐに拾い終わった。
「ありがとうございます。」
緊張してしまい、お礼を言うと足早に立ち去ってしまった。
「ふう、いきなりの事に緊張してしまった」
緊張しながらも麗子と喋れた事に内心喜びながら、今日も仕事を終える。その後コーヒーショップに入りコーヒーをのんでいると、ふと昨日買った手帳を思い出した。取り出し少し考えてから、
『秋元麗子と2人でコーヒーを飲む』と記入してみた。
「まあ、こんな物に書いて現実になるなら苦労しないよな?」
そう言いながら手帳を閉じると直後に後ろから声をかけられた。
「あれ多田野さん?」
「えっ?」
振り返るとそこには秋本麗子がおり、動揺してしまった。
「すいません、もし迷惑でなければ相席させてもらって良いですか?満席で」
そう言われて、周りを見回すと気づかない内に店内は人でいっぱいになってしまっていた。
「良いですよ。どうぞ座ってください」
「ありがとうございます」
本当に書いたとおりになった事に驚きながら、手帳が本物じゃないかと思いながらも、偶然だろうと自分に言い聞かせた。
「私に気にしないで良いですからね?」
そう言うと、麗子はスマホを取り出して自分の作業に入ってしまい、多田野も落ち着こうと思うも緊張してしまってコーヒーの味も分からなくなってくる。気がつくと1時間が経過していて、どうしようかと考えを巡らせても良い答えが出てこない。多田野は藁にも縋る思いで手帳を取り出して書き込みはじめた。