何故か自分を犯す相手の性別を女性(ふたなり)にするスキルを手に入れてしまった 作:霧夢龍人
頬を撫でる風と、体を優しく包み込む
目を閉じていても分かるその存在に、今まで見ていた夢が、本当に只の夢───夢?
部屋で寝ているのに、頬を風が擽るだろうか?いや、そもそも芝生の感触のするベッドなんておかしいし、太陽が頬を焼き付けるって、ボクの家吹き抜けにでもなった?
答えは否だろう。
「……せめて、夢であって欲しかったなぁ……」
混濁する意識を無理やり覚醒させ、気怠い体を起こす。徐々に痛みが増す頭の鈍痛とともに、頭を抱えながら現時点の状況を把握する。
芝生の感触というのは当たっていて、辺り一面草だらけだ。
そういえば、確かボク……ゴブリンに頭を殴られて……ここに連れてこられたのか?
何のために?
考えても考えても、鈍痛の走る現時点じゃ考え事は出来そうにない。
「……まぁ、考えても仕方ないか。今はあのゴブリン達が帰ってくる前に逃げ出す事が先決……あれ?」
芝生に手を着きながら上体を支え、ゆっくりながら歩こうとする……が、おかしい。
足が動かない──いや、正確には、足元に何かが引っ掛かっているようで動けない。
足元に目を凝らしても何もされた形跡がない。そもそも、足元には何もない。
なのに動けない。
「もしかして……これが魔法って奴なのか?」
焦ってパニックにならないように、冷静に答えを導きだす。
ボクはここから逃げ出す手段がないとか、このまま何をされるんだろうとか、自分の恐怖を煽るような事は考えては駄目なのだ。
何とかとけないものか。
そう思い、色々と思考錯誤をしてみるが、全く効果がない。
というか、足元に何かあるが、その何かに触れられない時点で効果を発揮するかは、火を見るよりも明らかだろう。
と、そうこうしているうちに、
「グガァァ、グギグギガァ……」
───ゴブリンが帰ってきた。
しかも、さっきボクを気絶させたゴブリンとは違って、明らかに大きいし、ゴブリンを見た時には感じなかった、謎の圧迫感がある。
あれはヤバイ。
何か手元が血に濡れてるし、目も血走ってるし、あと………え、何かコイツ勃起させてんだけど……?
って、おいおいおい待て待て待て。コイツ、もしかしてボクに
「嘘……だろ?」
そんな一種の懇願めいた、目の前のゴブリンが返事をする訳でもないのに、否定を求める眼差しを向けてしまう。
いや、誰でもいい。嘘だといって欲しい。
「グギグギ……」
だが、そんなボクの様子をしってか知らずか、ゴブリンは舌なめずりをしたかと思うと、おもむろにズボンを脱ぎ出した。
ズボンから露出したそれは、あり得ないほど凶悪で……俺の心を折るのに充分だった。
「はは………は……悪い夢だ……な………」
頬を涙が伝う。
ドシンドシンと振動音をたてながら歩み寄るこのゴブリンは、ボクをそういう事に使おうとしている。
そして、逃げ道もなければ、助けてくれそうな人もいない。
只、襲い来る死神の鎌を眺めている。ただそれだけ。
やがて、ゴブリンが俺の目の前に
「グギャア」
厭らしい笑みを隠そうともせずに、ゆっくり……ゆっくりとボクの胸へと手を伸ばす。
抵抗が出来ない。
「んっ………あ、ぐ……」
他のゴブリンよりも大柄だからだろうか、痛いくらいにボクの胸を鷲掴みにしてくる。
……舌を噛みきって死んでしまおうか?
でも、死ぬのは怖い。けど、犯されるのも怖い。
だから、唇を噛み締めて耐える。それしか出来ないのだ。
「グギャアアァ!」
そんなボクの様子に気をよくしたのか、ゴブリンは一声軽く吠える。
そして──。
「っ!───こ、殺すなら早く殺せよぉ!」
───ボクの服代わりの葉っぱを器用に剥ぎ始めたのだ。正直、この時が一番恐怖心がピークになっていたと思う。
犯すのが目的であるゴブリンが、そう易々とボクを殺すと思えない。だが、そんな判断を下せるほど、ボクはまだ冷静じゃなかった。
「ギグゥアァ」
やがて剥ぎ終わると、ぬるりとしたゴブリンの舌が、ボクの体を───
「………んっ!?……ふ……んん……あ……」
気持ち悪い。
体を隠していた葉っぱがなくなった事によって、舌が胸や腰、お尻の辺りをぬるりぬるりと舐め回す。
気持ち悪い気持ち悪い気持ちいい気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ちいい気持ち悪い………。
「んぁ………な、なめ……あっ、んぁ……まわすなぁ……ふぁ……」
舌で胸を捏ねくり回し、舌で腰を締め付けられ、舌で股を何度もまさぐられる。
どこまでも気持ち悪くて、どこまでも味わいたくもない感触に包まれ、吐き気が止まらない……と同時に、こんな奴相手に感じてしまう体に腹がたった。
そうだ、なんでボクは諦めてるのだろうか。
ここで簡単に堕ちてどうするのだろうか?
