Ⅰ(マアムとメルル)①
法と秩序による恒久的な平和を望む、多くの人々の強い願いによって生み出された、この世界の『概念』であったはずの女神ルシリスは、何者かの手により思考を変えられてしまった。
今、彼女は狂っている。
様々な異世界の生意気な女達を従順な雌に変えて、それを男性に提供することこそ恒久的な平和につながる道だと考えるようになってしまった。
その上、彼女の力は以前よりも遥かに強大で誰も敵わない。
けれど、男性の皆様は安心して頂きたい。
彼女はあらゆる男性を愛し、賛美し、その幸福に寄与することこそを至上の喜びとしている。
そして、男性に従順な女性も大丈夫。
彼女はそういった女も愛するから……。
けれど、男性を蔑ろにする女性は覚悟を決めなければならない。
そんな女性を、彼女は何よりも憎んでいる。
そんな連中は、苦しめて苦しめて、死よりも辛い苦行を課して調教するべきだと考えている。
そんな狂った女神の調教に、今回選ばれたのは……。
△
「……さ……。……ポッ……様」
声が聞こえる。美しい女性の声が。
黒髪の十五歳の少年、ポップは、その美しい声に目を開ける。
すると、自分は光り輝かんばかりの神殿のような場所に一人立ち尽くしていた。
自分は何も身に着けていない。
トレードマークのバンダナさえもなく、全裸だった。
その事を疑問に思うよりも先に、目の前にいる、二十代くらいの長い水色の髪の美しい女性の姿にポップは目を奪われた。
「ポップ様。ようこそいらっしゃいました。私は、光の女神ルシリスと申します」
頭部に大きな輪のようなアクセサリーと、女性らしい細い肩幅の三倍はあろうかという大きなマントを身に着けたその女性は、自らを女神だと名乗る。
けれど、年頃の少年であるポップの視線は、男の本能で、服から見える大きな胸の谷間と、スリットが入ってむき出しな美しい太ももと足に目が行ってしまう。
「ポップ様……」
ルシリスは悲しそうな声でポップの名前を呼ぶ。
「あっ、すっ、すみません!」
不躾な視線を、嫌らしい目を向けてしまったことを窘められると思ったポップは、慌てて謝罪をし、なるべく彼女の体を見ないように心がける。
「いいえ。私のようなものに謝らないでくださいませ。ただ、私は貴方様が不憫でならないのです。私のような醜女にさえ、そのような視線を向けざるを得ない、満たされていない貴方様が……」
「えっ?」
ポップには、目の前の女性――ルシリスが、何を言っているのか分からない。
誰がどう見ても、ルシリスは魅力的で美しい女性にしか見えない。それに、不憫とはどういう意味だろうか?
「ポップ様。貴方様の活躍は私の世界にも伝わっております。大魔王バーン討伐に尽力し、今は行方不明になった、勇者ダイ様をお探しなのだと」
ルシリスはポップの前で跪き、深々と頭を下げる。
その際、スリットの入った方の左足を立てているため、腰布の前の部分が右に集まり、彼女の鼠径部が後少しで見えそうになる。
自然と、ポップの視線はそこに吸い寄せられてしまう。
だが、ポップは懸命に煩悩を振り払うように頭を振るい、ルシリスに質問をする。
ポップの質問内容は、無論、行方知れずの親友の、ダイの行方だった。
仮にも女神を自称するのだから、人探しができるのではという淡い希望を込めた質問だ。
だが、ルシリスは悲しそうな顔をし、「申し訳ございません」と謝罪する。
彼女が言うには、自分の世界のことではないので、教えるわけにはいかないとの事だった。
「そうか……」
ポップは心底残念そうな顔をしたが、すぐに明るく微笑む。
「いや、気にしないでくださいよ、女神様。ダイは俺達がこの手で見つけ出す。そう決めていたのに、つい頼ってしまっただけですから」
ポップの言葉に、ルシリスはもう一度「申し訳ございません」と言って深々と頭を下げる。
そして彼女は、
「私は、ポップ様に直接お力を貸すことは叶いません。ですが、貴方様の抱える、他の悩みの一つを解消するお手伝いをしたいと思い、この場に貴方様をお呼びいたしたのです」
「俺の、他の悩み?」
ポップは、ルシリスが何を言っているのか理解できない。
「ポップ様。貴方様は、とても男性らしい素敵なモノをお持ちですわね」
少し頬を紅潮させたルシリスの視線が、自分の股間の男性器に向いていることに気づき、ポップは今更ながらに自身が裸であったことを思い出して、手でそれを隠す。
