起床を告げる鐘の音が聞こえるよりも早くに、マァムは目を覚ました。
今が何時なのかは時計がないので分からないが、窓から入ってくる明かりのおかげで、もう朝なのだということは分かる。
昨日は散々泣いて、弱音を吐き出した。
だが、そのおかげか、目覚めは悪くない。
いろいろと絶望的な状況だが、何とか頑張ろうと思うことはできるくらいに心は回復していた。
「……ごめんなさい、ポップ。また会うことが出来たら、今までのことを謝るから、許して」
マァムは、ポップの事を考える。
昨日は心が弱って、悪い方に悪い方に考えてしまったが、きっとポップは自分のことを心配してくれているはずだ。
……そう、考えることにする。
マァムは前向きであろうとした。
なんとかメルルを見つけ出して、ポップと再会する。
そのことをしっかりと目標に定め、行動しようと心に決めた。
「今日から外で仕事をさせられる。でも、情報を得るチャンスだわ」
マァムはそう考え、敷物にしていたズダ袋を頭から被り、紐を腰に巻く。
……その時、マァムは気づかなかった。
自分の躰に起こっている変化を。
そう。発情しきったときほどの突っ張りではなかったので気づかなかったのだ。自らの股間の肉芽の部分が、固くなっていることに。勃起していることに……。
少しすると、起床を知らせる鐘の音が響き渡り、一番奥のマァムの部屋の扉も開かれた。
「おはようございます、マァムさん。昨日は良く眠れたみたいですねぇ」
扉を開けたのはフェンネルだった。
「で・す・が! 貴女の声がうるさかったという話が、私の耳にも入っていますよ。他の皆さんの安眠妨害になりますから、注意して下さい。今回だけは大目に見ますが、次はないですからね」
フェンネルは、ぷんぷんと言った感じで怒る。
その姿は、どこか可愛らしい印象を受けるが、マァムはもうこの女の本性を知っている。
それと、声が漏れるということは、防音がしっかりしていないということだ。
扉は金属製で周りは岩だらけにも関わらず音が漏れるということは、この施設の壁はそれほど強固ではないのかも知れない。
いい情報だとマァムは密かに考える。
「さぁ、シャワーの時間ですよ。他の皆さんに遅れないようについて行って下さい」
フェンネルの指示に従い、マァムは前を歩く、名前も知らない他の囚人の後に続く。
その女も、自分と同じみすぼらしい格好だ。
いや、ズダ袋の口の空いた方の端がぼろぼろになっている分、より酷い。
白いおしりが完全には隠せなくなってしまっており、歩く度に、お尻の肉が揺れるのが分かってしまう。
「マァムさん! きちんと前を見て下さい! 危ないですよ」
フェンネルに指摘され、マァムは前を向く。
ズタ袋がボロボロなのが気になったせいだろう。つい、まじまじと見つめてしまっていた。
目の前の女性だって、好きでおしりを顕にしているわけではないのに。
やがてシャワー室までくると、昨日と同じように大人数で慌ただしいシャワーの時間になった。
誰もが大慌てで、髪や躰を洗う。
シャワーに躰を隠す仕切りなどはないが、周りに女しかいない事と、いかんせん一人当たりの時間が短いこともあり、誰もが周りの目など気にせずに、あられもない姿で躰を清める。
もちろん、女の女たる部分も、股間も指を使って広げて中を洗わなければいけない。
自分のように胸が大きい女は、胸を大きく揺らしながら、大慌てで胸の下や谷間も綺麗にしている。
「…………」
女達が体を動かす度に、弾力のある若々しいしなやかな女の肉がその柔らかさを主張する。きめ細やかなその肢体は水を弾き、シャワーを終えた者たちの躰を水滴がこぼれ落ちていく。
何故だろう?
ここでようやくマァムは、自分自身の行動と思考に違和感を覚えた。
何故、自分はこんなに魅入られるように他の女達の裸身を見ているのだろう?
そんなものは珍しくもないし、他にもこの部屋の構造などをしっかり調べて、どこかに脱出できる隙きはないかを調べたほうがいいはずなのに。
それなのに、目が離せない。
大勢の女達が、裸身を晒してシャワーを浴びている姿から目が離せない。
「あっ……」
マァムは、自分のプッシーの肉芽がムクムクと張ってくるのを感じた。まずい、このまま万が一にも媚薬を噴出するようなことになってしまっては……。
マァムは慌てて目を閉じることにした。
こうすれば、視覚情報は遮断できる。それに、気配で前の人間が動いたかどうかも分かるので、支障はない。
だが、ほんの数秒で、マァムはまた目を開けてしまう。
どうしてだか分からないが、見たいと思ってしまい、その欲求に逆らえない。
呼吸が荒くなる。そして、意識が、パンパンに張った肉芽に持っていかれそうになる。
「ああ、駄目。おかしくなる……」
けれどマァムは、何とか自分の番が回ってくるまで、その衝動に耐えた。そして、相変わらず冷たい水のシャワーを浴びたことで、何とか冷静さを取り戻すことが出来た。
だが、それも僅かなこと。
手を使って躰を洗っていて、それが自らの豊かで形の良い乳房の番になった時に、マァムはまた、恥ずかしい肉芽が痛いほどに固くなっていくのを感じた。
「何? なんなの、この感情は?」
マァムは怖くなり、胸に触るのを止め、髪と頭、そして足や背中を重点的に洗い、最後に股間を洗ってシャワーを終わらせることにする。
けれどそこでも。
「あっ、んっ……」
シャワーの水が股間に当たるように躰の位置調整をした時だった。
彼女の口から、妙な声が漏れてしまった。
幸い、シャワーの音で誰にも聞かれなかったようだが、マァムは自分の体に起こっている変化に頭が追いつかない。
ただ、もう時間を示す砂時計の砂が尽きそうな事に気づき、マァムは何とかおかしな気持ちを堪えて、シャワーを終了する。
そして、置かれているタオルを一枚手にとり、水滴を拭く。
だが、そこでも、股間部分の水滴を拭こうとタオルが肉芽に触れた瞬間、全身に電流のようなものが走った。
マァムはタオルを持っていない左手で、口を押さえる。そうしないと、また声が漏れてしまいそうだった。
だが、幸い、誰も彼女のおかしな行動には気づかなかったようだ。
マァムは安堵し、ズダ袋を身に着け直す。
ただ、そんな彼女を横目で見ながら、ほくそ笑んでいる人物がいたのだった。