「ボ、ボクは……んゃ……ま、まけっ……ない……からぁ!……な、なぁ………」
息も絶え絶えになりつつ、喉から絞り出した声でゴブリンを煽る。
正直、なんでここでゴブリンを煽ったのかボクですら理解に苦しむけど、それだけ精神状態が変になっていたんだろう。
あれ、ボク何してんだという後悔の念が浮かぶのと、ゴブリンが怒りの咆哮をあげるのは同時だった。
「グギャア!!」
「うわっ!?……ちょっ………ひゃあ!?」
いきなり自分の上にのし掛かり、目の前に極太の凶悪なモノが鎮座する。
あ、ヤバイと、思った時にはもう遅かった。
その極太の凶悪なモノを、ゴブリンは躊躇いなくボクの肉壺へと──叩き込んだ。
「いっ!?」
瞬間、溢れ出る痛みに思わず呻く。
しかし、ゴブリンはそんなボクに構わず、滑らかな抽挿を繰り返す。
肉と肉とがぶつかる小気味いい音が、その場を支配する。
「んぁっ!?あっ、ん……あ……んぁ……んやぁ……めて………」
何も考えられない。
頭の中が真っ白になるというのはこの事だろうか。
こんなの気持ちよくない、むしろ気持ち悪いと自己暗示をかけるが、快楽はそれを許さない。
「も、もっ──ッ!?」
快楽に支配され掛け、思わずもっとと口走りそうになったのを、必死に抑える。
……初体験がゴブリンとか。
童貞を卒業する前に、処女を卒業するとは思わなかった。嗚呼、本当なら……本当なら美人な女性とこんな事をしたかった、と思わずにはいられない。
せめて、せめてこのゴブリンが綺麗で美しい人であれば……そんな自己暗示を今度は掛けた。
だって、自分は今この快楽の波に呑まれそうになっているから。このまま放っておいたら、二度と戻れなくなる。
ならせめて……せめて、自己暗示をかけて死のう。そう思ったのだ。
………ほら、早速自己暗示の効果が出てきた。
正常位でボクを犯し続けている筈のゴブリンが、いつの間にかボクにも負けず劣らずの美人さんになっている。
その大きな胸を揺らして、ボクの胸とその胸とで体と体の隙間を埋めていく。
そして、その美人さんボクに妖艶な笑みを浮かべながら抽挿をだんだんと激しくさせていくのだ。
「ギら……もっとやっグル……ほしいんであロォ?」
心なしかゴブリンの声まで、心地いい低めの女性の声に変わっている気がする。
……ボクも末期なのかもしれない。
「あっ……んんっ……んっ……は、はげしっ……いイッ……てばぁっ……ッ!?」
「ふふ……あっ……ほら……さっさと負ギ……んっ!……るガいい……ぞ?」
只でさえ激しかった抽挿がより激しくなり、ストロークも短く、早くなってゆく。
一度突かれる度に頭がチカチカと明暗し、絶え間のない快楽と気持ち悪さが、より一層上の快楽へとのしあげてゆく。
美人に見えるゴブリンの柔らかい胸と、ボクの胸が押し合いへし合いし、形を変えてゆくように、ボクの心も変わってゆく。
このままでいいのではないか?とか、もっと気持ちよくなりたい、とか。
冗談じゃない、でもこれ以上続けたら、ボクも本格的に駄目になってしまう。
だから、早く終わらせるように………悔しいが、ゴブリンの射精を促すように腰を動かす。
「──ッ!ふ、ふふ……お前はどこ……ま、まで……」
「ッ!───ッ!?───ッ!?」
美人に見えるゴブリンが、驚愕に顔を歪ませ、首から汗が滴り落ちるのも構わずラストスパートを掛けた。
「んむ……はっ……ん……ふ、ふふふ……私もそろそろ……だ…」
「……ッ!?……んんむ………んんっ……」
正直、もうボクも限界が近い。
急に顔を近付けられ、ボクもと──し、仕方なく舌を出してゴブリンの舌を絡めとる。
こうして、ゴブリンの唾液を嚥下している間にも、ゴブリンのモノが段々と熱を帯びていくのが分かった。
「んっ……だ、出すぞ……?」
瞳を潤ませ、眉を八の字に曲げてそう問うゴブリン。
や、やだ。ボクは絶対に嫌だ。
だから、拒否しようと口を開く……が、
「ん……い、いいよ……ふぁっ、?……あっ………」
何故か勝手にそう口走ってしまう。
何故何故何故?
そう思うも束の間、
「…や、イッ…んぐっ……………」
激しくストロークに、漸く終わりが訪れた。
膣に注がれたゴブリンの精液が、自分の中で熱を持っているのが分かる。
嗚呼。何故、何故自分はここまで冷静なのだろうか?
ゴブリンに種付けされているというのに。
───それに対する答えは、ボクの意識が闇へと消えていくとともに、忘却されたのだ。