「ですが、貴方様の周りにいる女があまりにも無神経なために、まだその素晴らしいものをお使いになられていない。貴方様の優秀な遺伝子は、いつも体内に吸収されるか、虚空や紙に吐き出されてしまうだけ。そのことにお悩みではないでしょうか?」
言葉遣いこそ謙っているが、要は自分がまだ童貞であることをルシリスは指摘している。
ポップはその事を悟り、恥ずかしそうに顔を紅潮させる。
「なっ、何だよ! どうせ俺は……」
ポップが拗ねたように文句の言葉を口にすると、ルシリスは立ち上がり、優しくポップの顔を自らの豊満な胸に優しく押し当てて抱きしめた。
あまりにも予想外なことに、ポップは驚き、体を硬直させる。
「もしもポップ様が望まれるのでしたら、私でよろしければこの躰を差し出します。ですが、ポップ様には好いた女性が、マアムという方がいらっしゃるはずです。初めては、その女性とがよろしいと思われておられますよね?」
ルシリスの言葉に、ポップは「あっ、ああ」と頷く。
ポップの返事がおざなりになってしまったのは、ルシリスの乳房の温かさと女の甘い匂いに陶酔しそうになってしまったからだ。
「及ばずながら、私が、その悩みを解消するお手伝いをさせて頂きます。それと、彼女とは別に、ポップ様のことを一途に思う女性も身近にいらっしゃいますね。彼女のことも私にお任せ下さい」
ポップは、ルシリスのいう女性というのが、ダイを探す旅にマアムと共に同行してくれている、メルルのことだと理解した。
「まっ、待ってくれ! 俺は、メルルの事を……」
「はい。ポップ様の世界では、夫婦は男女一人ずつが基本ですものね。ですが、ポップ様のような偉大な方の子種を受け入れる女が一人では、子孫の繁栄に支障が出ることも危惧されます。
それに、メルルさんのことが嫌いなわけではないのですよね?」
豊かな乳房に顔を埋めながらも、ポップは何とか上を向き、ルシリスの顔を見上げると、彼女は優しく微笑んでいた。
「あっ、ああ。そう、だけど……」
ポップもメルルのことが嫌いではない。
それどころか、一途に自分のような男に好意を寄せてくれる彼女のことを好ましく思っている。
「大丈夫です。全て私にお任せ下さい。もう、明日からはポップ様が一人で冷たい寝所で眠ることはなくなります」
「まっ、待ってくれ、いきなりそんな事を言われても……」
ポップがそう言うと、ルシリスは静かに彼の頭を胸から優しく開放する。
「あっ……」
初めて女の乳房の感触を顔で堪能していたポップは、少し寂しそうに声を漏らす。
「ポップ様。どうか動かないでくださいませ」
ルシリスの懇願に、ポップは動けなくなった。それは、彼女がポップの目の前で跪いたから。
これから彼女がしようとしていることを予見し、ポップは期待と罪悪感に揺れる。
「ポップ様。私のような醜女の口が初めてでは、きっと後に後悔されるはずです。大丈夫です。必ず、ポップ様の思う女性が、喜んで奉仕するようにしてみせますので」
ルシリスはそんなポップの気持ちを慮り、静かに彼の半勃起したペニスの下に自分の頭をくぐらせ、彼の精子の詰まった睾丸を、玉袋をツヤツヤの水色の髪の上に、頭に乗せる。
「女神ルシリスの名において、ここに誓います。この素晴らしい生命の滴を受け止める、最上の雌を貴方様にお届けすると」
ルシリスは卑猥な物体を頭に載せながらも、厳かに宣言する。
「そして、どうか私のような醜女が、この初めてを頂く事をお許し下さい。きっと、貴方様のお役に立つはずですので」
彼女は更にそう続け、頭を動かして上を向くと、ポップの精子を作る睾丸が包まれた袋に口づけをした。
「くっ、ああっ!」
その瞬間、ポップの睾丸が温かな光りに包まれた。そして、急速にその部分が変わっていくのを感じる。
けれど、それは決して不快ではなく、むしろ心地よかった。良すぎた。
そのため、ポップは腰砕けになりお尻から倒れて動けなくなってしまう。さらに彼のペニスの先端の穴から、断続的に精子が吐き出された。
「虚空に精を放たせてしまい、申し訳ございません。ですが、これが最後です。次にポップ様が目を覚ましたときには、最高の肉の器をご用意いたしますので」
あまりの快楽に意識を失いそうになったポップが最後に聞いたのは、ルシリスのその言葉だった。
そして、彼が最後に見たのは、自分が放って床に落ちた精液を、跪き、申し訳無さそうに涙を流しながら、舌で舐め取っているルシリスの姿だった。